2009年7月19日 (日) 掲載

◎ナッチャン おかえり!…期間限定で運航再開

 函館―青森間を結ぶ道南自動車フェリー(函館市港町3)の高速船「ナッチャンWorld(ワールド)」が18日、約9カ月ぶりに運航を再開した。原油高などを理由に昨年10月末でいったん姿を消したが、第1便には復活を待ち望んだ大勢の市民や観光客らが乗り込んだ。

 9月30日までの期間限定で一日1―2往復する。同航路の所要時間は2時間45分と就航当初より約1時間長い分、運賃は従来より約3割引き下げた。同社は来季までに別の新たな船を導入する計画で、ナッチャンによる青函航路の運航は今季が最後となりそうだ。

 午前10時45分函館発青森行きの第1便には、定員の約6割に当たる計436人が乗船。車両は乗用車がほぼ満車の125台だったほか、トラック5台、観光バス1台だった。乗船開始直後からこの日を待ちわびた利用客が次々と乗り込み、船内で記念撮影する姿も目立った。

 両親と青森へ帰省する函館中央小5年、橋本実歩さん(11)は6回目の乗船で「ナッチャンは海に浮かんでいるような感覚になる。絵柄もかわいくて大好き」と笑顔。青函連絡船以来の船旅という市内の団体職員、仲野猛さん(47)は「高速船はいつか乗りたいと思っている間に運休してしまった。船内は想像以上に快適で、期間限定なんてもったいない」と話した。

 同社によると、期間中は延べ5万人の利用を見込み、お盆の時期を中心に既に予約で満席の便もあるという。同社は「高速料金割引効果もあって出足としてはまずまず。何よりお客さまからの復活への反響が大きく、安全で快適な運航に努めたい」としている。(森健太郎)



◎民族衣装の体験も…極東大ロシアまつり

 「第12回はこだてロシアまつり」が18日、ロシア極東大函館校(函館市元町)で開かれた。悪天候のため、屋外で予定していたイベントが急きょ室内での開催となったが、大勢の市民や観光客らでにぎわった。

 今年は同大学の開校15周年と函館開港150周年を記念し、イベントの内容もパワーアップ。ロシアレストラン「スタローバヤ」では、おなじみのピロシキをはじめ、ロシア風ギョーザ(ペリメニ)やウクライナ風ギョーザ(バレーニキ)など多彩なメニューが人気を集めた。またマトリョーシカや白樺細工のアクセサリーなどが並ぶ「キオスク」にも人の波が絶えなかった。ステージプログラムでは学生によるロックバンドの演奏や、学生と教職員による新作人形劇の上演なども行われ、会場は熱気に包まれていた。

 また民族衣装の体験コーナーでは、女性や子どもたちが華やかな衣装を身に着け、記念撮影を楽しむ様子が見られた。札幌から訪れた高田純子さん(55)は、昨年から函館に単身赴任している夫の育生さん(54)に誘われ、初めてロシアまつりに足を運んだ。民族衣装を試着した高田さんは「きれいな衣装を着ることができてとても楽しかった。地元の友人も誘って来年もまた来たい」と話していた。(小川俊之)



◎5353人大歓声…コンサドーレ、函館で草津戦

 サッカーJリーグディビジョン2第28節「コンサドーレ札幌対ザスパ草津」が18日、函館市千代台町の千代台公園陸上競技場で開かれた。時折小雨が降る肌寒い天候の中、地元函館や道内などから5353人の観衆が応援に訪れた。試合は1―2で札幌が敗れた。

 1年に1回のJリーグ公式戦函館開催とあり、スタンドには地元クラブを一目見ようと、赤いユニホームに身を包んだ家族連れの姿が多く目立った。2点を追う前半20分、上里一将(23)のコーナーキックにダニルソン(22)が頭で合わせて1点を返すと、逆転を信じるファンから大歓声が起こり、盛り上がった。

 北美原小4年の吉岡和也君(9)と同1年で弟の洸太君(6)は「すごい迫力で楽しい」と選手に声援を送っていた。(山田孝人)



◎新鮮野菜 おいしいよ…鶴野の直売所「いもっこ」市 今年も人気

 函館市白石町208の白石公園パークゴルフ場前で、とれ立ての野菜を100―300円の安価で販売する鶴野町会(大槻寅男会長)の直売所「いもっこ市」が、今年も人気を集めている。野菜の栄養価や効能を伝えるプラカードも「分かりやすい」と好評。農家は「うちは毎回旬の野菜を提供する直売所。安くておいしいので、気軽に足を運んで」とPRしている。

 鶴野、白石、豊原の3町は広大な野菜畑や家庭菜園が広がる農園地帯。大槻紀子さんら同町会の農家が7年ほど前から毎年、6月中旬―10月下旬の約4カ月間限定で、月、火曜日を除いて直売所を開いている。

 店にはホウレンソウ、ニンジン、ワラビ、アスパラ、ササギ、トマト、ズッキーニ、シイタケ、シュンギク、ジャガイモ、アズキ、黒豆などがずらり。ダイコンの葉が疲労回復につながる効能や、完熟トマトがリコピンやグルタミン酸などの栄養素を豊富に含んでいる特徴を説明したプラカードは、野菜について正しい知識を持ってもらうべく、今年初めて用意した。

 長谷川照美さんは「とれ立て野菜の魅力はたくさん栄養が詰まっていておいしいこと。地産地消と生鮮野菜の提供が同時に実現できる、これこそ本当のエコだと思う」と語る。

 リピーターの戸井地区在住の金澤俊子さん(62)は「野菜はすべてここで買っている。種類が豊富で安いし、何よりおいしいからとても助かる。生産者の顔が見えるのもいいね」と話している。

 営業は水―金曜の午前10時―正午、土・日は午前10時―午後2時。レジ袋は配布していないため、買い物袋を持参すること。今後はトウモロコシやネギ、カボチャなどが並ぶ予定。(長内 健)


◎平沢屏山の風俗画も…市立博物館特別展「アイヌの美」開幕

 函館開港150周年を記念した市立函館博物館(函館市青柳町17、田原良信館長)の特別企画展「アイヌの美―カムイと創造する世界―」(同館、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構主催)が18日、同館で始まった。日本では初公開となるアイヌ絵師、平沢屏山のアイヌ風俗画や、色とりどりの刺しゅうが施された衣服などが展示され、一目見ようと市内外から多数の来場者が詰め掛けた。

 展示する資料数は約260点。ロシア民族学博物館(サンクトペテルブルク)、オムスク造形美術館(シベリア・オムスク)、同博物館、函館市中央図書館、道開拓記念館(札幌)の収蔵資料が一堂に会した。

 開会式で函館市教委の多賀谷智教育長は「アイヌ民族が生活の中で作り上げてきた美の世界に触れるまたとない機会。函館とロシアの交流にも思いをはせて見てほしい」と述べた。ロシア民族学博物館のアレキサンダー・ミーリン副館長らもあいさつした。

 テープカット後、来場者は会場内に入り、学芸員の説明を聞きながら展示品を眺めた。開催に合わせて家族4人で訪れた長野県飯田市の野沢雄希君(13)は「模様や服の形が独特だし、クマの皮を服に使っているところがおもしろい」と興味深そうに見ていた。

 9月6日まで。入場料は一般400円、大学、高校生200円、小中学生100円。毎週月曜日休館。20日は臨時開館し、翌21日は閉館する。問い合わせは同館TEL0138・23・5480。(小泉まや)