2009年8月4日 (火) 掲載

◎長雨、日照不足…農作物に影響じわり

 7月の長雨と日照不足の影響が、渡島管内の農作物に広がり始めている。七飯町ではニンジンの収穫が昨年に比べ大幅に減少し、牧草の生育も遅れている。北斗市では今月から収穫が始まる長ネギへの影響を懸念する声も。今後、道内全体で作物の収穫減が予測され、小売店では対策に頭を悩ませている。

 日本気象協会北海道支社によると、函館の7月の降水量は平年の約3.14倍となる334.0ミリを記録。太平洋高気圧の張り出しが弱かったことで、同月の日照時間も函館で94.2時間と、平年の63%にとどまった。

 新函館農協本店によると、7月中に七飯町で収穫されたニンジンは4712トンで、本年度計画対比の62%に落ち込んだ。同本店営農課は「作付面積も計画から1割減っている。ニンジンが割れたり、黒いしみが出るなど品質への影響も大きい」と話す。同町や北斗市では今月から露地栽培の長ネギの収穫も始まるが、水がたまっている畑も多く、生育は1週間ほど遅れている。

 5月から約400頭の牛を放牧している七飯町営城岱牧場では、牧草の生育が悪化。10月中旬までの放牧を予定しているが、町農林水産課は「半数を今月中に各畜産農家に下ろすことも検討している。このままでは食べる牧草がなくなってしまう」と困惑気味だ。

 道内産、地元産の入荷がこれから本格化する卸売市場への影響も出始めている。

 函館市青果物地方卸売市場では、7月中は本州産の取り扱いが中心で野菜全体の入荷量は前年並みだったが、卸売価格は前年同期と比べるとやや高めに推移。すでに道内産の入荷に切り替わり始めているジャガイモの平均単価(1キロ)が156円と前年同期比で1.5倍となったのをはじめ、タマネギが121円(同1.4倍)、トマトが297円(1.3倍)と高騰が目立つ。今後、道内産の取り扱いが中心になると入荷量はさらに落ち込み、市場課は「卸売価格は2割から3割上がるだろう」と見ている。

 小売店にも、値上がりの影響が出始めている。地元産を中心に扱うグルメシティ北海道では「昨年と同じ規格で売ったら2割から3割値上がりする種類もある」とこぼし「今は何とか自助努力で価格を抑えているが、今後収量が回復するのかどうか気掛かり」と頭を悩ませている。(千葉卓陽、鈴木 潤)



◎子供歌舞伎 団員ら登場…ワッショイはこだて

 「開港150周年記念函館港まつり」(実行委主催)の「ワッショイはこだて」は3日、堀川・五稜郭コースが行われ、開港4都市の祭りのほか、子ども会、企業などが参加する「子どもイカ踊り&サマーカーニバル」などが行われ、82団体約1万1700人、山車66台が踊りながら練り歩き、沿道に集まった市民らを楽しませた。

 第1部の「函館港おどり」では町会単位などが参加。第2部の「子ども―」では、子どもたちの元気なイカ踊りでパレードの熱気が一気に高まり、横浜中華獅子舞が見物客の目前で迫力満点の舞いを紹介したほか、函館子ども歌舞伎の団員らで構成するチームは「白浪五人男」にふんしたちびっこ役者が登場し、大きな拍手が送られた。第3部の「函館イカ踊り」では各チームが大音量で曲を流す中、何度も飛び跳ねる熱い踊りを繰り返していた。

 4日は正午から元町公園で「2009函館ミュージック・ハイ」「開港5カ国をペロリせよ!」、午後6時半から函館駅前―松風町間の歩行者天国で「函館港おどり・いか踊り大会」、「ワッショイはこだてコンテスト表彰式が行われる」。(山崎純一)



◎支持拡大へ各氏全力 衆院選公示まで2週間…総選挙 道8区

 18日の衆院選公示(30日投開票)まで4日で2週間となった。道8区の立候補予定者5人は「港まつり」の会場で“顔”を売ったり、こまめに支持者回りをするなどして支持拡大に全力を挙げている。

 自民党新人、福島啓史郎氏(63)は3日も支持者回りに明け暮れた。選挙事務所では18日の出陣式の郵送案内作業に入るなど、決戦に向けた準備が進む。

 川尻秀之選対本部長は「今でも逆風で厳しいが、日に日に感触は良くなっている。マニフェストも発表され、保守の自民か、そうでない民主かということで、有権者も真剣に考えている」と語る。7日に橋本聖子参院議員を招いて総決起集会を開く。

 民主党前職、逢坂誠二氏(50)も支持者回りに懸命。陣営幹部は「有権者にも組織内にも漂う楽観こそが最大の敵」と引き締める。労組票、民主系道議や市議、引退した金田誠一氏の支援者引き継ぎなどの「守り」に加え、政権交代を見据え、保守票切り崩しの「攻め」も忘れない。

 ただ幹部は「思っている以上に逢坂の知名度は高くない」といい、8日の「政権交代実現総決起集会」をうねりに、決戦ムードを高める。

 無所属新人、佐藤健治氏(51)は3日、港まつりのパレードに参加し、地域住民の一人として祭りを盛り上げた。

 陣営幹部によると、佐藤氏は「この選挙のために4年前から準備をしてきた。やっと闘える、という気持ち」と士気が高まっている。政党や組織を持たない「草の根選挙」となるため、幹部は「できることは限られている。時間の許す限り、とにかく支持者回りをするしかない」と語る。

 幸福実現党新人、西野晃氏(32)は3日、港まつり会場で市民と握手し名刺などを配り、名前を売り込んだ。神田弘美選対本部長は「党名を知っている方が結構いらっしゃるので好感触を得ている」と攻勢をかける。

 無所属でこのほど出馬を表明した新人、坂野六男氏(77)は独自の戦いで、関係者と準備を進めている。(衆院選取材班)



◎水稲やジャガイモ 高橋知事が視察

 【今金】高橋はるみ知事は3日、高橋則克桧山支庁長、桧山農業改良普及センターの富嶋敬二北部支所長らの案内で、梅雨前線の停滞に伴う長雨や多湿により、農作物への被害が深刻化する今金町で、水稲やジャガイモの生育状況を視察した。

 田代地区にある農事組合法人・ぴりかファーム(末藤春義代表理事)のジャガイモ畑では、雨が水分が地中に浸透できず、表面には多量の泥水が浮いた状態。収穫や農薬散布を行うトラクターなどの重機も畑に入ることができない状態。多湿の影響で、例年の5倍の規模で疫病が発生しているほか、地中のイモや根が腐り、広範囲でジャガイモの葉が黄色に変色している。

 末藤代表理事(60)は「これまでに経験がない事態。ダイコン、ニンジン、ブロッコリーなどの野菜類も大打撃を受けた」と窮状を訴えた。

 八束地区にある中野公郎さん(52)の水田でも、5月末に植えた「ほしのゆめ」の生育が、例年よりも5日以上遅れている。中野さんは「低温が続けば稲穂の生育に影響が出ることが心配だ。町内農業のベースになっている稲作への影響は大きい」と話した。

 高橋知事は「これ以上は収穫を減らさないよう対応しなければならない。被害を最小限に抑えることが必要」と述べ、同支庁など、道の関係機関に緊密な情報収集と、被害の拡大防止に向けた対策を早急に検討するよう指示した。(松浦 純)


◎知事、全日空との交渉厳しい…丘珠線撤退

 【せたな】高橋はるみ知事は3日、世界同時不況などの影響で経営が悪化している、全日空(ANA)の子会社・エアーニッポンネットワーク(A―net)が、丘珠空港と函館など道内5空港を結ぶ路線を、新千歳空港に集約する問題をめぐり「抵抗しているがANAも厳しい状況にある」と述べ、札幌市や函館市による丘珠線存続をめぐる交渉の先行きは、極めて困難な展開が予想されるとの認識を明らかにした。

 町内で開催した「地域づくり推進会議」の席上、檜山管内7町長に述べた。高橋知事は「ANAは既に経営判断として丘珠撤退を決めていると思う」とし、ANAが丘珠からの撤退に踏み切る可能性が高いとする考えを示した。

 さらに、ANAグループが丘珠を撤退した場合、日本航空(JAL)が51%、道が49%を出資している北海道エアシステム(HAC)についても「ANAの丘珠徹底はHACのありように影響を与える。ANA以上にJALの経営は厳しい状況にある。HACから手を引きたいという話しになるかも知れない」とし、JALがHACの経営から撤退または出資比率を削減する可能性にも言及。その上で「奥尻線を含むHAC航路はしっかり守っていきたいが苦労している」と述べた。HACは函館と丘珠、旭川、釧路、奥尻を結ぶ4路線と、新千歳―釧路、丘珠―釧路の計6路線を運航している。奥尻線は2006年4月、ANA系列のエアーニッポン(東京)と道が共同出資するたエアー北海道(ADK)が解散したことに伴い運行を引き継いだ。(松浦 純)