2009年5月31日 (日) 掲載

◎日本語滑らか 思い語る…「外国人による日本語弁論大会」

 函館開港150周年記念「第50回外国人による日本語弁論大会」(函館市、国際教育振興会、国際交流基金主催)が30日、函館市民会館(湯川町1)で開かれ、中国や韓国など10カ国12人の在日外国人が日本語のスピーチ力を競った。地元函館から出場し、来日して学んだことや平和の尊さを語ったドミニク・バゲンダ・カスッジャさん(ウガンダ)が最高賞に当たる外務大臣賞と会場審査員賞のダブル受賞を達成。文部科学大臣奨励賞にはシャポヴァーロヴァ・スヴェトラーナさん(ロシア)、主催団体特別賞には官琳(中国、カン・リン)さんが受賞した。大会には高円宮妃殿下が出席された。

 外国人と日本人との相互理解や友好親善を図っていこうと1960年に創設した大会。97年までは東京で開かれていたが、98年から全国各都市が持ち回りで開催。開港150周年の函館で節目の50回大会を開いた。今大会には27カ国約130人の応募があり、予選審査を通過した12人が晴れの舞台に進んだ。

 出場者は来日当初に戸惑った日本の風習などエピソードや、独自の視点で見つめた日本社会や日本人像についてよどみなく語った。一橋大学のモンゴル人留学生、バータルホ・ホス・エルディンさんは「熱い視線」と題して他人と視線を合わせない日本人の習慣を考察。上智大の韓国人留学生、金茶恵(キム・ダへ)さんは日本と韓国の喫煙文化を比較し、「韓国ではたばこを吸う女性は嫌悪の目で見られるので人前では吸わない」と述べた。

 外務大臣賞を受賞したバゲンダさんは「北の国で学んだ三つのこと」と題して発表。函館の冬を経験して、春の到来に感動したことや雪かきでの失敗談を紹介。日本の戦後を冬の後に来る春に例え、「アフリカや中東など戦争が起きている国々に戦後の春が来ると信じている」と語った。また、函館から出場した馬麗(中国、マ・リ)さんは「私の少子化対策」と題して発表した。

 受賞にバゲンダさんは「賞に選ばれるとは思わなかった。とても幸せな気分」と笑顔を見せ、馬さんも賞を逃したものの「12人の中に選ばれただけでも良かった。また機会があればチャレンジしたい」と話した。

 閉会式では、水谷修審査委員長が「これからも理想を高く持って日本のことを勉強し、日本人の手本になるくらいになって」と激励。開催地を代表し西尾正範市長が「開港150周年記念として大会を開催できたことは意義のあること。わたしたちの考え方を見つめ直す機会になった」と述べた。 (鈴木 潤)



◎ひろめ荘 入館者20万人達成

 函館市大船町832の「道南温泉ホテルひろめ荘」(西村晴美総支配人)で30日、入館者数が20万人を達成し、節目の来館者に宿泊ペア券と花束が贈られた。西村総支配人(50)は「自慢の温泉をはじめ、コンブやイカ、大船遺跡など味わい深い地域の財産が周囲にある。今後も地元住民、観光客が喜ぶサービスを提供したい」と意気込んだ。

 硫黄泉の露天風呂や重曹泉の大浴場などが人気の同ホテルは2007年8月にリニューアルオープン。同11月には旧南茅部町のほか、函館や近郊の市町に無料送迎バスを毎日運行するサービスも開始し、人気を集めている。西村総支配人は「大型連休中のETC(自動料金収受システム)効果も相まったのでは」と予想よりも早い節目の達成を分析する。

 20万人目となった函館市の主婦、和山聖子さん(43)ら6人家族は午後1時20分ごろ入館。「おめでとうございます」と呼び止められた和山さんは「子どもの運動会が早く終わり、久々に来てみたらびっくりだった。ここの泉質は本当に好きなのでまた来たい」と声を弾ませていた。

 同ホテルでは記念として6月7日まで、ラーメンやカレーライスなどホテル内のレストランのメニューを2割引きにするほか、第2回「はこだて国際民俗芸術祭」の一環として同日、函館のトラベリングバンド「ひのき屋」ら3組が出演するライブも開く。一部が午後1時から、二部が同3時から。ともに食事付きで前売り2000円、小学生1000円(いずれも当日500円増)。問い合わせは同ホテルTEL0138・25・6111。(長内 健)



◎「電子たばこ」じわり浸透…道南でも売れ行き上々

 31日は世界保健機関(WHO)が定める世界禁煙デー。国内外を問わず禁煙の動きが進む中、吸うと先端の発光ダイオードが赤色に点灯し、擬似喫煙の気分が味わえる「電子たばこ」が、新たな禁煙ツールとして全国的に注目を集めている。道南地域の取扱店でも売れ行きは上々で、今後さらに浸透する可能性がある。ただ、見た目には通常の喫煙と変わらないためトラブルの原因となりかねない面もあり、交通機関が使用を制限する動きも出始めている。

 電子たばこは、吸うと香料を含む煙状の水蒸気が放出される。ニコチンやタールを含まないため受動喫煙の心配がなく、火も使用しない。カートリッジを交換することで好みの味が楽しめる。道内の代理店「インワールド」(札幌市)によると、特許の関係で中国製の製品が大半を占めるという。

 購入は現在のところ通販サイトが主流だが、道南地域ではドン・キホーテ函館七重浜店(北斗市七重浜7)で、昨年12月から販売を開始。価格は3800円から2万円程度で、通常のフィルター型のほか、葉巻型などがある。当初は1カ月に数セットしか売れなかったが、先月は月に約100セットが売れた。鈴木陽平店長は「購入者はたばこをやめたい人が大半。人気はまだ続くのでは」。

 市立函館保健所によると、函館市民の喫煙率は25・9%(2006年度調べ)。前回調査した01年度から11.1ポイント減少と、たばこ離れが着実な中での電子たばこの登場に、同保健所健康づくり推進室は「本来なら病院での治療を勧めたいが、ニコチン依存度の低い人であれば、電子たばこの使用で禁煙できるケースもあるのではないか」と、禁煙法として一定の効果を認める。

 しかし、電子たばこの作りは本物と見間違えるほど精巧で、通常の喫煙との見分けはつきにくい。JR北海道は今年3、4月に列車内で乗客が電子たばこを吸う目撃情報が3件ずつ寄せられたのを機に、今月から「スーパー白鳥」などを除く道内発着の全列車で使用禁止に踏み切った。同社広報部は「水蒸気とはいえ、見た目には不快感を与えかねない」と話す。

 健康に害を及ぼさないとはいえ、使用場所には注意が必要と言えそうだ。(千葉卓陽)



◎アジア・アフリカ救援米を作付け

 【北斗】連合渡島地協・函館地区連合(ともに藤盛敏弘会長)の関係団体「食・みどり・水を守る労農市民会議」(荒木敏安議長)が主催する「アジア・アフリカ救援米」の作付け作業が30日、北斗市東前の水田で行われた。親子連れを中心に約50人が参加。秋の豊作を願って丁寧に苗を植えていった。

 救援米の栽培は、十数年前から毎年行われている。今年は25メートル(2500平方メートル)の水田でななつぼしを育て、約1100キロの収穫を見込んでいる。

 この日はあいにくの肌寒い天候だったが、元気いっぱいにはしゃぎながら田植え作業に挑戦する子どもたちの声が響いていた。母親と初めて参加した函館市の広田優芽ちゃん(5)は「とても楽しかった。秋になって大きくなった稲を見に来るのが楽しみ」と話していた。

 荒木議長は「子どもたちには、田植えの大変さを通して食の重要性を知ってもらいたい。秋には収穫祭も予定しているので、すくすくと立派に育ってほしい」と願っていた。(小川俊之)


◎優しい歌声にうっとり…う~みさんが無料ライブ

 函館出身の歌手う~みさんが30日、2枚目のアルバムとなる「愛されているあなたへ」の発売を記念した無料ライブを函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で行った。同センターでは1年ぶりとなるライブに市民ら約60人が訪れ、う~みさんの伸びやかな歌声に耳を傾けた。

 う~みさんは27日にアルバムを発売し、函館からプロモーション活動をスタート。ライブではアルバムのタイトルになった「愛されているあなたへ」など収録曲を中心に披露した。

 「函館で生まれたので開港を祝い、市民を盛り上げたい」と作った函館開港150周年応援ソング「港函館」も熱唱。吉本新喜劇の小藪千豊さんに提供した曲で、小藪さんの亡くなった母親とのエピソードを基に制作した「プリン」をしっとりと歌い、観客を引き込んだ。

 最後にう~みさんは「半年間本気になって紅白出場を目指します」と意気込みを語った。家族とライブに訪れた市内の中村由香里さん(42)は「和やかな気持ちになる歌声だった。う~みさんが紅白に出場できるよう応援したい」と話していた。(宮木佳奈美)