2009年7月2日 (木) 掲載

◎開港150周年式典、新たな函館の創造誓う

 函館開港150周年記念式典(函館市主催)が1日、関係者約1200人が出席して函館市民会館で開かれた。市民出演の舞台劇や小林亜星さん作曲の記念ソング「あれから そして今」を披露。先人が築いた歴史や文化を礎に、新たな函館を創造していく契機とすることを誓った。

 港とともに発展してきた国際観光都市らしく、中国の崔天凱駐日特命全権大使やロシア、アメリカ、オランダ、カナダの政府代表、高橋はるみ知事らが出席した。

 記念ソングは小林さんの指揮で、函館合唱連盟の約220人が歌い上げた。「赤い煉瓦(れんが)の倉庫群」「賛美歌聞こえる石畳」など、公募した言葉を歌詞に紡ぎ、軽快なテンポで函館の未来を開くことを歌い上げた。

 西尾正範市長は式辞で「開港により函館には多くの人々が夢と希望を持って集まり、異なる文化がとけ合う地となった。先祖が営々と築いた歴史と文化を大切に、函館の持つ良き気風を育て、開港200周年に向けてみんなで歩みを進めたい」と述べた。

 高橋知事も「先人が築いた歴史や財産を引き継ぎ、新たな魅力を創造し、まちが輝きを増して発展することを期待します」とあいさつした。

 オープニングで披露された舞台劇は、記念事業プロデューサーの岩堀恭一氏が手掛けた。刺激も活気もなく退屈な函館に「将来はない」と思っていた中学生4人が天啓を受け、函館に新たな魅力を加えるのは自分たちの役割であることに気付く。そして「夢と寛容な気持ちを持ち、未来に向けて進むことが大事」というメッセージを伝えた。

 「海の日」の周知や港湾振興などに尽くしたとして、市が日本海事広報協会の「海の日モデル地区」に認定され、西尾市長に豊島達理事長から認定書が贈られた。

 式典後は花びしホテルで祝賀会を開いた。

 開港記念事業は8月8日から16日まで緑の島で、メーンイベントの「ドリームボックス150」を開催。「食」「音楽」「スポーツ」をキーワードにさまざまなイベントを開催する。(高柳 謙)



◎函館の最高路線価が2年ぶりに下落

 札幌国税局は1日、相続税や贈与税の算定基準となる、2009年分の土地の路線価を発表した。函館税務署管内の最高路線価は、函館市本町、道道函館南茅部線通りの丸井今井函館店前が1平方メートル当たり26万5000円で前年比1・9%減。16年ぶりに上昇となった昨年度から一転、2年ぶりに下落した。

 昨年度の函館の最高路線価は、道新幹線開業をにらんだ本州資本による宿泊施設建設の土地買収の影響などで3・8%増となった。しかし、土地買収が一段落したことに、世界的な経済不況の影響が加わり、再び下落に転じたものとみられる。

 江差税務署管内の最高路線価は江差町本町の道道江差停車場線通り(五勝手屋本舗前)で、前年比9・1%減の4万円。下落率は前年から2・7ポイント拡大。八雲税務署管内は八雲町本町の道道八雲北桧山線通りで、前年比4・9%減の3万9000円。下落率は1・9ポイント縮小した。

 道内約1万8000地点の平均路線価は同6・0%減の4万7000円。道内の最高路線価は札幌中管内の札幌市中央区北5西3、道道札幌停車場通り(ステラプレイス前)で276万円(同6・1%減)だった。(小川俊之)



◎6月の日銀短観 道南の景況感改善

 日銀函館支店(市川信幸支店長)が1日に発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、渡島・桧山管内の企業の景況感を示す業況判断DI(「良い」とする割合から「悪い」とする割合を引いた指数)は、全産業でマイナス32となった。バブル崩壊後、最悪だった前回(3月)調査から1ポイント改善し、減速感のあった企業心理に下げ止まりの兆しもみられた。

 産業別では、製造業が前回を6ポイント下回るマイナス25。特に機械は最終需要が依然として低迷していて20ポイント悪化のマイナス50と下落傾向が続く。一方、食料品は個人消費の冷え込みが続き、前回より8ポイント悪化のマイナス25だった。

 非製造業は前回調査から3ポイント上昇のマイナス36と2期ぶりに改善。中でも小売が前回より30ポイント改善のマイナス40と急伸し、同支店は「各地のプレミアム商品券や家電製品のエコポイント、自動車関連の減税制度など国や地方の経済政策が一定の効果を上げたのでは」とみている。

 需給バランスを示す製商品・サービス需給判断DIは全産業で前回より6ポイント低下のマイナス49となり、供給過剰幅が拡大。また、在庫水準判断DIは前回より27ポイント低下のゼロに落ち着き、需要が回復しないまま企業の在庫調整が一段落したことが浮き彫りになった。

 3カ月後の景気予測を示す先行きDIは、全産業で横ばいのマイナス32。製造業はマイナス28と横ばいか悪化を見込んでいるのに対し、非製造業では2ポイント改善のマイナス34と横ばいか改善を予想する業種もあり、年後半の回復に期待をにじませている。

 調査は5月下旬から6月末まで道南の106社(製造業32社、非製造業74社)を対象に行い、全社から回答を得た。(森健太郎)



◎函館プレミアム商品券、2日で3万セット完売

 函館商工会議所が発行する15%のプレミアム(割り増し)付き商品券「函館開港150周年記念プレミアム商品券」は発売2日目の1日、全3万セット(額面3億4500万円)が完売した。追加発行は行わないが、利用できる参加店は8月末まで受け付けている。

 1枚500円券の23枚つづり1セットで、1万円で1万1500円分の買い物ができる商品券。6月30日に百貨店や大型スーパーなど市内12カ所で一斉に販売が始まり、発売初日に全体の約8割に当たる2万4000セットがさばけた。

 1日は残る6000セットを丸井今井函館店、棒二森屋、テーオーデパートの3会場で午前10時から売り出し、各会場とも午後1時すぎまでにすべて売り切れた。同会議所は「盛況のうちに完売してほっとしている。今後はいかに消費行動を地域活性化につなげるかが課題」としている。

 一方、同会議所などには市民から「販売時間が短すぎる」「(販売日が)平日なので買いに行けない」といった苦情も寄せられたという。商品券は9月30日までの3カ月間、市内800店以上で利用でき、参加店は同会議所のホームページ(http://www.hakodate.cci.or.jp/)で随時更新される。(森健太郎)



◎中華会館の公開始まる

 函館開港150周年を記念し、函館中華会館(函館市大町1)の特別公開が1日から始まった。華僑文化を伝えるとともに日中友好を象徴する建物を節目の年に見てもらおうと、8月24日までの期間限定で開館する。

 四川大地震被害者への義援金を集める目的で、4年ぶりに一般公開した昨年に続き、今年も人目に触れることになった。管理する社団法人函館中華会館の陳上梅理事長は「開港後、真っ先に交易した中国と函館は密接な関係がある。平和を願い、隣国・日本とともに栄えたいと友好を願った先人の思いを伝えたい」と話す。

 同館は1910(明治43)年、函館在住の華僑の出資で中国から技術者を呼び寄せて建設された国内に唯一現存する清朝末期の建物。くぎを1本も使わない純中国式れんが造りで、館内は金ぱくや漆で装飾が施され、正面には中国最強の神として華僑が厚く信仰する三国志の英雄「関羽」をまつる関帝壇がある。

 埼玉県から友人と観光で訪れた主婦(60)は「初めて館内に入ったが、天井や柱、調度品などの色彩が美しい。こういう古い建物がそのまま残っていることに感心した」と見入っていた。

 開館時間は午前11時半から午後4時半まで。入館料は大人600円、高校生350円、小中学生200円。問い合わせは同館TEL0138・22・5660。(宮木佳奈美)



◎厚沢部で「喜多里を楽しむ夕べ」 本格焼酎を満喫

 【厚沢部】喜多里(きたさと)を地元で飲もう―。札幌酒精工業厚沢部工場(厚沢部町鶉383、岩崎弘芳工場長)が製造している本格焼酎ブランド・喜多里の魅力をPRするイベント「喜多里を楽しむ夕べ2009」が1日、町保健福祉総合センターで開かれた。町内外の焼酎ファンをはじめ、原料となるサツマイモ・黄金千貫(こがねせんがん)などの生産に携わっている町内の農家など約300人がまろやかな味覚の焼酎を心ゆくまで堪能した。

 イベント開催は今年で3年目。同社の荒川康実常務は「全国で愛されるよりよい焼酎を作るために一層努力します」と感謝の言葉を述べた。来賓の高橋則克檜山支庁長は「上ノ国の豚肉を使った角煮を喜多里で香り付けしたところ大変おいしくできた。地元の食材と喜多里を使った料理も工夫していきたい」とあいさつ。祝杯の音頭を取った渋田正己厚沢部町長は「厚沢部の焼酎をさらにご愛顧いただけるようご支援をお願いします」と述べて高らかに杯を挙げた。

 会場では町内産の黄金千貫をはじめ、メークイン、二条大麦を使った3種類の焼酎が飲み放題。参加者はロックや水割りで堪能した。この日は工場地下の貯蔵庫にある大かめで1年半熟成した焼酎も提供された。町内の40代男性は「かめで熟成した焼酎は香りと味覚がとてもいい」と上機嫌の様子で話していた。

 同工場は2006年秋に操業を開始。今シーズンは黄金千貫を主力に720ミリリットル瓶換算で約63万本の出荷を見込んでいる。(松浦 純)