2009年6月27日 (土) 掲載

◎金丸さん昭和30年代の函館の写真集出版

 函館市に住む青函連絡船の元乗組員で、写真家の金丸大作さん(84)が、昭和30年代の函館の風物や出来事を収めた写真集「函館物語―昭和の函館から」を制作した。浜辺や砂山で元気に遊ぶ子どもや青函連絡船の変遷、開港100年の港まつりのにぎわいなどさまざまな風景を切り取った341枚を収録。7月1日に発行する予定で、金丸さんは「今は見られなくなった函館の情景を楽しんで」と話している。

 金丸さんは1944―83年の39年間、連絡船の無線通信士として勤務した。カメラは23歳のころ群馬県の実家に職場を伝えようと始め、まもなく函館の街を写真に残したいと各地でシャッターチャンスを狙うようになった。連絡船の写真集は84年と2006年に出版したが、カメラを手にして60年が過ぎ、函館開港150周年の節目を迎えたことし、活動の集大成として撮りためた数万枚の中から自信作を選んでまとめた。

 写真集では、浜辺で素っ裸で転げ回ったり、街角でチンドン屋や紙芝居に熱中する子どもたちの様子を数多く紹介。洞爺丸台風のあった54年、天皇皇后両陛下が連絡船から下船する瞬間を押さえた1枚や、乗客でごった返す船室の情景も掲載している。

 北洋サケマス漁業や大相撲巡業、市営競輪の女子レース、作家川端康成氏の来函などページをめくるたびに戦後復興期の世相の移り変わりが伝わってくる。

 金丸さんは「当時は子どもも多く、北洋漁業も盛んで活気に満ちていた。面白い被写体に恵まれ、自由に何でも撮れたので休みになると撮影で飛び回っていた」と振り返り、「写真そのものが記録だが、まさに昭和時代のドキュメンタリーといえる。還暦を迎える世代の人に懐かしんでほしい」と話している。

 A4判モノクロとカラー、155ページ。1冊2900円で、函館市内の五稜出版社から1000部発行する。市内の書店で販売するほか、7月9―14日には出版を記念し、函館市若松町17の棒二森屋で写真展を開催する。(新目七恵)



◎凍結中の国道事業、鹿部道路も建設再開へ

 道開発局事業審議委員会(委員長・加賀屋誠一北大大学院教授)は26日、札幌市内で会合を開き、費用対効果が基準を下回るとして建設が凍結されている道内の国道3路線について、「事業再開が妥当」との判断を下した。これを受け、道南地域の国道278号鹿部道路(鹿部町大岩―同本町間約7・7キロ)と国道230号国縫道路(長万部町国縫―今金町花石間約14・9キロ)も、近く工事が再開される見通しとなった。

 国交省は3月、将来の交通需要推計と事業評価手法の見直しの結果、直轄国道など全国617事業のうち、走行時間短縮などの整備効果を整備費用で割った費用便益比(B/C)が「1」を下回った全国18事業の執行を見合わせることを発表。この時点では鹿部道路と国縫道路のB/Cはそれぞれ0・99と0・96だった。

 この日の委員会では、道開発局が凍結路線のさらなるコスト縮減を提示。これにより鹿部道路で約2億円、国縫道路で約2億2000万円の事業費が削減となり、B/Cもそれぞれ「1・05」、「1・07」と改善された。

 鹿部道路を抱える鹿部町の川村茂町長は「事業再開に向けて各機関に精力的に働きかけてきたことが形になってほっとしている。鹿部道路については駒ケ岳噴火時の避難ルートや水産物の輸送ルートなどの役割も備えた重要路線であることをアピールして、1日も早い開通につなげたい」と話している。(小川俊之)



◎ハコトリが日本都市計画家協会賞「北海道支部賞」受賞

 函館開港150周年を記念し、市民有志が8月に計画するイベント「アートフェス・ハコトリ」の活動が、優れたまちづくりの取り組みに対して贈られる第7回日本都市計画家協会賞の特別賞「北海道支部賞」に選ばれた。全国から28件の応募があり、道南の団体では唯一。開催を控え、実行委は受賞を喜んでいる。

 この賞はNPO日本都市計画家協会(東京)が主催。優れたまちづくりの理念と実践の拡大を図ろうと2002年度に始まった。最高賞に当たる大賞のほか、6つの特別賞がある。

 ハコトリは西部地区のさまざまな会場に国内や地元作家の作品展示やパフォーマンスを展開し、多彩なアートを楽しむ企画。会場には空き屋や廃屋も使い、メンバーが清掃・改修して活用することで地域活性化を図る。ことし初開催のため実績はないが、同NPOから「企画のユニークさと今後への期待度が高い」として認められた。

 参加する作家は中堅から若手まで約30人を予定。ジャンルは油彩、彫刻、映像、写真などさまざまで、PRを兼ねたアート展覧会を金森赤レンガ倉庫のBAYはこだてで開催中だ。大下智一委員長は「受賞に恥じないよう少しでもいいものをつくりたい」と意気込む。実行委は協賛金を募集中。個人は一口2000円から。

 問い合わせは実行委TEL0138・83・7721(小春日和内)。(新目七恵)



◎29日から卸売市場内「魚いち亭」、ツチクジラで竜田揚げ定食

 函館市水産物地方卸売市場(同市豊川町)内の食堂「魚いち亭」で29日から7月10日まで、道南近海で捕獲されたツチクジラを使った「くじら竜田揚げ定食」を販売する。鯨食の普及に取り組む「函館くじら普及協議会」(藤原厚会長)の全面協力で実現し、同協議会は「赤字覚悟の大放出。一般の市民もぜひ味わって」と呼びかけている。

 鯨食文化の復権を目指し、クジラ肉のおいしさを広く知ってもらおうと、同協議会が初めて企画。今年は5月25日に道南の日本海沖で漁が解禁され、23日に捕獲枠10頭の水揚げを終えたツチクジラの赤肉を同協議会が数十キロ分提供し、ご飯、みそ汁、お新香付きで480円の低価格に抑えた。

 竜田揚げには1人前120グラムのクジラ肉を使用。しょうゆやみりん、すり下ろした玉ネギなどに1時間ほど漬け込んだ赤肉を高温の油で揚げ、臭みのない味わいに仕上げた。同協議会は「クジラになじみの薄い若い世代にも、昔よく食べた懐かしい世代にも、函館に根付いた食文化をあらためて知ってほしい」と話している。

 魚いち亭は同市場の2階にあり、一般客も入り口で警備員に食堂の利用を伝えれば出入りは自由。営業時間は午前7時―午後2時。日曜の7月5日と市場休場日の同8日は休み。問い合わせは同協議会(函館水産物商業協同組合内)TEL0138・22・5804。(森健太郎)



◎M・ジャクソンさん死去に市民も追悼

 日本時間の26日朝、米ポップ歌手マイケル・ジャクソンさんが亡くなったニュースに、函館市内でも突然の死を惜しむ声が聞かれた。ダンスを駆使したパフォーマンスで世界のスーパースターとして君臨した、故人の人気の高さをうかがわせている。

 函館ダンスアカデミー(梁川町)を主宰する島崎啓子さんは「ミステリアスな人柄で、ダンス、音楽は世界の人に強いインパクトを与えた。スキャンダルがあったとは今でも信じられない」と残念がる。11月に青森で開かれる青函交流市民文化祭で発表する作品にもジャクソンさんの曲を使用しており、「振り付けを考えている時で悲しいが、多くの人に感動を与える立派な作品にしたい」と決意を新たにしていた。

 「ジャクソン・ファイブのボーカル時代からファンで、国籍を問わず多くの人に愛されるオーラを発してる姿に引かれた」と話すのはRダンスカンパニー(末広町)の高野理恵子主宰。昨年開いた発表会で子どもたちが「スリラー」を演じた時、親が大喜びしたという。この日もスタジオで踊り、ジャクソンさんをしのんだ。「子どもにジャクソンさん独特の振りを教えた時、以前から知っていたように覚えが早かった。それだけ世界のあらゆる人に影響を与えていたと思う。このようなスターはもう出ないのでは」と話していた。

 また、市内元町のコミュニティー局「FMいるか」では、朝から電話やファクスで、ジャクソンさんの曲のリクエストが続々と寄せられた。市内本町のCD販売店玉光堂五稜郭店では、開店からジャクソンさんの曲が店内に流れる中、ファンからジャクソンさんの商品に関する問い合わせの電話が相次いだ。同店では追悼コーナーの設置を開始し、27日にも品がそろうという。(山崎純一)



◎エコポイント交換商品、鹿部町の商品券選ばれる

 【鹿部】省エネ家電への買い替えを促進する政府の「エコポイント制度」の交換商品に、鹿部商工会(吉康郎会長)が発行している「鹿部町商品券」が選ばれた。地域型商品券としては道南で唯一の交換商品で、同商工会では価格を10%上乗せしたプレミアム商品券も取り扱い、利用促進を図る考えだ。

 来年3月末までに省エネ基準を満たした地上デジタルテレビ、冷蔵庫、エアコンを購入すると国からポイントがもらえ、省エネ製品や商品券などと交換できる仕組み。交換には買った店や日付などを記載した保証書や領収書が必要。19日に政府が発表した交換商品は271点となっている。

 鹿部町の商品券は昨年度、通常販売のほか定額給付金支給などに合わせた15%のプレミアム付きも含め、計3836万円を販売するなど町民に広く浸透。今回も「少しでも地元の経済活性化を狙いたい」(同商工会)と応募、町の推薦も得て交換商品に選ばれた。

 交換商品には各地の商品券のほか、おこめ券やビール券、JR東日本の電子マネー「suica」など魅力的な賞品も多数選ばれている。このため、同商工会では通常の商品券に加え、10%のプレミアム付きも用意して対抗。有効期限を3カ月から6カ月に延長するほか、1回の交換につき「しかべ間欠泉公園」の無料入園券1枚(4人まで利用可能)も付ける。

 8月上旬をめどに、郵送と窓口での手渡しで対応する予定。同商工会は「小売店に限らず温泉や水産加工品の直売所でも利用可能なので、町民や近郊に限らず、全国で利用してほしい」と話している。(千葉卓陽)