2009年8月28日 (金) 掲載

◎動物病院の夜間診療スタート

 函館、北斗、七飯在住の獣医師8人が連携し、輪番制で動物の夜間診療を始めた。当番病院に直接転送される専用ダイヤルを設け、飼い犬・猫などの急病や体調不良に対応していて、大切なペットを抱える飼い主にとっては、心強い味方になっている。

 従来、動物の夜間診療は各病院で個々に対応している状況で、夜間は獣医師が1人で診察を行っているため、個人の力だけでは対応能力に限界があった。この問題は道南の獣医師の間でも課題として度々話題に上り、今年1月に有志で「夜間動物診療協議会」を発足。7月下旬から夜間診療を始めた。

 診療時間は午後9時から午前零時までで、原則365日、当番病院が対応する体制を整えた。治療・検査費のほかに、夜間診察料として5000円がかかる。健康相談や予防接種は受け付けない。原則入院はできない。当番病院は一晩限りの対応となるため、診療記録は翌日かかりつけの獣医師に提供され、診療を引き継ぐ。

 宣伝活動をほとんど行っていないため、開始から約1カ月間の利用者はわずか6人。それでもかかりつけの病院からの紹介や、口込みなどによって利用者は着実に増え始めているという。

 同協議会事務局の田島康晴獣医師(36)は「当番を受け持つ病院の数が増えれば、診療時間をもっと拡大できる。今後も獣医師の参加を募り、さらなる夜間診療の充実を目指したい」と話している。

 専用ダイヤルはTEL0138・47・0490(夜間のみ)、問い合わせは同事務局(あおば動物病院内)TEL同49・9561へ。(宮木佳奈美)



◎総選挙道8区、逢坂氏を福島氏追う

 30日の衆院選投票まで、28日で残り2日。道8区に立候補した4人は27日、大票田の函館市を中心に街宣活動し、票の上積みを図った。全国的な追い風と保守分裂などから民主党前職、逢坂誠二氏(50)が先行し、自民党新人、福島啓史郎氏(63)が懸命に追い上げている。

 民主党と連合の組織力、道議や市議との連携、選挙区候補を擁立していない共産党の票の流れや新党大地との協力関係、公示前後の決起集会の動員数などでも逢坂氏は他候補をリードしている。ただ、福島氏も保守団結を訴えて距離を縮めている。無所属新人、佐藤健治氏(52)は支持の広がりを欠いている。

 元農水官僚で一次産業の振興を掲げる福島氏は、漁業者への支持を拡大。日米FTA(自由貿易協定)問題に関する民主党の小沢一郎代表代行の発言に対し全国農業協同組合中央会が抗議声明を出したことを追い風に、農業票の確保も図る。これに従来からの企業票、保守票の取り込みに全力を挙げ、陣営は「残り2日で逆転を狙える」と照準を合わせる。

 逢坂氏はこれまで地元選出の道議や市議らと道南一円を2巡ほどし、一次産業従事者の多い郡部や函館市内旧4町村への浸透にも力を注いだ。党幹部の応援がない中、各地で個人演説会も20回以上開き、従来の保守層や無党派層にも支持を広げる。陣営幹部は「公示後に逢坂の名前と顔が一致した有権者も多いが、油断していない」と引き締めを図る。

 佐藤氏は選挙戦前半で檜山や渡島北部などを一巡し、後半は函館市内や近郊で遊説を展開している。「郷土(ふるさと)を守る」「函館を支えたのは農村・漁村の集落」などの主張から農漁村部や高齢者を中心に支持を集めている。個人演説会を10回予定。支持者には熱意があり、陣営幹部も「運動量ではどの候補にも負けていない」と語る。

 幸福実現党の新人、西野晃氏(32)は、渡島・檜山管内をくまなく回り、政策の2本柱である消費税や贈与税などの廃止による景気回復と、北朝鮮に対する国防強化を重点的に訴えてきた。住宅地のほか商業施設や商店街なども丁寧に訪れ、課題だった知名度向上に努め、個人演説会は10回を数えた。「厳しい戦いだが全力で戦っている」と陣営幹部は話している。(衆院選取材班)



◎女性のがん検診、函館市が無料クーポン配布

 日本のがん検診受診率向上を目指して全国で実施される、子宮頸(けい)がんと乳がん検診の無料クーポン券が、各自治体で発行されている。函館市では対象者となる延べ1万963人に対して発送し、9月から使用できる。市立函館保健所は「早期の発見、治療は完治にもつながる」として利用を呼びかける。

 全国的には他のがん検診に比べ、女性特有の子宮がんと乳がんの受診率は低く、2007年度では子宮がんが18.8%、乳がんは14.2%にとどまっており、受診率の上昇を目指す。同年度の函館市では、子宮がんは22.5%と比較して若干高かったが、乳がんは9・2%。

 市が実施する検診では、子宮がんは20歳以上、乳がんは40歳以上のそれぞれ隔年に検診料が助成しており、子宮がん(頚部のみ)は1500円、乳がんは1800円の自己負担で受けられる。無料検診は、活用が進まない現状を打開するため啓発を目的に実施。対象者を子宮がんは20、25、30、35、40歳、乳がんは40、45、50、55、60歳の5歳刻みとした。

 対象者には郵送でクーポン券や検診手帳が届く。手帳には検診可能な市内の医療機関(子宮がん17カ所、乳がん8カ所)が記載されており、事前連絡で予約のうえ、9月1日から来年2月28日までに受診する。対象者のうち、ことし4月1日から8月31日までに市の検診を受けた人に対しては、かかった費用が払い戻される。

 検診手帳では、「がんの進行とともに治癒率は下がる」として早期発見・治療の有用性を説き、「予防のためには生活習慣の改善と検診が有効」など、がんについての知識を伝える。また同保健所独自で、これまで検診を受けなかった理由などを聞くアンケートも同封し、受診時に回収する。

 同保健所は「今回の対象者以外の家族や友人間でも話題にして、がんに対しての知識を広めてほしい」と期待する。(小泉まや)


◎函工2年生2人が「測量士補」合格

 函館工業高校(昆野茂校長)環境土木科2年生の大久保公一郎君(17)と工藤尚也君(16)が、このほど行われた「測量士補」の国家試験に見事合格した。合格率25%の厳しさだったが、地道な努力が実を結び、2人や関係者は喜んでいる。

 測量士補は測量士の作る計画に従って測量を行う。試験は国土地理院が実施し、今年は5月に札幌など全国14カ所で行われた。1万520人が受験し、2704人が合格。内容は水準、写真測量などの知識や技術を問う計算・文章問題計28問で、同校によると時代の変化で今年から「汎地球測位システム測量(GPS測量)」など範囲が広がり、難易度は増したという。

 2人は就職に有利として、入学当初からさまざまな資格の取得に励んでいる。今回の試験に向けては昨年11月から週3、4日の補習を続け、休日も自宅で勉強に励んできた。

 工藤君は「思ったより出来なくて不安だった。合格を知った時は本当にうれしかった」と振り返り、大久保君は「1週間前に風邪を引いたけど工藤君にワークシートをもらって勉強した。合格は自分の頑張りと工藤君のおかげ」と話している。

 2人は11月に神奈川県で行われるものづくりコンテスト全国大会測量部門にも出場する予定で、今後も多くの国家資格の取得者に贈られる「ジュニアゴールドマイスター」を目指して各種試験に挑戦するという。(新目七恵)


◎集団暴行事件から2年、東富岡町会で偲ぶ会、「決意の日」制定

 函館市の東富岡町会(石井満会長)はこのほど、2年前に発生した、市内の私立高3年佐藤智也君=(当時18)=が少年7人から集団暴行され死亡した事件を風化させず、いじめの根絶を願い「東富岡いじめ・虐待防止委員会」(同委員長)、「同いじめ虐待相談室」(笹原志郎室長)を結成。事件があった8月26日を「いじめ・虐待をなくしていく決意の日」とし、同日、暴行現場の富岡中央公園(富岡町1)で佐藤君を偲ぶ会を開いた。

 石井会長は、事件発生からいじめに関する新聞記事をまとめるなどして再発防止を考えてきた。同町会には道教委でいじめ対策に関する仕事をしていた笹原さんもいて、町会役員で同委員会、同相談室設立の案を出し、今年4月の町会総会で承認され、活動を開始した。

 町会には子供の話や悩み相談を電話で受け止めるグループの代表もおり、研修を受けた同相談室相談員が8月から毎週土曜日午後に電話いじめ相談室を開いた。石井会長は「このような悲しみを二度と起こさないようにしよう」と話し、町会で「決意の日」を制定。追悼集会を行った。

 集会には町会役員、佐藤君が通っていた学校の教員ら約50人が参加。石井会長が「町会として佐藤君の死を無駄にしないことを考えた。絶対に事件を風化させない」と決意を述べ、参加者が献花した。花は佐藤君の遺族に贈られたという。石井会長は「公園の近くにいた子どもたちも参加してくれた。町会として議論を重ね、できることを実行していきたい」と話していた。

 この事件では、佐藤君が中学時代の同級生ら少年7人から同公園で顔などを殴打され、さらに、昭和公園(昭和町)でも暴行を受け、頭部打撲による外傷性脳浮腫で死亡した。(山崎純一)