2009年5月3日 (日) 掲載

◎斜面にびっしり シバザクラ満開…木古内・薬師山

 【木古内】木古内町木古内の公民館裏にある薬師山(標高72メートル)山頂付近のシバザクラが見ごろを迎えた。好天に恵まれた2日、花は一気に満開となり、「まるでピンクのじゅうたんのよう」と観光客らが記念撮影を楽しんでいた。

 サラキ岬のチューリップとともに木古内の初夏を彩る名所として知られる。約830平方㍍の斜面にかれんな花がびっしり咲く。

 山頂まで林道が整備され、急な坂道ながらも公民館から約10分で登れる。屋根付きの休憩所もあり、津軽海峡や知内の矢越岬を一望できる。

 色づいた山並みは、国道228号や町の中心部からも眺めることができる。

 木古内出身で姉妹3人で25年ぶりに足を運んだ函館市の前川八重子さん(59)は「海に空、きれいな街並みと見晴らしが素晴らしい。潮風も心地良い」と声を弾ませていた。

 見ごろは例年、5月中旬まで。開花状況は木古内町ホームページ(HP)でも確認することができる。アドレスはhttp://www.town.kikonai.hokkaido.jp/ (田中陽介)



◎新型インフルエンザで函館でもマスク品薄

 新型インフルエンザの世界的な感染拡大を受け、函館市内のドラッグストアでも感染予防用のマスクや手洗い用の消毒液の売れ行きが急激に伸びている。一部店舗では品切れや品薄状態が続いていて、消費者の間にも警戒感が広がっている。

 ツルハドラッグ五稜郭店(函館市港町1)は世界保健機関(WHO)が警戒水準を引き上げた4月29日ごろからマスクなどを買い求める人が急増。石岡譲店長は「消費者の関心は鳥インフルエンザや新型肺炎(SARS)騒動の時よりも高い。通常の5―6倍売れている」と話す。

 売れ筋は使い捨てタイプで、感染予防効果が高いとされる不織布(ふしょくふ)製のマスク。当初34種類あったマスクは半分以上が売り切れた。目の細かいウイルス対策用から売れ、口や鼻の保湿がメーンの風邪用タイプも品薄状態にあるという。

 生活協同組合コープさっぽろひとみ店内にあるシーズドラッグ(人見町8)では4月30日から高機能マスクに品切れが出始め、一日50点以上が売れている。佐々木考弘日用品マネジャーは「追加注文しているが、メーカーも欠品しているようで、今の在庫で連休を乗り切れるかどうか」と困惑気味だ。

 このほか除菌用せっけんや消毒用ジェル、うがい薬などの売れ行きも通常の3倍近くに上り、中にはまとめ買いする人も。マスクを品定めしていた市内の女性(40)は近く海外旅行の予定があり「もうキャンセルもできず、念には念を入れて自衛策を取るしかない。風邪の症状もないのにマスクを買うなんて」とあきれ顔だった。(森健太郎)



◎チューリップの早咲き満開…サラキ岬でフェア開幕

 【木古内】木古内町サラキ岬で2日、「チューリップフェア」(実行委主催)が開幕した。公園一帯の80種5万球のうち、早咲きが満開となり、愛らしい姿で来場者を歓迎。ホタテやツブなどの特産品販売も行われ、会場は終日にぎわった。

 場所は亀川地区の国道228号沿い。住民有志らが花壇整備でまちづくりに励み、木古内観光の拠点として知られる。ゴールデンウイークの時期は、函館方面から松前さくらまつりに向かうドライバーが休憩地点として多く利用する。

 町内の水産関係者や飲食業計8店が屋台を並べ、炭焼きの海産物を安値で提供。香ばしいにおいが会場を包み、「木古内自慢のおいしい料理を味わって」と威勢あるかけ声が響いた。

 祖父母と来場した函館中央小2年の堀川弘夢(ひろむ)君(7)と函館遺愛幼稚園の歩夢(あゆむ)ちゃん(5)兄弟は「黄色いチューリップが好き。焼きイモがおいしかった」と笑顔だった。

 同フェアは3―5、9、10、16、17日の午前9時―午後5時。10日午前11時から、みそぎ太鼓やよさこいソーラン踊り、カラオケ大会が行われる。

 問い合わせは木古内観光協会TEL01392・2・2046。(田中陽介)



◎不透明な経営実態発覚…ナルミ破たん 桧山に打撃

 【乙部】4月30日に事実上倒産した建設資材商社・ナルミ(本社・乙部町、古畑篤社長)。建設、採石、生コン、健康食品販売などの幅広い事業を手掛けたナルミグループ破たんの衝撃は、景気低迷にあえぐ檜山管内に深刻な打撃を及ぼし始めている。一方で商取引の実態がない融通手形の振り出しなど不透明な経営実態も発覚、破たん原因の真相究明を求める声も上がっている。

 ナルミショック―。管内の建設業者は口をそろえる。同社グループが1回目の不渡りを出した3月末以降、江差町を中心に同社グループと関連が深い企業の経営破たんが相次いだ。渡島・檜山両管内では傘下の建設業者など5社が連鎖倒産している。ある建設業者は「完全なショック状態にある。業界では人・物・金の動きが止まった。どの会社が影響を受けたのかお互いに疑心暗鬼の状態にある」と語り、建設業界にも広く浸透した同社グループの影響力を強調した。

 同社グループからの工事代金などが未払いとなった、多くの下請業者も経営危機に直面している。ナルミが受注した大型工事に参加したある建設会社は、億単位の工事代金が未払いとなった。発注者から工事代金を手形で受け取った同社は、下請業者への支払いには決済期限の長い自社の手形を充てた。ある下請業者の幹部は「不渡りになることを知りながら手形を振り出したのではないか」と憤りを隠さない。

 関係者によると、同社グループと関連企業間では、商取引の実態がない融通手形の運用が恒常化。金融機関やグループ周辺の経営者から手形割引を受けて運転資金をねん出していたという。だが、今年1月以降、同社と密接な関係にある企業で巨額の資金ショートが発生。資金調達が困難になった同社は、傘下にある複数の企業に手形提出を要求し、次々と銀行や金融業者で現金化を繰り返した。手形を振り出した関連会社は、年商を超える億単位の負債を背負い、続々と経営破たんしている。ある関連企業の役員は「手形詐欺にあったようなものだ。数十億円規模もの金がどこに消えたのか」と語気を荒げた。

 しかし、4月30日に会見した古畑氏は、多額の現金の行方について「今は話せない」「ノーコメント」と繰り返し、破たんの真相を明らかにすることを拒んだ。融通手形の操作で金融機関などから引き出した現金はどこに消えたのか。金融関係者は「金の行方は全くつかめない。売り上げ低迷や単なる融資の焦げ付きで生じるような負債額ではない。帳簿にも多額の負債は計上しておらず、粉飾決算の疑いが濃厚だ。法的措置も検討しなければならない」と怒りをあらわにした。

 国の景気対策などで本年度、管内では公共工事の発注額が大きく伸びる見込みだ。今月から入札手続きなどが始まるが、ある江差町幹部は「連鎖倒産の可能性を含めて業者の審査は要注意だ。管内の業者だけで工事が対応できるのか心配。景気低迷の中で建設業者の淘汰(とうた)は加速するだろう。ナルミショックの影響は計り知れない」と漏らす。(松浦 純)



◎平和への思い 歌に込め 愛ラブ9条フェス

 憲法記念日(5月3日)にちなみ、憲法9条や平和について考える「愛ラブ9条フェスティバル2009」(実行委主催)が2日、函館市公民館(青柳町)で始まった。全国で平和をテーマに活動するソプラノ歌手、森田留美さんの「9条・命の輝き」コンサートなどが開かれ、約200人が訪れた。

 この日は道教育大函館校モダンダンスクラブのステージ「挑戦への道標」で幕開け。メンバーが若さあふれる情熱的なダンスを発表した。

 森田さんは、被爆者で詩人として知られる栗原貞子さんの詩「ヒロシマというとき」「生ましめんかな」に曲を付け、ピアノで即興弾き歌いを披露。絵本「戦争のつくりかた」の文章をスクリーンに映し、ピアノ弾き歌いで反戦を訴えた。

 伸びやかな澄んだ歌声で「アヴェマリア」などを情感たっぷりに歌い、観客を魅了。市内上湯川町から訪れた男性(72)は「戦争をしてはいけないという熱い思いが伝わってきた」と話していた。

 2日目の3日は市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で午前10時から午後4時まで、「9条平和ライブ」が開かれる。入場料500円。1部(午前10時から)は合唱や落語、2部(午後1時から)はNPO南北海道自然エネルギープロジェクト代表のピーター・ハウレットさんの記念講演、とみいたえこさんのコンサートなどを企画。映画・アニメ上映(正午から)、9条グッズ販売やフリーマーケットなども行われる。(宮木佳奈美)