2009年6月11日 (木) 掲載

◎摩周丸のマスト修繕進む

 函館市若松町12の観光施設「函館市青函連絡船記念館摩周丸」で、今月から船体上部にあるマストの修繕が進んでいる。1991年に同所で記念館として保存活用されてからは初めてとなる修繕で、7月1日の開港150周年記念式典までの完了を目指して急ピッチで作業が進む。同館の指定管理者のNPO法人「語りつぐ青函連絡船の会」(木村一郎理事長)は、11日から修繕費として市民からの寄付金を募っており、「市民の協力を得ながら、今後の保存につなげたい」と話している。

 千葉卓陽)

 マストは高さ約11.6メートル。汽笛をはじめ、夜間に船の向きを感知する「航海塔」や電波の送受信を行うレーダースキャナーなど運航に不可欠な機器が集中し、就航当時はいわば“船のアンテナ”の役割を担っていた。

 しかし連絡船廃止後、長年の記念館としての運用で潮風や雨にさらされ続け、鉄板はさびや腐食が目立つように。今年4月に道運輸局が行った船体検査で「(汽笛などの)機器が落下する恐れがあり、全面修復が必要」との診断結果を受け、同会が主体となって修復に踏み切った。

 今月からマストに足場を組み、作業員5人が腐食した鉄板の上から新たな鉄板を溶接する作業を進めている。溶接後はペンキを塗り、作業終了は今月下旬となる見込み。同会の白井朝子副理事長は「今月30日の就航記念日と、7月1日の開港150周年記念日にはきれいになったマストを見てもらえると思う」と話している。

 修繕費用は現在、同会の運営費で賄っているが、資金不足に悩む現状を受け、11日から市民からの寄付金募集を始めた。募集額は200万円をめどとし、金額制限は設けない。個人で5000円以上、法人で3万円以上の寄付については館内に個人名、会社名を掲示する。

 希望者は郵便振替で、口座番号02780-6-53037、加入者名「摩周丸修繕基金」で申し込む。問い合わせは同館TEL27・2500。



◎東北で新型インフル、桧山の小中学校 修学旅行は大丈夫?

 【江差】岩手・宮城両県で新型インフルエンザの感染例が相次いで確認される中、7月以降に東北地方への修学旅行が本格化する桧山管内の小中学校では、感染動向の推移を注視している。旅行日程の変更などの影響は出ていないが、各町教委が情報収集を進めている。

 江差町では7月2日から16日にかけて、小学校3校が青森県での修学旅行を予定。8、9月にも中学校2校が岩手県盛岡市や平泉町などを訪れる。管内では小学生が青森県など北東北、中学生が岩手県などの南東北で修学旅行を行う例が多い。江差町教委は「感染ルートなどが解明されておらず、時期的にも余裕があるため、現時点では日程変更などは考えていない」としながらも、東北地方を中心に感染例が多発した場合には、あらためて生徒のマスク着用などの対応も検討する方針だ。

 道外からの観光客や修学旅行生も多い江差町では、町の観光施設が5月上旬から、手指用消毒剤を配置するなどの対応を講じた。ある観光関係者は「東北地方で感染が拡大すれば道南への影響も避けられない。夏場の観光シーズンも目前だが、過剰反応による観光客減少などの打撃が心配」と神経をとがらせている。

 岩手県では9日、盛岡市の女性店員(36)の新型インフルエンザ感染を確認。女性の勤務先には、感染が多発する、千葉県の中学生が修学旅行で訪れていた。10日に宮城県で感染が確認されたのも同市の女性バスガイド(22)。千葉県の中学生が乗った観光バスに添乗しており、別の修学旅行で滞在中の宮城県で発症した。(松浦 純)



◎北大水産科学研究院と道立工業技術センターが連携・協力協定に調印

 北大大学院水産科学研究院(函館市港町3、原彰彦院長)と、地域産業を支援する同市内の研究機関「道立工業技術センター」(桔梗町379、三浦汀介センター長)は研究活動や人材交流など互いに連携・協力していくことに合意し10日、同研究院で協定書の調印式を行った。

 今後両者は研究員や学生を相互に受け入れるほか、共同研究を進めていく考えで、「大学の持つ研究シーズ(種)と工業技術センターが持つ地域企業とのつながり、商品化・事業化のノウハウを融合させて地域産業の発展に貢献したい」としている。

 協定事項は共同研究の推進や人材交流のほか、互いの施設や機器の相互利用も進めていく予定で、今後連携協議会を設置して細部を詰めていく。

 これまで両者は共同研究を実施してきたが、教授や研究員同士といった個人的なつながりだった。最近では文部科学省の都市エリア産学官促進事業に参画し、ガゴメ(トロロコンブの仲間)やイカ墨を使った商品の開発で成果を挙げた。

 ただ、同事業は前年度で終了。これまで築いた個人レベルのつながりを組織的なものにしていこうと双方の関係者が話し合いを進め、協定を結んで関係を強固にした。

 同研究院は産業に密接にかかわる研究を体験させることで学生の育成に期待を寄せ、センター側も研究員数の減少が進む中での学生、教授らの参画に歓迎の姿勢。さらに、産学の連携が密接になることで新たな開発が生まれる可能性も期待でき、国などのプロジェクトに対する資金調達なども有利に働くとみている。

 函館市は現在、水産海洋都市構想を進めており、三浦センター長は「双方が連携を強化することで構想の起爆剤になれば」とし、原院長も「連携によって地域産業の可能性を広げていきたい」としている。(鈴木 潤)



◎老舗の味と技ずらり 棒二森屋で大浅草まつり

 東京・浅草などの老舗の味と技を集めた恒例の物産展「第35回大江戸味めぐり 大浅草まつり」が10日、函館市若松町の棒二森屋本館7階催事場で始まった。会場には下町の風情漂う笛や太鼓の囃子(はやし)が流れ、大勢の買い物客でにぎわっている。16日まで。

 浅草専門店会の協力を得て毎年6月に開催している人気催事で、今年は食品28店と、工芸品34店の計62店が出店。食品では老舗のすき焼きやうなぎの弁当が人気を集めたほか、菓子職人が目の前で作り上げる芋きんつばやべっこうあめなども女性客らの目を引いていた。

 工芸品では多くの店舗で職人による実演販売があり、古くから受け継がれる伝統の技に足を止めて見入る客の姿も。小づちの中に小判やさいころなど10種類の縁起物が入った土産物店では、職人の細かな手作業と小話に吸い寄せられるように店の前に人だかりができていた。

 東京都出身という市内栄町の男性(74)は「懐かしいものばかりで目移りしてしまう。江戸の粋を函館で感じられるのはうれしい」と話していた。午前10時―午後7時(最終日は午後4時まで)。14日には函館の民族歌舞団「こぶし座」による獅子舞の演舞もある。(森健太郎)



◎弥生小新校舎の基本設計を公開

 函館市は、函館弥生小学校新校舎の基本設計をまとめ、9、10の両日、PTAと校区内の住民を対象に説明会を行った。新しい校舎は鉄筋コンクリート造り地上3階、地下1階建てで、体育館を含めた延べ床面積は約5650平方メートル。東坂に面する校舎の一部分をなくす以外はほぼ現在通りの場所に置き、グラウンドは1.6倍の広さに。正面壁面や床材の一部を再利用して現在の雰囲気を残す。解体作業は今秋からの予定。

 鉄筋コンクリート造りの現校舎は1938(昭和13)年に建てられ、築後70年が経過。市は耐震診断の結果などから建て替えやむなしと判断し、昨年度基本設計を行った。

 新校舎は極力現状を維持しながら、ロの字型の校舎をコの字型に縮小した。給食の調理施設やプールをなくす一方、学童保育所を校舎内に設置。特徴となっている校門とグラウンド、上段中庭をつなぐ「斜路」は、傾斜が急なため、現状のスロープから階段状に変化させて残す。

 市民への説明会は昨年7月に行ったが、市は意見聴取が不十分だったと判断して再度実施。両日合わせて延べ48人が来場した。10日には、現校舎の設備を存続させるようにとの意見が相次ぎ、保護者の男性は「シンボルのサクラを移植するなど、できる限りの物を残してほしい」と要望。市は「実施設計段階で検討する」などと答えた。

 寄せられた意見は16日に開く市都市景観審議会に報告し、実施設計を今年度内に完成させる。2010年に着工し、12年4月には旧西小校舎から弥生小を移転させ共用開始となる予定。 (小泉まや)