2009年7月15日 (水) 掲載

◎アイヌの民族衣装展示 北方民族資料館看板リニューアル

 函館市末広町21の市北方民族資料館(沼崎孝男館長)はこのほど、同館入り口前にある看板をリニューアルした。館内の展示・収蔵物が描かれ、沼崎館長(62)は「世界に誇るアイヌ民族などの資料がたくさんあることをPRしていきたい」と話している。

 同館は1926(大正16)年建築の日本銀行函館支店の建物を再利用し、89年に「函館市北方民族資料・石川琢木資料館」としてオープン。93年に現在の名称となった。これまでの看板は97年に設置。シマフクロウなどアイヌにかかわる動物が描かれていたが、利用者から展示内容が分かりにくいと意見があり、更新された。

 新しい看板は、横150センチ×縦90センチの写真プリントのシールを張った。デザインは沼崎館長が中心に考案し、パソコンでデータを作成。アイヌの衣装に施されている文様を背景に、バイタルカ(船)、タマサイ(首飾り)、山丹服などの展示物を8種類を配した。「手間をたくさん掛けたが経費は少なくした」と沼崎館長。

 同館は由緒ある建物が街に溶け込み、目立ちにくいため、場所を知らない市民も少なくない。沼崎館長は「まずは地域の人が、郷土の先人が残した資料を見に来てほしい」と話している。(山崎純一)

 【写真】アイヌ民族に関する資料がデザインされた市北方民族資料館の看板



◎来月函館で日ロ沿岸市長会議 経済、観光の協力強化

 日本海と極東ロシアの市長が経済協力などを話し合う第22回「日ロ沿岸市長会議」が8月18日から3日間、函館市で開かれる。函館では1997年以来2回目の開催で、中心となる議題は「経済」「観光」。今回初めて日ロ沿岸ビジネスフォーラムを併催し、貿易や観光について実務面での協力強化を目指す。

 西尾正範市長が14日の記者会見で発表した。市長は「開港150周年の記念すべき年に歴史ある国際会議を開催でき、意義あること」と話している。

 日本の18市で組織する日ロ沿岸市長会が、ロシア18市の「ロ日極東シベリア友好協会」とともに1970年から開いている。ほぼ隔年開催で、2年前はロシアのブラゴヴェシチェンスクで開いた。函館大会では秋田、新潟、富山などの18都市と、ロシアからウラジオストクやハバロフスクなど10都市前後が参加を予定している。

 市国際課によると、18日は市主催のレセプションを開き、19、20日の沿岸市長会議にフォーラムを組み入れて開催する。参加者は各都市の市長や代表、両国政府関係者、商社などから100―150人となる見込み。

 19日の議題は「経済」で、参加都市間の協力で期待できる経済の発展モデルについて参加市長が発言。日ロ極東間や沿岸地域での貿易拡大や港湾振興、物流増大などについて社団法人ロシアNIS貿易会(東京)の関係者が事例報告などをする。

 20日の議題は「観光」で、参加都市間の現状や可能性について各市長が発言。意見交換会で将来の展望や観光振興に向けた方策を探る。

 前回の会議では①経済・観光分野での交流促進②環境と調和したまちづくり―が議題となり、「双方向の観光を一層活性化させるため、観光客の受け入れと送客のノウハウ交換に向け、人材の相互派遣を検討する」などとする共同コミュニケを採択している。



◎支庁再編で振興局 農業・水産 業務の大半存続

 【江差】支庁制度改革をめぐり道は14日までに、10月1日に現行の14支庁から名称を変更する総合振興局と振興局の事務内容をまとめた「新しい支庁における事務(検討案)」を公表した。道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)など地方4団体や桧山など5振興局地域との協議を通じて、年度内にも総合振興局と振興局の組織体制を決定する。総合振興局に移管・集約する広域事務の内容も並行して議論を進め、新年度から3年程度での段階的な移行を図る方針だ。

 農業・水産部門では、現行の桧山支庁が所管する業務の大半を存続する形になった。林務課は保安林指定、林地開発許可、林業施行計画の認定などを総合振興局に移管。総務課からは、職員厚生、経理審査など、地域政策課では広域プロジェクト、市町村合併、事務・権限委譲、土地利用などの業務を移管。環境生活課でも一般廃棄物、リサイクル、環境保全などの業務を集約する。再編に伴い道は土木現業所を総合振興局に吸収するが、留萌振興局には例外的に留萌土現の事務を所管させる。

 3月末の支庁再編条例改正に伴い、道は14支庁管内での事務完結を基本に据えた。このため、桧山など5振興局を「支庁出張所」に位置付けた旧条例よりも、振興局の所管事務が拡大した、だが、桧山各町からは「どの程度の職員数を確保できるのか。問題はマンパワーだ」「地域が求める産業振興の強化が反映されるのか」「保安林指定など管内で完結すべき事務もある。どのような基準で線引きしているのか説明が必要」との声もある。

 一方、道は10月1日の条例施行に向けたスケジュールも明らかにした。10月までに施行期日を定める規則を制定。道民や関係機関への周知、支庁から総合振興局・振興局への名称切り替えも行う。総合振興局・振興局の組織体制は、6月に公表した基本フレーム素案と広域事務リストをもとに市町村への意見照会に着手している。

 10月以降に開催する、道町村会など地方4団体との全道レベルの協議とともに、桧山など5振興局地域との地域協議を通じて、年度内をめどに組織体制と新年度中に移管する広域事務を決める。2011年度以降に集約する広域事務は、新年度以降も継続して協議を行うとした。



◎病をおして19日に公演 ギリヤーク尼ケ崎さん

 函館市出身で国際的な創作舞踊家、大道芸人として活躍するギリヤーク尼ケ崎さん(78)の青空舞踊公演「祈りの踊り」が19日午後2時から、市内松風町の大門グリーンプラザで開かれる(雨天決行)。ギリヤークさんは街頭で踊り始め41年目。2006年秋に肺気腫を患い、昨年末には心臓病のためペースメーカーを付けているという。「不安な気持ちはあるが古里での公演を成功させたい」と意気込んでいる。

 ギリヤークさんは1930年、市内若松町で生まれた。子どものころ、近所で見た大道芸人に影響され、21歳の時に俳優を志し上京するも”なまり”で夢を断念。「自由に踊りたい」と創作舞踊家へ転向し、57年、全日本芸術舞踊協会主催の公演で舞台デビュー。約10年後、38歳の時から街頭公演を始めた。

 今年に入り3カ月間静養し、4月末に関西公演を行った。最近は夏の北海道公演を恒例としており、今年も7月1日の苫小牧を皮切りに8月9日まで11カ所で行う。函館では「じょんがら一代」「よされ節」「念仏じょんがら」の3演目を精魂込めて披露する。

 ギリヤークさんは「函館では道内公演での疲れがたまるころだが、観客の目が肥えているだけに緊張して臨む。じょんがらのバチさばきの動きの激しさに時々胸が苦しくなる。気絶するかも知れないが必死になって踊りたい」と話している。

 入場無料。投げ銭を受け付けする。(山崎純一)


◎18日から「大門祭」 ことしも催し多彩

 「第9回大門祭」が18、19の両日、大門グリーンプラザで開かれる。今年は恒例の「イカそーめん早食い世界大会」や抽選会など多彩な催しのほか、来場者が大門のマップづくりに加わる参加型企画も充実。学生でつくる実行委は「大門の魅力を伝えたい」と張り切っている。

 開催時間は両日午前10時―午後6時。18日は参加者がクイズに挑戦する「やわらか頭脳選手権」(午前10時35分)やもちまき(午後3時55分)のほか、極真空手やダンス、アフリカ太鼓などさまざまなパフォーマンス披露を用意。19日もイカそーめん早食い大会(午後零時10分)や豪華景品が当たる大抽選会(同3時55分)、ギリヤーク尼ケ崎さんの演舞(同2時)など人気の催しを準備する。

 両日行う企画は、大門の地図に自分の好きなコメントや情報を寄せる「大門マップ」の作成、来場者の笑顔の写真(当日会場で実行委が撮影)などを集める「SMILE」を計画。フリーマーケットや函館開港150周年を記念した紙芝居の披露もある。

 実行委は、公立はこだて未来大、道教育大函館校、北大水産学部、函館短期大の学生ら31人で組織。本番に向け、放課後から夜遅くまで連日準備作業に汗を流している。未来大2年の青山結実行委員長は「活動を通して大門が好きになった。いろいろな人の協力のおかげでここまで出来た」と話している。

 問い合わせは青山委員長TEL090・2059・2867。(新目七恵)