2009年6月19日 (金) 掲載

◎野外劇に向け衣装を虫干し

 7月3日に開幕する市民創作「函館野外劇」第22回記念公演に向け、会場の五稜郭公園内のキャスト村では衣装部の女性たちが服や靴などを虫干ししたり、リフォームを進めている。

 衣装は函館本通小学校などに保管していたものを、今月に入りキャスト村に移動させた。18日は久しぶりに晴れ間が広がり、開港シーンなどに登場する貴婦人のドレスや高田屋嘉兵衛一行のかつらなどを外に並べた。

 また、ソーラン踊りで使う鉢巻きに金色の生地を縫い付けたり、日焼けした部分のリフォームなどを行った。今年はこのほか、コロポックルの服にレースを付け、バレエ衣装のように仕立てたという。

 同部リーダーの綱森明子さん(60)は「自分たちの手づくりのアクセサリーを使うなど工夫している。細かい部分でも華やかにし、演出を盛り上げたい」と話していた。(山崎純一)



◎臓器移植法改正案衆院を通過、脳死は死…函館でも思い交錯

 衆院本会議で審議された臓器移植法改正案で、15歳未満からの臓器提供を可能とするA案が賛成多数で可決した18日、函館では患者団体らが支持する一方で、脳死を一律人の死と認めることに慎重な意見も聞かれた。

 国会に提出された4つの改正案のうち、渡島・檜山管内の患者でつくる道南腎臓病友の会は可決したA案の成立を望む。山谷真幸会長は「腎臓病の場合、海外で移植する小児患者は少ないが、生体腎移植では小さな子どもに大人の腎臓が合わないので苦慮してきた。法改正されれば、そういう小児患者が透析をせずに済むようにもなる」と期待。さらに、「海外でしか臓器移植を受けられない心臓病などの子どもも助かり、親の経済的負担が減る。わたしたちの上部団体が要望してきたA案可決はありがたい」と話した。

 函館市医師会の役員によると、会員医師の中でも脳死を人の死と認めることについて賛否両論があり、会として見解がまとまっていないという。市内の内科医(54)は「外国から臓器提供を受け、逆に提供することを非とする現体制は矛盾するのでは。A案の可決は妥当」と話す。

 一方、脳死を厳格化していたC案を推した衆議院議員の金田誠一氏は「国民的な議論が足りない中での採決は禍根を残す」と語る。97年に臓器移植法の審議をめぐり、「脳死を人の死と認める」とする当時の中山案に対し、金田氏は「脳死は人の死と認めない」として対案を提出した経緯がある。

 C案は金田氏の案をベースとしており、「臨床的脳死判定が日常的に行われている現在、治療や延命措置の打ち切り、脳死状態と言われた方への死の圧力など大きな影響が出てくる。子供の脳死に関してもA案では小児の医療現場に混乱が広がる」としている。(鈴木潤、宮木佳奈美)



◎交通政策会合、外国官僚が市内施設を視察

 交通政策分野の政府間会議で協議した世界21カ国の官僚らが18日、市電駒場車庫や函館海洋気象台を視察し、函館市や日本の交通政策を学んだ。(鈴木 潤、山崎純一)

 駒場車庫には、カンボジアやラオス、ミャンマーなど6カ国の官僚約20人が訪れた。

 最初の歓迎あいさつで、同局の若狭正男局長が市の路面電車の歴史や現状を紹介し、「人と環境に優しい路面電車は函館の歴史、生活、文化に欠かせない存在。多くの市民に親しまれている」と述べた。

 次いで2組に分かれ、車いすで乗降できる超低床電車「らっくる号」や除雪用のササラ電車などを見学。同局の職員の説明を受けながら車内を見学。車内のシートで座り心地を確認したり、ササラ電車の竹製ブラシに触れたりしながら「市民にどう利用を呼び掛けているのか」「車いすの利用者が乗車する場合どうするのか」などと質問していた。

 一方、同市弁天町の函館港西埠頭(ふとう)では、函館海洋気象台所属の海洋気象観測船「高風丸」を視察した。同気象台職員から、海中の水温、海流などを観測し地球環境にかかわる活動をしていることを説明され、測定方法にも関心を示していた。

 また、海面から深さ4000㍍までの間で海水を採取したり、圧力、電気伝導度などを測る装置を見学。採取した水の塩分や植物色素の濃度などを測定する装置や、水を分析する化学反応についても解説を受けた。「海洋汚染については分析するのか」との質問もあったが、同船ではなく、東京の専門機関で行うことが話された。

 操舵室などでは計器に興味深く見入り、セーラー服姿の乗組員と記念撮影する場面も見られた。



◎熱帯植物園サル山に双子誕生

 函館市営熱帯植物園(湯川町3)のニホンザルが飼育されているサル山で6月上旬、初めて双子が誕生した。愛くるしい表情の子ザルたちは早くも人気者になり、訪れた子どもたちを喜ばせている。

 同園では約2年ぶりにサルが出産期を迎え、4月から6月までに双子を含めて8匹の赤ちゃんが誕生。母ザルにしがみついて母乳を飲み、大きな目をクルクルさせるなどほほえましい姿を見せている。

 飼育を担当するサル山主任の吉村義弘さん(69)によると、ニホンザルが双子を出産するのは珍しいという。双子の性別はまだ不明だが、分かり次第名前の公募も検討している。吉村さんは「たくさんの方に見に来てもらえるよう大事に飼育していきたい」と話す。

 子ザルを見に来園した市内旭岡町の主婦(67)は「やっぱり赤ちゃんはかわいい。サル山がにぎやかになっていいですね」と目じりを下げていた。(宮木佳奈美)



◎函館バス 新たにノンステップバス16台導入

 函館バス(函館市高盛町、寺坂伊佐夫社長)が新たに導入したノンステップ低床バスの無事故祈願式がこのほど、函館八幡宮(同市谷地頭町)で開かれた。同社社員や取引業者ら約30人が出席し、道南の路線バスとして活躍する新車両の安全運行を誓った。

 本年度導入したのは、車いすのまま乗降できる中型の新車16台。いずれも環境に配慮したアイドリングストップ機能付きで、停車時などにドアの開閉を知らせる自動音声案内を同社のバスで初めて採用した。購入費用は1台当たり約2300万円。

 新型車はバス停などで乗降口のある左側が路面の高さに近づくように傾き、運転手がスロープを設置して車いすでも乗車できる。新車の導入に伴い、これまで20年近く運行してきた旧型車両16台は、燃費の悪化や環境への配慮のため廃車となる。総走行距離はいずれも60万―70万キロに上るという。

 式典で出席者は神事に臨んだ後、境内に乗り入れた新型バス4台の前でおはらいを受けた。乗務員を代表して運転士の笹森明等さん(54)が「交差点付近では他車に注意し、思いやりのある運転を心掛けます」と安全宣言した。同社の路線バス276台のうち、約3割に当たる75台がノンステップバスとなった。(森健太郎)