2009年6月4日 (木) 掲載

◎みのりがテクノパーク進出 新社屋10月完成予定

 函館市のIT(情報技術)関連向けの企業用分譲地「函館テクノパーク」に、市内昭和4の情報サービス業「みのり」(加藤進社長)が移転する。市と同社が2日、市役所で土地売買の仮契約を結んだ。同社は分譲地に新社屋を建設する予定で、土地購入面積は1区画分737.78平方メートル、売買額は約1844万円。6月に開かれる市議会定例会の議決を経て正式な契約となる。同用地が分譲されたのは2005年以来約4年ぶり。

 同社は1998年、加藤社長がホームページ作成やパソコン修理を行う事業として起業し、2001年8月に法人化した。昭和2の本社のほか市内4カ所に事務所を構え、パソコン設定のサポートやホームページを利用した通信販売業務なども手掛ける。現在、従業員は約100人。

 近年、積極的に従業員を採用し、事務所が手狭になったことから、本社を含め3カ所を集約し移転を決めた。市が本年度から分譲価格を1平方メートル当たり4万1830円から2万5000円と約4割引き下げたことも決め手となった。このほか、駐車場スペースとして726.54平方メートルを年間26万4817円で借りる。

 7月に新社屋の工事に着工し、完成予定は10月。

 西尾正範市長は「非常にうれしく思う。さらに企業の誘致を進めていきたい」と期待を込め、加藤社長は「新社屋は今までの倍の広さになる予定。事務所の集約によって社員同士のコミュニケーションも構築していければ」と話している。

 同分譲地の総面積は24区画2万4868平方メートル。売り払い面積はみのりを含め8社11区画9491平方メートル、貸し付け面積は3社4区画で4374平方メートルで、売り払い、貸し付けを合わせた土地利用率は55%となった。



◎今月から薬事法改正…市内コンビニ 動き慎重

 改正薬事法が今月から施行された。新設の「登録販売者」を置くことで、薬剤師がいなくても副作用のリスクが少ない大衆薬を販売できることになった。コンビニエンスストアなどで販売を手掛ける店が出てきそうだが、函館市内で目立った動きはなく、市民が改正法の恩恵を受けるのはまだ先となりそうだ。一方で市場を独占してきたドラッグストアは登録販売者の確保に加え、薬剤師がいないと販売できない薬を手の届かない場所に移し替えるなど、対応に追われている。

 改正薬事法では一般用医薬品を3つに分類。「H2ブロッカー」を含んだ胃薬など副作用のリスクが高いものを1類、かぜ薬や鎮痛剤を2類、ビタミン剤などは3類に分けるとともに、店舗では分類ごとの陳列が義務付けられた。

 薬剤師の対面販売が必要な1類以外では、1年以上の実務経験を積んだ「登録販売者」が2、3類の薬を販売できる。市立函館保健所によると、市内の登録販売者は3日現在で151人。

 この規制緩和で、コンビニやスーパーなどの一般販売業でも登録管理者を置けば販売が可能となったが、函館市内で展開するコンビニ大手各社で、販売に踏み切った店舗はない。

 市内で46店舗を展開するセブン―イレブン・ジャパン。1日から東京都内1店舗で登録販売者による試験販売を始めているが、北海道など地方への展開は今後検討するという。同社広報センターは「登録販売者の資格を持つ人材の確保が大きなネック。全国展開は試験店舗での販売動向を見極めてからになる」と慎重だ。

 一方、ドラッグストアの動きは素早い。「クスリのスズラン本町店」(函館市本町25、佐藤弘隆店長)は今月から登録販売者を4人配置し、1類の薬は手の届かない場所に置いた上、販売は併設する調剤薬局の薬剤師が対応する措置を取った。登録販売者は今後、従業員が試験を受けることで増やす。佐藤店長は従業員が勉強し、薬の知識をつける意味で法改正を歓迎しながらも「コンビニや電気店、ホームセンターなど異業種の参入は脅威だ」。

 函館薬剤師会(木下康昭会長)では先月、改正法に備えた講習会に幹部が参加。加盟会員には1類の薬の販売日や担当者、連絡先などを明記したシールを配布している。内山崇常務理事は「(1類に関しては)購入前に副作用のリスクを説明したり、服用後の容態チェックなどが必要。顧客への説明責任を果たしていかなくては」と気を引き締める。(千葉卓陽)



◎情報公開請求92人 貿易センター、クレーンなど

 函館市は2008年度の情報公開制度と個人情報保護制度の利用状況をまとめた。情報公開制度に基づく公文書の公開請求者は92人、請求内容に該当した公文書は2821件だった。請求者は前年度の147人によりも4割近く減った。

 2821件のうち、公開されたのは2268件、プライバシー保護などの理由で一部非公開となったのは394件、非公開が154件、申請者の取り下げが5件。

 対象となった公文書は、不正経理問題が発覚した市の第三セクター「函館国際貿易センター」関係の文書が476件と目立った。市長交際費の関係は277件、議会の政務調査費関係が220件など。函館どつくに売却された大型クレーンに関するものや、一部外観を残して解体される弥生小学校校舎に関する文書の請求もあった。

 非公開、一部公開などの決定に対する不服申し立ては1件あり、市公文書公開審査会は過去の不服申し立てと合わせて3件の答申をした。不服申立人の主張を一部認めたのが2件、却下が1件。

 個人情報保護制度の運用状況は、3月31日現在で2937件。市が新たな業務などで個人情報を収集する場合などに取られる手続きで、市長部局が2128件と全体の7割を占める。

 市から他の官公庁へ提供された個人情報は8万3174件で、多くは税や福祉関係。市民税課が4万1431件、中央福祉事務所介護高齢福祉課が1万6698件など。

 自身に関係する個人情報の開示請求は10件あり、8件が開示、1件が一部開示。1件は請求者が取り下げた。

 情報公開請求、個人情報開示請求は市役所6階、文書法制課が窓口となり、原則として14日以内に開示するかどうか決定する。 (高柳 謙)



◎函館の歴史 組み体操で 7日の桔梗小運動会で発表

 函館桔梗小学校(戸澤和彦校長、児童470人)の5、6年生計137人が、函館開港150周年を記念したオリジナルの組み体操を7日の運動会で発表する。中空土偶や黒船来航、函館大火など函館の歴史を表現するユニークな内容。3日には総練習が行われ、子どもたちは真剣な表情で動きを確認していた。

 演目は節目を祝い、郷土のすばらしさを子どもたちに感じてもらおうと担当教員らが企画した。

 演題は「VIVA(ビバ) 函館」。2人1組で肩車で立ち上がり、縄文時代に出土した中空土偶の形を表現する体操から始まり、江戸時代に活躍した高田屋嘉兵衛の銅像や、大きな黒船2隻を児童全員で形作る演技などが次々と繰り広げられ、時代の移り変わりを目で楽しむことができる。「函館大火」では赤いビニールテープのボンボンを付けた児童数人が側転し、火の粉が飛び交う様子を再現。家屋が燃える様を人間ピラミッドが崩れることで示すなど、演出にも力を入れている。

 この日の総練習でも児童は太鼓の音に合わせてきびきびとした演技を披露し、見学する保護者らの目を楽しませた。

 高田屋嘉兵衛役を務める6年生の一戸涼史君(11)は「いろいろなことをやったすごい人がいたことを知ってほしい」と話し、地蔵恭兵君(11)は「間違えても頑張りたい」と力を込めている。

 運動会は函館市桔梗1の同校で行われ、5、6年生の組み体操は午前11時半ごろからの予定。 (新目七恵)