2009年7月7日 (火) 掲載

◎箱館奉行所姿現す 仮囲い撤去始まる

 国の特別史跡「五稜郭跡」で行われている「箱館奉行所庁舎復元工事」で6日、復元した建物全体を覆っている仮囲いの撤去作業が始まった。作業員が足場に上って全体を囲っている波板を外すと、骨組みの向こうに輝く銅板ぶきの太鼓やぐらや、色合いにこだわった瓦屋根などが姿を現した。

 仮囲いは周囲190メートル、高さ20メートルの大きさで、外部からは工事の様子が見えないため、公園内を訪れた観光客らが興味津々に眺める姿が見られた。作業では、工具を使って材料を止めているビスを外し、波板を一枚ずつ下に下ろしていく。作業員は声を掛け合いながら慎重に進め、この日は東側の1面がほぼ取り去られた。

 側面と屋根を囲う板材は7月に外し、8月からは柱など骨組みを撤去。9月上旬には全体が見えるようになる予定。工事を進める共同企業体の竹本正和さんは「外側から全体を見るのは自分も楽しみ。タワーなどからも良く見えるでしょう」と話す。

 同奉行所は五稜郭跡の中心にあった建物で、庁舎全体の3分の1に当たる約1000平方メートル(平屋)を復元中。2006年7月に着工し、10年6月の完成、同秋の公開を目指す。(小泉まや)

 【写真】撤去される仮囲い。奥には太鼓やぐらや屋根が見える



◎函館で初 新型インフル感染

 函館市内で6日、新型インフルエンザに感染した患者が確認された。国際交流で市内に滞在していたインドネシア人女子高校生(16)で、道立衛生研究所(札幌)の遺伝子検査(PCR検査)で判明。同行した28人中2人の男子高校生にも感染を疑う症状が出ており、市立函館保健所は集団感染の可能性があると判断し、男子生徒に対しても遺伝子検査を行う。道内で確認された新型インフル患者は33人目。道南では初めて。

 確認を受け同日、同保健所の山田隆良所長らが市役所で会見した。同保健所によると、女子生徒は「21世紀東アジア青少年大交流計画」(日本国際協力センター主催)に参加のため100人規模で来日。4グループ中1グループ(生徒23人、通訳など同行者6人)に所属し、2日に航空機で新千歳空港に到着。2、3日は洞爺湖周辺に宿泊し、4日にバスで来函した。

 一行はこの日午前に五稜郭タワーを訪問。生徒は函館・北斗市、七飯町のホームステイ先12カ所に2人ずつ受け入れられ、女子生徒は受け入れ家庭の家族(2人)と外出している。発症は5日夕方ごろで、39・2度の発熱があった。女子生徒は同日、発熱相談センターを通して市内の感染症指定医療機関を受診し入院。6日午後には症状は落ち着いたという。

 男子生徒2人は5日に市内ホテルで開かれた歓迎セレモニーに出席。その後症状を訴えたため指定医療機関を受診し入院した。

 同保健所は、発症した生徒の受け入れ家庭やグループ内の濃厚接触者に対し、必要以上の外出自粛を求めるとともに、毎日の検温など健康調査を実施中。これに伴い、6日に函館白百合学園高校で予定していた交流や、市役所への表敬訪問が中止された。

 山田所長は、発症者が主に通訳を通してやりとりしていたことを挙げ、「感染が今後拡大してもグループ内でとどまる可能性が高い」として、一般市民への感染拡大の可能性は低いとみている。(小泉まや)



◎津軽海峡横断「今年こそはゴールを!」 24時間テレビ遠泳リレー

 【福島】日本テレビ系で8月29、30両日に放映されるチャリティー番組「24時間テレビ32 愛は地球を救う」で、今年も青森県をスタートし、福島町の海岸にゴールする遠泳「津軽海峡縦断リレー」が実施されることが決まった。初めて挑んだ昨年は、松前町沖合の強い潮の流れに阻まれ無念のリタイア。再挑戦決定の一報に「あの感動を再び!今年こそはゴールを」と期待する声が多い。

 同番組恒例の24時間マラソンと並ぶチャレンジ企画で、関係者は「番組が終わってからも全国の視聴者から激励が相次いだ。何事もあきらめずひたむきに頑張る勇気と感動を届けたい」と“リベンジ”を誓う。

 今年のリレーメンバーは26日に発表される。昨年は、全国障害者スポーツ大会25メートルバタフライで優勝の立木早絵さんと“スター”の愛称を持つ歌手の錦野旦さん、人気タレントのにしおかすみこさん、映画「ウオーターボーイズ」で水泳を猛特訓した俳優の金子貴俊さん、プロ野球の元千葉ロッテマリーンズ投手ジョニー黒木さん、アテネ五輪200メートルバタフライ銀メダリストの山本貴司さん、ハンドボール選手の宮崎大輔さんが挑戦した。

 初挑戦では青森側から竜飛岬を越えるまでは順調だったが、松前の街並みが見え始めた白神岬沖で海峡独特のうねりに押し流された。日没がせまり、コーチ役のソウル五輪100メートル背泳ぎ金メダリスト鈴木大地さんが、急きょ助っ人として海に飛び込んだが、水泳トップ選手でも津軽海峡の荒波には勝てなかった。

 ゴール地点では住民約400人が集い、リタイア後に船で福島入りした立木さんらを歓迎した。「よく頑張った。また来年もチャレンジして」と労をねぎらい、錦野さんの計らいで急きょ記念撮影も行われるなど、会場は大歓声に包まれた。

 昨年、番組特製Tシャツを着て海岸で応援した町内福島の須藤緋呂子さん(60)は「今年も行われる聞いてうれしい。息子にTシャツを準備してもらい、当日は大きな声で応援する」と張り切っている。

 村田駿福島町長も「福祉充実を掲げる番組に福島が手助けできる喜びを感じている。今年もまちを挙げて協力したい」と期待している。(田中陽介)



◎函館観光の将来像探る 観光フォーラム

 地域観光の在り方について考える「観光フォーラムinはこだて」が6日、函館市内の花びしホテルで開かれた。観光庁長官の本保芳明さん(小樽出身)が「国際観光大国を目指して」と題して基調講演したほか、官民の有識者がパネル討論し、函館観光の将来像を探った。

 市や函館商工会議所、函館青年会議所(JC)などの主催。地域の課題やまちづくりを話し合う「地域振興フォーラム」の一環で、道南の自治体や観光業界の関係者ら約500人が耳を傾けた。

 本保さんは苦境に立つ地域観光の展望について「人口減や高齢化で国内観光は大きな転換点にある。国際観光へと軸足は移り、ライフスタイルを重視した『質』が求められている」とし、道内観光については「もてなしの心とあこがれの地域づくりで『住んでよし、訪れてよし』の地域にどうしていくかが問題」と、地域のブランド化を呼び掛けた。

 パネル討論では本保さんのほか、西尾正範函館市長や、北海道観光振興機構会長の坂本眞一さんら4人が登壇。道新幹線開業を6年後に控え、坂本さんは「経済的なメリットを道外資本に食い荒らされる可能性もあり、今から対策を練らなければ」と発破を掛けた。西尾市長は「道南の他市町とも連携を図り、市民と一体となって道南観光圏を実現したい」と語った。フォーラムでは函館JCの担当者が道南の広域観光について「自然」「温泉」「食」をキーワードに挙げ、新道南百景の選定や湯巡りなどの周遊型観光、グルメフェスタの開催を提言した。(森健太郎)



◎江差ウインドパワー 2年連続赤字決算

 【江差】江差町は6日までに、町が51%を出資する第3セクター・江差ウインドパワー(社長=森藤次雄・斐太工務店風力発電事業部長)の2009年3月期決算を明らかにした。風車の故障や売電収入の低迷などが原因で7788万円の純損失を計上した。赤字決算は前期に続いて2年連続となった。

 同期の売電収入は、風車の故障や風況が予測を下回った結果、当初計画より25・6%少ない1億9548万円。本年度の事業計画は、売電収入が07年度当初の計画と同じ2億6200万円(発電量3万558メガワット時、設備利用率16・6%)とした。

 同社は北海道電力との間で、01年11月から18年度末まで17年間の売電契約を締結。1キロワット時当たりの単価は、設備投資の早期回収を目的に、運転初期に利益を集中させるステップ単価方式を採用。01―06年度は14・7円だった単価は、07―10年度8・21円、11―14年度4・58円、15―18年度2・55円まで段階的に引き下がる。01―06年度は年間4億円前後の売電収入があったが、初めて単価が下がった前期は2億1156万円に下落し、単年度で1億7105万円の純損失を計上した。

 09年3月期決算は、中歌町にあった本社屋を北洋銀行に売却したこともあり、損失額は前期よりも圧縮される形になった。しかし、01年の商業運転開始直後から問題化している、風車のずさんな配置計画や発電機の性能上の問題に加え、その後の風況の悪化や風車の故障も追い打ちを掛ける形となり、売電収入の低迷に歯止めが掛からない状態にあり、再び単価が下がる11年度以降は、経営の行き詰まりも懸念される。同社はステップ単価方式を見直し、売電単価を固定化することも北電と協議しているが、これまでの売電収入との差額を精算する必要があり、億単位の資金が必要となるため交渉は難航している。(松浦 純)


◎新幹線弁当レシピ募集 具材やおかず地元産食材利用

 官民で組織する北海道新幹線新函館開業対策推進機構(森川基嗣会長)は、地元産食材を利用した「北海道新幹線弁当レシピ」を17日まで募集している。来年12月に予定されている東北新幹線新青森開業をめどに商品化し、その5年後に迫った新函館開業に備える。

 同機構が昨年11月に策定した、新幹線効果を最大限に発揮するアクションプランで、地産地消や地元調達の推進が掲げられ、その事業の一環として「新幹線弁当」の開発、商品化を進める。

 応募対象は函館市内在住者で、弁当丸ごとのほか具材やおかずの提案でもいい。市役所1階市民ホールや各支所で配布している応募用紙に弁当名、作品のコンセプト、完成写真かイラスト、材料・分量、作り方を記し、市役所6階の市新幹線対策室へ持参かファクス(0138・23・7604)、メール(ki-kikaku1@city.hakodate.hokkaido.jp)で提出する。

 共催する同室によると、8月に函館商工会議所、函館国際観光コンベンション協会、市などの代表で審査会を開き、秋をめどに試作品を作る。地元の弁当店や飲食店に同弁当の開発、商品化の協力を要請して内諾を得ており、観光客だけでなく市民にも「新幹線弁当」を身近に触れてもらう。

 問い合わせは市新幹線対策室TEL0138・21・3625。(高柳 謙)