2009年8月21日 (金) 掲載

◎朝市丼グランプリ決定

 函館朝市の飲食店16店が考案した丼のグランプリを決める「あなたが選ぶみなと街新朝市どんぶりキャンペーン」で、人気投票の結果、「食べてみたいどんぶり」に一花亭たびじ(どんぶり横丁内、菅原華枝店長)の「蓮華丼」、「おいしかったどんぶり」に馬子とやすべ(同、田嶋健社長)の「開花どんぶり」がそれぞれ選ばれた。

 函館朝市協同組合連合会(井上敏廣理事長)などが函館開港150周年にちなんで企画。7月1日から8月15日までの間、加盟店が創作した16種類の丼の中から、市民や観光客にお気に入りを選んでもらい、応募総数967通のうち、蓮華丼は177票、開花どんぶりは121票を獲得した。

 蓮華丼(4980円)はウニやカニ、イクラなど道内産の魚介類10種が盛られ、中央には活アワビも躍る。菅原店長は「夢のある海の宝石箱をイメージした。選ばれるとは思っていなかったのでうれしい」と笑顔。開花どんぶり(3150円)はイカやサーモンなどの人気食材に加え、大根のつまの先に金粉まで散りばめられ、田嶋社長は「激戦区の中でお客さんに喜んでもらえて良かった。店の看板メニューにしたい」と喜んでいた。

 同朝市で20日、グランプリの発表と表彰式が行われ、井上理事長から菅原店長と田嶋社長に記念の盾が贈られた。同連合会事務局は「予想を上回る反響で、今後も内容を見直しながら朝市の継続事業にしたい」と話している。グランプリの丼は今後も両店のメニューに並ぶという。(森健太郎)



◎経済・観光交流を推進…日ロ沿岸市長会議閉会

 第22回日ロ沿岸市長会議・ビジネスフォーラム(日ロ沿岸市長会など主催)は2日目の20日、両地域間の経済活性化と人的交流をさらに進めることを盛り込んだ共同声明を採択し、閉幕した。開催地を代表し、西尾正範函館市長は「コンテナや航空路線の充実、ビザや関税の問題など交流を推進する上での課題を共有し、解決に向けた行動に合意したことは意義深い」と述べた。次回は2011年にロシアで開かれる予定。

 函館国際ホテルで開かれた2日目の会合では、観光振興について議論を交わした。西尾市長は2008年度に函館に宿泊した外国人観光客約5万人のうち、ロシア人は10位の334人であったことを紹介。「日本のビジット・ジャパン・キャンペーンの中で、ロシアを新興市場に位置づけてもらえるよう、関係省庁に提言したい」と発表し、共同声明に盛り込まれた。

 共同声明は、日ロ28市で採択。代表して日ロ沿岸市長会代表幹事の篠田昭新潟市長とロ日極東シベリア友好協会会長でハバロフスク市長のソコロフ・アレクサンドル氏が調印した。航空会社の高運賃や不安定な運航が両国の経済・観光分野の協力を妨げているとし、競争で運賃を値下げするため新規航空会社参入の必要性を認めた。

 航空路線の参入について、全日空の担当者からは「ロシアへの定期便就航を検討する場合、外国企業が適正に競争できる環境や短期間のビザなし入国、極東市場の需要の情報などが必要」との提言があった。

 また、声明には「未解決の問題が解決され、両国間の平和条約を早期に締結すること」への期待も盛った。北方領土問題、4島への人道支援の拒否、出入国カードの提出要求などの懸案について、ソコロフ市長は「政府間交流がなかった時代でも都市と都市の友好を深めてきた。今後、悲劇という形で影響を受けることはないと思う」と述べた。(高柳 謙)



◎末広町に「龍馬記念館」11月オープン

 NPO法人の実行委員会(三輪貞治理事長)が函館市末広町8に開設準備を進めてきた「北海道坂本龍馬記念館」のオープン予定日が、11月15日に決まった。オープンを記念し、実行委は「第1回幕末維新人物イラストコンテスト」の応募作品を募集中だ。

 記念館は北海道開拓を夢みた幕末の志士、坂本龍馬の功績を伝えようと企画。建物は鉄骨造り平屋建ての約350平方㍍。外観は寺田屋をイメージして設計し、現在改築工事中だ。館内では同NPOが所有する坂本家ゆかりの貴重な品々を展示するほか、記念館を拠点として青少年の育成事業も展開する計画だ。

 コンテストは記念館の趣旨を市民に理解してもらうのが狙い。対象は小学生以上。テーマは龍馬や勝海舟、榎本武揚など幕末維新に活躍した著名人の似顔絵やイラストで、未発表の創作原画(A4サイズ)とする。

 応募方法は裏面に郵便番号、住所、氏名、生年月日、電話番号などを明記し、実行委(〒040―0053 函館市末広町8―6)に郵送する。1人につき3点まで。締め切りは10月20日必着。オープン日に表彰式を行う。受賞作品はポスターなどに活用する。

 実行委の京田龍彦さんは「函館は龍馬に限らずさまざまな幕末の偉人がかかわる土地。ぜひ応募してほしい」とPR。11月15日は龍馬の誕生日と命日でもあり、三輪理事長は「龍馬ファンにとって特別な日」とし、「龍馬の夢を具現化したい。観光振興を図る上でも市民に応援してほしい」と話している。(新目七恵)


◎高齢、障害者支援へ基礎知識学ぶ…トラベルサポーター養成講座

 高齢者や障害者の旅行の支援を行う「トラベルサポーター」の養成講座(北海道運輸曲主催)が19日、函館市内で開かれた。18人の参加者はサポートの基礎知識を学んだあと、函館駅前などで屋外実習を行った。

 国土交通省では2005年度から、地方自治体、交通事業者、一般市民らが連携して取り組む「心のバリアフリー」社会実現に向けた施策を展開。今年度は函館、旭川、札幌の3カ所でトラベルサポーター養成講座を実施している。

 函館会場では、午前中に函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で、旅とぴあ北海道の下間啓子代表らを講師に、トラベルサポーターの基礎を勉強。午後からは屋外実習に移り、五島軒本店(末広町4)では食事介助を体験した。介助役がアイマスクをした相手の口元にスプーンを運び食事を食べさせたり、料理の内容を詳しく説明するなどしていた。この後、市電に乗って函館駅前に移動し、どんぶり横丁や函館ファクトリー内で車椅子利用者のトイレの介助実習なども行った。

 本格的なボランティア体験ははじめてという山下聰武さん(函館市川原町)は「介助される側も体験もできてとても勉強になった。障害者が知らない土地を訪れる時は不安なことも多いと思うので、自分たちが手助けすることで快適な旅を過ごしてもらえればうれしい」と話していた。(小川俊之)


◎衆院選企画「願いは届くか」(2)一次産業従事者 最低限の所得補償して

 「2007、08年と2年連続でジャガイモの値が下がって赤字だった。たくさん収穫できたのはいいが、汗を流した分だけの還元があればね…」。函館市石川町の農家、柴谷廣道さん(58)は妻、長男、二男と4人でジャガイモの収穫に精を出す。農産物の価格が下がれば消費者は喜ぶが、専業農家への打撃は大きい。柴谷さんは「肥料の高騰だって農業経営を圧迫しているんだ。最低限度の所得補償があってもいいんじゃないのか」と首をかしげる。

 なだらかで広大な耕地が広がる市内桔梗町の高台。「30代の息子2人が親と畑に向き合う光景なんてここじゃあ珍しい。ほとんどが50、60代だ。このままでいいはずがない」と後継者不足と高齢化を指摘する。

 食生活の変化も手伝い、日本の食料自給率は40%にまで落ち込んだ。選挙でも農業政策は焦点の一つで、各政党はマニフェスト(政権公約)で自給率の向上を掲げる。柴谷さんは「投票所には行く。担い手の確保と所得の安定を実現してくれる候補に入れたい」と期待する。

 同じく桔梗町でニンジンやジャガイモ畑を耕す男性(62)は、稲作農家の経営安定と米価の維持を目的に大豆や麦などに転作させる生産調整(減反)について「ある時期はそれで良かったのかもしれないが畑作が増えてこっちは大損」と憤る。「今年は高値だけど何年も赤字が続いたよ。息子に農家を継いでほしくてもつらい生活を強いるのがかわいそうで絶対にできない」と語る。

 函館市戸井地区の釜谷町の男性(60)は50代の妻と2人で養殖、天然コンブ漁で生計を立てている。男性は「まったくコンブ漁は大変なわりに報われない仕事だよ」と苦笑い。沖に出てコンブを取るのが午前3時半、その後は夜まで乾燥作業などが続く。「10年前はキロ当たり2600円と高値だったがだんだんと安くなってる」。今年は7月の長雨の影響でコンブの生育が悪く、「1800円を下らなければいいほうだ」とし、「自然相手の仕事とはいえ、安定した価格じゃないと食っていけない」と話す。

 漁業者も高齢化や後継者不足といった深刻な問題を抱える。40年以上釜谷の海を見守ってきた男性は「この町でも年々辞めていく人が多い」と語る。今回の選挙には「漁業振興」を望むというが、「誰が勝ってもどうせ何も変わらないだろ。いつもそうだもの。甘い言葉で有権者の気を引くだけで漁師には背を向けたまんま」とあきらめ顔だ。

 戸井地区はコンブ漁が盛んな地域だが、かつての浜の活気はみられない。男性はみけんにしわを寄せ「10年もたてばここは誰もいなくなる。政治に何とかしてほしいよ」と吐き捨て、遠くの海を見つめた。(長内 健)