2009年6月21日 (日) 掲載

◎クレーンのある風景 目に焼き付ける

 旧函館ドック跡地(函館市弁天町)にある函館どつく造船所の大型クレーン(ゴライアスクレーン)は21日午後2時ごろから、撤去・解体される。老朽化で2006年に解体方針が決まっていたが、30年以上、函館港のシンボルとして親しまれてきただけに、多くの市民に惜しまれ、姿を消していく。

 赤白の門形をした大型クレーンは旧函館ドックが1975年、30万トンタンカー建造用のクレーンとして2基設置した。しかし造船不況に見舞われ、79年に特定船舶製造業安定事業協会へ売却。その後、別会社を経て04年に市土地開発公社が購入し、今年3月、函館どつくが取得した。

 同クレーンは高さ70メートル、幅110メートル、重さ2000トン。懸架能力は1基250トンに及ぶが、売却後は稼動せず、潮風にさらされ腐食が進んだ。さらに93年の北海道南西沖地震で一部破損。同公社の調査で倒壊の危険が高いとの結論に加え、産業遺産としての保存や社会、観光施設の活用が難しいとの判断から撤去・解体の方針は変わらなかった。

 同クレーンの撤去準備作業は5月から行われ、工場側にある1号機を海側の2号機に移動し、それぞれの補強作業を完了。21日は起重機船でまず、海側の2号機をつり上げ、隣接する市の土地に運搬する。1号機は25日に撤去する。

 撤去開始前日の20日は、多くの市民が見慣れた風景を目に焼きつけた。一時期、保存活動に携わった旧はこだて写真図書館の津田基さん(55)は「撤去を決めた市の説明に対しいまだに不信感がある。経済原理や合理的判断からシンボルを失っていくのは残念でならない」と無念を募らせる。

 中央ふ頭で釣りをしていた市内深堀町の男性会社員も「もうすぐなくなると思うとショック。明日も釣りをしながら作業を見守りたい」。亀田港町の男性は「解体は仕方ないと思うが、クレーン船が入港したとき、ため息がたくさん出た」とつぶやく。

 函館どつくの社員で、撤去当日、関係機関との連絡調整に当たる南條雅明さん(60)は「複雑な思いはあるが、まずは工事の無事終了を願っている」と、粛々と業務に専念する。(鈴木 潤)



◎衆院選8月想定 各陣営準備着々

 解散・総選挙に向け、衆院道8区では20日、自民党が役員会を、民主党は合同選対会議を開き、結束を強めた。東京都議選(7月12日)との同日選は薄れ、8月の選挙日程を想定し、各陣営は攻勢を強める。

 自民党第8区は函館市内で緊急拡大役員会を開催。この日は新人の福島啓史郎氏の連合後援会長を、渡島管内漁業協同組合組合長会の山崎博康会長に決定。山崎後援会長は「一致団結して必勝を目指して頑張ろう」と呼びかけた。また連合後援会顧問団として、日本商工連合函館地区連盟や函館建設業協会など地元経済会を中心に支援を固めていくことを確認した。

 福島氏は「後援会長が決まるまで時間がかかったが、道南の主要産業である漁業関係のトップの山崎氏に決まり、ようやく臨戦態勢に入ることができる。小沢(一郎)氏の問題で一時は追い風を感じていたが、今は鳩山(邦夫)氏の辞任問題で無風状態。これまで以上に街宣活動に力を入れて選挙区内を精力的に回るのみ」と話す。

 民主党第8区総支部や函館地区連合などは、函館市内で第6回合同選対会議を開催。現職の逢坂誠二氏は「どうしても民主党に政権を渡したくない勢力がある。なおさら政権交代を実現し、日本の大掃除をしなければならない」と強調。総選挙の時期について8月2日をひとつの焦点とした。しかし「都議選の結果を見ずに与党が飛び込んでいけるか。公明党も大反対するだろう。だが、引き伸ばせば麻生降ろしが出てくる。与党は非常に狭い中での選択を迫られている」と述べた。

 現職とはいえ、小選挙区挑戦は初めて。8区では初顔のため、ウイークデーも積極的に道南入りし支持者回りに全力を挙げる。後援会も民主党の号外チラシの全戸配布や道議、市議と連携した活動を強化し、選挙がいつでも対応できる準備を進める。

 一方、無所属での出馬を表明している佐藤健治氏は20日、「救う会道南」の代表として、街頭で北朝鮮拉致問題の解決を訴えた。佐藤氏は「選挙の時期がいつになろうと、すでに臨戦態勢は整っている。これまで通り自分の主張を有権者に届け続けるだけ」と話していた。(小川俊之、高柳 謙)



◎花と緑のフェス盛況

 花にかかわる多彩な催しを繰り広げる「はこだて花と緑のフェスティバル2009」(同実行委主催)が20日、函館市若松町の旧クイーンズポートはこだて前広場で始まった。今年は函館開港150周年記念の連携事業として実施し、大勢の市民が園芸オークションや鉢花の買い物などを楽しんだ。21日まで。

 会場は、市民が制作した花壇や生け花、ハンギングバスケットなどの作品が飾られたほか、生花店が集まる「フラワーマーケット」のコーナーなどが設けられた。ガーデニングフェアのコーナーには、造園業者7社が整備した庭園が並び、木製のシーソーやパークゴルフ用のパットを敷いた庭などでは幼児らが遊ぶ姿が見られた。

 今回は与えられた花材でフラワーアレンジメントの技術を競う「花卉(かき)装飾はこだてカップ」が開かれ、8選手が腕を競った。園芸オークションも行われ、協力業者が提供した約80鉢の草花がせりにかけられ、来場者は好みの花を見つけると値段を申告して落札していった。

 毎年来ているという市内大川町の加藤繁信さん(67)、郷子さん(67)夫妻は「いろいろな花の種類があってとても勉強になる。お気に入りの花を買うことができた」と笑顔を見せていた。

 最終日も午前10時から開場し、別会場で開かれる「函館朝市市民感謝祭」(朝市特設会場)と「はこだて駅スポ」(同駅前広場)、棒二森屋(若松町)と共同企画で、参加賞や景品の当たるスタンプラリーも実施。午後3時からは豪華商品が当たる抽選会もある。(鈴木 潤)



◎アフリカンフェスタで異国情緒満喫

 多彩な催しを通じてアフリカの魅力を伝える「アフリカンフェスタ」が20、21の両日、函館市元町の道国際交流センター(HIF)で開かれている。来場者は講演会や音楽ライブを楽しむとともに、珍しいアフリカの料理を味わいながら異国情緒に浸っていた。

 HIFの創立30周年記念イベントで、JICA函館デスクが共催。初日は、日本人女性として初めてアフリカ8カ国を自転車で単独横断した山崎美緒さんが講演。厚沢部在住のアフリカンパーカッショニスト山北紀彦さんのライブには、ダンサーの道産子かおりさんも飛び入り参加。タンザニアやジンバブエなどの珍しい打楽器から山北さんが巧みに操り出す多彩なリズムと音色に合わせ、道産子さんが情熱的な踊りを披露し、会場は熱気に包まれた。

 また会場では、アフリカの料理やお菓子、飲み物なども販売し、独特の香りが来場者の食欲を誘っていた。JICAの津田千恵子さんは「予想以上にたくさんの人たちが足を運んでくれてうれしい。できれば来年度以降も開催したい」と話していた。

 最終日の21日は、午前11時から講演会やライブ、チャリティーグッズ販売などが行われる。午後零時半からはアフリカ料理が500円で提供される。問い合わせはTEL0138・22・0770。(小川俊之)



◎夏の高校野球支部予選開幕

 “夏の甲子園”につながる第91回全国高校野球選手権大会南北海道大会函館支部予選(朝日新聞社、道高野連など主催)が20日、オーシャンスタジアムで開幕した。道内では最も早く、27校が3ブロックに分かれて27日まで熱戦を展開し、各ブロックの優勝校が7月14日から札幌円山球場で開かれる南北海道大会に出場する。

 初日は開会式の後、各ブロックの1回戦3試合が行われ、第2試合では6年ぶりに支部予選に出場した上磯が函館水産と対戦。健闘するも1対11で敗れたが、はつらつとしたプレーにスタンドから大きな拍手が送られた。

 21日からも同スタジアムで1日3試合ずつ行われる。(山崎純一)