2009年7月20日 (月) 掲載

◎強風 アーチ倒れ女性けが…大門祭中止、一時騒然

 梅雨前線上の低気圧が、発達しながら本道に近づいた影響で、道南は18日夜から19日午前にかけて強い雨に見舞われた。各地でイベントの中止が相次いだほか、函館市志海苔地区でがけ崩れが発生。また、風の影響で、市内松風町で開かれていた「第9回大門祭」の会場でアーチが倒れ、けが人が出る被害が発生した。

 午前10時5分ごろ、函館市松風町のグリーンプラザで開かれていた「第9回大門祭」会場で、高さ3・6メートル、幅5・4メートルの木製アーチが強風にあおられて倒れ、近くにいた同市内のパート従業員の女性(50)にぶつかった。函館西署によると、女性は頭や右足首を打ち、同市内の病院に運ばれたが、命に別条はないという。

 同署の調べでは、アーチはベニヤ板製で、門型の両足部分内部にコンクリートブロックを置き、支えていた。電車道路に面した会場入り口付近に設置されていたが、強風にの影響で北側に倒れたという。

 大門祭は、市内の大学生ら31人で実行委員会(青山結委員長)を構成し運営。事故は来場者で混雑し始めた2日目のオープニング直後に発生した。実行委は、倒壊後に安全確保のために出店用テントの撤収と開催中止を場内アナウンスで呼び掛けたという。会場は消防車が出動するなど、来場者や撤収作業を進める学生らで一時、騒然となった。

 実行委関係者は「突然の強風だった。アーチは過去にも使用したことがあり、倒壊は想定していなかった。けがをされた人には申し訳なく思っている。来年も継続できるなら万全を期したい」と話していた。同署は、業務上過失致傷の疑いもあるとみて、会場の安全管理体制について調べている。

 また午前9時40分ごろ、函館市志海苔町412で幅約12メートル、高さ約7メートルにわたる土砂崩れが発生し、同町247、佐藤健造さん(78)所有の物置小屋が約1メートル流される被害があった。人畜被害はなかった。

 函館中央署によると、現場近くの同町412―2に住む無職山田勝彦さん(69)が土砂が流れてくるのを発見し、119番通報したという。山田さんの自宅の裏も土砂崩れの可能性があるため、妻とともに一時的に自主避難した。

 函館海洋気象台によると、18日午後3時の降り始めから、19日午後4時までの降水量は福島町千軒(アメダス)で88・5ミリに達した。函館市内では午前10時25分、最大瞬間風速が14・9メートルを観測。この時間前後は風速8・9メートルの風が吹いていた。同気象台では20日にかけ、渡島、桧山地方で突風や濃霧、渡島西部と桧山では高波に注意を呼び掛けている。



◎金田誠一氏引退へ…21日の解散で

 21日の衆院解散に伴い、当選5回を重ねた民主党の金田誠一氏(61)=8区=が引退する。函館市議4期を経て1993年、中選挙区時代の旧道3区(定数3)に社会党推薦で出馬し、初当選。国政では医療や福祉、労働、規制緩和問題などに取り組み、一貫して「弱者のための政治」(関係者)を目指した。

 金田氏は「市議時代から党議拘束のない、政治家個人の良心に基づいた採決を望み、それが臓器移植法案の採決で実現した。小泉首相時代に経済原理、市場原理に任せた規制緩和の危険性に警鐘を鳴らし、それによらない第三の道を提唱したことも思い出」と回想している。

 1947年、木古内町生まれ。93年の衆院選で、佐藤孝行氏(自民党)、鉢呂吉雄氏(社会党)に次ぎ当選した。2、3期目は民主党の道比例区の単独候補で当選。鉢呂氏の知事選出馬、国替えに伴い2003年の衆院選8区で小選挙区初勝利。05年9月に5選を果たしたが、06年1月に脳こうそくで倒れた。

 国政では97年の臓器移植法の制定で、脳死段階で臓器移植を認める中山案の対案として、脳死を人の死としない立場からの金田案を提出。金田案は衆院で否決されたが、憲政史上、初めての党議拘束のない採決を実現した。

 小泉元首相による規制緩和の失敗を追及。増車で過当競争となったタクシー業界の惨状を国会などで訴え、国土交通省がタクシー増車に規制を設ける「特定特別監視地域」を新たに設定する動きにつながった。

 市議選や衆院選でともに戦った函館地区連合の渡部正一郎前会長(61)は「常に弱者の立場に立ち、雇用や医療などの人権問題に鋭敏な“信念の人”」、奥野秀雄連合後援会長(72)は「私利私欲を捨て信念を貫き、経済的、社会的な弱者に目を向けることを誰よりも重んじた政治家」と話している。(高柳 謙)



◎開港150周年祝う車内で一服…市電でお茶会

 函館市電の中で一服を楽しむ「電車でお茶会」が19日、函館どつく前電停に車両を止め置いて開かれた。函館開港150周年をイメージし、万国旗を掲げるなどした車内で、約300人の参加者が夏の風物詩となったイベントを楽しんでいた。

 このお茶会は、2003年に函館で開かれた路面電車サミットで初開催されて以来、今回で8回目。同電停付近にある厳島神社の例大祭の一環として開かれている。1回につき約20人が座席に着き、市内の小林茶道教室(小林宗亀主宰)の生徒からお点前を受けていた。

 開港の節目を祝い、華やかな万国旗の下、書き物には地球上の人が理解し合い、異なる文化認めあう意味の「四海同風」がしたためられた。菓子は青い海を表現した「夜明け」が用意された。

 当日券も約30枚売れるほどの人気ぶり。小林さんは「今回は雨でお客様が減るかと思ったが、いつも通りに足を運んでくれた。このイベントが定着したおかげで、これからも趣向を凝らし続けていきたい」と話していた。(山崎純一)



◎学生5人が全国大会へ…函館理美容専門学校

 札幌市で13日に開かれた第1回全国理容美容学生技術大会北海道地区大会(日本理容美容教育センター、道理容美容学校連盟主催)で、函館理容美容専門学校(函館市中島町、中島真之校長)の2年生5人が好成績を残し、11月15日に大阪府で開かれる本大会出場を果たした。5人は結果を喜ぶともに全国舞台での活躍を誓っている。

 本大会出場を果たしたのは、理容部門ミディアムカット基本整髪種目の穂積弘平さんと斉藤隆三郎さん、同部チャレンジアートヘア種目の対馬巨樹さん、大坂明日菜さん、美容部門アップスタイル種目の汐谷友希さん。

 同大会は今年創設された全国規模の学生大会で、道内のほか9地区で予選大会が開かれる。道地区大会には道内12の専門学校から約160人が出場。優秀賞に選ばれた理容部門上位4人、美容部門上位8人が本大会の出場権を得た。

 大会に向けて5人は学校の授業だけでなく市内の理美容師として活躍する卒業生の指導を受けるなどして技術を磨き大会に臨んだ。

 5人は「練習以上にできた」(対馬さん)や「手が震えるほど緊張した」(斉藤さん)と振り返り、「学生の全国大会ができて励みになる」と口をそろえる。

 本大会に向けて、穂積さんは「全国のレベルを体感できる願ってもないチャンス。自分の力を試したい」、大坂さん、汐谷さんも「ベストを尽くす」と健闘を誓う。

 指導する三春和也教諭は「全国レベルを肌で感じるのは将来の財産につながる」と期待を寄せている。(鈴木 潤)


◎元保健所職員・鈴木さんが有機紅茶、香辛料販売

 函館市湯浜町の元道立保健所職員、鈴木英俊さん(59)がこのほど、有機栽培の紅茶や香辛料などを取り扱う「N.HARVEST(エヌ・ハーベスト)」を立ち上げた。農水省の有機JASマークも取得済みで、鈴木さんは「安全、安心はもちろん、品質にも絶対の自信がある商品をそろえている。値段も手ごろなので、ぜひ多くの人たちに利用してもらいたい」と呼びかけている。

 函館生まれの鈴木さんは、検査技師として病院や道立保健所などに勤務。2006年に苫小牧保健所を退職後は函館に戻り、「地元に貢献できる仕事ができれば」と考えてきた。そんな中、新たな仕事のヒントを与えてくれたのが、東京に住む長男の裕さん(30)だった。大学在学中にインドやパキスタンなどに長期滞在し、卒業後は薬膳カレーの店に勤務するなどしていた裕さんが海外との取り引きに明るかったことから、1年間かけて有機JASマークを取得。鈴木さんを社長、裕さんを副社長兼東京営業所長とし、鈴木さんの娘婿を加えた3人で、有機食品を取り扱うエヌ・ハーベストを立ち上げた。

 主力商品はインドとスリランカから輸入した、アッサム、ウバ、ダージリンなど8種類の有機紅茶。有機栽培というだけでなく、品質にも徹底的にこだわっていて、シンプルながら洗練されたデザインのパッケージにもその自信が表れている。値段も100グラム1050円(ダージリンのみ1250円)と手ごろになっている。一般店舗での取り扱いはまだ少ないが「売り込み先での反応もよく、販売先の拡大に力を入れたい」と意気込む。

 今後は有機スパイス、有機ハーブに加え、ヒジキやフノリ、しゃち豆など北海道の自然食品や低農薬食品なども扱っていく。鈴木さんは「会社名のエヌ・ハーベストのエヌ(N)にはナチュラル(自然)と北海道の北(ノース)、無(ノン)農薬の意味が込められていて、現地の生産者を保護するフェアトレードにも取り組んでいる。仕事を通じて有機栽培を実践する生産者と消費者の架け橋になれれば」と話している。

 同社の連絡先は鈴木さんTEL0138・53・2047。ホームページのアドレスはhttp://www.nharvest.net/(小川俊之)