2009年8月25日 (火) 掲載

◎「渡島当別トンネル」貫通 開業へ前進 新設区間で最長【木古内、北斗】

 【木古内、北斗】早期開業への大きな一歩―。北海道新幹線の新青森―新函館間の新設トンネルでは最長となる「渡島当別トンネル」(総延長8.06キロ)が貫通し、24日午前、貫通式が行われた。地元自治体関係者や工事関係者らが出席、約3年半に及ぶ工事を経ての貫通を祝った。今後、コンクリートの吹付工事などを行い、2012年3月までの完成を予定している。

 同トンネルは道新幹線の北海道側で最初の本格工事として、2006年1月から木古内側の西工区(3.88キロ)、同3月から北斗側の東工区(4.08キロ)で掘削を開始。月100メートルのペースで掘削を進め、7月3日に貫通した。両工区の工事を受注した2共同企業体が主催した鉄道・運輸機構道新幹線建設局や渡島支庁、木古内町、北斗市などの関係者約180人が出席した。

 式典では西工区側で同建設局の名越次郎局長ら、東工区側で海老沢順三北斗市長らが「貫通掘削」のボタンを押すと、貫通点を遮っていた黒い幕が外され、出席者から「貫通ばんざい!」の声がこだました。両工区では工事関係者が酒だるのみこしをかつぐなど、祝福ムード一色に包まれるた。

 海老沢市長は取材に対し「感動の気持ちでいっぱい。札幌延伸に向けての一里塚となることを祈念したい」、大森伊佐緒木古内町長は「開業に向けて大きな前進で格別の思い。今後の工事の安全と一日も早い開業を願う」と述べた。

 木古内―新函館の新設区間では、渡島当別のほかに新茂辺地(3.2キロ)、泉沢(1.7キロ)など5カ所のトンネルで工事が続いているほか、未発注のトンネルも1カ所残っている。木古内鉄道建設所の湯沢謙一郎所長は「工事自体はまだこれから。2015年度末の開業を目指し、着実に進めていきたい」と話している。(千葉卓陽)



◎期日前投票 渡島で1.56倍、桧山で1.44倍増

 道選管渡島、桧山両支所は24日、30日投開票の衆院議員選挙における23日までの期日前投票中間状況を発表した。前回同時期と比較すると、投票者数は渡島管内で1・56倍、桧山管内で1・44倍と大幅に増加している。

 公示翌日の19日から23日まで5日間の投票者数は、渡島管内が8322人(投票率2・27%)で前回同時期と比較すると2977人の増加。市別では函館が5590人で前回同時期比1820人増、北斗が894人で同488人増。町別では七飯403人(同148人増)、森335人(同109人増)、八雲334人(同132人増)、松前228人(同84人増)、福島151人(同23人増)、長万部118人(同64人増)、知内103人(同47人増)、鹿部町84人(同44人増)、木古内町82人(同18人増)。

 桧山管内は998人(投票率2・65%)で前回から304人増。町別では江差304人(前回同時期比111人増)、せたな202人(同17人増)、今金159人(同55人増)、乙部112人(同57人)、奥尻93人(同9人増)、厚沢部81人(同44人増)、上ノ国47人(同11人増)。(小川俊之)



◎支庁再編 条例施行いつ? 事務作業控え困惑

 【江差】現行14支庁を9総合振興局と5振興局に再編する支庁再編条例の施行時期が不透明な情勢にある中、支庁から振興局への名称変更に伴う事務作業を控えた桧山管内では「振り回されるのはたくさんだ」と困惑の声も上がっている。

 高橋はるみ知事は21日の記者会見で、条例の早期施行に意欲を示したが、予定している10月施行には言及しなかった。同日、道地域主権局は「条例の施行時期についての知らせ」とする文書を公表。「新しい支庁の組織体制や機能の基本的な考え方などについて地域の皆様のご理解をいただけるよう取組を進めて、条例の施行時期について判断したい」と説明。その上で「条例施行日までの間の皆様の諸準備等に支障が生じないよう十分留意します」と、極めてあいまいな内容になっている。

 条例施行には、期日などを定める道の規則制定が必要となる。施行期日が固まらないのは、支庁の組織や機能をめぐる市町村や、道町村会地方4団体との協議が遅れていることが原因だ。桧山管内のある町は「反発を招くような手法で協議を進めてきた道の不手際だ。施行を延期するのしないのかはっきりすべき」と苦言を呈する。

 条例施行に伴い、渡島支庁は「渡島総合振興局」、桧山支庁は「桧山振興局」に名称を変える。これに伴い、市町村でも“支庁”の文言を含む条例をはじめ、規則や文書類の変更が必要になる。例規集の修正といった事務的負担も発生する。道南でも「桧山“支庁”管内町村会」など、名称の変更を余儀なくされる団体もある。郵政民営化に伴い条例類の修正を行った町は「条例の場合は議会提案して議決を得なければならない。施行期日が定まらない現状では準備もできない」とぼやく。

 また、道の試算によると、現行14支庁の名称変更に伴い、庁舎の銘板や公印などの作り替えに1億円以上の出費が見込まれるという。道は、現在の支庁体制を基本に総合振興局と振興局の組織体制を検討しているが「今の支庁と何が違うのか。名前を変えただけで改革なのか。知事の体面を守るだけの支庁再編ならやめるべき」(江差町の経営者)と、改革の意義そのものを疑問視する声も吹き出すなど、長引く支庁再編をめぐる道の迷走状態に住民もうんざり顔だ。(松浦 純)


◎道南経済「厳しさ増している」 個人消費や生産に改善の動きも

 函館財務事務所は24日、2009年4―6月期の経済概況「道南経済レポート」を発表した。個人消費や生産活動の一部に改善の動きがみられた一方、桧山管内の大型倒産や住宅建設の不振が響き、景気の総括判断を「厳しさを増している」と据え置いた。

 項目別では、個人消費が「弱い動き」と前期の判断を踏襲。主要小売店(7社)の売上高は前年同期比9・3%減となり、特に6月はグルメシティ五稜郭店の閉店の影響で同12・7%減と大きく落ち込んだ。一方、ホームセンター(4社)の売上高は昨年の新設店効果で同4・0%増と5期ぶりに増加。新車販売台数は5月以降、エコカー減税など政府の支援策効果がみられ、同13・4%減とこれまでに比べ減少幅が縮小傾向にある。

 観光は前期と同様「前年比減少幅が拡大」と判断を据え置いた。空の便は台湾からのチャーター便の縮減や国内路線の休廃止、機材の小型化などが影響し、同20・2%減と大苦戦。主要ホテルの宿泊客数や観光施設の利用客数はともに同15%前後の落ち込みで「海外客を中心に新型インフルエンザの影響もある」(財務課)という。

 住宅建設(函館、北斗両市)は「前年を下回る」に下方修正。貸家が同60・8%減と大きく下回ったことが要因で、同課は「昨年急拡大した賃貸アパート大手の積極セールスの反動減が大きい」としている。生産活動は総じて低調な中、電子部品が家電製品や携帯電話向けの海外の需要増に伴い稼働状況に「持ち直しの動き」も。企業倒産は乙部町の建設資材系商社の破たんの影響で負債総額が同59・8%増と急増した。(森健太郎)


◎本通小タイムカプセルの掘り起こし 亡き恩師しのぶ

 函館本通小学校を1999年3月に卒業した第28期生が22日、函館市本通の同校グラウンドに集まり、10年前に埋めたタイムカプセルを掘り出した。出てきたのは写真や当時の成績表など思い出の品々。同年に定年退職した当時の担任教諭大橋智子さん(享年61)は翌年がんで亡くなったが、教え子たちは10年後の再会を果たし、亡き恩師をしのんでいた。

 集まったのは当時の6年1組の児童32人のうち8人。当時の様子は1999年3月18日付の函館新聞にも「10年後に!再会を約束してタイムカプセルを埋めた本通小6年1組」との記事が添えられ、記念写真が掲載された。今回、10年前の約束を実現しようとPTAの登久美子さん(60)が声を掛け、保護者6人と大橋教諭の妹で札幌に住む谷地晃子さん(68)も参加した。

 グラウンドの一角に埋められたプラスチック容器のタイムカプセルを掘り出すと、おもちゃや文房具、自分への手紙など懐かしい品々が。ぬいぐるみを入れていた函館市の会社員吉田未来さん(23)は「懐かしい。10年ぶりで男らしくなった人もいてびっくり」とし、千葉県から駆け付けたジムトレーナー秋葉佳輔君(23)は「大橋先生は怒られたこともあったけど優しい先生だった。一緒に開けたかった」とぽつり。

 登さんは「穏やかな先生でこの場にいないのが悲しい」と話し、谷地さんは「呼んでもらってありがたい」と話していた。メンバーはこの後、大橋教諭の墓参りに行き、旧交を温めた。(新目七恵)