2009年8月23日 (日) 掲載

◎国際科学祭が開幕

 サイエンスショーや実験教室など多彩な催しを通じて科学の魅力を伝える初イベント「はこだて国際科学祭」(サイエンス・サポート函館主催)が22日、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開幕した。初日は環境をテーマにした地球儀のアート作品展「『ワールドプロセッサー』インゴ・ギュンター108の地球展」の展示や一般市民と科学者らが気軽に語り合う「サイエンスカフェ(科学夜話)」などが行われ、多くの市民が科学の世界に触れて楽しんだ。

 市民に科学を身近に感じてもらい、イベントを通じて科学に携わる人のネットワークを広げようと、公立はこだて未来大や函館市などの連携組織が企画した。30日までの9日間、実験体験会やライブなどさまざまな企画を行う。

 地球展は、枯渇する漁場や真水の割合、テレビの所有率などさまざまな地球の問題をグラフィックデザインで施した光る球体68個が暗闇に並べられ、来場者は興味深そうに見入っていた。

 函館市の会社員、水上直子さん(48)は「配置の仕方が美しく興味深い」と見詰め、千葉県から帰省中の姪で高校3年の柴崎美織さん(18)も「きれいで、ためになった」と話していた。

 初回の「サイエンスカフェ」のゲストは、地球展の制作プロジェクトに携わったアートプロデューサーで九州大特任教授の目黒実さん(63)。集まった市民約40人を前に、子ども向け博物館や絵本の魅力を伝える活動への思いを熱く語り、質問を受けた地球展の狙いについて「デザイン化された空間の中で地球環境問題を感じてほしい。個々の地球儀にも意味はあるが、暗くすると光って浮かび上がる“仕掛け”をして子どもと一緒に問題を考える大人の姿勢が大事」と答えるなど、参加者とも活発な意見を交わしていた。また、「芸術は作品でなく『場』。科学祭の体験が子ども性の栄養となり、数十年後にここから科学者が生まれれば」と主催者にエールを送った。

 地球展は30日まで、午前10時―午後6時。入場無料。23日は子ども向けの化学実験体験会「実験カーがやってくる」や水筒作りを体験する「パナソニック環境学習プログラム」、市立函館高生が研究成果を発表する「サイエンストーク」などを予定。同日午後6時からのサイエンスカフェゲストは未来大の川嶋稔夫教授。当日参加可。

 詳細はホームページ(http://www.sciencefestival.jp)でも確認できる。(新目七恵)



◎新型インフル 市内2高校で集団感染

 市立函館保健所は22日、函館市内の高校2校で、新型インフルエンザの集団発生を確認したと発表した。患者は合わせて5人で、両校は感染した生徒が在籍するクラスを学級閉鎖にするなどの措置を取った。函館市内の学校で新型インフルの集団感染が確認されたのは初めて。

 同保健所によると1校では、発熱やせきなどの症状を訴えて19―21日に市内の医療機関を受診した複数の男子生徒のうち、同クラスに所属する3人からA型のインフルエンザウイルスが検出。うち1人の遺伝子検査(PCR検査)を実施して新型の感染を確認した。学校は患者が出たクラスを23―27日の間閉鎖する。

 もう1校では、同様の症状で市内の医療機関を受診した複数の女子生徒のうち、同クラスの2人からA型ウイルスを検出された。このうち1人のPCR検査を行い、新型と確認。同校の当該クラスは22―25日の間閉鎖する。

 22日現在、全員が自宅で療養し、熱が下がるなど快方に向かっている。同保健所は「いずれの生徒も夏休み中に感染した可能性が高く、今後他校でも感染が広がる可能性はある」と危機感を強め、うがいや手洗いなどの感染予防を呼び掛ける。

 新型インフル対策は現在、集団発生と重症化の予防に重点が置かれている。函館市の西尾正範市長は「全国でも感染は広がっており、函館だけのものではない。あまり過敏にならずに予防を徹底してほしい」と冷静な対応を求めている。(小泉まや)



◎威勢よく「えいやー」…いさり火まつり献湯行列

 函館の夏祭りの最後を飾る「第44回はこだて湯の川温泉いさり火まつり」(実行委主催)が22日、同温泉街で開催された。午後からは源泉をみこしで運び湯倉神社(函館市湯川町2)に奉納する「いさり火献湯行列」行われたが、夜に予定されていた灯篭(とうろう)流しと花火大会は、強風などの影響で23日に順延となった。

 函館湯の川グランドホテル(函館市湯川町3)で行われた温泉採湯式では、神事を執り行ったあと、みこしの中のタンクに源泉を注ぎ入れた。河内孝善実行委員長は「源泉は私たち温泉に携わる者の命。感謝の気持ちを忘れずに、しっかりとみこしを運んで奉納してほしい」とあいさつした。

 みこしの担ぎ手には約50人が参加。同ホテルから湯倉神社まで約3キロの道のりを、途中で休憩を挟みながら約1時間半かけ、「えいやー」など威勢のよい掛け声とともに練り歩いた。沿道には観光客や地元住民ら大勢の見物客も姿を見せ、写真を撮ったり応援の掛け声を掛けるなどしながらまつり気分を満喫していた。

 なお、この日は午後6時45分から松倉川で灯篭流し、同7時40分からはいさり火花火大会が予定されていたが、強風や高波のために23日に順延となった。(小川俊之)


◎逢坂氏を福島、佐藤氏追う…あすから衆院選後半 週末、各候補が舌戦

 30日投開票の衆院選は23日で前半を終える。道8区は民主党前職の逢坂誠二氏(50)が安定した戦いで一歩リードし、自民党新人の福島啓史郎氏(63)、無所属新人の佐藤健治氏(52)が追う展開となっている。選挙期間中で最初の週末を迎えた22日は、各候補とも大票田の函館市内や近郊で街頭演説などに力を入れた。

 福島氏は函館市に次ぐ大票田である北斗市と七飯町で遊説を行った。七飯町内を回った午前中は、陶芸まつりでにぎわう大沼公園と七飯駅前で街頭演説を実施。過去4回の選挙で民主党が議席を確保してきた道8区について「民主党議員は何も仕事をしてこなかった。今こそ仕事をする福島へ選手交代の時期」訴えた。また、保守分裂のため劣勢と伝えられる状況については「自民党公認候補は私一人だけなので、保守一本化は図れている」と強調した。

 逢坂氏は、市内西部地区から遊説をスタート。湯浜団地や花園団地などで街頭演説をこなした。逢坂氏は、諸外国のように一つの政権が政策に失敗した場合、新たな政党が政権を担うのが当たり前であると強調。「政権選択がかかった歴史的な選挙で、生活や地域経済を第一にした政治を実行する」と訴えた。民主党の大躍進を新聞各紙が報じていることについて「そうした記事が出れば出るほど緩む」と警戒し、残り1週間を全力で戦う決意を見せた。

 幸福実現党新人の西野晃氏(32)は「選挙戦に入り3日ほどしかたってない気がする」と気力十分。函館市内と北斗市七重浜の商店街や住宅街など、人が大勢集まる場所を集中的に走り、「減税と安全の西野」をアピールした。ダイエー上磯店前では買い物客らに対し、「自民や民主が行うであろう消費税の増税は、消費者が買い物を手控えることで日本の景気が悪くなり、企業倒産につながる。今必要なのは減税です」と、消費税や贈与税の撤廃を主張した。

 佐藤氏は知内町から遊説をスタートし、八雲町、長万部町でも街頭演説をした。小まめに選挙カーから降りて演説を繰り返し、「国政の議論が有権者の届かない所に行っている。郷土(ふるさと)を守るために地域の声を国政に届ける」と支持を呼び掛けた。

 木古内での遊説後、函館市内に戻り、遊説を休止。毎週土曜日に本町で行っている北朝鮮への拉致被害者救出を呼び掛ける街頭演説を約2時間行い、支持者とともにビラを配布した。(衆院選取材班)


◎きれいな菜の花畑に…夷王山でナタネの種まきや油搾り体験イベント

 【上ノ国】天の川・菜の花プロジェクト(柳原直昭代表)が主催する、ナタネの種まきや油搾りなどの体験イベントが22日、上ノ国町夷王山の八幡牧野周辺で開かれた。児童を含む約60人の参加者は、来春の開花を心待ちにしながらの種まき体験に汗を流した。

 開会式で柳原代表は「上ノ国に菜の花を咲かせることで、見学や体験に訪れる人でいっぱいにしたい」とあいさつ。工藤昇町長も「日本海のブルーと夷王山のグリーンに菜の花のイエローはとても良く合う。自然や景観を大切にした観光は、これからの時代にマッチした取り組み。町全体で支援したい」と激励した。

 夷王山頂上にある「夜明けの塔」の周辺では、あらかじめトラクターで耕した牧草地にナタネの種をまいた。直径2キロほどの真っ黒い種子を土の表面にまき、子供たちが木の枝を使った手作りの道具で土をかけた。参加者は、名前を記した小さな標柱を畑の脇に立てながら「きれいな菜の花畑になりますように」願いを込めていた。

 夷王山レストハウスでは、試験栽培で収穫したナタネの実を使い、専用の機械でナタネ油を搾り取る作業も体験。さらさらとした油がほとばしる様子に、子供たちが目を輝かせながら見入っていた。ナタネの実は10㌃当たり300キロの収穫が見込まれ、約100キロの油が製造できるという。この日は、檜山支庁農務課や檜山農業改良普及センターの協力で、ナタネの特徴などを知るクイズ大会も催され、参加者を楽しませていた。

 同プロジェクトは今年1月に発足。夷王山周辺を広大な“菜の花畑”として観光資源化するほか、食用油となるナタネ油も生産・販売を計画しているほか、新興作物として普及させることで、耕作放棄地の有効活用を図りたい考えだ。来春の開花の時期には、食用になる菜の花の天ぷら造りなど、町民参加によるイベントも計画しているという。(松浦 純)