2009年6月5日 (金) 掲載

◎市民体育館の意見交換スタート 整備求める声、立地の評価も

 市民体育館の在り方を考える函館市の検討懇話会が4日夜、市民会館(湯川町1)で初会合を開いた。委員12人が隣接する市民体育館を視察し、築35年を経過した体育館の現状と課題を理解した。老朽化から整備を求める声が多かったが、現在の体育館の立地場所を評価する声もあった。

 委員は利用団体、経済界、学校関係者、学識経験者などの代表と公募市民で、座長に道教育大函館校の田中和久教授を選出した。西尾正範市長の公約に体育館の新築整備はないが、老朽化が進み、市民や利用団体から整備の要望が高いことから懇話会を設置し、自由に意見を聞く。12月まで5回開き、多賀谷智教育長に提言書を提出する予定。

 事務局の市教委生涯学習部が「まちづくりやスポーツ振興の観点など、幅広い視点から広く意見をいただきたい」と述べ、検討結果については「財政の問題もあるが、提言を尊重しながら検討していくことになる」とした。

 意見交換では「完成した時は道内一の体育館だったが、今は床が傷むなど粗末になっている」「空港に近く市電でも便利。湯の川温泉という宿泊地があり、立地場所としては優れている」などの意見があった。経済界の委員からは「コンベンション施設との併用はできないか」との声があり、田中座長も「プレーする、応援する、支えるなど、いろいろな立場の人がより快適にかかわれる体育館が必要と思う」と述べた。

 市民体育館では4階の体育室から1階のアリーナまでを見学。2階会議室の真上は体育室のため、バスケットボールを突く音が響く様子や、床の張り替えをしている体育室の現状などを学んだ。

 事務局の説明では、現体育館は1975年の完成で、事業費は当時の額で10億8900万円。年間23万人程度の利用があり、年間の維持費は人件費5500万円、光熱費や管理費などで9500万円の計1億5000万円。利用収入は体育館と駐車場で年間2600万円程度という。(高柳 謙)



◎スナッフルスとありあけ 開港150周年記念のスイーツ

 開港150周年を記念し、函館の「ペイストリースナッフルス」(中澤美樹社長)と横浜の「ありあけ」(藤木久三社長)は2日から、共同企画の商品「ペリーの贈りもの」を販売している。両社の洋菓子を箱詰めしたもので、各社5000個限定、直営店のみで取り扱う。両社は「両市の開港記念にエールを送る商品」としている。

 スナッフルスは焼き菓子「コロッセ」を、ありあけはチョコレートケーキ「黒船ハーバー」で、どちらも開港をコンセプトに開発された。1箱に各3個ずつ入っている。

 コロッセは開港当時に入ったと言われる「コロッケ」をイメージした新商品で、函館市内の菓子メーカーでつくる「函館スイーツの会」の認定商品になっている。ふっくらと焼き上げたきな粉味のブッセに、発酵バターにアズキをブレンドしたクリームが挟みこまれている。洋風の中に和の味を包み込んだ和風洋菓子だ。

 黒船ハーバーは、ありあけのブランド菓子「横濱ハーバー」をベースに作られ、カカオ風味のカステラ生地にチョコレートをふんだんに使い、黒船をイメージしている。

 パッケージはペリー提督にまつわる資料に残された原画が採用され、函館市中央図書館所蔵の「日本遠征記」に挿入された口絵、横浜開港資料館所蔵の「ペリー提督横浜上陸の図」が描かれている。

 価格は1050円。問い合わせはスナッフルス高丘店TEL0138・59・6660。(鈴木 潤)



◎寺中哲二さん 日本教育音楽協会の功労者に

 函館在往の道教大名誉教授寺中哲二さん(76)がこのほど、日本教育音楽協会(本部・東京)の「2008年度音楽教育功労者」に選ばれた。函館をはじめ、道南の音楽教育進展に大きく貢献した功績が認められての受賞。寺中さんは「ありがとうございます」と喜んでいる。

 この表彰は音楽教育者が対象で、同年度は寺中さんをはじめ、全国から7人が選ばれた。

 寺中さんは1933年函館で生まれ、56年道学芸大函館分校(現道教大函館校)を卒業後、委託生として東京芸大音楽学部を修了し、同年、函館中央中学校(現函館凌雲中)に勤務。戦後、市内の教育機関で初めて吹奏楽団を創設した。63年に旧函館北高校、74年に道教大函館校の講師となり、それぞれで吹奏楽団を創設。吹奏楽コンクールで全道・全国大会出場に導くなど道南の吹奏楽発展と音楽教育に尽力したほか、函館地区吹奏楽連盟理事長、函館音楽協会会長などを歴任し、97年に市文化賞を受賞、99年に道教大名誉教授となった。50―60年代の函館は吹奏楽が盛んでなく、寺中さんは教え子の愛器を自ら修理するなど苦労も絶えなかったという。

 受賞の知らせが届いたのは3月上旬。「このような光栄な賞を頂くことができてうれしい」と妻洋子さん(71)とともに喜んでいた寺中さんだったが、体調不良で5月に東京で開かれた表彰式は欠席した。届いた表彰状を手に、ようやく喜びをかみしめることができた。

 日本教育音楽協会函館支部長で函館短大の佐々木茂教授(64)は「寺中さんは穏やかで、人間的な魅力にあふれ慕う人が多い。多くの吹奏楽団を輝かしいコンクール入賞に導いた功績のほか、音楽教諭や演奏家など全国各地で活躍する人材を生み出してきたことも素晴らしい」と話していた。(長内 健)



◎タケノコ採り遭難 上の国で女性の遺体発見 江差の行方不明者か

 【上ノ国】上ノ国町早川の道有林で行方不明になっていた江差町越前町の農業塚本ツナさん(70)の捜索は3日目に入った4日、200人態勢で行われ、午後4時ごろ、入山地点から約2キロ離れた左股川支流の沢で陸上自衛隊員が女性の遺体を発見。江差署で身元の確認を急いでいるが、現場周辺は日没と濃霧で収容作業は難航し、5日早朝に再開する。道警函館方面本部管内では5月末からタケノコ採りに伴う遭難が続発。3日間で5人が行方不明になり2人が死亡する事態となった。

 捜索は、前日に塚本さんものとみられる足跡が見付かった二股川上流付近で自衛隊を中心に展開。午後に入り、新たな足跡とともに、捨てられたタケノコや手ぬぐいを発見。塚本さんが谷沿いに移動した可能性が濃厚となった。だが、午後4時になって遺体発見の情報が伝わると、生還を信じる家族から悲痛な叫びが上がった。捜索関係者は「真っ暗な山中で夜を過ごし、生還を信じて谷を下ったのだろう。無事に救出できずに残念だ」と語り、灰色の雲が立ち込める空を仰いだ。

 江差署は5月31日、八雲町で遭難した男性(67)の捜索に出動。2日には塚本さんが行方不明となり、雲石峠で捜索中だった署員が上ノ国町にとって返し、計5日間の捜索に従事した。陣頭指揮に当たった松川壽郎署長は「捜索人員には限界がある。同時に複数の場所で遭難があると対応が困難になる」と警鐘を鳴らす。

 2日には函館市、松前町、後志管内島牧村でもタケノコ採りによる遭難が発生。遭難した5人は64歳―70歳で、上ノ国町の宮津光則副町長は「高齢になると自覚が無くても体力や判断力は低下する。山での不用意な行動は命取りにつながる」と戒める。町内では2004年以降、山菜採りに伴う遭難が8件発生。07年には66歳の男性が死亡。06年には77歳の男性が宮越の道有林で行方不明になったままだ。

 悲劇を防ぐため、入山禁止の措置を講じても、規制が緩い山に愛好家が殺到する事態を招く。登山や山菜採りは自己責任が原則とはいえ、過疎化で町職員や若者が減り続ける地域の負担は重い。家族の願いを託された警察、消防、町役場、自衛隊は全力で捜索を行うが、遭難防止の決め手は見当たらず、「桧山管内全体で捜索費用の負担や遭難保険への加入義務を条例化するなどの対応が必要」との声も強まっている。(松浦 純)



◎貿易センター問題特別委 「早すぎる処分に反省」 不正発覚で谷沢副市長

 函館市の第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)の不正経理問題を調査する市議会の特別委員会(斉藤佐知子委員長)が4日、開かれた。谷沢広副市長は、昨年7月に元専務の不正を知った直後に減給処分をしたことについて「領収書の改ざん1件を本人も認めたため、即刻処分すべきと考えた。しかし、早すぎる処分が不祥事を隠ぺいさせようとしたのではないかという誤解を生じさせ、反省している」と述べた。

 志賀谷隆氏(公明党)、紺谷克孝氏(共産党)への答弁。紺谷氏は、西尾正範市長や同社が、元専務を告訴しない考えを議会で強調したのに、一転して昨年11月の取締役会で告訴を決めた理由を質問。谷沢副市長は「使途不明の旅費などがあり、私的流用の可能性もあることから告訴を決めた」と答えた。

 井田範行氏(市民クラブ)は、第三セクターへの市の関与の在り方や、元専務から現金を受けた市の元派遣職員への処分の考えを聞いた。小柏忠久理事は「三セクの関与の在り方は本年度内にまとめたい。職員の処分は、退職者は対象外で、さまざまな事情を斟酌(しんしゃく)した上で、議会での調査が終わり次第、手続きを進めたい」とした。

 福島恭二氏(民主・市民ネット)は、市が言う「第三者機関」が同社の税務申告を担当している税理士事務所から、公認会計士と弁護士に変わったことの矛盾をただした。高橋良弘港湾空港部長は「税理士事務所には領収書改ざんと出張旅費の過払いに限定して調査を依頼したため、結果として全容解明に至らず、透明性や客観性を持たせるために公認会計士と弁護士に調査を依頼した」と述べた。

 次回委員会は11日に開き、斉藤委員長は「6月定例会へ特別委員会の調査結果を報告する目標は変わっていない」と話している。(高柳 謙)