2009年6月7日 (日) 掲載

◎充実の食品館 棒二森屋が改装オープン

 今年で創業140周年を迎える函館市若松町の老舗百貨店、棒二森屋(井上裕司店長)の本館地下1階の食品売り場が6日、リニューアルオープンした。午前10時の開店前から約400人が並び、数量限定の特売品を求める買い物客らでにぎわった。

 食品売り場の改装は1997年以来12年ぶりで、直営部分約1330平方メートルとテナントの専門店をほぼ全面リニューアルした。品ぞろえを従来の約2倍に増やし、系列のイオンやダイエーのプライベートブランド(PB)商品のほか、少量・少単位の生鮮品や総菜類を充実させたのが特徴だ。

 この日は開店と同時に買い物客がどっと押し寄せ、レジ前には会計を待つ長い列ができた。市内宝来町の主婦(56)は「店内が明るくなって買いやすくなった。価格も大事だが、店の雰囲気も決め手の一つ」と話し、買い物かごいっぱいに商品を詰め込んでいた。

 市内では食品スーパーの新規出店が相次ぎ、同店の食品部門も「1割以上の顧客が流れた」(食品部担当者)という。周辺地域には高齢者や少数世帯が増加していることから、井上店長は「地域のニーズに応え、日常的に利用していただける商品展開や価格設定にした。多くの方に愛される売り場を目指したい」とPRする。

 食品館の初年度の売り上げ目標は約7億円。7日にも商品を購入したレシートを提示した先着500人に紅白の大福が提供される。オープン記念セールは10日まで。問い合わせは棒二森屋TEL0138・26・1211。(森健太郎)



◎ツチクジラ 店頭に…鮮魚店、スーパー

 江差・乙部沖で5日捕獲され、函館港に今年最初に水揚げされたツチクジラの肉が6日、函館市内の鮮魚店やスーパーで並び始めた。

 “初もの”は体長約8メートル、体重約7・5トンの雌。同日、函館市水産物地方卸売市場で競りにかけられ、1キロ当たりの卸値は赤肉が1200円、小切れ肉が980円で、それぞれ昨年の初値よりも100円ほど安値をつけた。

 はこだて自由市場(新川町)の鮮魚店マルミ佐藤商店(佐藤止昭社長)では、赤肉約15キロを仕入れ、600グラム1500円で販売。価格は昨年より安めで、佐藤社長(68)は「これからどんどん安くなり、買いやすくなるはず。函館でもようやく定着してきたが、若い人にも食べてほしいね」と話す。

 同店で早速購入した、家庭料理店「わの」(元町31)を営む和野貞紀さん(67)は「店で竜田揚げにでもして出してみたい」と話していた。(鈴木 潤)



◎修学旅行の新スタイル 札幌の中学生が浜で体験学習

 修学旅行で函館を訪れた札幌市立もみじ台南中学校(開発好博校長)の3年生75人が4日、市内住吉町の磯浜で地域住民とともにバーベキューを体験し、津軽海峡を目前に捕れたてのイカなど函館の海産物を堪能した。開発校長は「生徒たちが地元の人と交流を深める意味は大きく、このような修学旅行は今後増えるのでは」と話す。函館のスタッフも、大人数での受け入れ体制や、学校の要望に合ったプログラム充実を考えるなど、新しい修学旅行のスタイル提案に意気込みを見せている。

 同校では見学だけでなく、体験を含んだ深みのある修学旅行を検討。歴史があり和洋折衷の文化にあふれ、漁業の街である函館を楽しもうと、函館のオプショナルプラン予約センター・はことれ(小林功代表)を通じ、この体験学習を知った。旅行を担当したJR北海道旅行センター教育旅行支店の池田光孝主任によると、このような体験を入れる修学旅行は初めてという。

 磯浜では「住吉浜の体験学習をすすめる会」の木村マサ子さんら7人が献立などを用意、生徒の指導に当たった。生徒は数人ごとのグループに分かれ、始めに自分たちが座るいす作りに挑戦。次に地元の漁師が捕ったイカ、ホッケなどを串に刺し、野菜などと一緒に味わった。生徒からは「海を目前にして食べるのは初めて」「ほかの学校の友だちに自慢できる」「函館の人たちはとても親切」「一緒に料理し仲間意識が深まった」との声が聞かれた。

 開発校長は「歴史、文化、地元感といったフルコースを味わえる良い旅行になった」と喜ぶ。小林代表は「修学旅行の目標に合ったプランを作るのに函館はさまざまな要素がそろっている。今後も多彩な案を提供していきたい」と話す。木村さんは「秋には160人が訪れる計画もある。大人数でも受け入れ可能なスタッフを育成し、天候に左右されない場所も考えていきたい」と話していた。(山崎純一)



◎美和小内部が全焼…厚沢部

 【厚沢部】6日午前11時半ごろ、厚沢部町美和236の町立美和小学校(山崎憲一校長)から煙が出ているのを校務補の女性(54)が発見、山崎校長が119番通報した。木造1階建ての校舎内部約410平方メートルを全焼し、午後零時18分に鎮火した。休日のため出火時に校舎は無人で、児童らにけがはなかった。町教委によると週明け以降の授業再開はめどが立たず、7日に予定していた運動会も中止する方針という。

 江差署は、燃え方が激しい職員室周辺を中心に出火原因を捜査している。校舎は1950年建設。屋内体育館を含む床面積は594平方メートル。校舎内には3つの普通教室、職員室、音楽室などがある。児童数は11人で3つの複式学級がある。7日午前9時半から運動会の予定だった。6日午前10時半ごろには、山崎校長やPTA関係者が打ち合わせを行っていたが校舎内に異常はなかった。施錠後にいったん全員帰宅し、午後4時から運動会の準備を計画していたという。

 住民が心のよりどころとする校舎の焼失は、静かな田園風景が広がる美和地区に衝撃を広げた。周辺住民は「運動会前日の火災で子供たちのショックも大きい。歴史のある校舎は地域のシンボルだったのに残念だ」と肩を落とした。

 町教委は、同日午後3時から緊急の教育委員会議を開催。損傷が激しい現校舎は使用不能な状態にあり、校舎内の書類や備品整理にも相当の時間を要することが報告された。同日夜から教職員や保護者らを交えて、授業再開の時期や場所について協議を始めた。学校周辺にある公共施設などを仮校舎として利用する案も浮上している。朝倉勝春教育長は「児童に不便な思いをさせないことが最優先課題。早期の授業再開を目指したい」と話している。(松浦 純)



◎音や字幕で映画に夢中…七飯初 道ユニバーサル上映祭

 【七飯】障害の有無にかかわらず、誰もが映画を楽しめる環境作りを目指す「北海道ユニバーサル上映映画祭」の初の七飯上映会が6日、町文化センター(本町6)で始まった。初日の1回目の上映には約130人が集まり、音声ガイドや日本語字幕付きの「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」(09年、マキノ雅彦監督)を鑑賞した。

 ユニバーサル上映とは補聴援助システム、音楽や効果音を体の動きや絵で表現する「ミュージックサイン」などを付ける独自の上映方法。市民有志の実行委(島信一朗委員長)が主催する映画祭はことしで4回目を数え、本祭は9月4―6日に北斗市で開催する予定。今回、関連企画として初めて七飯での上映を計画した。

 作品は廃園寸前の状態からあきらめず、動物の「行動展示」などを実現し全国から注目を集めるまでになった旭山動物園の実話を描く感動作。会場には親子連れや夫婦、車いす使用者などさまざまな人が訪れ、スクリーンに見入っていた。

 北斗市の主婦(50)は「動物が生き生きして良かった」と話し、ろうあ者の水元幸昭さん(66)は「ミュージックサインは映画のイメージと結びつけられ効果的。映画の作りも面白いし、動物園に行ったことがあるので懐かしかった」と喜んでいた。

 「シネマカフェ」と銘打った休憩所には函館芸術会議(HAM)の大平啓朗さんが同動物園で撮影した写真なども並び、来場者の目を引いていた。

 7日は午後2時半から上映する。問い合わせは事務局TEL0138・31・0010。(新目七恵)