2009年6月1日 (月) 掲載

◎満開のフジ棚楽しむ

 函館の市民団体「五稜郭の藤の会」(山崎淳子代表)は31日、フジやツツジが見ごろを迎えた五稜郭公園で花見会を開いた。存続運動に携わった市民ら約30人が参加。小雨が白や薄紫の花房をしっとりとぬらしたフジ棚のトンネルで、甘く漂うほのかな香りを楽しんだ。

 五稜郭のフジ棚は、同会を中心とした存続運動が実り、昨年12月の市議会で保存が決定している。山崎代表は「今日の雨はフジ棚のうれし涙。1万を超えた署名、市民の声が届き、ずっとこれからも楽しむことができる。子孫にもきれいに残していきたい」とあいさつした。

 公園内では、同会の世話人鎌鹿隆美さんがツツジやフジの楽しみ方やスポットを紹介した。また、「五稜郭の藤の花」を作詞した千葉市のシンガーソングライター田口徹さんと埼玉県草加市の作曲家蓬田梓さんも参加。二の橋付近のフジ棚が見下ろせる城郭から、参加者全員で歌を歌い、満開の花に感謝をささげた。

 参加した市内の主婦小関千鶴子さん(69)は「昨年よりすき間なく咲き、きれいな花をみることができて感激しました。天気は残念ですが、これからもずっと残ってほしいですね」と話していた。(今井正一)

 【写真】満開のフジ棚をくぐる参加者



◎函館開港150周年、商品やPRで企業も応援

 函館開港150周年まであと30日―。記念事業の準備が進められている中、函館市内では開港記念を祝うムードを盛り上げようと、市民への周知に協力する企業も相次いでいる。商品や接客などを通じてPRに務める企業の取り組みを紹介する。

 土産物の企画、卸の不二屋本店函館店(名取明昭彦社長)は函館開港150周年記念ラベルを使用した「天然アルカリイオン水 ナチュラルミネラルウォーター」を市内の土産物専門店で販売している。

 ラベルには記念事業のポスターとロゴマークを使用。七飯町大沼で採取したミネラルウォーターで150周年にちなみ、数量限定で価格も1個150円にした。名取社長は「150周年の記念に何か作りたいと思っていた。本州での物産展でも函館をアピールできる」と話し、「少しでも函館の活性化を応援したい」と話している。

 北海道コカ・コーラボトリング(札幌)は市内の人目につく屋外の自動販売機1000台にA3サイズの告知ポスターを掲示したほか、電光掲示板付きの自販機では記念式典までのカウントダウンを表示している。15日(予定)からは道内全域で「函館開港150周年」を印字した記念デザイン缶の2商品を発売する。同社は「市民への周知が大切なので記念事業への協力を通じて地域に貢献できれば」と協力する。

 市内・近郊でハンバーガーチェーン店を展開するラッキーピエログループ(王一郎社長)は14店舗と事務所を合わせた15拠点で、電話を取る際、冒頭に「おめでとう開港150周年」と付け加えて応対している。同社では1日1000件の電話を受け取るため、4月から応対時に一言添えて周知に取り組む。同社は「150周年を盛り上げるために何かできることを考え、告知が一番大事だと思い、お祝いの気持ちを表現しています」とPRしている。

 函館開港150周年記念事業実行委員会事務局は「事業は実行委だけでなく多くの皆さんの協力で成り立っている。宣伝経費にも限りがあるので企業がPRしてくれるのはありがたい」としている。(宮木佳奈美)



◎グルメシティ五稜郭店 39年の歴史に幕

 ダイエーグループのスーパー、グルメシティ五稜郭店(函館市本町24)が31日に閉店し、前身から数え39年の歴史に幕を下ろした。道南最大の繁華街の本町地区の中心に位置する老舗大型店だっただけに、売りつくしセールに訪れた買い物客からは閉店を惜しむ声が聞かれた。

 建物の老朽化や他店との競合による業績不振が要因で、同店を運営するグルメシティ北海道(同市湯川町3)が「今後の収益回復は難しい」と判断した。年間売上高は1998年2月期の約28億円をピークに減少を続け、2007年には約18億円まで落ち込んだ。

 最終日のこの日は最大9割引の商品もあり、店内は終日大混雑。閉店時間の午後6時すぎ、同店正面玄関で飯田和幸店長(55)が「『ゴダイ』の愛称で皆様に親しまれてきた。長年のご愛顧ありがとうございました」と深々と頭を下げ、従業員らと「ゴダイ万歳」を三唱。買い物客らがすすり泣く姿も見られた。

 買い物に訪れた市内柏木町の主婦(70)は「丸井さんの存続が決まったばかりなのに。(前身の)ホリタのころから娘と孫、3世代で使っているだけにさみしい」と話した。同店によると、閉店後の後継テナントは未定で、パートを含む従業員約120人は大半が系列店に配置転換されるという。

 同店は地場スーパー「ホリタ」の中核店舗として1970年11月に開業。地上7階地下1階建ての売り場面積はテナントも含め約8800平方メートル。親会社のダイエー(東京)は不採算店舗の再編を進めていて、市内では田家店(田家町14)の閉店も決まっている。(森健太郎)



◎函館タナベ食品がモンドセレクションで6冠

 水産加工の函館タナベ食品(函館市桔梗5、田辺元久社長)は、本年度の国際的な食品コンクール「モンドセレクション」で、出品した6品すべてが銀賞以上を受賞した。このうち「いかしゅうまい」など3品が最高賞に当たる最高金賞に輝き、田辺社長は「函館の『うまい』が世界に認められた」と喜んでいる。

 最高金賞の「いかしゅうまい」は同社の主力商品で、道南近海のマイカのすり身と切り身を使い分け、ふんわりとした口当たりが特徴。「かにしゅうまい」「帆立しゅうまい」もズワイガニの身や噴火湾産のホタテなど素材にこだわり、2年連続の最高金賞の快挙を成し遂げた。

 今年の新製品「まるごといかしゅうまい」は初出品で銀賞を受賞。マイカの耳や足、軟骨なども練り込み、濃厚で風味豊かな味わいに仕上げた自信作だ。このほか、地場産昆布などで味付けした無着色の「たらこ」「明太子(めんたいこ)」も金賞に輝き、地元食材にこだわった商品で計6冠を獲得した。

 同社は創業2年目の2005年度からモンドセレクションへの出品を続けていて、田辺社長は「函館ブランドを全国に売り込み、10年連続金賞以上受賞で贈られるクリスタルトロフィーを目指したい」と今後の挑戦を続けるという。商品は道内の主要な空港や駅、全国各地の物産展のほか、通信販売もしている。

 モンドセレクションは食品の品質向上を目的に1961年にベルギーで始まり、毎年世界各国の食品メーカーから5000点以上が出品され、「食のオリンピック」ともいわれる。審査は有識者が品質や味、原材料などの項目で審査し、点数ごとに最高金賞、金賞、銀賞、銅賞が授与される。(森健太郎)



◎「いか天おろしそば」で開港150周年祝う

 函館市内のそば店で作る「函館そばや友の会」(佐々木武充会長)の9店が函館開港150周年を記念し、1日から「いか天おろしそば」を共通メニューとして提供する。同会は「各店の味を楽しんで」と呼び掛けている。

 同会は2004年の発足以来、旬の食材を使ったオリジナルメニューを定期的に考案している。今年は、開港150周年を記念したメニューを検討してきたが、函館の特産であるイカを使うことで一致。加盟店の一つ、丸京(豊川町)が元祖と言われる「いか天おろしそば」を提供することに決定した。

 同店の「いか天―」は、亀澤賀津雄店主(53)が「他店にはない独自の天ぷらそばを」と1981年に考案。肉厚のイカをサクサクとした衣で包んだ天ぷらに、大根おろしが添えられているのが特長で、インターネットなどを通じて観光客らの間でも人気となっている。

 同会に所属する9店では、天ぷらを一口サイズにしたり、具材にカラシ菜やもみじおろしを使うなど、独自のアイデアを披露しており、オリジナルの「いか天おろしそば」の食べ比べも楽しめそうだ。

 亀澤店主は「イカのまちならではのメニュー。食べ応えもあります」と話している。各店650円から700円で提供する。

 丸京以外の店は次の通り。

 やたら家本店(湯川町)、いがら志(柏木町)、東京庵支店(本通)、神山ふでむら(神山)、丸常長寿庵(亀田港町)、かしわ屋(若松町)、東京庵本店(末広町)、長寿庵本店(中島町) (鈴木 潤)