2009年8月7日 (金) 掲載

◎木古内のペル、アイドル犬「わさお」に続け

 【木古内】「わさお」の愛称で人気の秋田犬に風ぼうが似たペットが、木古内町にいる。町内釜谷地区の会社員、安斎彰さん(43)の愛犬「ペル」(オス、6歳)だ。近所の住民は「わさおにそっくり。ペルも全国の人気アイドルになれるかも」とかわいがり、木古内町観光協会の東出文雄会長も「確かに似ている。夏祭りにでも活躍できないか前向きに検討したい」と話している。

 「わさお」は青森県鰺ヶ沢町のイカ焼き屋の看板犬(秋田犬のオス、2歳)。もじゃもじゃの毛と個性的な表情に魅了された観光客がインターネットのブログ(日記風サイト)で昨夏紹介して以来、一躍人気となり、鰺ヶ沢の観光PRに活躍している。

 週末には全国から大勢のファンが押し寄せ、Tシャツやパンなどの関連品の売れ行きも好調で、7月23日には写真集も発売された。この人気が地域にもたらす経済効果は計り知れない。会津鉄道(福島県)や和歌山電鉄(和歌山県)の“ねこ駅長”のように、まちの宣伝役としての活躍を求め、鰺ヶ沢町役場には「『わさお』を観光大使に!住民登録も済ませてみては」という要望が多く寄せられているという。

 テレビや新聞でその様子が報道されるたびに、安斎さん家族は「うちのペルも頑張れると思う。人懐こくて賢いのでみんなの人気者になれるはず」と会話は盛り上がる。自宅近くのサラキ岬まで国道沿いを散歩すると、道行くドライバーがペルに熱い視線を送る。安斎さんの三男天彩(あつや)君(13)は「ペルをわさおだと思うドライバーが多い。車をゆっくり運転しながら驚いた表情で見ていくのが面白い」と笑う。

 長谷川兼己鰺ヶ沢町長は「『わさお』は貴重な存在。まちの中心的存在として地域活性化を進めていきたい」と町を挙げたPRに取り組む。東出会長も「その柔軟な対応に見習いたい」とペット自慢の“売り込み”に力を注ぐ考えで、「ペルや観光協会役員の了解が取れれば9日の咸臨丸パレードの先頭を歩いてもらいたい。急な話なので実現は難しいかもしれないが、来春のチューリップ祭りもある。『サラキ岬の番犬』と銘打って記念撮影会でもいい。子どもたちが喜ぶだろう」と期待を寄せている。(田中陽介、長内 健)



◎南桧山地域医療対策協、総合医養成センター設置を計画

 【江差】南桧山地域医療対策協議会(座長・渋田正己厚沢部町長)は6日、医師不足や公立病院の赤字経営などの解決策として、地域住民のかかりつけ医となる“総合医”の養成センターを道立江差病院(江差町)に設置するほか、桧山南部5町の医療機関を結ぶネットワーク整備を柱とする「南桧山地域医療再生計画」をまとめた。概算事業費は21億円。協議会は道保健福祉部に提案書を提出。国の地域医療再生基金の交付対象となる道計画への採択を目指す。

 協議会は、道立江差病院や町立病院・診療所の経営改善や、医師不足の解消などを協議するため、昨年10月に発足した。桧山南部の江差、上ノ国、厚沢部、乙部、奥尻の5町長、桧山支庁長、道保健福祉部道立病院管理局長、道立江差病院長、桧山医師会長らで組織している。6日に同支庁で開いた会議で計画を正式決定した。

 計画の柱は、地域のセンター病院である道立江差病院への「総合医養成研修センター(仮称)」の設置。札幌医科大学から、地域医療の担い手となる総合医の研修生や指導医師を重点的に配置することで、医師不足で診療科の休止が相次ぐ同病院の体制強化を図るほか、町立病院・診療所への医師派遣などの支援体制も構築する。

 同病院と札幌医大が、医師確保や研究面での連携を強化するため、地域医療再生基金を財源とする寄付金を大学側に提供する。総合医の養成、過疎地の医療問題、地域の疫学調査などを実地で研究する講座をセンター内に開設するよう働き掛ける。また、研修を終えた医師を桧山南部地域で確保するため、同病院や町立病院・診療所などの常勤医として、2年間継続して勤務した場合には、年間200万円の研究資金を提供する制度の創設も検討するとしている。

 こうした取り組みと並行して、同病院や檜山南部の医療機関を対象に、カルテや受診パスの電子化、遠隔医療に必要な医療画像の伝送、看護支援などの統一システムを整備。管内で整備を検討している、光ファイバーなどの高速通信網でネットワーク化を進め、病院・診療所間の連携体制を強化する。

 地域医療再生基金は、全国80地域程度を対象に総額3100億円を計上。2013年度までの5年間を対象に、救急体制の向上や医師確保などを目的に、都道府県が策定する地域医療再生計画の取り組みを支援。厚労省の有識者協議会は、11月下旬までに補助対象を決める。道は月内にも道計画に盛り込む対象地域を選定する。桧山町村会長の寺島光一郎乙部町長は「桧山南部の医療問題の解決につながる画期的な計画だ。国の採択が実現するよう5町の総力を挙げて取り組みたい」としている。 (松浦 純)



◎「旧小林写真館」あすオープン

 明治時代の写真館がよみがえる―。空き家となっていた函館市大町2の「旧小林写真館」に新たな店子(たなこ)が入居し、8日にオープンする。道内に現存する写真館では最古の建物で、写真館としては47年ぶりの営業再開だ。入居する谷杉写真館(美原3)は「古い建物を使って、最新技術を駆使した写真を提供したい」と話している。(千葉卓陽)

 旧小林写真館は1902(明治35)年、神戸の写真師小林健蔵が開業。現存する建物は大火による類焼後の1907(同40)年に再建したもので、62(同37)年まで営業を続けた。

 木造2階建て、板張りの外壁に縦長の窓という典型的な和洋折衷の建築様式で、89年3月に市の景観形成指定建築物に指定されている。屋根の一部は採光用のスラント(ガラス張り)となっており、写真館用に設計されたことがうかがえる。

 近年は空き家状態となり、市住宅都市施設公社が住居や店舗としての有効活用を目指す「西部地区空き家再生事業」の対象に。同公社は昨年、所有者から建物を借り受けて入居者を公募し、谷杉写真館の入居が決定。ことし5、6月に約1500万円をかけて改修工事を行った。

 新たに店主となった谷杉写真館は、最新技術を生かしてノスタルジックな風合いに仕上げたポートレートを1枚3000円(フレーム入り)で提供する。

 同館の谷杉アキラ代表(41)は「石川啄木もここを訪れ、家族写真を撮影したと聞いている。由緒ある建物が現在も残っているのは素晴らしいことで、建物同様に写真でも和と洋の融合を目指したい」と意気込んでいる。

 オープンの8日から13日までは午前10時から午後7時まで営業し、14日以降は完全予約制で、利用の2日前までの予約が必要となる。申し込みはTEL090・1386・4840。


◎福島で九重部屋夏合宿始まる

 【福島】大相撲九重部屋の「福島町夏合宿」が6日、町内福島190の横綱記念館で始まった。「今年は初日から全力でいくぞ」と力士13人が約4時間猛げいこ。巨体がぶつかり合う迫力に、25人の町民らがかたずをのんで見入った。19日まで。

 福島町出身の九重親方(第58代横綱千代の富士)をまちが応援。涼しくて食べ物もおいしい福島で、若手力士が来場所に向けて、力をつける。

 東京の九重部屋けいこ場を再現した館内の土俵で午前7時から開始。部屋業務をする九重親方に代わり、十両東筆頭の千代白鵬が指導した。

 同8時から一般見学。「土俵で力を抜くな。集中しろ」と千代白鵬のげきが飛び、力士は荒い息遣いで相手に食らいつき、全身汗だくでけいこを積んだ。

 毎年見学する町内の対馬清さん(81)は「初日から勢い十分だった。今年も毎日見に来たい」と笑顔。千代白鵬は「親方の古里でしっかり力をつけて来場所に向け、部屋一丸で頑張りたい」と意気込んでいた。

 九重親方の指導は12、13日以降で、大関千代大海の参加は夏巡業後の16日からを予定している。

 朝げいこ見学は午前8時から正午前まで。11日休み。

 入館料大人500円、高校生以下250円。町民は無料。 (田中陽介)


◎日米学生会議、手嶋龍一氏ら招きフォーラム

 函館市内で開かれている第61回日米学生会議(国際教育振興会主催)3日目は6日、函館大学(高丘町51)で記念フォーラム「そのとき、誰が日本を守るのか」が行われた。外交ジャーナリストの手嶋龍一氏らとともに、将来に向けた日米同盟のあり方などについて激論を交わした。

 同会議の参加学生72人に加え、一般市民ら合わせて約150人が参加。ゲストには元NHKワシントン支局長で、作家としても活躍する慶応大教授の手嶋氏と、第2航空団指令兼千歳基地司令の尾上定正氏を迎えた。

 基調講演で手嶋氏は、ソ連崩壊前後における日本とアメリカの関係性の変化について「冷戦時代における日米同盟には、表向きは対ソ連抑制という名目があったが、アメリカの戦略上の本音としては日本が再び軍事力を行使しないための抑制効果も埋め込まれていた。そのためソ連崩壊によって同盟の意義は薄れてしまった」と説明。また「アメリカが今一番警戒しているのは、政権交代によって日本の防衛上のパートナーがワシントン(アメリカ政府)からニューヨーク(国連)に交代するかもしれないこと」と話した。

 続いて行われたパネルディスカッションでは、学生に加え、一般参加者からも意見が飛び出し、白熱した議論が繰り広げられた。 (小川俊之)