2009年8月15日 (土) 掲載

◎函松前城とアジサイ 絶景演出

 【松前】松前公園で夏の花アジサイが咲き誇っている。ピンク、黄色、青と、色とりどりの花びらが盛夏に涼を与えている。

 春はサクラで有名だが、夏はアジサイが一斉に咲く。ヤマアジサイ、ガクアジサイ、ハイランドアジサイなどその数は約2000株。

 松前城近くの駐車場横は、天守閣を後方に望むことができる記念撮影の人気スポット。訪れるカメラ愛好家は「今年は長雨で例年より色合いが濃いようだ」とこの時期ならではの風情を楽しんでいる。 (田中陽介)



◎きょう終戦記念日、楯石さん恒久平和の願い短歌に

 「良きにつけ 悪しきにつけて 八・一五 想いは巡る 鎮魂の郷」。東京大空襲を逃れ、函館で終戦を迎えた函館市日吉町の楯石保さん(76)は不戦への思いを短歌にしたためた。「多くの犠牲者の上に今の平和が築かれたことを忘れてはいけない」。失われた尊い命に思いをはせ、今年も恒久平和を願う。きょう15日は64回目の終戦記念日―。

 楯石さんは小学6年生だった1945年、学校を卒業するまで山梨県に学童疎開し、戻って来てまもなくの3月10日、東京大空襲を目の当たりにした。

 幸い住んでいた地区は被害を免れたが、「B―29が数百機低空飛行で飛んできた。爆弾が落とされて遠くの夜空が真っ赤に染まったのが見えた」と思い出す。卒業のため疎開先から戻った矢先の出来事で、同級生の少女が犠牲になった。

 日ごとに空襲は激しさを増し、父と死別して母と兄の3人家族だった楯石さん一家は疎開を勧められ、同年4月、母の実家がある函館に移住。7月14、15日には疎開先の赤川町の丘の上から青函連絡船が爆撃を受けている様子を目撃した。

 終戦を迎えたのはそれから1カ月後のことだった。「玉音放送は雑音が入ってよく聞き取れなかったが、日本が負けたことは分かった」と楯石さん。「日本は絶対に勝つと教えられていたからまさかと思った。戦争が終ってホッとした半面、落胆と将来への不安が押し寄せてきた」と振り返る。

 終戦直後はみんな、食糧難に苦しみ、生きていくのがやっとの時代。「終戦記念日が近づくと当時の悲惨な光景、つらかった思い出…。いろんな思いが頭を巡る」。9年前から短歌や俳句、川柳を始め、8月を迎えるたび、終戦忌を詠む。「生き長らえて現在ここにいることは幸せ。2度と戦争は繰り返してはいけない。生きている限り伝えていく義務がある」と話している。(宮木佳奈美)



◎子育て支援アンケート、一時保育の利便性向上望む声多数

 函館市はこのほど初めて、未就学児を持つ世帯の子育て支援へのニーズを探る「次世代育成支援対策にかかるアンケート」を実施した。その結果、子育てサロンや児童館など、子育て支援施設の利用者の半数(53.5%)は子どもが1人で、各施設の利用頻度は週1、2回が半数(53.5%)を占めたことが分かった。複数施設を利用する人の割合も高く、今後の要望としては一時保育の利便向上を望む声が多かった。

 本年度中に策定する函館市福祉計画の後期行動計画(2010―14年度)に市民ニーズを反映させようと行った。6月中旬から7月上旬にかけて、市の子育て施設利用児童の保護者や「子育てを考える会」の会員を対象に実施。聞き取りや調査票の記入で、主に就学前の子どもを持つ専業主婦155人から回答を得た。

 利用者の子どもの人数は、1人に次いで多いのが2人で39.4%、3人は7.1%で、4人以上はいなかった。各施設の利用頻度は、週に5回以上利用する人が12.4%おり、週3、4回は20.0%。逆に少ない2週間に1回は16.7%だった。

 自由な意見を募った質問では、今後期待するサービスとして、病気や急用時などの短時間保育や、買い物の時などに気軽に利用できる低料金の一時保育、通院する病院内での保育など、一時保育の充実と利便性向上を望む声が圧倒的に多かった。期待する環境整備については、乳幼児向け遊具や砂場の改善、雨天や冬期間の遊び場のほか、ベビーカーが通行しやすいように歩道のバリアフリー化を望む意見もあった。

 同課は「子育て中の親がどのようなことを望むかについて大まかに把握できた。職員が直接保護者から貴重な意見を聞けたので、今後はより保護者に満足してもらえるよう努めたい」と話している。 (小泉まや)


◎市交通局が見どころ案内所開設

 函館市交通局(駒場町、若狭正男局長)は16日まで、JR函館駅前の電停付近で、市電見どころ観光案内所を開設している。

 市内を訪れた観光客が観光名所や宿泊施設への交通アクセスをスムーズにするために設けたサービスで、毎日、非番の正職員や臨時職員が交代で常駐し、対応している。公共交通機関でのアクセス方法の案内のほか、1日乗車券も販売している。期間中の市電利用実態調査の把握も兼ねている。開設時間は午前9時から同11時ごろまで。

 今年は5月の大型連休にもサービスを行っており、同局は「スムーズな移動が観光を楽しくする。市電沿線の観光スポットもPRしていきたい」としている。 (鈴木 潤)


◎「ユニバーサルホーム函館をつくる会」が賛同呼び掛け

 聴覚、視覚障害者らでつくる「ユニバーサルホーム函館をつくる会」(和泉森太会長)は障害者や高齢者が老後を安心して暮らせる施設の建設運動を進めている。道南には障害者向けの老人福祉施設はなく、「家族や仲間と離れず住み慣れたまちに住み続けたい」との当事者の思いから4月に発足。会員1000人を目指し、賛同者を募っている。

 道内には視覚障害者向けの老人ホームが江別市と旭川市に1カ所ずつ、聴覚障害者向けは十勝管内新得町に1カ所あるだけ。同会副会長で函館市聴覚障害者協会幹事の石井茂憲さん(61)によると、一般向けの老人ホームでは、手話が分かる人がいないと、コミュニケーションを取るのが困難で、孤独を感じる聴覚障害者も少なくないという。

 石井さんは「新得町に行った人もいるが、本当はみんな生まれ育ったまちを離れたくない。函館に安心して暮らせる“終の棲家”が欲しい」と訴える。視覚障害者も同じような状況に置かれていると知り、視覚・聴覚障害者団体のメンバーが一緒に運動することになった。

 同会が目指すのは障害の有無にかかわらず誰もが使いやすい「ユニバーサルデザイン」(UD)を採り入れた施設。必要なときにいつでも医療・介護サービスが受けられ、手話通訳士、ガイドヘルパーが常駐し、家族や親しい人と過せるだけでなく地域の人とも交流できる場を想定している。

 和泉会長(62)は「いかに利用者が自由に自主性を持って生活できるかを重視したい」と語る。当面はこうした施設の必要性を世間に訴え、多くの賛同者を集める活動から始める。施設づくりに向けた学習や研究を行い、市にも働きかけていく考え。

 賛助会費は年間で個人2000円。申し込み、問い合わせは事務局(ありた鍼灸の有田浩子さん)TEL0138・55・1549。(宮木佳奈美)