2009年8月26日 (水) 掲載

◎森町、投票率アップへ電話作戦 前回参院選の全道町村最低返上狙う

 【森】30日投開票の衆院選に向けて、森町はこのほど、増田裕司副町長を本部長とする投票率向上対策本部を立ち上げた。町内全世帯に電話で投票を呼び掛けるローラー作戦を展開中で、道内町村部で最低の投票率に終わった07年参院選の轍を踏むまいと必死だ。

 森町は、07年参院選道選挙区の投票率が56・13%と、道内町村部で最低を記録。対策本部は佐藤克男町長の呼びかけで、町独自の啓発活動に力を入れようと設置。町内の全7800世帯を対象に、電話で棄権防止を呼び掛ける異例の作戦に出た。

 24日は業務終了後の午後6時から、町選挙管理委員会(広瀬実委員長)から併任発令を受け、選管の腕章を付けた町職員11人が本庁と砂原支所に分かれ、電話帳片手に町民一人ひとりに電話。「30日は大事な選挙。忘れずに投票をお願いします」と呼び掛けた。

 町内には昨年度、町明るい選挙推進協議会(手代木惇会長)も発足。今衆院選に合わせてのぼり120枚、チラシ600部を作成。また各町内会でも投票を呼び掛ける回覧チラシを作るなど、町ぐるみでの取り組みが進む。

 電話作戦は28日まで行う予定で、対策本部の輪島忠徳副本部長は「投票率は民度や自治意識の高さが反映されるもの。今回は05年衆院選(66・85%)から10%アップを目指す」と話している。(千葉卓陽)



◎函館市が来月9、28日に初企画 バスツアーで道央圏からの観光客つかめ

 函館市は、札幌市など道央圏からの観光客増を図ろうと、野菜の収穫体験や函館朝市の見学を盛り込んだバスツアー「とっておき旬の味覚収穫祭」を初企画した。旅行会社の協力を受けた広域観光型のツアーで、9月9日と同28日に1泊2日の日程で行う。市観光振興課は「車利用の旅行形態に着目したツアー。函館観光のリピーターを増やしていきたい」としている。

 昨年度から道央圏をターゲットにJRを移動手段に使ったツアー企画を定期的に発案していたが、バスを利用したツアー企画は今回が初めて。自動料金収受システム(ETC)を活用した高速道路料金割引を利用し、車で函館入りしようとする旅行者に向けて観光メニューを提案した。今回は試験的に実施し、参加者の満足度など効果を検証したうえで、旅行会社の商品に活用してもらう考え。

 市内の観光スポットのほか、近郊での体験型観光メニューを取り入れているのが特徴で、近隣市町と協力した広域観光の構築も図る。函館ならではの旬の海産物のほか、収穫した野菜を食材にした特別メニューを夕食で提供する。合わせてレシピも披露する。

 両日ともJR札幌駅北口を午前7時半出発。八雲町内でピザ焼き体験をした後、七飯町の農家でトウモロコシや枝豆、タマネギなどの収穫体験をする。函館市内のホテルに宿泊し、2日目は函館朝市を見学、食事や買い物を楽しんでもらう。五稜郭公園や元町の散策も予定されている。

 定員は各日40人。旅行代金2万4800円(往復バス運賃、宿泊費、収穫体験費用など含む)。市観光振興課は「函館在住の人も道央圏に住む親戚や知人に声を掛けてほしい」と呼び掛けている。

 問い合わせは近畿日本ツーリスト札幌営業所TEL011・221・5489。(鈴木 潤)



◎選挙企画【願いは届くか】子育てと教育 平等な学習環境を 貧困の連鎖 断ち切って

 「子育てはすごくお金が掛かる。不景気で年収が下がり、兄弟が欲しくても金銭面の不安から計画できない家庭は多い」。小学4年と6歳の子を持つ函館市の主婦横谷多美さん(37)はそう語る。子どもが幼稚園、小学校と進むにつれ、教育費の高さを痛感してきた。育児に追われる中、各党の打ち出す子育て支援策は魅力的に映る。しかし、財源に不安も感じる。「消費税の増税など後からしわ寄せがきても困る」と複雑な表情を浮かべる。

 転勤族の妻が集まる居場所を作ろうとサークル活動に励んでいたが、活動場所の確保などに苦労して休止状態に。現在は市内の子育てサークルの連携団体「子育てを考える会」の代表を務める。世帯収入で子どもの学習環境に差が出たり、共働きで親が子とじっくり向き合えない現状を憂い、「安全に子どもが過ごせ、誰でも平等に教育が受けられる環境が欲しい」と訴える。

 子育てサークル「めりーず」の代表を務める函館市の主婦相原チカ子さん(36)は5歳と2歳児の子育て中。育児のために事務職を辞めたが、二人目を幼稚園に入れると金銭的な負担が多いため働かざるを得ないと考えている。しかし、「子育てと両立するには融通が利く職場でないと無理。レジ打ち程度しかできないと思う」と明かす。

 少子化の時代、本来喜ばれるはずの子育てが社会に受け入れられにくい状況に追い込まれている。育児支援策や環境づくりも自治体間で差がある。函館短大専任講師の小岩眞智子さんは「教育の機会を奪われ、貧困の連鎖が始まっている」と指摘。「子どもの保育や教育の優遇は優先されるべき。働く母親が落ち着いて子育てできる環境を早急に整えてほしい」と求める。

 一方、子どもが安心して学べるはずの学校現場も揺れている。いじめや引きこもりなど年々深刻化する問題に加え、新学習指導要領改定による授業時数の増加や教員免許更新制度の導入など教員個人の負担が増している。

 函館市内の中学校の男性教諭(47)は「一人当たりの仕事量は多くなるばかり。授業時数を確保するためには行事を減らすしかなく、生徒一人一人に接する時間が取れない」と漏らす。小6と中1の子を持つ親の立場からも各党の教育支援策には不信感をぬぐえない。「財政支援は助かるが該当しない家庭との不公平感が残る。一時的でなく長い目で見た政策を考えてほしい」。

 函館大の金山健一専任講師は「子どもの心がしっかり育っていない。家庭、学校、地域で育てる覚悟が必要だ」とし、「そもそも日本の教育予算が貧困過ぎる。国家のグランドデザインとしての教育施策の提示を」と将来を見据えた教育ビジョンの必要性を訴える。(新目七恵)


◎11月、初の道外開催 はこだて検定横浜でも 9月から申し込み受け付け

 函館商工会議所は、11月8日に実施する「第4回函館歴史文化観光検定(通称・はこだて検定)」の受験申し込みを9月1日から受け付ける。今年は函館と同じく開港150周年を迎えた横浜でも初開催。同会議所によると、道内の「ご当地検定」で道外に受験会場が設置されるのは初めて。

 横浜会場は首都圏の道南出身者や函館ファンの要望に応え、両都市の開港150周年を記念した特別開催。函館会場の函館大学(函館市高丘町51)と同一時間に同一問題が出題され、横浜メディア・ビジネスセンター(横浜市中区太田町2の23)6階の横浜PRオフィスを会場に決めた。

 同検定は市民らに函館への愛着を深めてもらおうと、2007年に開始。過去3回で延べ約2000人が受験し、初級937人、上級21人の合格者を輩出した。一方、初級の受験者は初回が907人だったのに対し、前回は480人とほぼ半減している。

 同会議所は「函館以外の受験者は例年1割程度にとどまっている。首都圏在住者の需要を掘り起こし、地域の活性化につなげたい」としている。受験料は初級3000円、上級5000円。学生や65歳以上向けの割引もある。申し込み締め切りは9月30日まで。申込書は同会議所のほか、テキスト取扱書店や公共施設などで9月1日から配布する。問い合わせは同会議所地域振興課TEL0138・23・1181。(森健太郎)


◎市道交差点の安全策検討を 児童3人が軽傷事故 西署と学校関係者らが現場診断

 函館西署は25日、今月18日に小学生3人が巻き込まれる軽傷交通事故が発生した函館市大川町10の市道交差点で、市や町会、小学校関係者らと現場診断を実施した。一時停止による交通規制や路上に注意を喚起する看板を設置することなど、住民側から一日も早い安全対策を求める意見が上がった。

 現場は幅員8メートルと4メートルの道路が交わる交差点。事故は18日午前11時40分ごろ、幅員4メートルの道路を大川公園グラウンド方向から八幡通沿いの児童館に自転車で向かっていた7―10歳の小学生3人が、交差点で右から来た乗用車と出合い頭に接触、軽いけがを負った。同署によると、昨年6月にも小学生が巻き込まれる同様の事故が起きている。

 グラウンド方向から八幡通に向かう道路は緩やかな下り坂で、付近住民は、自転車の子どもたちが勢いよく児童館に向かう姿をよく目撃するという。同署交通課の柴田修至係長は「軽傷だったのは偶然にすぎず、重大な事故になった恐れもある。見通しも悪く(自動車側は)ブレーキが間に合わない」と説明した。

 住民側からは、交通規制や飛び出しへの注意を喚起する看板の設置、センターラインの塗り直しなどの要望が上がった。高橋法男課長は「できる限り早く何らかの対応策を検討したい」としている。(今井正一)