2009年8月31日 (月) 掲載

◎衆院選 8区は民主・逢坂氏

 衆院道8区(渡島・桧山管内)は即日開票の結果、民主党前職、逢坂誠二氏(50)が自民党新人、福島啓史郎氏(63)らに大差を付けて2選を果たした。民主党は小選挙区が導入された1996年から5回連続の勝利。保守分裂のほか、全国的な追い風から保守票も切り崩し、逢坂氏が圧勝した。道内12選挙区で自民党はわずか1勝の惨敗。投票率は8区全体で69・34%、函館市は今回も全道最低の67・10%だった。

 逢坂氏は投票総数の6割以上を獲得し、独り勝ち。対する自民・福島氏は2割強しか獲得できず、惨敗。保守系無所属で3回目の出馬となった佐藤健治氏(52)は1割台で支持が広がらなかった。

 逢坂氏は、今期で引退した金田誠一氏の後継として2007年10月に擁立が決まった。比例道ブロック単独1位で初当選した前回から初の小選挙区挑戦となり、民主・連合などの合同選対は「8区では新人」を合言葉に知名度の浸透を図った。

 後志管内ニセコ町長を3期11年務めた経験から、地方自治のプロを自任。小泉元首相の構造改革を批判するとともに、地方の声を国政に届けることを主張した。「自民党は長期政権で機能不全に陥った。政権交代をてこに、国民本位の政治を取り戻す」と訴え、医療・福祉の充実や地域経済の振興、暮らし重視の政策を掲げた。

 共産党が選挙区候補を擁立せず、自主投票を決めたことも有利に働いた。これに自民党の支持率低迷、保守分裂などから、企業票など保守票の切り崩しも図り、福島氏らを寄せ付けず、圧勝した。

 福島氏は、辞任した前自民党道8区支部長の後任として、党本部を介して昨年9月に支部長に就任。前参院議員、元農水官僚として一次産業の振興、北海道新幹線新函館の前倒し開業と関連する高規格幹線道路網の整備、観光振興などを掲げた。  しかし、保守分裂や選挙態勢の遅れから公明党が道内12選挙区の自民党候補の中で唯一、推薦を見送るなど苦戦を強いられた。

 無所属で出馬した佐藤氏は「道南の市民党」を掲げ、組織や団体に頼らない「草の根選挙」で臨んだ。過去2回、自民党から出馬し、民主と事実上の一騎打ちとなった前回は11万4000票を獲得して自信を深めた。国際海峡の津軽海峡に面した函館の港湾機能強化や、誰よりも道南を知る候補であることを前面に打ち出し、3度目の戦いに挑んだが、前回得票の半分以下まで落とし、跳ね返された。

 幸福実現党新人、西野晃氏(32)は北朝鮮の核ミサイルに対抗する国防強化、消費税や贈与税の全廃による経済活性化などを訴え、独自の戦いをした。(衆院選取材班)



◎当選の逢坂さん「政治を変える」

 民主党前職の逢坂誠二さんが圧勝を収めた衆院選道8区。逢坂さんの選挙事務所は、5回連続で民主党の議席を守った歓声と拍手に沸く一方、自民党新人の福島啓史郎さん、無所属新人の佐藤健治さんの事務所は健闘むなしく重苦しい雰囲気に包まれた。幸福実現党新人の西野晃さんは埋没し、票は伸び悩んだ。

 午後8時すぎ、投票締め切り直後に当選確実の一報が届くと、逢坂さんの選挙事務所(函館市松風町)は歓声と拍手にわき返った。解散から40日間の長きにわたる選挙戦。くら替えのハンディをはね返し、「民意」の振り子は逢坂さんに大きく傾いた。

 「よし」「おー」「やったー」。開票前から道内の候補者を皮切りに次々と「当確」の報が入り、政権交代を訴えた民主党への追い風は「旋風」となって吹き荒れた。同8時10分すぎ、歓呼の声に迎えられ、逢坂さんが事務所に姿を現すと、事務所には早くも勝利の熱気が充満した。

 支持者らの拍手の輪に入り、一人一人と握手を交わす逢坂さん。真夏の選挙戦で日焼けした顔に白い歯をのぞかせた。事務所に駆け付けた前衆院議員、金田誠一さんの手もがっちりと握り、後継のバトンを受け取った。道内候補のトップを切って万歳三唱。歓喜の渦は最高潮に達した。

 逢坂さんは「多くの方からのご支援と金田氏の大きな力をいただき、この瞬間を迎えられた」と高らかに勝利宣言。「生活第一の政治はもちろん、徹底した情報公開で日本の政治の本質的な構造を変えたい」と決意表明すると、大きなの拍手が渦巻いた。最後に、出陣式で目入れしたダルマに金色で「V」と書き込んだ。

 選対本部長の平出陽子さんは「仁義なき戦いで敵失の感もあったが、どぶ板選挙が実を結んだ」と吹っ切れたような笑顔。連合後援会長の松谷勇さんは「基盤の労組票に加え、金田さんの後援会と一枚岩になれたのが大きい。精通した地方自治の政策を国政で実現してほしい」と期待を寄せた。(森健太郎)



◎爆発実験 歓声響く…はこだて国際科学祭

 「はこだて国際科学祭」(サイエンス・サポート函館主催)の最終日の30日、初来日となるイギリスのサイエンス・エンターテイナー、ドクター・バンヘッドさんのサイエンスショーが函館市湯川町の市民会館で行われた。水素を爆発させたり、液体窒素で物質を凍らせる実験などを披露し、集まった市民約1000人を魅了した。

 イギリスの公的国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」が開催協力した。

 オレンジ色の衣装で登場したバンヘッドさんはヘリウムと水素のいずれかが入った風船2個に点火。爆発した片方を取り上げ「水素はよく燃える」と話し、燃焼実験の要点を説明した。さらに頭にのせた水素の泡を燃やしたり、客席の子どもをステージに呼び実験を手伝わせたりして観客を引き込んだ。液体窒素でバナナやゴムホースを凍らせる実験などもあり、大きな爆発音や噴煙が出るたび、来場者から驚きの歓声が沸いた。

 水素と酸素を使ったロケット砲でジャガイモを飛ばす実験に協力した北斗大野中2年の夏目雪乃さん(13)は「学校で習った液体窒素が詳しく分かったし、実験も楽しかった」と話し、同浜分中1年の渡辺梨夏子さん(13)も「またやりたい」と喜んでいた。

 同日、同会館では「青少年のための科学の祭典函館大会」と「函館高専メカニズムフェスティバル」も同時開催。多くの家族連れが多彩な実験やゲームを楽しんでいた。(新目七恵)

 


◎間宮林蔵が見た世界とは…国際シンポ

 江戸時代の探検家間宮林蔵にスポットを当てた国際シンポジウム「間宮林蔵が見た世界 デレン・サンタン人・石碑」が30日、函館市五稜郭町の市中央図書館で行われた。大阪学院大の大塚和義教授が林蔵自筆の現地取材メモの断片と思われる資料を見つけた経緯を説明するなど、研究者ら4人がそれぞれの研究成果を報告した。

 「間宮林蔵の大陸の旅200年」実行委(代表・中村和之函館工業高等専門学校教授)が主催。市民ら約150人が参加した。

 大塚教授は林蔵の自筆と判断した理由を「書簡の字体と似ている」と説明し、「今回断片が出たということはまだどこかに残っている可能性がある。それが見つかるきっかけになれば」などと語った。このほか、林蔵の足跡をたどって樺太などを訪れた際の現地の様子を写真のスライドで紹介した。

 大塚教授に先立ち、京大大学院の松浦茂教授が「19世紀初頭江戸幕府の北方調査」と題して基調講演したほか、後半はロシア・サハリン州郷土博物館のタチヤーナ・ローン館長、中村教授がそれぞれ報告した。(新目七恵)