2009年7月14日 (火) 掲載

◎道南、大雨と強風 函館・旭岡町で土砂崩れ

 梅雨前線を伴った低気圧が本道付近を通過した影響で、道南は13日未明から局地的に大雨となった。函館海洋気象台によると、降り始めの同日午前零時から午後2時までの降水量は知内町83・0ミリ、厚沢部町59・5ミリ、八雲町56・5ミリを観測した。午後には風も強まり、函館市で午後零時24分に最大瞬間風速22・3メートルを観測、市内では強い風雨を受けながら歩く人が見られた。

 この雨の影響で午前6時半ごろ、函館市旭岡町17の住民から近くの土砂が崩れていると消防に119番通報があった。斜面から高さ10メートル、幅5メートルの土砂が流出した。

 JRでは河川増水の影響などで、午前5時半ごろから江差線の江差―湯ノ岱間で、同10時40分ごろから同線の宮越―湯ノ岱間で一時徐行運転が行われ、函館発江差行き普通列車に最大1時間6分の遅れが出た。また午後5時半ごろ、青森県内の海峡線で強風が原因と思われる倒木で送電が遮断され、蟹田―知内間で一時運転を見合わせた。同7時11分ごろには、函館線野田生―山越間で、強風で木が電線に触れ火花が出たため、一時運転を見合わせた。

 ハートランドフェリーは奥尻―せたな間など計2往復4を欠航とし約165人に影響があった。函館土木現業所は、道道970号(蛾眉野原木線)の約11キロを土砂崩れの恐れがあるため、午前8時から通行止めとしている。

 【写真説明】強い風を受け、帽子を押さえながら歩く人たち(13日午前11半ごろ、JR函館駅前で)



◎「政権選択」いよいよ決戦 事実上の選挙戦突入 道8区各陣営

 衆院選の日程が決まったことを受け13日、道8区(渡島・桧山管内)に出馬する4陣営と道南の各政党も事実上の選挙戦に突入した。各党は前日の東京都議選の結果を冷静に受け止めながら、政権交代がかかった大一番で激しい攻防を繰り広げる。

 民主党現職で8区初挑戦となる逢坂誠二氏(50)は、都議選の結果を「与党の政策への不満が首都でも極めて強いという都民の怒りの結果」と受け止める。しかし「選挙は何が起こるか分からない。あらためて気を引き締めたい」と手綱を緩めない。13日も朝から松前や福島町の地方回りに力を注ぎ、有権者の声に耳を傾けた。「国民の思いや実態を反映できる政治を実現しなければ」と政権交代へ強い決意を見せた。

 自民党新人で前参院議員の福島啓史郎氏(63)は「8月30日の選挙は想定内」と語る。自民党が敗北した都議選について「総選挙に影響しないとは言えないが、麻生政権での選挙戦が決まったことで一致団結する機運は高まる」とみる。出馬表明が昨年9月と出遅れたが、6月には連合後援会も設立。「一人でも多くの人たちに主張を聞いてもらう。民主党代議士を送り続けたことで疲弊した道南をよみがえらせたい」と訴えた。

 3回目の挑戦となる無所属新人、佐藤健治氏(51)は13日も函館市内の支援者回りに明け暮れた。4年間にわたり地道に道南を歩き続け、「経済の疲弊や人口減少など、地方の現状は深刻であることを肌で感じた」という。加藤清郎連合後援会長は「早急に事務所開きをして、マニフェストを発表したい。都議選の影響は関係ない。あくまで市民党として有権者に訴えていくだけ」と語る。

 宗教法人「幸福の科学」が母体の政治団体「幸福実現党」道本部副代表の新人、西野晃氏(32)は「都議選で自民が限界に来ていることを有権者が示した。わたしたちは自民党から離れた有権者の受け皿を目指す」と語った。

 公明党は比例候補の当選や与党の勝利に全力。都議選では23人全員の当選を果たしたが、志賀谷隆党8区連合会長は「連立与党の立場から自民党のさまざまなマイナス要因が影響して厳しい戦いになる」と語る。生活者や国民の目線に立った政策を実現してきたことを前面に打ち出して支持拡大を図る。

 8区で選挙区候補の擁立を見送った共産党は、比例候補の当選などに重点を置く。都議選では議席を減らしたが、党函館地区委員会の高橋佳大委員長は「都議選の得票結果から衆院選に生かす教訓を分析し、共産党の値打ちを有権者に訴えていく」と巻き返しを図る。(衆院選取材班)



◎体育館建て替えに期待 利用団体と市議会が懇談

 市民体育館のあり方を調査している函館市議会の総務常任委員会(浜野幸子委員長)は13日、湯川町1の市民体育館を視察し、4利用団体と懇話会を開いた。老朽化と狭あい化が進んでいる現状やスポーツ振興などの観点から、利用団体からは建て替えに期待する声が寄せられた。

 スポーツ振興の観点から市社会体育振興会の小泉正勝会長は「頂点が高いと底辺が広くなる。レベルが高いスポーツを見ると選手層も厚くなり、そのためにも大きな大会を呼べる体育館が望まれる」と述べた。

 函館地区バドミントン協会の加藤清郎会長は「大会があれば小学生1人の選手に応援の家族が3人、4人と訪れる。スポーツ振興だけでなく、選手と家族が函館に滞在し宿泊することの経済効果も期待できる。事業の優先順位もあるだろうが、6年後に迫った北海道新幹線開業までに道筋をつけてほしい」と期待した。

 市電沿いで空港や宿泊地にも近い現在の立地については「確かにいい場所ではあるが、ここにこだわらず、ふさわしい場所を探して建てるべき」という声があった。

 懇談会に先立ち、委員は市教委から現体育館の概要の説明を受けた。「改修でアリーナの拡張やサブアリーナを造ることは技術的に可能かと」の質問に対し、多賀谷智教育長は「立体の建物なので難しいが、だからといって(改修では駄目だという)議論にはならない」と答えた。委員からは、人口減や少子化が続くことが見込まれるため、巨費を投じて建て替えることへの慎重論もあった。(高柳 謙)



◎トマト共同選別施設が完成 処理量3倍

 【北斗】北斗市トマト共同選別施設(トマトターミナル)=同市中野通313=の竣工式が13日、行われた。農業関係者ら約120人が出席し、新施設の安全稼動と地域ブランド化の促進を願った。

 同市では、合併前の旧大野地区と旧上磯地区それぞれが独自の共選出荷を行いトマトの生産振興を図ってきた。全国の市場から品質に関する評価も高く、さらなる需要があるものの、施設の処理能力不足などにより作付面積の拡大が困難だった。今回の新ターミナルは、選別処理量がこれまでの約3倍の1日29・7トンに拡大。両地区での選別基準を統一化することによって、北斗市産トマトとして産地ブランドの確立も期待される。

 竣工式には運営管理主体であるJA新はこだてと事業主体である北斗市の関係者をはじめ、地元生産者らが出席。JA新はこだての畠山良一代表理事組合長は「トマト生産者にとって念願の施設がようやく完成した。大野、上磯両地区の架け橋として活用されることに期待したい」とあいさつ。海老沢順三北斗市長は「北斗市は道内でも屈指のトマト産地。新たな選別施設完成をきっかけに、ますます生産量を増やして欲しい」と祝辞を述べた。

 続いて畠山組合長や海老沢市長などによる起動式が行われ、試験運転がスタート。コンテナに乗って運ばれたトマトは、センサーによって自動的に大きさや品質をチェックされていった。同施設では20日から本格的な出荷を行う。(小川俊之)


◎改正臓器移植法成立 道南の患者団体「ひと安心」 医療機関は体制構築急ぐ

 臓器移植法改正案(A案)が参議院本会議で可決、成立した13日、道南地域でも審議結果に注目が集まった。

 法案成立の行方を左右する衆議院解散が取りざたされる中での採決。A案の成立を望んでいた、渡島・桧山管内の腎臓病患者団体「道南腎臓病友の会」の山谷正幸会長(68)は「対案が出るとは思っておらず、場合によっては廃案の不安もあっただけにひと安心した」と胸をなで下ろす。

 改正法では、現行法で認められなかった15歳未満の臓器提供が可能となり、脳死も一般的に人の死と位置付けられる。臓器移植の規制が緩和される一方で、医療機関の役割、責任は重みを増す。

 道南で唯一、臓器提供施設に指定されている市立函館病院(吉川修身院長)でも、改正法に対応した体制構築を急ぐ。2000年11月に同病院で行われた道内初の臓器移植に携わった吉川院長は「家族に対する対応や、脳死状態の患者の人工呼吸器をはずすタイミングなど、現行法に比べ慎重かつ配慮が必要になる」と話す。終末期医療を受ける患者の家族の意向を確認をする専門のコーディネーターの育成や、病院独自の脳死に対するガイドラインも必要となり「院内で協議し体制を整えていく」としている。