2009年7月31日 (金) 掲載

◎認知症医療を強化 亀田北病院「センター」開設

 医療法人亀田病院(函館市昭和1、蒲池匡文理事長)の分院、「亀田北病院」(同市石川町191、石井敏明院長)はこのほど、認知症医療に特化した「もの忘れ疾患センター」を開設した。国が4月に示した認知症疾患医療センター運営事業実施要綱の設置基準や実施内容を基に、これまでの認知症医療をソフト面を中心に強化。関係する医療機関や福祉・介護施設、地域包括支援センターと連携しながら、予防、早期診断から終末期までの一貫した認知症医療を行う。

 近年の市民の高齢化に伴い、同病院の認知症患者は年々増加傾向にあり、現在、病床数400床のうち約270床が認知症の入院患者で占められている。こうした状況から「組織立てた対策が必要」(蒲池理事長)と考え、国が新たな要綱を示したことを契機に院内の認知症医療の強化に着手した。

 要綱では、地域包括センターとの連絡調整や身体疾患の合併症を持つ患者が急変した場合にほかの医療機関との連携などが求められている。

 同病院では、認知症の専門医や臨床心理士、内科医を数名配置。これまで6病棟のうち、4病棟を認知症病棟としていたが、症状に応じて「周辺症状治療」「身体合併症」「後期、終末期治療」「療養」に機能分化。患者、家族に対応する専門医療の相談室を設け、外来診療でも認知症発症予防の指導や、うつ病、妄想性障害など類似疾患との鑑別を行っていく。

 蒲池理事長は「地域住民に利用してもらえるよう外来や相談機能をさらに重視していきたい」とし、同病院の石井敏明院長は「保健、医療、福祉の連携を図り、一般市民にも認知症にかかわる情報伝達にも努めたい」と話している。



◎晴れ晴れ夏の空 2週間ぶり夏日

 30日の道内は高気圧の圏内に入り、道南では久しぶりに晴れ間が広がり気温も上がった。函館海洋気象台によると、函館市の最高気温は25・2度で、16日以来2週間ぶりに夏日を観測、日照時間も5時間を超え、20日(11.8時間)以来10日ぶりにさわやかな一日となった。

 市湯川海水浴場では、高校生のグループや家族連れらが訪れ、水温約20度の中、水遊びを楽しんでいた。監視員によると、湿度が高く蒸し暑い日も来場者は多いが、海に入る人は少なく、この日は久しぶりに歓声がこだましたという。同市上湯川町の主婦高橋芳美さん(27)は「朝から日が出ていたので急いで洗濯し、子供を遊ばせに来た」と話していた。

 同気象台によると、29日までの函館の平均気温は19.5度で平年(19.6度)並みだが、降水量は333・0㍉で、7月としては1978年の339.1ミリに次いで多く、日照時間は80.2時間で平年(149.1時間)よりかなり少なく推移している。

 久しぶりに晴れ間が広がる中、海水浴を楽しむ人たち(30日午前11時45分ごろ)



◎豪華な船内にため息 飛鳥Ⅱ入港、船内見学会

 郵船クルーズ(東京)の豪華客船「飛鳥Ⅱ」(末永守船長、乗員・乗客1282人)が30日、函館港に入り、港町ふ頭に接岸した。函館開港150周年と海の祭典「マリンフェスティバル」に合わせた寄港で、函館市の谷沢広副市長ら関係者が歓迎したほか、市民を対象にした船内見学会が行われた。

 午前8時から同ふ頭で行われた歓迎式では、谷沢副市長が「日本の近代化に大きな役割を果たした開港から150周年の節目に寄港いただき、心より歓迎します」とあいさつ。ミスはこだての林未花さんらが末永船長、加藤文生機関長らに花束を贈った。

 船内の見学会には約1800人の応募者から抽選で選ばれた90人が参加。同船は12階建てで、船内にはラウンジやデッキ、レストラン、ホール、映画館、ショッピングコーナーなどがあり、優雅でぜいたくな空間にため息が漏れていた。

 同船のアシスタントソーシャルオフィサー、新実加代子さんは「船内での催し物を多彩に用意し、お好みにあった内容を選んで楽しんでもらっています」と説明。見学した函館市東山の主婦、八嶋由美さん(43)は「クルーズにあこがれますが、参加したら現実に戻りたくなくなるような気がします」と話していた。

 同日は乗客801人中280人が下船し、190人が新たに乗船。午後9時半から市職員や市民らが同ふ頭で「いか踊り」を披露して見送り、同10時に横浜に向けて出港した。



◎函商 念願の団体初優勝 IT選手権全道

 函館商業高校(滝田進校長、生徒711人)が、このほど札幌で行われた全国高校IT・簿記選手権北海道大会(学校法人立志舎主催)のIT部門・団体の部で初めて優勝した。3年生の佐々木啓孝さん(18)が優勝に輝いたほか、2人が3位と5位に入賞するなど個人の部で優秀な成績を収めたため。出場したパソコン部の3年生は、最後の夏で大きな目標を達成した喜びに沸いている。

 この大会は高校生のIT教育と経理教育の振興を図るのが目的。IT部門には道内11校68人が参加した。高校教育の情報関係科目基礎や情報処理技術者試験初級システムアドミニストレータの標準レベルの知識を問う選択、記述問題の得点を競う競技で、出場生徒のうち、上位3人の総合得点が、各校の団体の部の成績となる。

 同校からはパソコン部の3年生8人が出場。個人優勝した佐々木君は「自信はなかったけど優勝はうれしい。団体の力にもなれてよかった」と喜ぶ。3年の原田侃奈さん(17)は3位となり、「1年生の時からパソコン部で頑張った。昨年は7位だったので順位を上げられよかった」と話す。部長を務め、5位に入った朝倉一斗(いっと)君(17)も「念願の団体優勝ができて悔いはない」と笑顔を見せる。

 このほか、函館からは函館大付属有斗高校が団体の部4位、個人の部で3年の吉村大君が8位に入賞した。


◎市民体育館改築前提に今後検討 市議会常任委合意

 函館市議会総務常任委員会(浜野幸子委員長)は30日、市民体育館のあり方について議論し、改修ではなく「改築」を前提に今後の議論を進めることで合意した。9月に予定する市議会定例会に報告する。

 同体育館の建物は供用開始から35年が経過しているほか、雨漏りや狭さ、設備が充実していないなどの指摘があり、改修または新築建て替えする改築を検討中。市民体育館のあり方検討懇話会でも方向性が協議されている。

 この日の会議では、市教育委員会が前回のあり方検討懇話会に提出した資料を説明。現体育館を改修して使用する場合は、事業費の15億円全額が市の負担となる一方、増築や移転整備した場合の事業費は30―50億台となるが、合併特例債を活用できるため市の負担は12―20億以下に抑えられることを示した。

 委員からは、市民や経済界などの要望をきちんと抑えるよう求める声が多く出された。この上で小野沢猛史氏(市民クラブ)は、改修の場合は工事後も多額の維持費が必要となることから、「遠慮せずに中途半端なことはしないほうがいい」として、道とも協議して助成金活用の可能性を探るよう提案。ほかの委員も改築を前提に検討を進めることに合意した。