2009年8月9日 (日) 掲載

◎ドリームボックスが開幕

 函館開港150周年記念事業のメーンイベント「ドリームボックス150」(同事業実行委員会主催)は8日、函館港「緑の島」で開幕した。イベントの呼び物の一つ、航空自衛隊第4航空団(宮城県東松島市)の第11飛行隊(ブルーインパルス)の祝賀飛行は上空が厚い雲に覆われたため中止となったが、大勢の市民や観光客が音楽コンサートや函館近海の海産物メニューを楽しんだ。16日までの9日間、「食」「音楽」「スポーツ」をキーワードにコンサートや体験型行事など約50の催事が繰り広げられる。

 初日は午前10時過ぎからオープニングセレモニーが行われ、同実行委会長の西尾正範市長が「子供たちが元気で健やかに成長し、すべての人の幸せを願う」と開会宣言。続く記念ソング「あれから そして今」の合唱では、編詞、作曲した小林亜星さんの指揮に合わせて函館合唱連盟所属のグループや有志の市民約70人が歌い上げた。

 合唱の後、上空にブルーインパルスが現れるはずだったが、司会者が中止の決定を発表すると客席から「えー」とため息が漏れた。同実行委の岩堀恭一プロデューサーと第11飛行隊の山口英明隊長がステージに上がり、「函館で飛行できなくて残念。申し訳ない」とおわび。急きょ、大型画面にブルーインパルスの映像を流しながらトークショーを行った。

 このほか、屋外ステージ上では海上自衛隊東京音楽隊の演奏会やPMFブラスアンサンブルコンサートなどが開かれた。

 会場では、函館の漁業や水産加工などにかかわる物産販売、学術研究機関の展示コーナー「HAKODATE国際フィッシャーマンズマーケット」や函館近海の海産物を使ったすしやパスタなどを提供するフードゾーン、ビアガーデンが開設され、プラネタリウムや大型カヌーなど海上の乗り物体験などアトラクションコーナーもあり、家族連れらでにぎわいを見せていた。同実行委は期間中、約15万人の来場者を見込んでいる。(鈴木 潤)



◎強制連行された同胞追悼…朝鮮総連が慰霊祭

 戦時中に朝鮮半島から日本に強制連行され、祖国に戻ることなく死亡した朝鮮人らを追悼する「同胞慰霊祭」(朝鮮総連函館支部主催)が8日、函館市船見町の朝鮮人慰霊塔で行われ、犠牲者の冥福を祈った。

 戦時中の道南では、強制連行された朝鮮人らが旧戸井線や松前線の鉄道工事など過酷な労働に従事し、その多くが命を落としたと伝えられている。同支部ではそれらの仲間を追悼しようと、納骨堂を兼ねた慰霊塔を建立した1990年から毎年この時期に慰霊祭を行っている。

 同支部や在日本大韓民国民団(民団)函館支部のメンバーのほか、地元選出の道議や市議ら約20人が出席。朝鮮総連函館支部の崔英学委員長(34)は「海の向こうに祖国を望むこの地は在日朝鮮人のルーツを考える場として重要な意味を持つ。異国の地でなぜ永眠したのか、一人一人かみ締めて」とあいさつ。

 出席者は遺骨18柱が納められた慰霊塔内の祭壇で、一人ずつ焼香しながら手を合わせていた。崔委員長は「今年で19回目を迎えたが、慰霊塔の存在や多くの朝鮮人が亡くなった事実を知らない人も少なくない。今後は慰霊塔の保存や遺骨の引き取りも含め、強制連行などを考えるきっかけにしたい」と話していた。(森健太郎)



◎帰省ラッシュピーク

 盆を古里で過ごす人たちの帰省ラッシュが8日、ピークを迎えた。函館空港到着口では、本州からの空の便を利用した人たちが出迎えた家族らと再会し、笑顔があふれていた。

 航空各社によると、本州から函館に向かう便は7日午後から混雑し、8日は全便がほぼ満席で、10日まで続くという。JR函館駅によると、青森や札幌からの特急は9日と11日ごろの一部の列車で満席が見られるという。

 東京から飛行機を利用し、家族3人で北斗市の実家に帰省した会社員、菅井明彦さん(32)は「例年になく仕事が混んでなく、1週間の休暇を取れたのは少し複雑だが、子どもと道南各地を周りたい」、恵庭市の実家に戻るため函館で降りて宿泊後、レンタカーで移動するという会社員の矢口長治さん(55)は「ETC割引があり、このような旅の形を取れた」と話していた。

 Uターンは航空便では15日がピークという。(山崎純一)


◎投票率アップへあの手この手…総選挙 道8区

 投票率“全道ワースト”返上なるか―。8月30日投開票の衆院選(18日公示)で、函館市選管と道選管渡島支所は「なんとしてでも上げたい」と、投票率アップ策に知恵を巡らせている。函館市選管は「全国の中でも手厚い啓発」をしているが、投票率は長く全道最低の不名誉な記録が続く。啓発の一環でチラシ配布やポスター掲示などあの手この手を思案するが、今回の衆院選ではどれだけ市民の関心を引けるのか。

 道選管渡島支所によると、函館市の国政選挙投票率は、道内市では11回連続、全市町村では9回連続でワーストとなっている。最近6回で最も低かった2001年7月の参院選は51・78%。北斗市誕生後の07年7月の参院選では、道内35市中、函館は35位、北斗は34位(55・37%)と下位“ワンツー”を占めた。

 衆院選では「郵政解散」で注目を浴びた05年9月に64・36%となり、それまでの50%台を突破したが、道内ワーストから抜け出すことはできなかった。

 渡島支所(市を除く渡島支庁管内)では、過去6回で最も低かった01年7月の参院選で、根室支所(57・81%)に次ぐ14支庁中13位だったが、その後は4回連続で最下位。投票率こそ60%台を維持するものの、いずれも道内の町村平均を5―7ポイント下回った。

 このような状況について渡島支所は「若者の投票率は全体的に低い傾向にあるが、函館ではさらに顕著に表れている」と指摘。今回初めてコンビニエンスストアの協力を得て公示後に、期日前投票の啓発チラシを配布する計画だ。渡島管内だけで3万枚を用意し、14カ所で商品を入れる袋に一緒に入れてもらう。

 啓発活動は函館市選管ともに公示後に本格化する。両選管は新聞やラジオ、ケーブルテレビ、防災無線などを通じて投票を呼びかけるほか、インターネットのバナー広告、大学や公共施設、コンビニエンスストアなど多数の市民が集まる場所にポスターを掲示する予定。投票日直前の29日には両選管合同で、函館丸井今井前と昭和タウンプラザで、啓発グッズを配布する。

 一方の桧山支所では、衆院選、参院選ともに、過去6回は60%台後半から70%台をキープ。しかし管内のある町の幹部は「関心は決して高くなく、投票率の低下も予想される」として気を引き締める。

 今衆院選は、全国的には政権交代に焦点が当たり、道8区でも5人が立候補を表明するなど、投票率が上がる要素はある。渡島支所は「選挙で手を挙げなければわたしたちの意見は反映されないまま。せっかく選べる権利を行使して」と投票を呼び掛ける。(小泉まや、松浦 純)


◎フリーステージでアイルランドのダンス披露…はこだて国際民俗芸術祭

 海外の民俗舞踊団やアーティストを招き、パフォーマンスを紹介する「第2回はこだて国際民俗芸術祭」(組織委)のフリーステージが8日、函館市元町12の元町公園で始まった。アイルランドやリトアニアなどさまざまな国の出演者が入れ替わりで歌やダンスを披露し、集まった市民らは本場の民俗芸術を堪能した。

 入場無料のフリーステージは9、11、12日の各日午後6時から開催する。11団体のうち、1日6~7団体を予定している。

 この日はアイルランドの「ケルティック・ルーツ」の演舞で幕開け。アコーディオンやバンジョーの演奏に合わせて金と黒の衣装に身を包んだ女性メンバーが華麗なタップを見せると、会場に集まった多くの市民から拍手が沸いた。続いて登場したインドネシアの「ラガム・マネジメント」のメンバーは羽や棒を使った独特の踊りを展開し、観客は興味深そうに見入っていた。リトアニアの「ゼマイツカス」の演奏も会場を盛り上げた。

 函館市に住む主婦、塩谷光子さん(67)は「今まで見たことがない踊りばかりで感激した」と話していた。(新目七恵)