2009年6月23日 (火) 掲載

◎窓ガラス また割られる…被害車両100台超す

 22日午前1時ごろ、函館市石川町の中古車販売店で、展示している乗用車19台の窓ガラスが割られているのが見つかった。同市内では20日夜から同様の手口による器物損壊事件が相次いで発生。22日にも、五稜郭公園周辺の住宅街で新たな被害が確認されるなど、被害車両は100台を超えた。函館中央署、函館西署では連続器物損壊事件として関連を捜査している。

 函館中央署の調べでは、同日午前1時ごろ、「(石川町の販売店付近で)車の窓をたたいている人を見た」と110番通報があり、同署員が壊された車両を確認した。同店によると、展示台数は約120台で、道路沿いの車両を中心に被害に遭ったという。現場は函館新道に向かう国道5号沿いで、同店は21日の営業を終えた午後8時40分ごろから無人だったという。

 同署管内では22日にも柏木町の集合住宅などで新たな被害が確認され、五稜郭町、梁川町を中心に計56台となった。函館西署の集計では、田家町や白鳥町を中心に計48台。石川町の19台を除くと、被害は五稜郭公園を中心とした半径1キロの範囲に集中している。

 また、全体の約2割の車内に荒らされた形跡があり、置いていたタオルなどがなくなっているケースもあるという。いずれも、窓ガラスは鈍器のような物でたたき壊されたとみられるが、運転席や助手席だけではなく、すべてのガラスを壊された車両もあった。

 両署では、夜間の巡回を強化して警戒を強めるとともに「車内には貴重品は置かないことが重要。不審者の目撃や不審な物音を聞いたときには、ためらわずに110番通報してほしい」としている。



◎未明の犯行 不安広がる…車の窓ガラス被害で町会

 20日夜から函館市内で相次いだ車両の窓ガラスを狙った器物損壊事件で、被害は100台を超え、地域住民に不安が広がっている。一部の町会では車両を使い独自の対策に乗り出すところもみられるが、多くの町会関係者は「未明に起きた犯行のため、巡回活動も難しい」と頭を悩ませている。愛車を24時間見守ることは困難だが、自動車用品店では車両の異常を警報音で知らせるセキュリティー商品もあり、自主的な防犯対策も効果がありそうだ。

 市営住宅を中心に被害が集中した田家町会の後藤信夫会長は「本当に驚いている。町内には車庫の中も荒らされた人さえいる」と話す。五稜郭町会の深山泰三会長も「被害が少なかったとはいえ油断はできない。事件が続けばチラシを配るなどして住民に注意を促したい」と話している。

 大川町会では同日夕方に防犯パトロールを急きょ実施した。スピーカーで「車上狙いが多発しています。不審者を見かけたら110番してください」などと呼び掛けながら、青色回転灯搭載車で町内を巡回。新谷則会長は「回覧板では1日や2日で全世帯に周知できない。状況をみてパトロールの回数を増やしたい」と話す。同町の道営団地に住む50代の女性は「うちはたまたま被害に遭わなかっただけだが、とても怖い。やめてほしい」と不安げな表情。

 市町会連合会の敦賀敬之会長は「許されない悪質な行為。事件が収まらなければ町連としても何らかの対策を打ち出したい。これだけの被害があるのだから、皆さん十分に気を引き締めてほしい」と話している。

 一方、自動車用品店では、ダッシュボードなどに取り付ける簡易型の警報機(約1万円)や、リモコンに異常を知らせる高機能タイプの警報機(5―6万円)を販売。カーナビやオーディオの盗難被害も多いことから、こうした商品は犯罪抑止に一定の効果がありそうだ。

 「イエローハット函館新道店」(桔梗町)の花田智積さんは「セキュリティーを万全にすれば犯行も難しくなる。当店では防犯アドバイスもしているので相談して」と呼び掛けている。(長内 健、小杉貴洋)



◎昭和小でプール学習スタート

 本格的な初夏を前に函館昭和小学校(秋元順一校長、児童525人)は22日、プール開きを行った。6年生92人が水しぶきと歓声を上げ、初泳ぎを楽しんだ。

 授業の前に行われた式で、児童会長の6年、野村彩絵さんが「小学校最後のプール学習を精一杯頑張ろう」とプール開きを宣言。代表児童が25メートルを泳ぐ「泳ぎ初め」に挑戦し、教諭と児童がメドレーリレーで競って盛り上がった。

 この日は室温は32度、水温は23度のプール日和。児童は互いに水を掛け合ったり、友達とビート板に乗って遊んだりして一年ぶりのプール授業を喜んでいた。

 柴田彩加さん(11)は「水はちょっと冷たかったけど気持ち良かった。今年は背泳ぎやクロールを練習したい」と話していた。

 市内のプール学習は9月ごろまで行われる。(新目七恵)



◎観光客数 減少続く…08年度桧山管内

 【江差】桧山支庁が22日に発表した2008昨年度の管内観光客入り込み状況(速報値)によると、入り込み客数は111万4700人(対前年度比11・3%減)だった。同支庁は「全国的な景気低迷やガソリン価格高騰によるドライブ観光の出控えが原因」と分析している。

 内訳は、道内客89万3700人(同9・9%減)、道外客22万1000人(同16・3%減)。日帰り客96万1100人(10・6%減)、宿泊客15万3600人(同15%減)だった。管内7町の入り込み客数は、05年度の144万4800人をピークに減少傾向が続いた。対前年比でみた減少率は、06年度6・4%減、07年度5・3%減。実数で14万1400人の減少となった08年度は、過去3年間で最大の減少率となった。

 町別の客数は、江差町40万3700人(同8・8%減)、上ノ国町9万1500人(同8・9%減)、厚沢部町13万4000人(同0・7%減)、乙部町14万1700人(同17・7%減)、奥尻町4万1300人(同9・6%減)、今金町6万6400人(同21・8%減)、せたな町23万6100人(同14%減)。観光客の大半は自家用車やレンタカーで管内を訪れており「一連のガソリン価格高騰が直撃した」(観光関係者)。

 江差町は主要観光施設が全体的に不振で、かもめ島まつり(7月)、江差追分全国大会(9月)の客数も大きく減少。上ノ国町は温泉施設の入り込みが低調で、乙部町もドライブ客が減り、道の駅などの主要観光施設は利用客が2割程度減少した。奥尻町は、観光ピーク期の7・8月の減少が響き、04年以降続いている観光客の減少に歯止めが掛けられなかった。管内北部の今金・せたな両町も、イベント開催時の天候不順などが影響して客数を大きく減らした。

 一方、管内では本年度に入り、ETC(自動料金収受システム)搭載車を対象とする、高速道路の料金割り引きに伴い、5月の大型連休前後には、道央道八雲ICを経由する観光客の増加傾向が一時的にみられたが、新型インフルエンザの全国的な流行に伴う観光客の減少が顕著になっているとの見方もある。(松浦 純)



◎市の遊休施設判断へ…函館市議会

 函館市議会の第2回定例会は22日、一般質問が始まり、5人が登壇した。西尾正範市長は、すべての市有施設について設置の目的や建物の状態、運営経費、利用状況などの情報をまとめた「施設カルテ」を作成し、2010年度にかけて評価や今後の利用検討を行う考えを示し、「遊休施設(の利用)についてもこの中で一定の方向性を示したい」と述べた。

 「遊休施設は早期に活用、解体、売却すべき」とした井田範行氏(市民クラブ)の質問に答えた。この取り組みへの考えは函館市行財政改革新5カ年計画に盛り込まれており、当初は08、09年に行う予定だった。

 西尾市長は「統廃合に伴う用途廃止や老朽化により、使用していない遊休施設は相当数ある」と説明。これまでは建物の状態や立地場所などが異なるため個々に対応してきたが、少子高齢化や市町村合併など地域の状況変化に対応し、同種の施設との再編や統合を検討する必要性が生じてきたことから、維持コストの軽減も兼ねて実施する。

 対象となるのは、旧万年橋幼稚園や旧北高校、恵山地域の旧ホテル施設など市内の遊休施設22カ所と、稼働中の300カ所。このほかに貸し出し中の施設についても、まずは所管する各部に照会して本年度中に把握する予定。その後建て替えや補修、廃止などの判断を下す。

 また、生活保護費など扶助費の伸び率を毎年度1%増の範囲で想定した2008年度(昨年11月)策定の中期財政試算(09―13年)で、本年度一般会計予算の扶助費が試算よりも1億円ほど上回ったことについて、片岡格財務部長は「扶助費の増加分を09年度の試算に加味したい」と伸び率の改定を示唆。西尾正範市長は「徹底した行財政改革を進め中長期の財政見通しに立った健全な財政運営に努める」と述べた。13年度を目途に使用料・手数料の見直しは現時点で前倒しで行わず「市民の十分な理解をいただき、地域経済状況、道、他都市の動向を見極めながら適宜適切に対応したい」と述べた。

 一般質問にはこのほか斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)、金沢浩幸氏(新生クラブ)、瀬尾保雄氏(公明党)、高橋佳大氏(共産党)が質問した。

 23日は午前10時から引き続き一般質問を行い、午後5時10分まで5人が立つ予定。(小泉まや)