2009年6月2日 (火) 掲載

◎8月の国際科学祭 「環境」テーマにショーや実験で身近に

 科学を文化として根付かせる活動をしている「サイエンス・サポート函館」(代表・美馬のゆり公立はこだて未来大教授)が初めて実施する「はこだて国際科学祭」の概要が固まった。「環境」をテーマに、8月22日から同30日まで市内3エリアで、サイエンスショーや実験教室、講演、展示など19イベントを実施する。

 地域のネットワークを生かして科学文化を創造していこうと、市が提案した取り組みが独立行政法人・科学技術振興機構(東京)の事業に採択。昨年7月、未来大や北大などの学術研究機関と市などで同団体を発足させ、科学祭の準備を進めてきた。西部地区、五稜郭地区、湯の川地区をエリアに、多様な科学イベントを開催する。

 市地域交流まちづくりセンター(末広町)では22日から30日まで、ドイツ出身で米ニューヨーク在住のアーティスト、インゴ・ギュンターさんの作品展を開く。地球儀をモチーフにした作品が著名で、環境をテーマに「生態系への圧力」などのメッセージを伝える地球儀68個を展示し、アートを演出する。

 世界で活躍する英国出身の化学芸人、ドクター・バンヘッドさんが初来日。30日に市民会館(湯川町)大ホールでサイエンスショーを開き、薬品やガスなどを使った化学実験を披露する。

 29日午後6時半からは金森ホール(末広町)で、サイエンスライブ「宇宙をうたう」が開かれる。天文学者で前国立天文台長の海部宣男さんの講演や、歌手のあがた森魚さんとの対談、コンサートなどで科学と音楽がコラボレーション(協働)する内容。

 市文化・スポーツ振興財団が実施してきた「青少年のための科学の祭典」も30日に市民会館で開き、30ブースで実験やショーを披露する。

 美馬代表と木村健一ディレクター(未来大教授)は「科学に縁遠い人たちへ私たちから接近し、科学を生活文化の一部に感じてもらいたい。科学館を舞台にした祭典や博覧会などと違い、地域で毎年開いていく総合的な科学イベント」とPRしている。

 問い合わせはサイエンス・サポート函館コーディネーターの金森晶作さん(未来大特別研究員)TEL0138・34・6527。(高柳 謙)



◎湯の川の老舗旅館全焼

 1日午後2時40分ごろ、函館市湯川町2の温泉旅館「鱗(うろこ)旅館」から出火、木造一部2階建て延べ約1373平方メートルのうち、旅館部分約1188平方メートルを全焼した。出火当時、経営者の松村京子さん(79)ら2人が旅館内にいたが屋外に逃げて無事、ほかに宿泊客はなく、けが人はなかった。一部、2階部分が焼け落ちたため、消防隊による活動は深夜まで継続した。一時、建物からの黒煙が周囲一面に立ちこめ、松倉川沿いは、消火活動を見守る市民らで騒然となった。

 函館中央署や市消防本部などによると、出火当時、男性調理長(68)が1階にある調理場で宿泊客の夕食を準備中、天ぷら鍋に火をかけたまま、その場を一時離れた際に燃え広がったとみられる。調理長は消火器で自力消火を試みたが、火の勢いが強く、消防に通報した。

 同旅館関係者の男性(69)によると、同旅館は創業前からあった建物の一部を利用し、1954年に創業。客室が1、2階合わせて14部屋あるほか、大浴場があり、同日は3人の予約があったが、来館前だったという。

 現場は「松倉川」と「湯の川」が合流する付近の川沿いで、旅館やホテルが立ち並ぶ函館観光の中心となる温泉街。近くに住む主婦(57)は「ものすごく真っ黒い煙が上がっていた。建物も古いしひとたまりもないでしょう」とこわばった表情で話していた。

 同旅館が加盟する函館湯の川温泉旅館協同組合(金道太朗理事長、23施設加盟)は、「道内有数の温泉街として、火災にはこれまで以上に細心の注意を払わなければならない。防火体制をあらためて徹底し、再発防止に努めたい」としている。

 同署と消防では2日午前、実況見分を行い、詳しい出火原因を調べる。



◎支庁再編 産業振興部門の強化要望

 【江差】道の支庁制度改革をめぐる、桧山管内7町や産業団体の代表者と高橋はるみ知事の意見交換会が1日、桧山支庁で開かれた。3月末に改正された支庁再編条例の施行に伴い、10月にも「桧山振興局」に名称を変える桧山支庁の組織体制や機能をめぐり、管内側は地域政策の企画立案や産業振興の担当部門を充実強化を要望。高橋知事は「地域の意見を聴きながら前向きな議論を進めたい」との考えを示した。

 意見交換会には7町の町長、議長と8つの産業団体の代表者21人が参加。道側は高橋知事、前川克彦総合政策部参事監、高橋則克檜山支庁長らが出席。支庁再編をめぐる高橋知事の檜山入りは初めて。管内代表との対話も2007年7月以来。

 冒頭、高橋知事は、支庁再編をめぐる混乱について「地域との意思疎通が十分で無かったことをおわびしたい」と陳謝。3月末に改正した再編条例を10月に施行する方針を示した上で「改革は道民の理解がなければ進められない。振興局の組織体制については今後も意見を聴きたい」と述べた。

 濱谷一治江差町長は「14支庁をベースとする改革と理解している。企画立案や産業部門は一層充実して欲しい」と要望。支庁存続を求める住民団体代表の飯田隆一氏は、道議会で3月、桧山など5つの振興局を、総合振興局の“出張所”に格下げする再編条例が改正され、現行の14支庁を同等に戻したことを評価した上で「道職員の削減は道庁と14支庁全体で行い、振興局の職員削減数を少なくして欲しい」と求めた。

 会議終了後、高橋知事は報道陣の取材に対して「議論のスタートラインに立つことができた」と安どの表情を浮かべた。振興局の組織体制については「行財政改革とのバランスを考慮した上で地域の声に前向きに答えたい」との考えを示した。

 町村会長の寺島光一郎乙部町長は会談の成果について「14支庁を対等に位置付けた改正条例の趣旨を尊重すれば、振興局でも一定の支庁機能が維持されるのは当然」とし、道町村会など地方4団体としても、今月下旬に開会する第2回定例道議会をめどに本格化する、振興局の具体像をめぐる議論を注視する考えを示した。(松浦 純)



◎道南写真館協会が日本写真文化協会の功労賞 「供養祭」高く評価

 道南写真館協会(吉岡直道会長、会員18人)がこのほど、日本写真文化協会(東京)の本年度文化功労賞を受賞することが決まった。一般市民が不要になった写真を供養するため、同協会が実施している「写真供養祭」などの取り組みが高く評価されての受賞。吉岡会長(62)は「お客さんに恩返ししようとやってきたことが認められ、うれしい」と話している。

 同協会は、函館に道内で初めての写真館が開設されて100周年を記念し、1964年に建立された北海道写真発祥の地碑(函館市豊川町16)の前で、地碑建立直後の時期から碑前祭を行っている。写真供養祭は「不要になった写真を処分したいが、なかなか捨てることができずにいる」という客からの要望に応え、10数年前から碑前祭と一緒に行っている。

 過去にはトラック1台分の写真が集まった年もあるなど、市民の間でも定着。吉岡会長は集まってくる写真について「主に離婚や家族・友人の死去など、忘れたい思い出が詰まった写真が多いようだ」と話す。

 日本写真文化協会によると、今回の文化功労賞受賞は「写真館の存在価値を社会に啓蒙し、供養祭など地域に話題提供を行った」ことが評価された。

 授賞式は24日午後1時半から、東京都内のホテルで開かれる。吉岡会長は写真を撮影する側の立場として「喜んで撮影したはずの写真を燃やすことは切ない面がある」と複雑な一面をのぞかせながらも「喜んでくれるお客さんがいる限りは、供養祭を続けていきたい」と話している。(千葉卓陽)



◎五稜郭商店街でプレミアム商品券 初日2600枚販売 上々の滑り出し

 函館市本町・五稜郭地区の商店主らでつくる五稜郭商店街振興組合(小島正彦理事長)は1日、定額給付金の支給に合わせた独自のプレミアム商品券を発売した。初日は参加店への割り当て分も含め、用意した4分の1の計約2600枚が売れる上々の滑り出しとなった。

 プレミアム分は約10%で、500円券を1万枚(500万円分)用意。組合加盟店のうち、飲食店や本町市場、美容院、雑貨店など42店で商品購入時に1割引となる。売れ行き次第で追加発行も検討する。

 この日は5月31日に閉店したグルメシティ五稜郭店(本町24)前で急きょ街頭販売を行い、組合の役員ら約10人が午前中の2時間で約300枚をさばいた。このほか、参加各店の買い取り分や組合事務所での販売も計約2300枚に上り、一人で5万円分を購入した客もいたという。

 同組合は「本町地区への無料買い物バスの運行に合わせ、6月6日にも街頭販売を予定している。利用できる業種も幅広いので、この機会に商店街の良さを見直してもらえれば」としている。販売期間は7月31日までで、使用期限は11月30日まで。問い合わせは同組合TEL0138・53・9075。(森健太郎)