2009年6月6日 (土) 掲載

◎板倉氏、参院選へ意欲 民主党比例区 「私鉄総連と調整中」

 民主党道8区総支部幹事長で函館市議の板倉一幸氏(58)が、来年夏の参院選比例区に民主党から出馬する見通しとなった。本紙の取材に対し板倉氏は「私鉄総連から5月下旬に要請があり、調整中。正式決定はこの先だが、私自身、頑張らなければならないと思っている」と意欲を示している。

 関係者の話を総合すると、私鉄総連の組織内議員が勇退することとなり、私鉄総連の議員連盟の中から板倉氏の名前が浮上し、後継候補に絞られた。私鉄総連は旧社会党系の労働組合で、現在は社民党と民主党を支持しており、政党間協議などが残されているという。

 板倉氏は函館市出身。同市職員、鉢呂吉雄衆院議員秘書を経て1999年、函館バス労組などの支援を受けて市議初当選。現在3期目で、99年5月から私鉄総連函館バス支部特別執行委員、2003年6月から民主党道8区総支部幹事長。

 私鉄総連の北海道地連にあたる私鉄北海道が18日に委員会を開き、板倉氏の擁立を決め、7月15、16日に開かれる私鉄総連の定期大会で正式に決まる流れ。

 板倉氏は「いま与えられた仕事は総選挙の勝利。8区で逢坂誠二氏を必ず当選させ、一方で、擁立が決まればしかるべき時期に決断をすることになる」と述べ、正式決定後は市議を辞職し活動を開始する考え。

 函館の労組関係者は「民主党の北海道重点候補にしっかり位置付けることが必要」と話している。(高柳 謙)



◎函館要塞の施設“探訪” 産業遺産研究会が本を発行

 函館産業遺産研究会(富岡由夫会長)はこのほど、函館要塞の施設を写真や図で紹介する「函館要塞を尋ねて 函館要塞の経歴と施設」を発行した。富岡会長(84)は「今年は函館開港150年で、函館港を守るために作られた函館要塞へ関心が広まり、国指定の史跡になるよう、市民の機運が高まってくれれば」と話している。

 函館は幕末から明治にかけ北方地域の軍事、政治、経済の拠点で、ロシアの南下政策に対応し、1898―1902(明治31―35)年にかけ、函館山の千畳敷、薬師山、立待岬など、四方をにらむ形で砲台や戦闘指令所などの施設を備えた函館要塞が造られた。当時の最高技術が分かり、軍事遺産と同時に土木遺産とも言われている。

 同会は五稜郭に関する調査は進むも、函館要塞に関しては要塞地帯法などの制約で明らかにされていなかったため、99年から2004年まで、要塞調査を行った。08年5月と10月に市内でパネル展「函館要塞展示会」を開催。要塞の図面、写真などをA2判パネル46枚で発表。戦争を知る80代や函館山でウオーキングを楽しむ50―70代を中心に、多くの市民が訪れた。本書はその展示資料をまとめた。「若い世代に函館要塞について知ってもらいたい。そのためにも分かりやすい資料が必要」と富岡会長。

 写真はほとんどがカラーで約170枚使われている。施設の鳥瞰図と写真を並べ、大きさや形が分かりやすくなっている。富岡会長は「レンガ、コンクリートを用いた当時の技術も鮮明に分かると思う」と話す。

 A4判、78ページ。100部を作成し、希望者は一部3200円で販売する。問い合わせは富岡会長TEL0138・52・0783。(山崎純一)



◎ツチクジラ初水揚げ 捕獲10頭 30日まで

 渡島、桧山管内の日本海を操業海域とするツチクジラ漁は5日、本年度の1頭目が捕獲され、函館市豊川町の豊川ふ頭に水揚げされた。捕獲したツチクジラは雌で体長8㍍、重さ7.5トンとやや小ぶり。処理場でブロック状に解体したクジラ肉は6日朝に市場で競りにかけられ、市内や近隣の鮮魚店などで販売される。

 国際捕鯨委員会(IWC)の管理対象外となるツチクジラ漁は、農林水産省許可による商業捕鯨として函館では1999年度から捕獲枠8頭で始まり、2005年度から10頭の捕獲が認められた。

 操業したのは和歌山県太地町漁協の小型捕鯨船正和丸(15.2トン)。本年度は5月25日に解禁されたが、天候不順のため、1日に初出漁した。

 5日は午前3時50分に乙部港を出港し、同11時15分ごろ、江差・乙部沖約15キロの水域でツチクジラ1頭を捕らえた。同船は午後8時15分ごろ、函館港に入港。同ふ頭に接岸後、ツチクジラはクレーンでトレーラーに積まれ、市内の鯨体処理場に運び込まれた。

 道南の操業は30日まで続き、10頭を捕獲した時点で終了する。(鈴木 潤)



◎西尾市長ら三越伊勢丹HDに雇用存続など要請

 丸井今井函館店(函館市本町)の存続が正式決定したことを受け、函館市や函館商工会議所などでつくる対策会議(議長・西尾正範市長)のメンバーが5日、東京都新宿区の伊勢丹新宿店を訪れ、スポンサー企業の三越伊勢丹ホールディングス(HD、東京)に対して地域の雇用存続などを要請した。

 この日は西尾市長のほか寺山朗渡島支庁長、同会議所の古川雅章専務理事、市商店街連盟の渡辺良三会長ら6人が訪問。西尾市長は函館店存続のお礼と合わせ、雇用の確保やテナントへの配慮を要請。今後も地域を挙げて支援を続ける方針を示し、今月から運行を始めた「無料買い物バス」など地域の現状を報告した。

 これに対し、三越伊勢丹HDは武藤信一会長や石塚邦雄社長ら3人が応対。市によると、同HD側から明確な回答はなかったものの、地元の意向をできる限り尊重する姿勢を見せ、会談は終始「友好的な感じ」(西尾市長)だったという。同HDは7月下旬にも函館店の事業を継承する受け皿会社を設立し、一部削減した従業員を再雇用する方針。(森健太郎)



◎江差でふれあい船の旅 7月28日 参加者募集開始

 【江差】江差―奥尻航路を運航するハートランドフェリー(本社・札幌)の「アブローラおくしり」(2270トン)を貸し切り、江差沖の夜景やイカ釣り漁のいさり火を楽しむ「ふれあい船の旅」(実行委員会主催)が、今年も7月28日に行われることが決まった。10日から参加申し込みを受け付ける。

 「船の旅」は、世代や障害の有無を超えて、地域の一体感を高めてもらおうと、町民ボランティアの企画で始まった夏のイベント。休止期を挟みながら2004年からは6年連続の開催となる。実行委の田畑栄市会長は「雄大な海原での触れ合いを通じて協働の喜びをまちづくりに生かしてほしい」と話している。

 フェリーは午後6時に江差港を出港。檜山沿岸の美しい夜景や、沖合いで最盛期を迎えるスルメイカ漁のいさり火などを楽しむ。船内では、民謡、カラオケ、現金つかみ取り抽選会のほか、フェリーの操舵(そうだ)室の見学会、乗組員によるイカ釣り実演といったイベントも予定されている。

 また、江差海保署の協力により、巡視船かむい(195トン)がフェリーと並走して、第1管区海上保安本部函館航空基地所属のヘリコプター「くまたか」が、船上からの傷病者をつり上げる訓練展示も予定している。民間フェリーに並走して行う訓練は全国的にも珍しいという。

 帰港は午後9時。雨天時は29日に順延する。保険料などを含めた乗船料は大人1000円。中学生以下無料。江差町役場、江差町社会福祉協議会、ハートランドフェリー江差支店などで10日から申込書を配布する。申し込みは7月14日までで、先着400人で締め切る。身体に障害がある人の乗船などをサポートするボランティアも募集している。問い合わせは実行委の田畑さんTEL0139-52-0426。(松浦 純)