2009年7月4日 (土) 掲載

◎夏の夜に歴史絵巻き…野外劇開幕

 市民創作・函館野外劇の第22回公演「星の城、明日に輝け」(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催)が3日夜、国の特別史跡・五稜郭跡(五稜郭公園)で開幕した。コロポックルのナレーションに合わせ函館の歴史絵巻が演じられ、観客約800人を魅了した。

 開演に先立ち、函館観光大使の歌手、平田まりさんが、新井満さんが作詞・作曲した野外劇のテーマソング「星のまちHAKODATE」などを歌い上げ、西尾正範函館市長が「全国から注目されている野外劇が大成功に終わるように祈ります」とあいさつした。

 劇は、高田屋嘉兵衛やペリー提督の来函、五稜郭築城など、幕末から明治維新後の歴史ドラマ。箱館戦争の場面では銃や大砲の爆薬音が響き、観客は圧倒された。今年は函館開港150年を記念し、開港シーンでのフラッグダンスの人数を増やし、舞台の隅々まで色とりどりの旗がひしめき、大いに盛り上がった。エンディングでは出演者と観客がペンライトを振りテーマ曲を歌い、会場が一つになって感動を分かち合った。

 毎年訪れるという同市湯川町の主婦、相川絹江さん(68)は「いつ来ても、興奮と感動の繰り返し。特に今年は華やかに見えた。舞台を支える裏方さんの苦労をねぎらいたい」と話していた。

 今年の公演は11回。4、10、11、17、18、24、25日、8月7―9日。開演は午後7時45分。問い合わせは同事務局℡0138・56・8601。(山崎純一)



◎函館エリアの研究 採択…文科省の知的クラスター創生事業

 函館市や道が提案した函館エリアの産学官連携の研究・開発プロジェクトが3日、文部科学省の「知的クラスター創成事業(グローバル拠点育成型)」に採択された。5カ年にわたり、事業推進に対し毎年度3―5億円の補助金が交付される。函館市の西尾正範市長は「市が推進する国際水産・海洋都市構想の実現化に向け弾みがつく」と採択を喜んでいる。

 同創成事業は国際競争力を持った新産業創出に取り組む地域を支援する事業で、公募をして支援地域を選出する。函館エリアには本年度、3億円が補助される。

 市や道が提案した事業は、海洋環境の計測、予測技術の確立や沿岸の海洋資源を活用した食品や医薬品の開発など4項目を研究テーマにした内容。水産・海洋分野で新たな技術や産業創出を目指す。

 プロジェクトの中核機関は函館地域産業振興財団(高野洋蔵理事長)で、計画では北大大学院水産科学研究院や道立工業技術センター、公立はこだて未来大、小樽商大など14の研究機関、100以上の企業、団体が参画する予定。

 函館エリアは2003年―05年まで都市エリア産学官連携促進事業の一般型、06―08年度までは同事業発展型の採択を受けて水産・海洋分野の技術革新や地域産業網の形成を推進。同発展型ではガゴメ(トロロコンブの仲間)やイカスミを使った約100種類の商品を開発し、25億の売り上げを記録した。08年度に同発展型が終了したことから事業を持続可能にするため、3月に知的クラスター創生事業に応募した。

 同創生事業には全国各地の6地域が応募し、函館と山口、徳島、久留米の4地域が採択された。函館は都市エリア事業の実績や海洋、水産分野の研究能力の高さなどが評価された。

 採択を受けて函館市の西尾正範市長と道立工業技術センターの三浦汀介センター長、経済界を代表し函館商工会議所の森川基嗣副会頭が記者会見した。西尾市長は「海を中心とした研究テーマが幅広く設定され、函館がその中核としてやっていけることはうれしい」と述べ、森川副会頭は「地域に新たな産業が生まれる可能性もあり、今の経済状況から脱却できるのでは」と期待を寄せた。(鈴木 潤)



◎谷杉さんの移動写真館完成…軽乗用車購入し「写楽號」 どさんこフェスタに出店

 函館市美原3で写真館を経営する谷杉アキラさん(41)が、このほど乗用車に撮影機材を積んだ移動写真館「写楽號」(しゃらくごう)を完成させ、5日に緑の島で開かれる「どさんこフェスタ」に出店することになった。函館開港150周年と、経営する写真館の創立70周年に合わせて計画したもので、谷杉さんは「写真の楽しさと価値を多くの人に伝えたい」と意気込んでいる。

 移動写真館を思いついたきっかけは、学生時代、老夫婦が乗用車で旅をしながら各地の人と交流するテレビドラマを見たこと。「いつか自分も写真機を車に積み込んで、写真館のない地域に出向いて撮影したい」という夢を持つようになった。今年に入り、移動のための軽乗用車を購入するなど具体的な準備を進め、同フェスタでのお披露目に照準を合わせてきた。

 谷杉さんの店のルーツは、開港当時の函館に写真技術を伝えた田本研造が経営する写真館の支店を、初代店主で祖父の正さんが1939年(昭和14)に引き継いだことにさかのぼる。3代目の谷杉さんも「移動写真館で、函館を写真の街としてさらにアピールしたい」と話す。

 写真は、日ごろ店で撮影するスタイルから一変させた。“箱館ハイカラ写真”と銘打ち、独特の技法でレトロ感あふれる風合いに仕上げたものを1ポーズ1500円で提供。はがき大のサイズで、約15分で仕上がる。また、函館のいにしえの風景を集めたポストカードの販売も行う。

 移動スタジオだけに、訪れた場所の街並みや風土も生かしながら撮影する考え。谷杉さんは「可能な限りあちこちに出向き、写真の楽しさと古里の良さを伝えたい」と思いを募らせる。問い合わせはトキタビTEL090・1386・4840。(千葉卓陽)



◎イカ刺しコリコリ 3500人堪能…江差で祭り

 【江差】江差沖で水揚げされた歯応えと甘みに優れたスルメイカをPRするイベント「活!!江差海鮮みなとイカ刺し祭り」(主催・江差観光コンベンション協会)が3日夕、江差港中央ふ頭を会場に開かれた。過去最高の人出となる約3500人が、水揚げ間もない活イカの刺し身に舌鼓を打っていた。

 活魚水槽を「キュウ!キュウ!」という鳴き声を上げながら泳ぎ回る活イカを、ボランティアの主婦らがその場でさばいて提供。約2000杯もの活イカは1時間足らずで完売する盛況ぶりだった。訪れた観光客や住民は、コリコリとした歯応えがあるイカ刺しや、旬を迎えたヒラメなどの刺し身を心ゆくまで堪能した。会場では水槽を使ったイカ釣り体験コーナーも設けられ、子供たちが水を吐きながら飛び跳ねるイカを大喜びしながら釣り上げていた。

 イベントは今回で11回目。同協会の打越東亜夫会長は「過去最高の来場客に恵まれた。江差の活イカは他の地域では味わえない独特の甘みと歯応えがある。今後も活イカの消費拡大や観光客の増加につなげることができれば」と話している。

 町内では4日に「江差かもめ島まつり」が開幕する。午後1時からかもめ島の瓶子岩(へいしいわ)で「大しめなわ飾り」が行われるほか、同4時には「江差音頭千人パレード」が町内を練り歩く。2日目の5日は「第31回道北前船競漕(きょうそう)大会」(午前9時半)や、歌手の三田明さんらの歌謡ショー(午後2時)などの多彩なイベントが行われる。問い合わせは同協会TEL0139・52・4815へ。(松浦 純)



◎いじめ撲滅へ取り組み…渡島・対策推進会議

 本年度の第1回「渡島管内いじめ・不登校等対策推進会議」が3日、函館市美原の渡島合同庁舎で行われた。年々多様化・複雑化するいじめの未然防止強化策として、初めて渡島管内の全学校が共通のスローガンを掲げ、重点運動に取り組むことを決めた。10月17日には講演会「ストップ・ザ・いじめ子ども会議」を開催し、活動の啓発を図る。

 推進委は渡島教育局や道警函館方面本部、渡島小中学校長会など関係団体で構成。生徒指導上の問題解決を目指し、協議や情報交換を行っている。この日は約35人が参加した。

 共通スローガンの設置などは「渡島絆(きずな)プロジェクト」と銘打って実施する。全学校が一丸となっていじめ根絶に向けた取り組みを進めるよう、意識を高めるのが狙い。

 講演会は昨年に続き2回目で、実践発表やワークショップも予定。今年は同会議の回数を1回増やし、来年2月に第2回を開催して連携強化を図る。

 会議では、昨年度における管内公立小、中、高校などのいじめの認知件数や発見のきっかけなどの状況が報告された後、ネット犯罪被害に関する事例が発表された。関係団体がそれぞれの取り組みを報告する交流・協議では、インターネットでひぼう中傷などをする「新しい形のいじめ」についても「保護者、地域と連携して取り組まねば」など取り上げる意見が目立った。(新目七恵)