2009年7月24日 (金) 掲載

◎遺愛学院の旧宣教師館の一般公開始まる

 函館市杉並町23の学校法人遺愛学院(野田義成理事長)敷地内にある旧宣教師館(通称・ホワイトハウス)の一般公開が23日、始まった。

 この建物は外国人宣教師が住むため、1908(明治41)年に本館と同時期に建設された。美しい白壁と洋と和の組み合わさった建築様式が特徴的。国の重要文化財に指定され、一般公開は年1回実施している。

 今年は同学院創基135年の節目に当たり、会場には明治から昭和時代までの生徒の授業風景など古い写真パネル20枚や元町の遺愛幼稚園の借地契約書などを展示。館内には使用された当時のベッドやいすなど家具がそのまま残されており、年代物の冷蔵庫やアイロン、石炭ストーブなど各種備品も来場者の目を引いている。

 市内の男性(60)は「当時の生活のありさまが垣間見ることができる」と興味深げに眺めていた。案内役を務める高校2年生の相羽純奈さん(16)は「初めて見た。今でも生活できそうなくらい保存状態が良くて意外だった」と話していた。

 公開は25日までで、時間は午前10時から午後2時。入場無料で事前の申し込み不要。問い合わせは同学院TEL0138・51・0418。(新目七恵)



◎魚長「夢食鮮館」2店休業へ

 食品スーパーの魚長(函館市西桔梗町、柳沢一弥社長)が市内で展開する「夢食鮮館」の新川店(上新川町1)と、豊川店(豊川町7)が営業を一時休止することが23日、分かった。売り上げ不振に消費不況が直撃した形で、収益改善の見通しが立たないと判断した。それぞれ8月上旬までに休業する。

 新川店は今月31日、豊川店は8月5日の営業で休止する。両店は店舗面積が1000平方メートル以下の小規模店。店内に買い物客の相談に応じる「親切係」を配置するなど対面販売を重視し、小分け商品や鮮魚の調理サービスの充実を売りにしていた。

 新川店は昨年11月、豊川店は今年1月にオープン。開店からわずか1年未満での休業で、柳沢社長は「商品やサービスへの付加価値が結果的に収益を圧迫させてしまった。他店との競合や消費の冷え込みも重なり、顧客ニーズと提供したものにズレがあった」と話している。

 急速な景気悪化と開業時期が重なったことも響き、両店とも売り上げが当初の目標より3割近く落ち込んでいた。市内では近年、スーパーの新規出店と閉店が相次ぎ、流通業界の競争が激しさを増している。同社も「低価格競争や小口販売による客単価の低下が響いた」と漏らす。

 同社は現在、市内・近郊でスーパー24店舗を展開。近年は店舗の業態転換や不採算店舗の統廃合も加速させている。同社は両店舗の今後の運営について「人材配置や商品展開などを見直し、できるだけ早い時期に復活させたい」とし、経営戦略の再構築を進めている。(森健太郎)



◎<企画>8区決戦へ 衆院解散夏の陣(3) 西野晃氏(幸福実現・新)

 函館市内での街頭演説を終え、事務所でせわしなく昼食をとり、テレビで衆院解散を確認した西野晃氏(32)は、万歳を冷静な視線で見つめていた。直後に放映された自民党や民主党幹部の発言に対し「自分たちが当選するための主張しかしていない。この人たちは本当に国民のことを考えているのか」と憤った。

 宗教法人「幸福の科学」(大川隆法総裁)の函館支部長に今年4月に就任した。同下旬、大川総裁の結党宣言により、政治団体「幸福実現党」が発足。全国の300選挙区で候補を擁立するとの考えが示され、道8区の大部分をエリアとする函館支部長だったことから候補に。党道本部の副代表にも就任した。

 党本部の正式決定で6月中旬に立候補を表明し、同下旬には函館市的場町に事務所を開く。詰め掛けた支持者を前に「政治を自民や民主には任せておけない。わたしは言ったことに対しては必ず責任を取る」として消費税廃止を筆頭とした減税政策、北朝鮮ミサイルに対する国防強化を掲げ、「知識は足りないかもしれないが情熱と勇気はある。本当にこの国を変えていきたい」と若さを前面に押し出して力強く訴えた。

 幸福の科学函館支部の信者が活動を支える。支部長の職務は5月から代行に預けて、自身は全力で選挙戦に臨む。党首・大川きょう子氏とのポスターは、支持者の地道な活動の結果、函館市内の主要道沿いを中心に順調に増加している。

 街宣活動はほぼ毎日2回を中心部で行い、衆院解散後には課題となっていた商店街と事業所回りも開始した。函館朝市では22日から23日にかけて、一つ一つの店をくまなく訪問。汗を流して走り回り、店主らと握手と対話を重ねた。

 2度目の来函で共に街頭演説した党本部道ブロック代表の佐藤直史氏は、「西野は誠実さと若さと国民目線を持っている」と評価した。

 ただ、消費税廃止や国防強化など主張ははっきりしているが、得票の具体目標は明らかにせず、選挙区と比例区をどう戦い、相乗効果を生むかという戦略などはあまり見えない。宗教団体の政治活動に違和感を持つ有権者もいる。出馬表明が遅れ、他候補に比べ知名度や政策の浸透が不足しているなど課題も少なくない。

 そうした中で22日、大川総裁が衆院選比例代表として東京ブロックに名簿1位で立候補することを表明。選対関係者は「力強い」と語り、25日に苫小牧で開催する全道規模の党大会に大川氏を迎え、さらに結束を強める。(衆院選取材班)



◎認知症当事者交流会8月1日に開催

 認知症の当事者に交流・仲間作りの機会をつくる実行委員会がこのほど発足し、8月1日午後1時から、函館市総合福祉センター(若松町33)で初めて「道南・認知症の人本人交流会」(仮称)を開く。介護する家族の交流会とは別に、当事者同士の交流会は全国的に広がりを見せているが、道南ではまだ浸透していないという。同実行委は「同じ境遇を持つ者同士が悩みや思いを語り合ってほしい」と、参加を呼び掛けている。 (鈴木 潤)

 同実行委は、介護職の従事者や認知症の支援団体ら有志9人が交流会の趣旨に賛同して5月中旬に発足。全国各地で開かれている交流会の状況を参考にしながら開催に向けて準備を進めてきた。

 認知症を患った人の多くは、記憶障害や認知機能の低下で引きこもりがちになり、交友関係も家族や介護従事者らに限られてしまう。交流会は認知症の当事者同士が交友関係を築くことを支援する。当日は運営スタッフ、家族も含めた茶話会形式の懇談の後、当事者と介護者とに分れた交流の場も設ける。対象は道南在住者で、若年性の認知症も含めた初期症状の人を想定している。参加費は200円。

 本年度は9月26日、11月7日、来年2月27日にも開催を予定。当事者同士が語り合うために、運営をサポートするボランティアスタッフの養成も進める。実行委のメンバーで、認知症の人と家族の会(京都)の理事を務める函館大の大橋美幸准教授は「認知症の本人に参加してもらうには家族の理解も必要。今後も定期的に開催する予定で、望ましいスタイルを確立させていきたい」と話す。

 交流会に先立ち、26日午前11時45分から、市総合福祉センターで、交流会を支援するボランティア養成研修会を開く。受講対象者は認知症の介護経験のある人や専門職、学生などで、大阪の松本診療所ものわすれクリニックの松本一生院長が講師を務める。本人交流会、ボランティア養成研修会の申し込み、問い合わせは実行委事務局(ケアサービスドウナン)TEL0138・46・3177。受講料は一般2000円、学生1000円。


◎石山税関長が着任会見 

 函館税関の石山周二税関長(56)が23日、函館市海岸町の函館港湾合同庁舎で着任会見し、「管轄区域の対岸にはロシア、北朝鮮が位置するため、密輸やテロなどを水際で徹底して取り締まり、国民の安全・安心の確保に努めたい」と抱負を述べた。

 石山税関長は大分県出身。中央大学経済学部を卒業後、1971年に旧大蔵省に入庁し、大阪税関関西空港税関支署長、同税関監視部長などを歴任。昨年7月から東京税関監視部長を務め、14日付で第74代函館税関長に就いた。

 函館税関については「150周年の節目の年に勤務できることは光栄で、重責に身の引き締まる思い」と話し、「社会的な要請や国民の期待に応え、信頼される税関行政を目指したい」と強調。円滑な国際物流の確保や、迅速な通関手続きの推進も重点課題に挙げた。

 初の道内勤務となる函館の印象については「和洋折衷の歴史的建造物が多く、早くもまちの魅力に取りつかれそう。地元の方も温かくて親切」と語った。これまでの印象的な業務として、大阪税関時代の2007年に製材コンテナから覚せい剤や大麻など過去最多の計643キロの密輸事件を摘発したことを振り返った。(森健太郎)