2009年8月29日 (土) 掲載

◎新型インフル、予防品は品切れ状態

 新型インフルエンザの感染者が道南でも広がる中、ドラッグストアなどではマスクのほか、うがいや手洗いで使う除菌や殺菌用のハンドソープなどの供給が追いつかず、入荷待ちの状態が続いている。まとめ買いをする姿も見られ、市民らは在庫のある店を探し回っている。イベント会場でも手洗い用品を多く確保しようと懸命だ。

 函館市石川町のホーマック・スーパーデポ石川店では8月22日ごろからウイルス対策用の関連商品のコーナーを設けたが、「新型インフルに関するニュースが流れるたびに売り場から商品が消え、発注している」と話す。ツルハドラッグ各店では「マスクは15種類ほど置くが、すぐ完売し補充に追われる」という。

 しかし、市民や観光客が多く集まる場所でマスク姿の人は多く見掛けない。自然公園財団大沼支部によると、大沼では本州からの団体客でマスクを付ける人が目立つ程度と話す。函館市民会館では23日、市民ミュージカルに約1300人の来場があったが、マスクをしていたのは数人だったという。同館では、市新型インフルエンザ対策本部から指示が出た際、入り口に消毒用品を置く準備をしている。当面の数は整っているというが、万が一、感染が長引いたことを考え業者に再度注文しているが、本州での需要がかなり多いため入荷は遅れるという。

 市内の主婦は「店にマスクが置いてあれば自然と買おうとしてしまう。絶対に感染は避けたいから、余分に持つことに越したことはない」と話す。ある店は「インフル対策品があるコーナーに毎朝同じ男性を見掛ける。個人はもとより、企業が買うことも多い」とし、「ウイルスの感染予防はまず、手洗いやうがいをしっかりすることや、せきのエチケットも大切。備えの買い物も大切だが、予防の基本を徹底することも忘れないで」と話していた。(山崎純一、長内 健)



◎来遊落ち込み、道南のサケ漁解禁延期

 サケの来遊量が大幅に落ち込むことが予想されるため、道南の各漁協は9月1日から3日としていた秋サケ定置網漁の解禁日を10日から2週間延期する。将来を見据え、川に戻る増殖用の親魚を確保する自主規制措置だが、漁期前からの規制は異例という。

 道立水産孵化場(恵庭市)のさけます資源部によると、道内の沿岸、河川を合わせた今年のサケの来遊予想量は2515万匹で、例年の半分余り。不漁だった昨年をさらに3割以上下回り、過去20年で最低となる見込み。ただ、道南全域では昨年の78万6000匹をやや上回る91万8000匹と予想している。

 沿岸に回帰するのは4、5年魚が中心。同部は「今年の4、5年魚の稚魚が放流された当時は水温が平年より2度ほど低かった。エサとなる動物プランクトンが減り、来遊する数にも影響したのでは」と推測する。

 例年、道南の秋サケ定置網漁の漁期は9月1日から12月中旬まで。

 また、道と関係漁協は28日、桧山、後志、石狩沿岸の日本海中・南部海域を対象に、採卵用の親魚を確保するため、釣り愛好家を対象に河口付近でのサケ釣りを自粛するよう呼び掛ける異例の要請文を発表した。

 桧山支庁とひやま漁協(乙部町、市山亮悦組合長)は連名で、漁業者の自主規制と足並みをそろえる形で、釣り愛好家にも、規制対象外となっている河口周辺海域でのサケ釣りを自粛するよう呼び掛けている。管内では、厚沢部川、天の川、後志利別川などで採卵用の親魚を捕獲しているほか、複数の河川では大勢の釣り愛好家がサケ釣りを楽しんでいる。(鈴木 潤、松浦 純)



◎衆院選あす投票、各候補 最後の訴え

 第45回衆院選は30日、投開票が行われる。7月21日の解散から40日間にわたる真夏の決戦はいよいよ最終局面を迎え、道8区に立候補した自民党新人、福島啓史郎氏(63)、民主党前職、逢坂誠二氏(50)、幸福実現党新人、西野晃氏(32)、無所属新人、佐藤健治氏(52)=届け出順=の各候補も函館市内を中心に精力的に舌戦を繰り広げている。

 28日は、雨が降りしきるあいにくの天候の中、各候補が函館市や周辺市町などで遊説を展開。傘を差しながら熱心に演説に聞き入る有権者の姿も多く見られ、政権選択をはじめ、景気対策や社会保障問題などさまざま課題を抱えた今回の選挙に対する関心の高さをうかがわせた。

 最終日の29日は、各陣営とも大票田の函館市内に集結。街頭演説最終期限の午後8時前には、それぞれの選挙事務所前などで最後の訴えをする。

 道選管渡島支所長の寺山朗渡島支庁長と同桧山支所長の高橋則克桧山支庁長は28日、有権者に投票を呼びかけるコメントを発表した。

 寺山支所長は「今回の選挙は、主権者としての意見を政治に反映させることのできる大切な機会」としたうえで、「過去の国政選挙における渡島管内の投票率は、道内他地域と比べて極めて低い状況にあるので、積極的に投票に参加してほしい」と呼び掛けている。

 高橋支所長は「一人ひとりの一票は日本の未来につながる貴重な一票。投票日にはぜひとも投票されるよう強く望みます」と訴えている。(衆院選取材班)

 


◎北星小で「コンブとイカキッズマイスター出前講座」

 地域のコンブやイカの良さを知って―。函館北星小学校(林潤子校長、児童126人)の5、6年生計45人を対象にした「コンブとイカキッズマイスター出前講座」が28日、函館市大縄町の同校で行われた。子どもたちは生のイカやコンブに触れたり、道南産の食材を使ったイカ飯作りに挑戦するなど五感をフル活用して地元水産業への知識を深めた。

 函館国際水産・海洋都市推進機構(伏谷伸宏機構長)が主体となり、国の助成事業に選ばれた「はこだて『水産・海洋』で元気なまちづくり推進事業」の「都市漁村交流と食育を介したブランドづくり部会」(折谷久美子部会長)の活動第1弾。財団法人道開発協会の助成事業にもなった。消費者と生産者の交流を図り、食育を通して地域産業を学ぶことで「賢い消費者」の人材育成を進める狙い。

 講座内容は「魚触」「魚職」「魚食」などさまざまな「ぎょしょく」をコンセプトに取り入れた。子どもたちは道南産もち米をイカに詰めるイカ飯作り作業に取り組んだ後、玄関前に用意された釣り堀で活イカ釣りを楽しんだ。釣れたイカが勢いよくスミを吐くと、驚いて声を上げる参加者もいた。その後、北大大学院修士2年の大嶋恵美子さん(24)がイカの生態について説明し、児童から活発な質問を受けていた。

 続いて南かやべ漁協大船支所青年部の宮田昌和さんが南茅部で採れた生コンブを紹介し、子どもたちは興味深そうに触れたり、においをかいだりしていた。最後は全員で手作りのイカ飯を味わった。

 6年生の佐藤直樹君(12)は「イカ飯作りもイカ釣りも初めて。生イカは重かったけど釣って面白かった」と喜んでいた。折谷部会長は「生のイカを触る機会は少なく子どもや親に好評だった。新鮮食材で作ったイカ飯もおいしかった」と手応えを感じていた。

 同部会は8月31日付で南茅部のコンブを道南の小学校9校に郵送するほか、10、11月には生産地体験ツアーや農水産物の物販も計画している。(新目七恵)


◎渡島支庁で「旬のこだわり農産物PR展」

 渡島管内の青年農業者や女性農業者のネットワークが季節の野菜を販売しながら活動内容をアピールする「おしまの旬のこだわり農産物PR展」が28日、函館市美原の渡島合同庁舎1階ロビーで開かれた。新鮮な野菜や切り花、手づくりの加工品などを求め、大勢の来場者でにぎわった。

 同展は渡島管内の青年農業家や女性農業者のネットワークの活動を、旬の農産物の直売を通して消費者に発信しようとする取り組みで、6月に続いて2回目。会場には各団体の活動の様子を紹介するパネルも展示。また、初の試みとして新鮮な切り花を活用したフラワーアレンジメント体験が行われた。

 この日は、10代から20代の青年農業者で構成する「渡島4Hクラブ連絡協議会」と、農産加工や直売を行う女性農業者のネットワーク組織「ウェーブネットおしま」の加入者が参加。トマトやキュウリ、パプリカなどの新鮮野菜が飛ぶように売れ、販売開始から一時間ほどでほとんどの商品は売り切れとなった。

 野菜類を中心に買い込んだ函館市美原の60代の主婦は「前回も利用したが、安全でおいしい野菜が手に入るのでとてもありがたい」と話していた。

 同展は10月30日、来年1月29日にも同会場で開催を予定している。(小川俊之)