2009年7月28日 (火) 掲載

◎大妻高が辻調理師専門学校と協定調印式

 函館大妻高校(外山茂樹校長)と辻調理師専門学校(辻芳樹校長、大阪)は27日、函館市柳町の大妻高校で連携教育協定に関する調印式を行った。同専門学校が道内の高校と協定を交わすのは初めて。大妻高生が優先的に推薦入学できるほか、同専門学校から講師の派遣を受けることで高度な技術を磨く教育環境を整える。

 同専門学校は大阪と東京、フランスに14校を展開。幅広いジャンルの調理、製菓を学べる独自のカリキュラムを展開し、国内最大規模の調理師専門学校として知られる。協定により、大妻高の食物健康科生は校長の推薦を受ければ優先的に入学でき、入学金や学費の免除や減免も可能になる。年数回、同専門学校からの講師派遣も受ける。

 調印式で同専門学校コミュニケーション本部長の宮島徹雄さんは「高校入学時から調理、製菓の道を目指す生徒にさらに深い知識と高い技術を身に付けてほしい」とあいさつし、外山校長は「新しい目標ができてありがたい。将来に向かって頑張り、しっかりした資質と食への関心を持つ調理師を目指してほしい」と話した。協定書に署名後、2人は固い握手を交わした。

 式後、同専門学校の西洋料理教授、真木孝さんと斉藤直樹さんが講師となり、食物健康科2年生35人にデモンストレーション料理として「オマール海老のアメリカ風」を紹介。イカを使った煮込み料理などの調理実習も行った。(新目七恵)



◎埼玉県の元酪農家・村川さん、「乳(にゅう)ミュージック」で牛乳PR

 緑の牧場に響く「搾っちゃうぞ」の声―。埼玉県の元酪農家で「ミルク082(おやじ)」として牛乳のPR活動をする村川徳浩さん(49)が、26日まで函館市に滞在。市内近郊の各所で、自作の「乳(にゅう)ミュージック」を披露するライブを行った。8月中旬にかけて札幌など道内各地を行脚し、同中旬から下旬には再び函館入りする予定だ。

 村川さんは昨年3月まで埼玉県深谷市で酪農を営んでいた。ピーク時には牛60頭を抱えるなど同地域では大規模だったが、飼料高騰のあおりを受けて廃業を余儀なくされた。

 歌は、脱脂粉乳の集団食中毒発生を受け、牛乳の販売促進のために制作。県牛乳普及協会のイベントや駅前などで歌い、着ぐるみの衣装も同協会に作ってもらった。廃業をきっかけに「全国各地で歌い、牛乳をPRしたい」と決意。6月1日の「牛乳の日」に牛柄の自家用車に乗り込み、旅に出た。

 これまで埼玉県内をはじめ、山梨、神奈川、長野、群馬、新潟で活動。19日にフェリーで函館入りし、新函館農協やモーモータクシーの事務所前などで歌った。「子どもや若者にも受けが良い」(村川さん)と反応は上々で、自作の7曲を収録したCD(1枚500円)の売り上げは、26日までに400枚を超えた。

 26日は函館酪農公社(中野町)の直売店前でのライブとなった。「ミルクが売れないとちょっぴり困っちゃう」で始まる「ミルクソング」や、演歌調の「人生乳搾り」などを、独特の振り付けで踊りながら熱唱。廃業直前のやり切れない思いをぶつけたヘビーメタル調の「ホルスタイン♂だぜ」で、観客のハートをがっちりとつかんだ。

 旅の資金はCDの売り上げからねん出する。「歌はすべて乳搾りなど牛の世話をしながら作った。酪農家の視線ならではの“乳ミュージック”をぜひ聞いてほしい」と今日も道内のどこかで歌う。

 CDは20枚限定で、同直売店で販売中。問い合わせは村川さんTEL090・3347・8607。 (小泉まや)



◎市立病院経営改善で行動計画に数値目標

 市立病院の経営改善を進めている函館市病院局は27日、「市病院事業改革プラン」に基づいた本年度の短期アクションプラン(行動計画)に、具体的な目標や6月末までの実績を盛り込んだ最新版を作成した。経費削減率や金額目標などを実施項目別に定めており、既に多方面で効果が表れていることが確認できる。同時に本年度4―6月の四半期の収支実績を公表し、「計画には及ばないが前年度を上回っている」とした。

 27日に開かれた市議会民生常任委員会(斉藤佐知子委員長)に報告した。

 アクションプランに盛り込んだ目標(いずれも市立函館病院)では、「院内清掃費用の10%削減」や、入院患者の在院日数の短縮で「平均在院日数16日以下(一般病棟)」などを掲げた。

 実績(同)は、院内設備保守点検業務等委託が前年度比1600万円減の9260万円に。ジェネリック医薬品の積極採用では「政府目標の数量シェア(占有率)30%を上回る」という目標に対し、6月末時点で同32・8%を達成。看護師確保対策では、市立函館病院高等看護学院の学生への修学資金貸付金の増額により、利用者が102人(前年度は14人)に増加した。

 経営状況は、1日当たりの入院・外来人数、病床利用率は、市立函館ではいずれも目標の90%台に。市立恵山・南茅部では、同入院と病床利用率が同100%を上回った。

 同改革プランには、経営形態見直し計画として市立函館が独立行政法人化や指定管理者制度の導入を、同恵山・南茅部はこれに加え規模を縮小した診療所や、老健施設など医療機関以外への移行も検討するとしている。阿部善一氏(民主・市民ネット)が検討の進ちょく状況について質問したが、病院局は「具体的な検討には至っていない」と答えた。 (小泉まや)



◎ケアホーム認定ミス、介護給付費支出は不当と監査委が市長に勧告

 ケアホーム利用者の認定ミスで函館市が介護給付費を市費から支出したのは「違法・不当」であるとして、道南市民オンブズマン(大河内憲司代表)が西尾正範市長に給付相当額を返還するよう求めた住民監査請求に対し、市監査委員は27日、請求を認める監査結果をまとめ、西尾市長に対して3カ月以内に「妥当な措置を講ずるよう」求める勧告をした。

 監査請求は5月28日に提出され、6月18日に請求人が陳述。同日、福祉部に対し事情聴取などの監査を行い結論を出した

 ケアホームは障害者の共同生活支援施設で、利用対象者は知的障害者か精神障害者とされる。監査によると、市が市内の身体障害者の男性2人を対象者として誤って給付決定したことは「事務の準備や検査体制が万全でなかった」と指摘。その後の支出負担行為対応についても「妥当性を欠く」と位置付け、市の損害は2人の介護給付費等相当額の367万3618円とした。

 監査意見では「組織内部の管理体制の見直しおよび強化を図るとともに、すべての職員が責任と自覚を持って業務に当たるよう、指導監督の徹底について強く要望する」とした。

 勧告に対し西尾市長は「監査結果を重く受け止め、今後監査結果の内容を精査し、適切に対応したい」とコメント。大河内代表は「不当な支出と判断されたからには市長以下関係職員に損害賠償してもらいたい。今後要請書を市に提出したい」と話す。

 またこの日行われた市議会民生常任委員会(斉藤佐知子委員長)でも同問題が取り上げられ、事実関係などを確認。岡田芳樹福祉部長は「今後は適正な執行に努める」として入所時に是非を判定する会議を設けることや、市費負担は市長の了解を得ていることなどを伝えた。

 各委員からは「チェック機能が働いていないのは残念」(井田範行氏)や、「認定ミスを背景にした市費負担はなじまない」(志賀谷隆氏)などの意見があった。 (小泉まや)


◎夏の交通安全運動期間中、管内死亡事故ゼロ

 道警函館方面本部は27日、夏の交通安全運動(17―26日)期間中の交通事故発生状況をまとめた。期間中、管内では死亡事故はなく、事故件数は前年同期比7件増の40件だった。過去の統計からは全道的に7、8月期に死亡事故が多発する傾向にあり、本格的な行楽シーズンに向けて、運動終了後も引き続き、事故抑止対策を強化する。

 道内全体では、期間中の事故は同37件減の400件で、このうち8件(8人)が死亡事故となった。車両同士の追突が32%を占め、自転車と車の事故も目立つ。ドライバーの安全不確認や前方不注視による事故が多い。

 管内の事故も傾向は同様で、車両同士の追突と自転車対車の事故が各12件で、市街地の交差点での発生が多い。年齢別では、65歳以上の高齢者が11件、50歳代が10件と中高年層の事故が多い。

 今後、8月のお盆休みや夏休みを利用したドライブ、飲酒の機会も増加する。過去5年間の統計からは、7、8月の死亡事故が多く、国道での正面衝突が多発する傾向にある。函本交通課の渡辺政人次席は「6月の道交法改正で飲酒絡みの罰則が強化されているが、酒を飲んでの事故は重大な結果となりやすい。長距離運転の際は、小刻みに休憩を取ることが大切」と話している。(今井正一)