2009年7月18日 (土) 掲載

◎LED照明、企業も利用 加藤組土建が事業展開 電気代節約、環境対策PR

 白熱電球や蛍光灯に比べ低電力で寿命が長い発光ダイオード(LED)を照明に利用している事業所が、函館市内でも出てきた。ガソリンスタンドや土産物店への普及を進めた加藤組土建(函館市千歳町、加藤健太郎社長)は「電気代の節約のほか、環境問題に企業で取り組んでいることをアピールする効果が期待できる」と話している。

 LEDは高照度、省電力、長寿命が特徴。寿命は4万時間で、白熱電球の20倍以上、蛍光灯の5倍程度といわれる。電球の5分の1以下の電力で同程度の照度が得られる。白熱電球が1個100円台に比べ、LEDは7000円以上と高いのが難点だが、長期的には投資額以上の電気代節減が図られるという。

 はこせき大川町サービスステーション(大川町13)は6月下旬、ガソリンスタンドの400ワット水銀灯20個を72ワットLED20個に変えた。水銀灯であれば年間約84万円の電気代がかかるが、LEDの場合は約15万円で、5分の1以下。二酸化炭素(CO2)排出量換算では水銀灯が年間15・5トンに対し、LEDは2・7トン程度という。

 同SSの名久井公平所長は「CO2排出抑制と電気代の節約などから導入した。はこせきでは水道の節水装置導入や省エネタイプのオイル、タイヤ販売などにも力を入れており、今後も環境対策を進めたい」と話す。

 加藤組土建では金森倉庫内の土産物店にも5月にダウンライト型のLEDを導入した。全国的にはコンビニや街路灯などでの導入が進み、同社には渡島管内の自治体や民間事業所、大学などからも導入を検討する声が寄せられているという。

 同社は新たな業務展開として、環境に配慮した事業を特化している。重金属が含まれる土壌から有害物質が熔け出さない工事やアスベスト(石綿)除去、太陽光パネルの販売などを展開。地域が産学官連携で温暖化防止対策を進める地域協議会の設立も、函館市や大学に呼び掛けて準備を進めている。

 同社の挽野恭造環境事業部長は「企業の環境に対する責任が大きくなってきている。100年前からの建築・土木事業に環境事業をマッチさせ、業務を多角化させていきたい」と話している。(高柳 謙)

 【写真】水銀灯の照明(上)からLED照明(下)に替えたはこせき大川町サービスステーション。電気代は5分の1以下になった(加藤組土建提供)



◎新島譲の志たたえる 海外脱国祈年祭

 函館から脱国してアメリカで勉学に励み、帰国後に同志社大(京都)を創設するなど、明治維新の大業に命を賭けた新島襄(1843―90)の偉業をたたえる「海外渡航祈年祭」(新島襄・パトスの会主催)が17日、函館市大町の海外渡航記念碑前で開かれた。同会(宮腰善行代表)の会員など約10人が参列。碑に献花し、新島の志をたたえた。

 函館の開港から5年が経ち、海外渡航が禁じられていた1864(元治元)年、新島は国を憂い、海外に新しい知識を求めること決意し、江戸から函館へ到着。7月17日、大町の海岸からアメリカ船ベルリン号に乗り込み密航に成功した。

 同会は、新島と、新島の行動を支援した函館の福士成豊の見識をたたえ2000年に設立。記念祭では参列者が碑前に献花し、手を合わせた。次に、日本キリスト教団函館千歳教会の井石彰牧師が教会と新島のかかわりを紹介。新島がアメリカで受けたキリスト教(会衆派)の精神が、同志社、日本のキリスト教の精神につながっていると話すと参列者はメモを取るなどして聞き入っていた。(山崎純一)



◎遊泳解禁 砂浜に歓声 海水浴場オープン

 湯川海水浴場(函館市根崎町)の遊泳が17日に解禁され、待ちわびた市民らが泳ぎや砂浜での日光浴を楽しんだ。

 同海水浴場は15日に開場したが、荒天のため遊泳禁止にしていた。

 快晴に恵まれた17日は、開場前に安全祈願と、救護担当者、消防職員合同の水難救助訓練が行われ、態勢を万全にした上で午前10時に遊泳者を受け入れた。

 この日は1日を通して海水温が18度前後と遊泳するにはやや低めの温度だったが、スタッフが場内で測る気温が正午過ぎに28度を記録し、海水浴日和に。若者のグループや親子連れらが海面に設置した人工の浮島や砂浜で戯れていた。

 今季の初泳ぎを満喫した市内日吉町の能登浩さん(50)は「きょうは少し水が冷たかったが、気持ち良かった。晴れた日は通いたい」と話していた。

 期間中、4―6人体制で救護や場内の監視に当たる日赤函館市地区水上安全法奉仕団の小山内稔委員長(71)は「遊泳者が事故に巻き込まれないよう監視に当たる」と気を引き締めていた。

 同海水浴場は8月23日まで開放し、遊泳時間は午前10時から午後4時半まで。25日からは入舟町前浜海水浴場(入舟町22)も8月18日まで開場する。(鈴木 潤)



◎ビール電車 運行開始

 函館市交通局の「ビール電車」が17日に運行を開始した。初日は事前に予約した団体客が電車内で冷えたビールを飲みながら楽しいひとときを過ごした。

 サッポロビール北海道本部道南支社が貸切用電車「アミューズメントトラム」を運行してビールを提供するサービスで、毎年この時期に実施している。午後6時半に駒場車庫をスタート、函館どつくを折り返し、同車庫に到着する運行コースで、同社で生ビールと発泡酒各1樽(10リットル)を用意している。

 この日は「チンチン電車を走らせよう会」(佐原幸子会長)の会員30人が利用。同車庫を出発したと同時に乾杯をした後、用意されたオードブルを食べながら談笑したり、電車内に設置されているカラオケをしながら親ぼくを深めた。佐原会長は「電車内での宴会はとても楽しい」と話していた。

 ビール電車の運行期間は8月22日まで。1運行2万4000円。定員は最大35人で、何人からでも予約可能。申し込み、問い合わせは同局運輸課TEL0138・32・1730、同52・1273。(鈴木 潤)


◎函工生徒3部門で全国大会出場 高校生ものづくりコンテスト

 函館工業高校(昆野茂校長)の生徒が、11月に神奈川県で開かれる「第9回高校生ものづくりコンテスト全国大会」(社団法人全国工業高校長協会主催)に出場する。このほど行われた道大会の旋盤作業、化学分析、測量の各部門で優秀な成績を収めたため。3部門での全国出場は2005年以来4年ぶりとなり、生徒たちは意欲を新たにしている。

 このコンテストはものづくり技術、技能の継承を図る機運を高めようと、高校生の学習成果発表の場として開催している。自動車整備や電気工事など計7部門があり、地区別のブロック大会を経て全国出場選手が決まる。

 化学分析で最優秀賞に輝いたのは工業化学科3年の新田知弘君(17)。競技は食酢の酢酸を定量する技術を競うもので、同じ高得点を取った生徒がもう1人いたが、作業をわずか10秒早く終えた新田君が優勝した。全国に向け、「もちろん優勝したい」と意気込みは十分。

 測量で最優秀賞を獲得したのは環境土木科3年の田中真貴君(17)、飯田洋介君(18)、2年の大久保公一郎君(17)、工藤尚也君(16)。グラウンドに描かれた五角形の内角と辺の距離を制限時間内に測る競技で、リーダーの田中君は「みんな落ち着き、練習以上のスピードで正確にできた」と喜ぶ。飯田君は「夢なら覚めないでと思った」、大久保君も「かなりうれしかった」と道大会を振り返り、補欠で大会参加はかなわなかった工藤君は「全国でもいい成績を残して」とエールを送る。

 電子機械科3年の板橋祐也君(17)は旋盤作業で2位に当たる優秀賞となった。「扱う機械が学校と違ったのでうまく仕上がるか心配だった」とし、「全国でも高い点数を取りたい」と目標を語っている。(新目七恵)


◎目指せ日本一の辛子めんたいこ 乙部で新プロジェクト

 【乙部】日本一の辛子めんたいこに!―。全国最高レベルの品質を誇る乙部産のタラコを生かした「辛子めんたいこ」の新商品開発を目指す、乙部町商工会(三上岩雄会長)のプロジェクトが17日に始動した。辛子めんたいこの本場・福岡の老舗メーカーから秘伝を学びながら、商品開発や販路開拓のけん引役となる人材育成を進める。商工会は地域の食品業者や農漁業者にも技術のすそ野を広げ、辛子めんたいこの生産を本格的な地場産業に育て上げたい考えだ。

 17日に開かれた「農商工連携等人材育成委員会」の初会合。食品業者、漁業者、ひやま漁協などの関係者7人で構成する。委員長の馬渕悟・道東海大教授は「原材料だけを出荷していた時代は終わり。良い製品づくりにより優れた人材も育つ」と訴えた。三上会長も「農漁業、商業が知恵を出し合い商品化に挑戦しよう」と呼び掛けた。プロジェクトは全国商工会連合会が人材育成事業に採択。費用500万円を全額負担する。道内で採択されたのは士幌町商工会(十勝管内)など4団体だけだ。

 来月にも3人程度を、計画を応援する福岡の老舗メーカーに派遣。唐辛子など百種類以上の原料を組み合わせた秘伝の“漬けだれ”の製法をはじめ、品質管理や販路開拓のノウハウも学ぶ。実地研修を通じて、乙部独自の新商品開発や販路開拓など、計画の中心を担うリーダー育成も目指すという。

 真冬の乙部沖では道内では珍しい「はえ縄漁」でスケトウダラを水揚げ。魚体を傷付けることなく、タラコも抜群の鮮度と味覚を誇る。福岡の有名メーカーが乙部産のタラコを仕入れるなど全国的に最高級の位置付けにある。商工会を中心に2007年度には、無添加・無着色の高級タラコ「玉粒(たまつぶ)」の開発プロジェクトを立ち上げ、食品バイヤーの高い評価を受けた。08年2月にはアラブ首長国連邦のドバイで開かれた国際食品見本市に出品した実績もある。こうした既存の製品とともに「新たに加わる辛子めんたいこを全国に発信することで『乙部ブランド』を確固たるものにしたい」(敦賀正春商工会事務局長)。

 町内では今春、地場企業の大型倒産が発生。雇用確保や経済再建も急務だ。商品開発と並行して、実地研修を受けたメンバーを中心に、町内の食品業者や農漁業者にも製造技術のすそ野を広げることで、本格的な生産開始を視野に入れた人材育成と雇用の開拓にもつなげたい考え。(松浦 純)