2009年8月12日 (水) 掲載

◎姥神大神宮渡御祭、上町巡行でフィナーレ

 【江差】姥神大神宮渡御祭は最終日の11日、渡御行列による上町巡行(うえまちじゅんこう)が、真夏の青空の下で行われた。午後9時すぎには、町内13基の山車が新地町の繁華街に勢ぞろい。暑さを吹き飛ばすような、威勢の良い掛け声とみやびな祭りばやしが、3日間にわたる祭礼のフィナーレを彩った。

 猿田彦命が先導する、みこし行列に付き従った13基の山車行列は、正午すぎに同神宮前を出立。同日の最高気温は正午前に29・7度に達し、うだるような暑さと日差しの下で、山車の引き手は汗だくになりながら「エンヤ!エンヤ!」と威勢の良い掛け声に合わせて、海岸沿いの街並みや山坂が多い上町地区を巡行した。

 色鮮やかな灯火に彩られた山車行列は、午後9時すぎには、大勢の観光客が待ち受ける新地町の繁華街に勢ぞろい。通りに面して、横一線に並ぶ「立て山車(やま)」の姿勢となった山車の周囲では、はんてん姿の若者が、祭りばやしに合わせて、肩を組みながら踊り回り、祭礼の熱気は最高潮に達した。

 また、下町巡行の10日に行われた「祭ばやしコンクール」(江差観光コンベンション協会など主催)の審査結果は、11日の巡行前に発表され、津花町の「楠公山(なんこうやま)」(柳田慎一頭取)が優勝した。2位は陣屋・海岸町の「松寳丸(まつほうまる)」(若山正彦頭取)、3位は茂尻町の「譽山(ほまれやま)」(明石秀樹頭取)。努力賞は豊川町の「豊榮山(ほうえいざん)」(成田尋昭頭取)、本町の「清正山(せいしょうざん)」(浅野吉雄頭取)が受賞した。(松浦 純)



◎静岡地震、函工定時制サッカー部 無事到着

 11日早朝に静岡県中部を襲った震度6弱の地震は、道南の関係者にも影響を与えている。7日から静岡市内で行われている全国高等学校定時制通信制サッカー大会に出場していた函館工業高校の選手とコーチら14人も、宿泊先で震度5強の大きな揺れに遭遇。交通機関の乱れにより新幹線に約2時間の遅れが出たが、同日夕、無事に函館空港に到着した。このほか、函館市民の中には同県内の知人の無事が確認でき、ほっとする姿もあった。

 (小川俊之、山田孝人、長内健)

 同校は10日に行われた同大会準々決勝で伊勢崎工業(群馬)に0―1で惜敗。翌日に函館に戻る予定で宿泊していた同市清水区内で地震に見舞われた。

 同チームの斉藤祥夫コーチ(28)は「最初に強い縦揺れがきて、みんなすぐに飛び起きた。その後に横揺れがやってきた」と当時の様子を生々しく語る。新幹線のダイヤも乱れ2時間遅れで東京駅に到着した。羽田からは予定通り午後16時55分発の便に乗り込み、同6時過ぎに無事に函館に到着した。

 また、函館音楽協会会長の吉田淳子さん(函館市亀田本町)は、震度5弱を記録した静岡県河津町に知人がおり、夕方になってようやく無事を確認できた。吉田さんは「知人は大雨と地震が重なりとても不安だったと話していた。とにかく無事でいてくれてほっとした」と胸をなでおろしていた。

 また、毎年夏に「ふじ丸」(2万3235㌧)を使った「青少年の船」活動を行っている静岡県富士市では、今年は中学生以上の374人が6日から7日にかけて、函館や大沼などを訪れた。9日に同市田子の浦港に帰港した後に地震に見舞われたが、同市教育委員会社会教育課の大道和哉さんによると、「台風が接近していたこともあり、ふじ丸は10日のうちに神戸港へ移送されていて無事だった。市内では震度4を観測したが、大きな被害は見られなかった」と語る。



◎厚沢部で真夏日、水遊びに歓声

 立秋(7日)過ぎて暑さ増す―。函館海洋気象台によると11日の本道は高気圧に覆われ、南から暖かい空気が入ったため、道南各地も気温が上がった。厚沢部町鶉の最高気温は30.3度と、道南では今年初めての真夏日となった。そのほかでも、今金29.8度、江差29.7度、函館29.5度、熊石29.0度、北斗、松前28.2度と今年最高の暑さとなった。

 函館では朝から晴れ間が広がり、函館公園(青柳町)では、本格的な夏の天気を待ちわびた子どもたちが集まり、噴水の中に入り水遊びに歓声を上げていた。5歳の長女彩乃ちゃんと訪れた市内元町の主婦佐伯麗華さん(28)は「昨年と一昨年は3回ずつぐらい来たが、今年は今日が最初で最後になりそう」と話していた。

 同気象台によると函館の8月上旬(1―10日)の平均気温は20.9度で、平年(22.2度)より1.3度低く推移している。好天は11日までで、12日から気圧の谷に入るため曇りや雨になるとしている。(山崎純一)


◎知的障害の2人、仕事に励む

 軽度の知的障害がある山田恭一さん(20)と窪綾香さん(19)=いずれも函館市在住=が市内のビルメンテナンス業の名美興業(阿相博志社長)にパート社員として就職した。2人とも函館温泉ホテル(大森町)に派遣され、客室清掃などの業務を担当し、生き生きと仕事に励んでいる。

 2人は3月に道立函館高等技術専門学院(桔梗町)の知的障害者を対象に職業訓練を行う販売実務科を修了した。名美興業は2005年度から同科訓練生の職場実習を受け入れ、山田さんと窪さんも時期は異なるが在学中に同ホテルで実習を体験し、今回採用に結びついた。

 山田さんは4月からの試用期間を経て7月に正式採用となった。「最初は分からないことばかりだったけど、(上司の)厳しい指導も自分のため。この会社で活躍できるように頑張りたい」と張り切る。主な業務は客室にある電気ポットのお湯の入れ替えなど宿泊客を迎える準備や、館内のガラスふき。8月末には初めての給料が振り込まれる山田さんは「働いて給料がもらえるのはうれしい。周りに迷惑がかかるから責任持って仕事をしないと」と気を引き締める。

 窪さんは5月から勤務する。ベッドメーキングや客室清掃を担い、「お客さんに喜んでもらえるとやりがいを感じる」と話す。同科の訓練でコミュニケーション技術を学んだという窪さんは「職場でいろんな人と話せるようになり、コミュニケーションを取ることで仕事もスムーズになった」と実感する。窪さんは現在、家族4人暮らし。「ミスがないように仕事を頑張り、いつか1人暮らしをしてみたい」と夢を語る。

 パート社員をまとめる同社の柏清子主任(61)は「2人ともまじめ。窪さんは注意することがほとんどない。山田君は明るくて職場のムードメーカー」と2人を見守る。現場責任者の小林潔所長(55)は「若いから動きが早いし、貴重な労働力になる。障害が影響するような業務ではないので、障害者を雇用する道をつくるきっかけになれば」と話す。(宮木佳奈美)


◎函館市選管、小選挙区確定は午前零時半

 函館市選挙管理委員会事務局は11日、第45回衆議院議員選挙(18日公示、30日投開票)の事務日程をまとめた。投票は市内115投票所で午前7時から午後8時まで行い、市民体育館で午後9時半から開票。小選挙区の開票確定は31日午前零時半ごろ、比例代表は同午前1時ごろを予定している。

 2007年9月の前回衆院選の開票では市民体育館が使えず、狭い市立函館高校で行った。今回は開票開始時刻も15分早くするため、小選挙区で30分程度、比例代表は45分程度、それぞれ開票確定の予定時間が早まった。

 6月2日現在の選挙人名簿登録者数(定時登録)は24万1053人。期日前投票は公示日翌日の19日から投票日前日の29日までで、時間は午前8時半から午後8時まで。投票所は市役所1階市民ホール、湯川、亀田、戸井、恵山、南茅部の各支所と椴法華総合センターの7カ所に設ける。

 街頭啓発は、市選管が16日午前10時から2時間程度、函館開港150周年記念事業「ドリームボックス」会場で、市選管と道選管渡島支所、市明るい選挙推進協議会が合同で29日午後1時半から函館丸井今井前、昭和タウンプラザ内で実施する。

 従前は従業員10人以上の事業所約900社に投票の呼び掛け文を郵送していたが、函館商工会議所の協力を得て、同会議所の会員企業約2800社に同様の呼び掛けを実施する。 (高柳 謙)