2009年8月13日 (木) 掲載

◎ファン注目 懐かしの都電カラー…市電「1006号車」

 “昔の姿で出ています”―。函館市交通局の路面電車「1006号車」が7月上旬から、昭和30年代中ごろの東京都電カラーで市内を走行している。淡いクリーム色に赤のラインが入ったシンプルなデザインは、大半が全面車体広告付きの現役車両の中でひときわ目立ち、全国の市電ファンから関心を集めている。

 市交通局によると、1006号車は、1955年に日本車両で製造され、東京都交通局で「都電7000形」として運行された。70年に市交通局が都交通局から同型車両10台を購入し、85年までに7台、一昨年3月には2台を廃車としたため、1006号車は唯一の現役車両となっている。

 現在、市交通局の営業車両31台のうち、「らっくる号」など低床車両2台と現役最古の「530号」を除く車両のすべてが広告付き。1006号車も長年、法務局の「人権号」として稼働したが、老朽化に伴い、運行機会を減らすため、広告車両としての役目を終えた。当初、市交通局の標準色(アイボリーとグリーン)への変更も検討したが、ファンサービスの一環として都交通局の保存車両などを参考に、都電カラーに戻した。

 塗装変更後、全国のファンから「撮影をしたい」などと問い合わせが寄せられているといい、広告がないデザインを生かし、ドラマやCMでの活用も期待される。市交通局では「市電全体の利用者が減少しているが、話題を作りPRを重ねていきたい。1006号車も現役を終えるまで、大切に整備をしていきたい」と話している 。



◎新駅北口にも駐車場 利便性向上へ検討…道新幹線 

 【北斗】北斗市は、2015年末の開業が予定されている北海道新幹線新函館駅(仮称)の北口広場に駐車場を設置する方向で検討を進めている。国道227号側の南口に集約するとしていたこれまでの方針を転換し、国道5号から新駅にアクセスする乗客の利便性を高めるのが目的だ。

 12日に開かれた市議会の道新幹線建設促進及び地域振興等に関する調査特別委員会(中井光幸委員長)で、市が整備構想を示した。

 市は新駅の周辺整備計画で、自家用車の駐車場を南口に約1100台分設置する方針を示していた。しかし、同市と七飯町にまたがり国道5号から新駅北口につながる、約2.8kキロの付け替え道路が今年1月に道道(新函館停車場七飯線=仮称)に昇格し、道路網が改良。周辺市町から北口に駐車場を求める声もあった点などを踏まえ、北口広場と一体化した駐車場整備を行う考えだ。

 北口駐車場は自家用車用とする方針で、観光バス用は南口に集約する。市新幹線対策課は「走行性の良い道路と使い勝手の良い広場が完成すれば、おのずから北口に車の乗り入れが多くなることが見込まれる。駐車場を南北に分散させることで、南口で商業用地としての活用も図りたい」と話す。

 ただ、北口広場の計画予定地は国が2005年度から進めている農業用水路の改修事業計画と重なっており、市は今後、道開発局など関係機関と協議する方針としている。



◎樺太から引き揚げ 62年時経て「父の形見」家族の元に

 終戦後に樺太(サハリン)から引き揚げた清水治作さん(享年42)が税関に預けていた証券類や預金通帳など6点が12日、函館税関から四男の豊さん(68)=函館市上野町在住=に返還された。62年の歳月を経て戻ってきた“形見”に、豊さんは「終戦記念日を前に『返ってきたよ』と父の仏前に報告したい」と感慨深げに話している。

 返還されたのは「樺太糧秣(りょうまつ)株式会社」の株券4枚(額面総額1500円)、旧北海道拓殖銀行発行の残高827円47銭の普通預金通帳1通、200円の定期預金証書1枚。日銀函館支店によれば、現在の貨幣価値に直すと、額面で15―16倍に相当するという。

 当時は連合国軍総司令部(GHQ)がインフレ防止のため、海外からの民間引き揚げ者の現金や有価証券類の国内への持ち込みを1000円以内に制限していた。1947年に当時6歳だった豊さんが樺太から両親ときょうだいの計7人で樺太から函館に上陸。その際に父治作さんが税関に預けたとみられる。

 豊さんが7月下旬、新聞記事で税関が証券類を返還していることを知り、照会して判明。この日、同税関でセピア色になった父親名義の証券類と初対面した豊さんは「金銭的な価値よりも大切な思い出の証し。厳しい時代を生き抜いた父の形見としてわが家の家宝にしたい」と感無量の表情で語った。ともに引き揚げた95歳の母ナミさんときょうだいにも近くお披露目するという。

 同税関の山口健一監視部長は「無事に返すことができてほっとしているが、われわれの戦後処理はまだ終わっていない」と話す。同税関では現在約1万9000人、約8万4000件分が引き取り手がないままだ。預かり証がなくても引き揚げ時期や証券類の名義人の名前などが分かれば返還することもできる。問い合わせは同税関監視部統括監視官部門TEL0138・40・4244。


◎市函放送局が初の優秀賞…全国高総文祭

 市立函館高校放送局(戸澤勇次局長、局員16人)は、このほど三重県で行われた第33回全国高校総合文化祭(全国高総文祭)の放送部門・ビデオメッセージ部門で初めて優秀賞に選ばれた。演劇や日本音楽など表彰対象のある11部門のうち、道南で入賞したのは同校のみ。作品はからくり人形制作に情熱を傾ける市民にスポットを当てた5分間の番組で、メンバーは「すごくうれしい」と喜んでいる。

 全国高総文祭は7月29日から8月2日まで行われ、芸術文化活動に励む高校生が活動成果を披露した。道内からは昨年秋の地区、全道大会を経て、全国参加校が選ばれた。ビデオメッセージ部門には94作品が出場し、7作品が優秀賞に輝いた。

 市函高の番組は「からくり~街角に吹く江戸の風」。市内でからくり人形館を開く平塚、英昭さんにインタビューを重ねて人形作りの魅力などを聞く内容で、3年生の戸澤局長(17)と高土井夏実さん(18)が昨夏から取材を進めた。

 企画発案者で、インタビューと編集を担当した戸澤局長は「平塚、さんの人形に対する情熱が伝わるよう映像を詰め込んだ。他校でも良い作品があったので認められてすごくうれしい」と喜ぶ。カメラマンの高土井さんも「人形の動きに合わせて撮影するのが難しかった。今まで携わった作品の中でも一番のお気に入り」とし、「何度か部活をやめたくなったけど好きだったので続けた。全国入賞は誇りになる」と語る。

 2人を含む3年生は全国大会後引退。戸澤局長は「好奇心を持って良い番組作りをしてほしい」と後輩にエールを送る。


◎50年後 開港200周年にタイムカプセル開けよう

 函館や室蘭、苫小牧、小樽の59のライオンズクラブで構成する「ライオンズクラブ国際協会331―C地区」は、函館開港150周年を記念し、市内の子どもの夢や希望などの寄せ書きをタイムカプセルに詰め込む。開けるのは開港200周年を迎える50年後の2059年。封印を前に12日、会員が西尾正範市長にタイムカプセルの目録を寄贈した。

 ライオンズクラブ同地区は来年函館での大会開催を控えており、記念事業として発案。大会事業費でタイムカプセル一式を制作し、市に寄贈した。

 函館市教育委員会の呼び掛けで、市内に85校ある全小中学校の合わせて802クラスが7月、1クラスずつB3判1枚の寄せ書きを作成。一人一人が「自分の夢」や「函館の残したいもの」などをテーマに書いた。夢では「美容師になる」や「看護師になりたい」など具体的な職業が書かれていたり、残したいものでは「イカ踊り」や「夜景」「津軽海峡の青さ」などが書かれていた。

 贈呈式にはライオンズクラブ同地区の会員約10人が参加。代表者の青木誼(よしみ)地区ガバナーが西尾市長に目録を渡し、西尾市長は感謝状を贈った。青木氏は「クラブ内でも好評の意見が多く50年後が楽しみ」と話し、西尾市長は「将来に残る物をありがとうございます」と礼を述べた。

 出席した会員と対応した市教委職員らは、「函館はどうなっているのか」や「自分は生きているか」など、50年後に思いをはせながら記念撮影し、写真をカプセル内に一緒に入れることにした。

 カプセルへの封印は、開催中の函館開港150周年記念イベント会場で16日午後5時から、グランドフィナーレの中で行う。児童生徒の代表が寄せ書きを収納する予定。その後、函館市中央図書館1階のロビーで保管する。