2009年7月26日 (日) 掲載

◎大雨でJR線路に土砂、八雲で交通マヒ

 【八雲】25日未明から降り続いた雨の影響で、八雲町の国道5号で路肩が崩れ、JR函館線の線路に土砂が流出する被害があった。国道は一部区間で通行止めとなり迂回(うかい)路を設けたが、復旧の見通しは26日以降となっている。JRも運休や遅れが相次いだ。

 函館海洋気象台によると、25日未明の降り始めから正午までの雨量は乙部町潮見で55.5ミリ、厚沢部町鶉と江差町で29.5ミリ、八雲町21ミリ、函館で16ミリなど。

 八雲町旭丘の国道5号では25日午前、山側の上り線で約20センチが冠水。午前10時15分過ぎには下り線側で路肩の土砂が長さ10メートル、高さ20メートルにわたって崩れ、函館開発建設部八雲道路事務所は同11時から同町落部―東野間3.1キロの通行を規制、山側の町道東野栄浜線、東野桜野線の計約4.5キロを迂回(うかい)路として対応。26日以降の片側交互通行に向けて準備作業を進めている。

 この土砂崩れで、国道から約30メートル下を走るJR函館線に土砂が流入、落部―野田生駅間の下り線で20―30メートルにわたり線路がふさがれ、長万部―森間で運転を見合わせた。

 午前10時20分ごろには函館発札幌行きの特急北斗5号(乗客260人、8両編成)が走行中、土砂を踏み越えて立ち往生した。北斗5号は約2時間後に運転を再開したが、乗客は八雲駅で特急スーパー北斗6号に乗り換えて札幌に向かい、同6号の乗客は代行バスで函館方面に向かった。

 午後8時までに特急12本、普通列車10本が運休した。運転再開は上り線が午後7時55分、下り線は同10時37分にずれこんだ。



◎大沼湖水まつり開幕、湖面に幻想的な明かり

 【七飯】今年で節目の100回目となる大沼湖水まつり(同運営委主催)は25日、大沼国定公園広場をメーン会場に始まった。先祖や水難者を弔う伝統の灯篭(とうろう)流しをはじめ、大沼で誕生したといわれる「千の風になって」の大合唱など、100回記念にちなんだプログラムで幕開けを飾った。26日まで。

 湖水まつりは、1906(明治39)年に湖面に灯篭を流し水難事故の犠牲者の霊を慰めたのが起源。現在はステージショーなど各種イベントも合わせて開催している。

 まつりには「千の風になって」を訳詞、作曲した新井満さんが参加。恒例の灯篭行列の前にオープニング行事が行われ、七飯大沼小の児童や来場者ら約1000人で「千の風になって」を合唱した。

 灯篭行列は雨の中、行われ、灯篭を手にした約150人の行列が大沼国際交流プラザ前から出発。同公園広場で慰霊祭が行われ、運営委の堀元委員長が「雨が降っても予定通りの行事をやる。記念の100回目を迎えた祭りを楽しんで」とあいさつした。その後、来場者は灯篭を湖面に次々と流し、約1500個の明かりが幻想的にともった。約1000発の花火も打ち上がり、夜空に大輪が広がった。

 最終日は午前9時開場。子供向けの「アンパンショー」や歌謡ショー、YOSAKOIソーランチームの演舞のほか、同7時から灯篭流し(1500個)、同8時からは花火大会(2000発)がそれぞれ行われる。(鈴木 潤)



◎函館開港150周年事業、ライブチケット売り上げ低調

 函館開港150周年記念事業(同事業実行委主催)のメーンイベント「ドリーム・ボックス150」の催しの一つで、函館港「緑の島」野外特設ステージで8月13日に開かれる「COP10スペシャルライブ」の前売券の売り上げが低調だ。同ライブは札幌出身のシンガーソングライター、大黒摩季さんや熱帯JAZZ楽団ら著名なアーティストが出演。数ある催しの中でも、同実行委(会長・西尾正範市長)が集客力を期待しているライブで、「ぜひ1枚購入を」と協力を呼び掛けている。

 COP10は生物多様性条約第10回締約国会議の略称で、名古屋市で来年、同会議が開催されることを記念してライブを企画した。記念事業のメーンイベントはさまざまな催しが予定されているが、特に同ライブは同実行委が窓口となって準備を進める肝いりのイベント。

 入場券は6月中旬から市内の松柏堂プレイガイド各店やローソンチケットで販売を始め、目標の1500枚に対し、24日現在、約600枚と4割にとどまっている。前売券はいす指定席3700円、立見2000円と、実行委がある程度負担する形で相場よりも安く設定したという。

 市民の反応は「アーティストは知っているが、函館でやるのは知らなかった」「平日で日程が調整つかないのでは」などの声が上がっている。メーンイベントを紹介するリーフレットが7月17日に全戸配布されたばかりで、今後発行予定の公式ガイドブックも完成しておらず、実行委の周知、宣伝活動が後手に回っている。

 ライブの開始時間は午後6時半で、屋外特設ステージで開かれる。ライブは大黒さんがボーカリスト&フリューゲルンホルン奏者のTOKUと、熱帯JAZZ楽団がフィリピン出身のジャズシンガー、マリーンさんと、それぞれ特別ユニットを組んで出演する。問い合わせは同実行委TEL0138・21・3493。(鈴木 潤)



◎函館市消防本部が全道消防技術訓練大会で2部門制覇

 消防士の救助技術を競う「第38回全道消防救助技術訓練指導会」(全国消防協会北海道地区支部主催)がこのほど、札幌市内で開かれ、函館市消防本部のチームが2部門で優勝した。2部門同時制覇は同本部初の快挙。8月に横浜市で開かれる全国大会に向けて、さらなる意欲を燃やしている。

 道大会は全道32消防本部から約160人が参加。競技はタイムだけではなく、安全性や正確性も審査される。個人、団体含めた全9部門のうち、「引き揚げ救助」部門に東消防署的場支署と同署花園出張所の5人、「ロープブリッジ救助」部門に北消防署亀田本町支署の4人が挑んだ。平均年齢24歳の若手を中心に、昨年10月にチームを編成し、隊員らは業務の合間や休日を返上して基礎トレーニングを重ねてきた。

 道大会当日の天候は風が強く、小雨の中の悪条件。「ロープ―」に出場した鈴木徹さん(26)は「ベストタイムを出すことはできなかったが、負けない戦いをすることを心がけた。全国大会まで1カ月もないが、個々の技術を上げて、全国でも1位を狙いたい」と話す。

 また「引き揚げ―」は、昨年に引き続き函館が連覇。畑山遼吾さん(25)は「昨年のチームは全国大会で結果を残しているので、優勝はうれしいが通過点。良いところを落とさず、さらに技術を伸ばして、悔いの残らない結果を出したい」と話している。

 両チームは、27日に西尾正範市長に優勝を報告する予定で、8月20日の全国大会に向けて訓練をしている。(今井正一)

 引き揚げ救助 5人1組で、空気呼吸器を着けた隊員2人が高さ7㍍の搭から降下。地上の救助者を塔上に引き揚げて救出し、降下した隊員が脱出するまでを競う。酸欠が予想される地下やマンホールでの災害を想定。

 ロープブリッジ救助 4人1組で、水平に張られたロープ(20メートル)を使い、対岸に渡り、救助者をロープでけん引して救出する。建物や河川の中州に取り残された人を救出するための技術。


◎高田屋嘉兵衛まつり始まる、顕彰・慰霊式典や淡路島特産品フェア

 「第34回函館高田屋嘉兵衛まつり」(実行委主催)が25日、函館市内で始まった。初日は同市宝来町の嘉兵衛像の前で顕彰・慰霊式を開く予定だったが、雨のため近くのホテル函館山(元町)で行い、嘉兵衛の古里、兵庫県淡路島の特産品フェアもが行われた。

 高田屋嘉兵衛は、1769(明和6)年、現在の同県洲本市で生まれ、96(寛政8)年に「辰悦丸」で来航。99(同11)年に国後島と択捉島間に航路を開いた後、箱館に基地を構え、造船所を建てるなどし、箱館発展の基礎を築いた。慈善や奉仕にも力を入れ、日露間の紛争も円満に解決するなど活躍した 

 祭りは、嘉兵衛の没後150年に当たる1976年、嘉兵衛の業績をたたえ、北方領土返還運動の機運を高めようと始まった。顕彰・慰霊式典には、嘉兵衛の7代目、高田嘉七さん(77)東京など約60人が参列。称名寺の須藤隆仙住職の読経の中、献花するなどした後、花泉舞衛社中が「高田屋嘉兵衛まつり音頭」などの舞踊を奉納、谷地頭保育園ちびっこ太鼓の太鼓奉納が行われた。

 26日は嘉兵衛像前で北方領土返還署名運動、同市末広町のアクロス十字街で北方領土関係写真パネル展が行われる。また、最終日の8月1日は午後3時半から、嘉兵衛像前から西波止場までパレードが行われる予定。(山崎純一)