2009年9月15日 (火) 掲載

◎政策の行方不透明に…鳩山政権発足 どうなる支庁再編

 【江差】鳩山新内閣の発足を16日に控え、自・公政権が推進する地方政策も大きな転機を迎える。道内でも道州制や市町村合併など、支庁制度改革の前提だった政策の行方は不透明となり、高橋はるみ知事が掲げる支庁再編の“大義”が再び問われる事態も予想される。

 3月の支庁再編条例改正に伴い、総合振興局・振興局の組織体制や事務集約をめぐる議論が進んでいるが、檜山など5振興局の組織体制に大きな変更はない。道や道議会では「支庁再編は看板の架け替えに過ぎなくなった」として、政権交代を契機に、改革の仕切り直しを訴える声も増している。

 支庁再編は、将来の道州制や市町村合併に備え、道の行政体制を抜本的に再編成することが目的だった。しかし、中央集権的な道州制や政府主導の市町村合併に疑義を呈する民主党が政権を握り、こうした政策も転機を迎えた。高橋知事が掲げた二つの大義を失った改革は、困窮する道財政を立て直すため、職員削減など行革の側面だけが突出する懸念もある。不況や過疎にあえぐ振興局地域に、改革のしわ寄せが集中する結果にもなりかねないとの懸念もある。

 昨年6月、再編条例が成立して以降、道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)は、施行の前提となる公職選挙法改正阻止を掲げ、国会に主戦場を移した。道町村会はねじれ国会を逆手に取り、あらゆるパイプを駆使して、参院で多数を占める民主党への働き掛けを強め、濱谷一治江差町長らが小沢一郎前代表に直訴する一幕も。衆院解散を念頭に置いた自民党執行部も、道町村会との対立激化を懸念して法改正を棚上げし、高橋知事は14支庁存続を前提とする条例改正に追い込まれる結果となった。

 国会を舞台とする攻防では「高橋知事には民主党とのパイプが無いことが露呈した。道町村会に力負けした」(道幹部)。2期目の折り返しを迎えた高橋知事は、セールスポイントだった“与党とのパイプ”を失い、3選戦略の練り直しも余儀されているが、混迷を深める支庁問題の着地方法も問われている。

 政権交代が道議会に及ぼす影響も未知数だ。与党の座を失った自・公両党は“野党連立”に否定的だ。道議会では知事与党の自・公会派が過半数を占めるが「両派の蜜月関係が今後も続くのか」(同)。支庁再編をめぐり、公明会派に高橋道政への歯止めとなることを期待した、振興局地域の不信感も根深く「統一選を控えた公明党は支庁問題をどう総括するのか」(ある町長)との声も。公明会派の態度によっては、高橋知事が自民単独の“少数与党”に転落しかねず動向が注目される。(松浦 純)



◎桧山北 1学級増に…高校配置計画決定

 北海道教育委員会は14日、2010―12年度の「公立高校配置計画」を正式決定した。桧山学区は6月に公表された同計画案を一部修正し、11年度から町立瀬棚商業高の募集停止を加え、これに伴い、10年度に桧山北高を1学級増とすることを盛り込んだ。渡島学区の内容変更はなかった。  瀬棚商高は生徒数の減少などを理由にせたな町教委が8月、募集停止を決めた。同じ町内にある檜山北高は、定員割れの状況などから本年度は1学級減の2学級となったが、中卒者の動向も踏まえ、10年度は1学級増の3学級とした。

 今回の決定について、桧山北高の志村秀裕校長は「地域の皆さんの熱意が道教委に伝わった。教員や生徒が減ると教育内容もさみしくなるので、少しでも生徒数が増える可能性ができ、安Gヒ(あんど)している」と話している。

 一方、渡島学区は南茅部高が10年度から「地域キャンパス校」となり、センター校の函館中部高から教育活動の支援を受ける。このほか、10年度の木古内高の募集停止や函館商業高の学科転換による1学級減、11年度の函館西高(5→4)、函館稜北高(5→4)、長万部高(2→1)の学級減が示されている。

 道南以外では、11年度から札幌白陵高に普通科単位制の導入や10年度の芦別高の1学級増などが示された。(新目七恵)



◎競輪機器導入で質疑…市長「早期更新したい」 市議会一般質問

 第3回函館市議会定例会は14日、一般質問に6氏が立った。黒島宇吉郎氏(新生クラブ)は、市競輪事業部が計画している車券販売のコンピューターシステムの更新時期について質問。全国47競輪場で実施する移行期限は2011年10月までだが、西尾正範市長は「現在の機械は経年劣化による故障の発生が懸念される。来年は記念競輪など3つの大きなレースがあり、安全性を確保するためにも早期に更新したい」と述べた。

 黒島氏は「リース期間が終わって市の所有になった現在の機械に2300万円で手を加えれば対応できると聞いている」と述べたが、市長は「中央の次世代システムに直結するにはさらに1億円ほどかかる。現在の機械はメンテナンスにも結構な費用がかかっている」と説明した。

 黒島氏は、市営競輪の包括委託業者が車券販売機器メーカーでもあることから、結果的にこの委託業者が機械を納入し、次回の包括委託(11―13年度)の選定でも優位となるような誤解を招かないように、早期更新を急がないほうがいいと指摘。「競輪事業部長は機械が持つと説明した。今の機械を更新すると、仕事を失う人も出る」と述べた。

 このほか、黒島氏が6月定例会一般質問で、競輪事業部長を「委託業者の回し者」などと呼び、部長の名誉を傷つける発言が削除されたことに関連し、西尾市長が議会終了後、黒島氏に情報を提供した業者に質問状を送っていたことが判明。西尾市長は「議員発言の事実関係の確認」と答えたが、黒島氏は「黒島に何をしゃべったかを聞くという、前例がない質問」と批判した。

 このほか村井正幸氏(新生クラブ)、石井満氏(民主・市民ネット)、佐々木信夫氏(市民クラブ)、紺谷克孝氏(共産党)、小山直子氏(民主・市民ネット)が質問した。(高柳 謙)


◎流通しない食品 生活困窮者へ…「フードバンク もっと広がれ」17日に講演会

 道教大函館校(函館市八幡町1)の学生がこのほど、「フードバンクサークル」を発足させた。フードバンクとは見た目が悪いなどの理由から流通しない食品を集め、生活困窮者らに届ける活動。活動第1弾として、17日午後3時から日本で最初に取り組んだNPOの職員を招いた講演会を同校で行う。同校2年の中村有里代表(20)は「無駄に食料が捨てられる日本でぜひ広めたい。多くの主婦や市民に来て欲しい」と話している。

 フードバンクは1960年代にアメリカで始まり、日本では関東を中心に全国で活動を展開する「セカンドハーベスト・ジャパン」(2HJ)が2000年ごろからスタートさせた。現在、関西、沖縄、広島など各地に広まりつつある。

 中村代表は昨年、授業の一環で環境に関する調べ学習の中で「フードバンク」に注目。世界や日本の現状、活動展開案などを発表したところ、友人数人が興味を持ち、田中邦明教授の後押しもあってサークル活動として取り組むことにした。

 6月の発足後、まずは市民にフードバンクについて知ってもらおうと講演会を企画。2HJの職員2人を招き、フードバンクや日本の状況などについて紹介してもらう。参加無料、入退場自由。午後5時半までの予定。

 今後、定期的な情報誌の発行で活動の周知を図りたい考え。中村代表は「もし興味を持った企業が現れたら、在学中にフードバンクの取り組みもやりたい」と意欲をみせる。

 副代表の2年宮本麻衣さん(19)は「最初は全然知らなかったけど、不況でわけあり食品が安価で売れるような日本の現状からこういう活動があって良いと思う」と語る。

 問い合わせは電子メール(hue_foodbank@yahoo.co.jp)へ。(新目七恵)


◎景観、緑化活動たたえる…花と緑のまちづくり、学校花壇コンクール表彰

 函館市住宅都市施設公社が主催する「第19回花と緑のまちづくりコンクール」と「第17回学校花壇コンクール」の表彰式が14日、サン・リフレ函館で開かれ、各部の受賞者に同公社の野々宮勇理事長から賞状や盾などが贈られた。

 「花と緑―」は、自宅庭や玄関で、花と緑の美しい景観や豊かな環境づくりをしている個人や団体を表彰する。今年は一般部門で樹木や草花を植栽する「ナチュラルガーデンの部」と主にコンテナ(鉢植え)で植栽する「コンテナガーデン」の両部に計16件、ボランティアで公園などに草花などを植栽している「ボランティア部門」に5件の応募があった。

 函館造園建設業協同組合員らが、配色、バランスのほか維持管理が良く、周囲の景観向上に貢献していることなどを審査し、受賞者が決まった。同組合の齋藤尚仁理事長は「今年は長雨や日照不足の中、手入れが行き届き、花と緑がバランス良く、魅力的な空間を演出している所が多かった。配色を工夫すれば良かった場所もあった」と講評した。

 「学校花壇―」は、学校の緑化活動を通じて、子どもたちが花と緑に親しむ環境づくりに努めている学校を表彰する。今年は「小学校の部」に39校、「中学校の部」に13校の応募があり、同組合員らが花の配色やデザイン、維持管理について審査し、受賞校が決まった。

 受賞した個人、団体、学校の様子を撮影した写真展が10月5日から9日まで市役所1階の市民ホール、同13日から19日まで五稜郭タワー内アトリウムで開かれる。(山崎純一)

 各賞受賞者は次の通り。(敬称略)【第19回花と緑のまちづくりコンクール】

 ◇一般部門・ナチュラルガーデンの部▽花と緑のまちづくり大賞=中島美恵子(湯川町)▽花と緑のまちづくり賞=大渡ナル(高岱町)小澤貢一(谷地頭町)庭田愛子(田家町)▽花と緑の奨励賞=池田智恵子(榎本町)大橋美穂(桔梗)▽宮田恒夫(船見町)▽花と緑の特別賞=水島セイ(本通)

 ◇同・コンテナガーデンの部▽花と緑のまちづくり大賞=山本美紀子(桔梗)▽花と緑のまちづくり賞=山本忠昭(富岡町)渡辺幸恵(桔梗)

 ◇ボランティア部門▽感謝状=古武井町内会、望洋団地自治会、水上勇吉、南茅部高校ボランティア局、ロイヤルヒルズ日吉

 【第17回学校花壇コンクール】

 ◇小学校の部▽金賞=椴法華小▽銀賞=旭岡小、柏野小▽銅賞=付属小、中島小、北星小、本通小、港小▽奨励賞=中央小、上湯川小

 ◇中学校の部▽金賞=恵山中▽銀賞=桐花中、凌雲中▽銅賞=亀田中