2009年8月10日 (月) 掲載

◎観客一体 感動の閉幕…野外劇閉幕

 国の特別史跡・五稜郭跡(五稜郭公園)の特設ステージで演じられていた、NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)主催の第22回公演「星の城、明日に輝け」の最終公演が9日夜、開かれた。客席は約1500人で満員となり、函館の歴史絵巻を楽しんだ。

 今年は7月3日開幕。函館開港150周年を祝い、ペリー提督来航からの開港シーンを華やかにし、文明開化の場面では、男爵いもの生みの親として知られる川田龍吉男爵が愛用した日本最古の自家用車「ロコモビル」の複製が初登場するなど話題を呼んだ。今月7日には1988年の第1回公演からの入場者が延べ20万人に達した。

 フィナーレには出演者全員が舞台へ登場。テーマ曲「星のまちHAKODATE」を、観客とともにペンライトを振りながら合唱。華麗な花火の打ち上げとともに幕を閉じた。同会の寺坂伊佐夫副理事長が「今年は雨天の影響で当初予定していた11回公演から8回公演へ変更したものの、最終週の3日間は大盛況で9000人以上が来場者があった。市民や観光客、ボランティアのキャストやスタッフのおかげ。来年も皆さまとここでお会いしましょう」とあいさつした。年間の入場者数が1万人を割り込んだのは4年ぶり。

 来場した函館市日吉町の山本百絵さん(59)は「これだけの舞台をボランティアの人たちで支えるのは大変だろうが、これからも続けてほしい」と話していた。

 【写真】エンディングでペンライトを振りながらテーマ曲を合唱するキャストや観客



◎山車巡行…姥神大神宮渡御祭が開幕

 【江差】道内最古の伝統を誇る「姥神大神宮渡御祭」が9日に開幕した。10・11両日には、同神宮のみこし行列に、町内13基の山車が付き従う渡御行列が町内を巡行。沿道では、色鮮やかな“時代絵巻”が2日間にわたり繰り広げられる。

 祭礼初日の9日は、朝から晴天に恵まれ、午前11時過ぎには27・3度の最高気温を観測。うだるような日差しの下、13基の山車は正午過ぎから同神宮に赴き「魂入れ」の儀式を行った。それぞれの町内に戻った山車は、優雅な祭ばやしを奏でながら沿道に家々を巡った。

 戦国武将・加藤清正の人形を飾る本町地区の「清正山(せいしょうざん)」(浅野吉雄頭取)は、町内指折りの急坂を駆け上がり、商店が軒を連ねる法華寺通り商店街へ。清正公の家紋を染め抜いた水色のはんてんに身を包んだ子どもたちは、額に汗を浮かべながら「エンヤ!エンヤ!」と掛け声を合わせて山車を引いていた。

 10日の「下町巡行(したまちじゅんこう)」は、9日夜の「先山車(さきやま)定めの儀」で選ばれた、愛宕町の「神功山(じんぐうやま)」(藤元武彦頭取)を先頭に、13基の山車が歴史情緒があふれる“いにしえ街道”などをめぐる。午後8時過ぎには、愛宕町商店街に山車が集結する。同10時からは、同神宮を舞台に、たいまつの炎に彩られた3基のみこしを社殿に収める「宿入之儀(しゅくいれのぎ)」も古式ゆかしく執り行う。11日は「上町巡行(うえまちじゅんこう)」も行われる。



◎復元「北前船」入港…みちのく丸

 青森市で復元された北前船「みちのく丸」が9日、函館開港150周年記念事業のメーンイベント「ドリームボックス150」の会場、函館港「緑の島」に接岸し早速、市民らに一般公開された。

 同復元船は全長32メートル、幅8・5メートル、帆柱までの高さ28メートル。北前船は江戸時代から明治時代にかけて、日本海を大阪から本道まで結んだ輸送船で、みちのく丸の船型は1本の帆柱と大きな横帆をあげて帆走する大型和船「千石船」。2005年に、みちのく北方漁船博物館財団(青森市)が復元し、同博物館に係留・展示されている。昨年のNHK大河ドラマ「篤姫」のロケにも使われた。

 開港150周年と、「青函ツインシティ」提携20周年を記念し、16日までのメーンイベント開催中、緑の島で一般公開される。

 接岸後のセレモニーでは、函館市の谷沢広副市長の歓迎あいさつの後、青森セーリングクラブの若井敬一郎会長が「これからも積極的な青函連携に取り組む」とした青森市長のメッセージ文を読み上げた。

 大勢の市民が船内を見学し、先着順に青森県産リンゴ1個がプレゼントされた。函館市東川町の中村俊彦さん(68)は「すべて手作りと聞きびっくり。昔の人の技術の高さを改めて感じた」と話していた。


◎イカール星人の着ぐるみデビュー

 函館市の観光PRキャラクターとして動画などに登場する「イカール星人」の着ぐるみが9日にデビューし、五稜郭タワーをかっ歩した。居合わせた観光客やバスガイドらは、イカそっくりのいかめしい姿を写真に収めていた。

 キャラクターは、函館の新たな魅力を創出する取り組みの一環として、市が映像編集会社シンプルウェイ(同市本通)に委託制作した映像に登場する、イカをモデルにした宇宙人。インターネットで反響を呼び、関連グッズも発売されている。着ぐるみは、デザインを手掛けた猫乃手堂(同市住吉町)が制作した。

 この日は午前9時半と同10時過ぎの2回、同タワー1階のアトリウムなどに登場。高さ2メートル30センチの巨大な“イカ”はいやが上にも人々の注意を引き付け、中には逃げ出す子どもも。一緒に記念撮影する人が多かった。

 名古屋から観光で訪れた会社員の木村久美子さん(23)は「始めて見たがインパクトがあっておもしろいですね」と写真を撮影。シンプルウェイによると、着ぐるみは今後、函館開港150周年記念事業の会場などに登場する予定。


◎自慢の作品「出港」 金森ミルクパックボートレース17年ぶり復活

 17年ぶりに復活した市民参加型イベント「金森ミルクパックボートレース」(実行委主催)が9日、函館市豊川町の金森赤レンガ倉庫BAYはこだて掘割で開催された。会社員や小学生らの11チームが出場し、思い思いに工夫した牛乳パックのボートでタイムやデザインを競った。

 レースは1チームごとにボートを水面に浮かばせ、海に向かって約150メートルを往復する。最初は函館青年会議所の関係者でつくる「西部研究会」チームが、五稜郭の形をした床に奉行所をイメージした屋根付きの建物を設置した力作を携え登場。メンバー3人が必死にオールをこいでゴールすると、会場に集まった市民や観客から拍手が沸いた。

 この後、函館北美原小や函館凌雲中の子どもたちなどが参加。中には少し沈みながらも何とか完走するチームもあり、観客から「頑張れ」などの歓声が飛んでいた。

 北美原小5年生の近江翼君(10)は「びしょ濡れだけどゴールできて良かった」と笑顔。孫の大浦理久君(4)、莉乃ちゃん(3)と一緒に見学に来た函館市の大浦正記さん(61)と妻の治子さん(61)は「久しぶりに開催すると聞いて見に来た。牛乳パックがこんなに浮くとはびっくり。色を塗ればもっと面白いかも」と話していた。

 結果は次の通り。

 ◇大人の部①ブリック号②函館JC号③TEAM臥牛山▽審査員特別賞・西部研究会▽敢闘賞・達也丸

 ◇ジュニアの部①ジャンボバナナ②科学部サンセットチーム③科学部サンライズチーム▽審査員特別賞・ドラエもん▽残念賞・スーパーマン