2009年8月11日 (火) 掲載

◎踊りで交流深める…はこだて国際民俗芸術祭

 「第2回はこだて国際民俗芸術祭」(組織委主催)の特別企画「国際フォークダンス・パーティー」が10日、函館港「緑の島」で行われた。リトアニアとイタリア、フランス、スペインの舞踊団員が各国のフォークダンスを披露し、会場に集った市民と一緒に踊って交流を深めた。

 同芸術祭は13日まで、元町公園でのフリーステージや市地域交流まちづくりセンターでのワークショップなど、海外の民俗芸術に触れるさまざまな機会を設けるイベント。今回は函館開港150周年記念事業の一環として企画した。

 会場の特設屋内ステージでは4カ国の団員が順番にダンスを紹介し、民族楽器を使った生演奏に合わせて市民と手を取り合ってステップを踏んだ。同芸術祭に出演しているインドやインドネシアなど他国の踊り手も参加し、参加者は年代や国を超えて音楽を楽しんでいた。

 フォークダンス教室に通う友人と参加した函館市の中村静枝さん(77)は「動くことが大好きなのでとにかく楽しい」と話し、フランスの舞踊団員ラボード・メイリスさん(18)は「リトアニアのダンスはリズミカル。一緒に踊れて最高」と楽しんでいた。(新目七恵)



◎衆院選公示まで1週間 中だるみ警戒、支持拡大好機…総選挙道8区

 18日の衆院選公示(30日投開票)まで11日で1週間となった。解散から投開票日まで40日間という長期戦も中盤に差し掛かり、道8区の立候補予定者には中だるみを懸念する陣営もあれば、知名度アップの好機とみる向きも。長丁場を戦う各陣営の思惑はいかに。

 民主党前職の逢坂誠二氏(50)は、これまで通り地元選出議員との企業・団体回りなどに力を注ぐ。解散日程が定まらず、いったん開設した選対事務所を閉鎖する異例の事態もあり、「選挙ムードがなかなか高まらず、下火どころか種火すら残っているかどうか」(陣営幹部)と嘆く。

 ある選対幹部は「民主党への追い風も都議選がピーク」とこぼし、引き締めに躍起。大勢の市民らが集まる開港150周年記念イベントにも顔を出す予定だが、「握手戦術が中心で、マイクを握って祭りに水を差すことはしない」(陣営関係者)。

 自民党新人の福島啓史郎氏(63)は10日、湯の川温泉の旅館やホテルを訪問。選対幹部は「中だるみなどしていないし、している暇はない。候補は表に出てひたすらお願いに歩き、選対としては公示に向けた準備を進めている」と語る。福島氏も「ようやく民主党の逢坂さんに並ぶところに来た。日増しに手応えを感じている」と明るい。

 ただ、陣営内部からは「先人や先祖を供養するお盆の時期はどうしても選挙を前面に出せない」との本音も。日本人の精神文化に踏み込んでやけどを負わないよう、さじ加減を調節する。

 無所属新人の佐藤健治氏(51)の陣営は、解散から投開票日まで40日間の長期戦について歓迎の見方だ。陣営幹部は「うちはむしろ足りないくらい。4年間地道にやってきたが、自民、民主の候補と比べると、知名度や浸透度があるのか不安はある」と語る。

 幸福実現党新人の西野晃氏(32)も、この長さをチャンスとらえ、地道に夏祭り会場に繰り出しては知名度アップを図っている。10日は奥尻町入りし、11日は江差町の姥神大神宮渡御祭に参加する予定。選対幹部は「初めての政治活動を必死にやっているのが現状。緩んでいる余裕もない」と話す。

 無所属新人の坂野六男氏(77)も出馬の準備を進める。独自の戦いで「お盆は寺で先祖を供養する」という。(衆院選取材班)



◎コンブ乾燥ボイラーに木質ペレット活用…実用化へ南茅部地区で実験

 灯油や重油などの化石燃料に替わるエネルギーとして期待されるペレット(おがくずを熱で圧縮させた木製スティック)を活用した「木質バイオマスボイラー」によるコンブ乾燥実証試験が7月末から8月上旬にかけて5回にわたって、函館市南茅部地区で行われた。関係者によると、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素を排出しない木質バイオマスの利用の機運は高まってきているものの、水産業に光を当てた先例は全国的にもないようで、注目を集めそうな画期的試験だ。

 実施主体はNPO法人北海道新エネルギー普及促進協会などでつくる「コンブ乾燥用木質バイオマスボイラーの実用化に関する地域協議会」(大友詔雄会長)。水産業は事業経費に占める燃料費の割合が他産業に比べて圧倒的に高く、燃油価格の変動が経営の不安定要素となっている。

 大友会長は「道内のコンブ漁業者の間では約5000台の乾燥用ボイラーが使われているが、燃料は灯油や重油。燃油価格が高騰した時に即応できる体系を作りたい」と同協議会発足の目的を語る。

 実験4日目を迎えた8日。同地区安浦町の漁業中村常彦さん方の倉庫では、実際に取れたての養殖コンブ約540本が干され、木質バイオマスボイラーの温風で乾燥させた。既存のボイラーに比べて風力が弱く、温度も約60度と決して高くはないが、地元漁師は「色つやが良い」と評価したという。

 「現段階で十分いいデータがでている。今後は実用化に向け、品質や乾燥工程などの課題を整理し、つめていきたい」と大友会長。「ペレットはこれまでのボイラーで活用することができる。日高や利尻など道内にもコンブの生産地はたくさんあるし、繁忙期の漁師には迷惑をかけることになるかもしれないが、2010年度には道内各地で本格的な実証実験を行いたい」と話している。(長内 健)


◎11年新築の本願寺函館別院が寄付のお礼に「キティちゃん」

 函館市東川町12の本願寺函館別院は、2011年に迎える親鸞聖人750回大遠忌(だいおんき)法要を記念し、本堂と隣接する龍谷幼稚園の園舎を新築するなど、境内全域の整備事業を同年に着工する。本堂は1934(昭和9)年の大火で焼失したレンガ造りで復元する。同別院の中尾史峰輪番(57)は「寺の歴史、存在を多くの人に知ってもらえるように完成させたい」と話している。

 同別院は、青森出身で願乗寺川を工事、完成させた(現在は埋め立てられ高砂通)堀川乗経が1857(安政4)年、願常寺休泊所を建立、60(万延元)年、寺院を建て願乗寺掛所と称した。66(明治元)年に箱館戦争で本堂を焼かれ、5年後に新しく落成させるも、その後4度の大火に遭い類焼、再興を繰り返した。現在の本堂は昭和9年の大火後、1950年に建てられた。

 中尾輪番は「今の本堂は築約60年経ち、傷みは出ているが、あくまで仮の本堂として使っていた。本来は昭和大火の前の姿でありたかった」と話す。同大火で焼失した本堂は10(明治43)年に建てられたレンガ造り。同大火では中から焼け、正面だけが残った。

 このほど、本山(京都)や全国の各寺院では、親鸞聖人の大遠忌法要を修行するに当たり記念事業を進めており、函館別院では念願の本堂新築を決めた。このほど「新生事業推進計画」を策定。平成の大改装に向け準備が本格的にスタートした。2011年に着工、12年の完成を目指す。外壁はレンガで当時を復元させるが、中は新しくする。1階約1500平方メートル、2階約800平方メートルとなる予定。中尾輪番は「函館の観光地に近い場所にある寺の存在が広く伝われば」と願っている。

 同別院では、同事業への寄付に対するお礼や、参拝時のさい銭のお礼にしようと、人気キャラクター、キティちゃんの「西本願寺限定ビーズストラップ 本願寺函館別院バージョン」を1000個つくった。キティちゃんは藤色の着物を着ており、パッケージには函館夜景のシールが張られ、「ご当地キティ」となっている。京都の本山・西本願寺が重要文化財の御影堂の修復完成を記念し、この春に販売したものを、同別院限定バージョンとして製作している。問い合わせは同別院TEL0138・23・0647。(山崎純一)


◎オープンカフェでスイーツ販売…商行為規制のグリーンプラザで実験

 市の条例で商行為が規制されている函館市松風町の市有地「はこだてグリーンプラザ」で9日、オープンカフェを試行営業する市の実験事業が始まった。第1回は市内・近郊の菓子製造販売業者でつくる「函館スイーツの会」(若山直会長)が出店し、和洋菓子やコーヒーなどを販売した。

 大門地区のにぎわい創出を目指し、商行為の規制緩和を視野に同プラザの活用方法を探る試み。9月下旬までの週末を中心に計7日実施し、集客効果などを検証する。

 会場には15台のパラソル付きのテーブル、いすを設置。ショーケースにはシュークリームや団子、ムースなどのスイーツが並び、同会のメンバーは試食を勧めたり商品を説明したりしてPRした。函館で活動するミュージシャンの演奏も行われ、市民らが休憩がてらに立ち寄り、ティータイムを楽しむ光景が見られた。

 友人と訪れた市内東山の沢田安美さん(65)は「お店より気軽に利用しやすい雰囲気がいい。観光客にも函館のスイーツを宣伝できるのでは」と気に入った様子。同会の佐々木博史副会長は「函館スイーツの知名度を上げるチャンス。もし事業化するならぜひまた参加したい」と話していた。

 次回以降は14、23、29日、9月12、13、27日でいずれも午前11時―午後4時。市は出店者を募集している。問い合わせは市商業振興課TEL0138・21・3310。(宮木佳奈美)