2009年8月27日 (木) 掲載

◎定額給付金の申請期限迫る

 国の定額給付金の申請期限が迫っている。道南地域の自治体で最も早く支給手続きを始めた乙部町が9月2日に期限を迎えるほか、函館市(10月13日)と北斗市(同5日)以外は、いずれも9月中に受け付けを終了する。各自治体の世帯給付率は、すでに96―99%台と高い水準にあるが、100%の給付達成を目指しさまざまな周知作戦を展開している。

 渡島管内で最大の給付世帯数を有する函館市では、対象となる14万2257世帯中、96・2%が申請済み。残る約5400世帯については「うっかり忘れている人がいるかもしれない」(市定額給付金事務局)と考え、申請期限を知らせる書類を28日にも発送する。

 配偶者からの暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)から逃れるために住民票を元の住所に残したまま別の住居に避難し、定額給付金などを受け取ることができない人を対象にした「DV被害者生活支援特別給付金給付事業」は、対象となる10世帯中9世帯から申請があった。

 同じく96・9%の北斗市では、7月下旬に未申請世帯に再度申請書類を送付。独居老人や病弱な世帯に対しては、職員が訪問して申請手続きを行うことも検討している。

 このほかの給付率は、七飯98・1%、森96・1%、鹿部98・9%、八雲96・6%、長万部99・0%、松前99・0%、福島99・1%、木古内98・6%、知内99・6%。七飯では6月に民生委員が独居老人宅を訪問したところ、約600世帯から申請を受けるなど、給付率アップに効果があった。

 桧山管内では、乙部の給付率が99・8%と道南地域では最も高い水準。町総務課によると、未申請9世帯のうち2世帯は、配達先が分からず申請書が未達のままという。松原静雄総務課長は「個別通知や防災無線での周知を繰り返している。できる限り支給漏れが生じないように努めたい」としている。

 上ノ国は98・3%で未申請が45世帯。24日に個別に通知文を発送したほか、9月の町広報誌で手続きを呼び掛ける。99・0%の厚沢部では7月に個別通知を発送している。

 このほかの給付率は、江差98・3%、せたな99・5%、今金98・6%、奥尻97・7%。各町とも個別通知のほか、防災無線や広報誌などを通じて周知を繰り返しているが「町内で未申請者の元気な姿を見掛けるが、関心が無いのか、忘れているのか、拒否しているのか分からない」(ある町の担当者)と対応に苦慮している。



◎新型インフル 道南でも感染拡大

 道南でも新型インフルエンザの感染が広がりつつある。7月、来函者に確認されたのを初めとして市民レベルでも感染が広がり、現在では新学期を迎えたばかりの函館や北斗市内の高校、小学校のクラスが学級閉鎖にされるなど、子ども間での感染拡大が判明している。市立函館保健所の山田隆良所長は「感染者の増加は表面には出ていないが広まっている。9、10月に向けてさらに増えると予想される」として、予防策の徹底を呼び掛ける。

 市立函館保健所が、市内11の定点医療機関からの患者報告数をもとに発令するインフルエンザ流行の注意報や警報は、現時点では発令基準にはほど遠い。しかし例年夏季にはゼロとなる同報告数が今年8月、3―9日は4件、10―16日は10件、17―23日は3件が報告されている。

 同保健所は「この程度では流行が反映されているとは言えない」としながらも、「全国的に流行の度合いはさらに強まっている。いずれ注意報や警報がでるほどの患者となる可能性は十分ある」として注意を求める。

 一方、医療の現場では、確実に新型と同じA型のインフルエンザウイルスが検出されている。感染症指定病院の市立函館病院では、7月上旬から段階的に、発熱や咽頭(いんとう)痛などインフルエンザ様症状を訴えて来院する患者が増加。7月上旬から8月23日までに受診した143人中12人からA型ウイルスが検出された。

 同院によると患者は幼児や小学生、20歳前後の若者が多く、「A型というだけでは新型と決めつけられないが、おそらく新型がまん延していると考えられる」とする。このほかの市内の総合病院でも、7月から8月24日までに6人、また別の市内総合病院でも同期間中5人のA型インフル患者が確認され、医療機関全体ではかなりの数に上ると推定される。(小泉まや)



◎グループホーム 3年半ぶり新規3施設 市が整備再開…「にしぼり」1日開所

 函館市は本年度、2006年度から凍結していた認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム)の計画的整備を再開する。療養病床からの転換型で9月1日に医療法人社団仁生会西堀病院のグループホームにしぼり神山が開所するほか、新規募集した2施設に医療法人鴻仁会深瀬病院と有限会社トリノを選定した。新規開所は3年半ぶり。

 グループホームは認知症の要介護認定者が共同生活する介護福祉施設。医療法人や社会福祉法人、民間会社などが参入して事業を展開している。1ユニット9人(個室9床)で、新規整備する3施設はともに2ユニットの個室18床を備える。

 市福祉部と市立函館保健所によると、現在の市内のグループホームは33施設597床。施設整備費はかかるが、比較的経営が安定していることから参入が相次ぎ、05年度だけで15施設270床が整備された。市は一定の整備がされ、これ以上増加すれば介護保険財政を圧迫するため、施設整備の許認可権限が市に下りた06年度から新規整備を凍結してきた。

 本年度から3年間の第4期市介護保険事業計画でグループホームについて、第3期計画期間(06―08年度)で現状維持としたが、認知症の高齢者が増え、入所待機者もいることから一定数の整備が必要―との基本方針を決め、3年間で5施設(うち療養病床からの転換2施設)程度の整備を計画している。

 本年度は西堀病院が療養病床から転換。新規2施設分は市中央部と東央部でそれぞれ1件を募集したところ、中央部で4件、東央部で5件の応募があり、外部委員でつくる選定委員会の選考で深瀬病院とトリノに決まった。

 市は、日帰り通所や短期入所、ヘルパー派遣などの機能を複合させた小規模多機能型居宅介護施設の応募が不振なことから、今回の新設グループホーム募集で小規模多機能型施設の併設を条件とした。

 1日にオープンするグループホームにしぼり神山(神山1の25の9)では、27日午前10時から午後3時まで内覧会を開催中。管理者兼ホーム長の関大樹さん(33)は「家庭的な雰囲気の中で職員1人1人が利用者の皆さんを支えていきたい」と話している。問い合わせは同施設TEL0138・52・0247。(高柳 謙)


◎管内に不審電話相次ぐ…振り込め詐欺

 函館市内で21日、無職女性(73)が息子を装う男に現金300万円をだまし取られた振り込め詐欺事件の発生と前後して、警察に不審電話情報が相次いで寄せられている。道警函館方面本部生活安全課は、寄せられた約70件の情報の共通性から、犯人が市内複数の高校の同窓会名簿を利用して、管内に集中して電話を掛けているとみている。

 同課によると、今年の管内で発生した振り込め詐欺の被害は、25日現在で8件、750万円余り。昨年の同時期に比べ、被害額が5000万円以上減少するなど、沈静化の様相をみせていた。

 21日の事件は今年の管内最高被害額。息子を装う男が「友人の借金の保証人になった」としてだます、典型的な「おれおれ詐欺」の手口だった。犯人は、事前に「携帯電話の番号が変わった」と、犯行連絡用の携帯番号を女性に伝えるなど、周到に準備もしていたという。同課の今野慎一次席は「携帯電話が『壊れた』、『無くした』は振り込め詐欺の前兆」と指摘する。

 振り込め詐欺は、大切な家族を案ずる気持ちを巧みに利用する悪質な犯行。慌てずに以前から知っている電話番号に掛け直したり、「誰にも言わないで」と頼まれても、別の親族や身近な友人に相談する冷静さが必要。家族間にしか分からない「合い言葉」を決めておくことも有効な手段だ。今野次席は「不審な電話があった場合は、即座に最寄りの警察署、交番に情報を」としている。(今井正一)


◎7月の道南 有効求人倍率0・29倍

 函館公共職業安定所は26日、7月の渡島・桧山管内の雇用失業情勢を発表した。有効求人倍率は前年同月を0・18ポイント下回る0・29倍に落ち込み、ITバブル崩壊後の2000年1月の0・28倍以来、9年6カ月ぶりに0・30倍を割り込んだ。仕事を求める10人に3人未満しか仕事がない「危険水域」(同職安)に突入し、道南の雇用情勢の深刻さが浮き彫りになった。

 これで07年7月以降、25カ月連続で前年同月割れとなり、比較可能な統計が残る1998年4月以降、最長のワースト記録を更新し続けている。同職安は管内の情勢判断を前月までの「一段と厳しい状況にある」から「一段と厳しさが増している」へと3カ月ぶりに下方修正した。

 有効求職者は前年同月比17・6%増の1万1735人で、急速に景気が悪化した昨年9月以降、11カ月連続で増加。一方、企業からの有効求人は3393人と前年同月に比べ28・1%減と大幅に減少し、雇用環境の悪化に歯止めが掛からない状況だ。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率は同0・24ポイント減の0・61倍で、16カ月連続の前年割れ。特に新規求人が同20・0%減と3カ月連続で2割以上落ち込んだのに対し、新規求職者は同10・5%増と増加傾向が続いている。事業主都合による離職者も同27・4%増と、前月(同27・1%増)に続いて大きく増えている。

 産業別の新規求人では昨年相次いで新規出店した函館市内のスーパーの反動減で、卸売・小売業が同47・8%減と落ち込みが激しく、宿泊・飲食サービス業も同43・6%減と観光客の減少や消費低迷のあおりを受けた。同職安は「7月(の求人)は例年、夏枯れの傾向にあるが、今年はさらに不況が追い打ちを掛けた。8月も丸井今井の離職者やスーパーの閉店などもあり、数字を押し下げる求職者の増加要因が目立つ」としている。(森健太郎)