2009年9月17日 (木) 掲載

◎京都の舞妓、芸妓さん 救護施設であでやかな舞

 京都・花街で活躍する舞妓(まいこ)と芸妓(げいこ)の2人が16日、函館市日乃出町の救護施設「明和園」(本田英孝施設長)を表敬訪問した。あでやかな着物姿に身を包んだ2人は、入所者約100人を前に流麗な舞を披露した。

 2人は京都・宮川町のお茶屋「河よ志」の舞妓のふく恵さん(17)と芸妓の弥寿葉さん(23)。17日から棒二森屋で開かれる物産展「第32回おいでやす大京都まつり」(23日まで)のキャンペーンで、京都府物産協会(鈴鹿且久会長)の役員らと来函した。

 2人は館内の特設ステージで「祇園小唄」や「宮川音頭」など3曲披露。つややかな京舞に入所者は酔いしれ、一曲ごとに盛んに拍手を送っていた。途中、河よ志の佐々木ふく江さんが舞妓と芸妓に地毛とかつらの違いがあることなどを説明した。

 最後に2人は入所者一人一人に「おおきに」と京言葉で声をかけ、せんべいの京菓子を手渡した。観覧した男性(75)は「京都らしい所作は穏やかな気持ちになる。2人とも本当に美しく、心が和みました」とうっとりしていた。

 一行はこの日、函館市役所なども訪れ、京都の魅力をPR。弥寿葉さんは「函館は開放感があって食べ物がおいしおす。ぜひ京都にもおいでやす」と話していた。2人は17、18の両日、棒二森屋本館の特設会場で京踊りを披露する。(森健太郎)



◎新型インフル、市民30%罹患と推計

 市立函館保健所の山田隆良所長は16日、新型インフルエンザ流行期間内に、最大で市民の30%に当たる8万5710人が罹患(りかん)するとの推計を明らかにした。流行最大時に重症となり入院する患者は156人と推計。「医療を中心とした体制整備と市民への情報提供が必要」とし、重症化や社会的影響を最小限にとどめることが重要とした。

 同日開いた函館市議会の民生常任委員会(斉藤佐知子委員長)に報告した。

 新型インフルの特徴については、季節性より感染力が強く、毒性もやや上回ること、タミフルなどの抗ウイルス薬が有効であることを伝えた。8月31日から9月6日の流行状況から、市内では1週間に約190人の患者がいると推計。「流行は始まっているが、市民はパニックになることなく冷静に対応している」と述べた。

 国が示した流行シナリオでは、新型に感染・発症する割合は季節性の2倍程度で、全人口の20%、最大30%が発症すると仮定する。山田所長は「30%を想定した対策を講じる」し、今後は外来診療体制や入院病床の確保を函館市医師会などと協議して進めるほか、マスクなど感染防止用具の備蓄を進め、10月中旬にはワクチン接種順位を公表する予定だ。

 委員は、全国で死亡事例が報告されていることから、効果的な予防策を質問。山田所長は「日本のワクチンは安全性は非常に高いが、効果は100%ではない。うがいや手洗い、マスク着用、消毒などの予防策と合わせて行ってほしい」と、複数の方法を組み合わせるのが効果的と話した。(小泉まや)



◎鳩山内閣誕生、有権者の声

 鳩山内閣が16日夜、発足した。政権交代の実現で国民の生活は改善されるのか、雇用、年金、子育て支援などの課題が山積する中、有権者の期待と不安は交錯している。道南の有権者は新政権に何を思い、望むのか。声を拾った。

 函館市、自営業佐野喜子さん(51)

 鳩山内閣に“お手並み拝見”とは思っていない。特に外交面、憲法が絡む問題への対応は注目している。衆院任期の4年は短い。「ごたごたしていると政権が奪われますよ」と言いたいが、今の自民党にはそれも期待できない。

 七飯町、果樹農家馬場敏雄さん(75)

 今までの政府は農家が減ったら困るということで農家への助成を行ってきたが、条件が厳しすぎるので助成が受けられなかった。高齢者にとっては5年先の計画を示せと言われても無理な話。条件を緩やかにして、油とか農家が普段使うものに対しても助成できるような施策を打ち出し、不公平感をなくしてほしい。

 函館市、道教大函館校3年の村山翔さん(21)

 まだ政権が変わった実感はない。政権を取ったことのない民主党中心の政治運営には不安を感じるが、何か変わるかもという期待はある。長期間政権を担い、実行力のある自民党には客観的に政治を見つめ直してほしい。

 函館市、主婦弘田義江さん(64)

 鳩山さんは人柄が良さそうで信頼できそう。政治主導で国を動かしてほしい。官僚の天下り先の公益法人を解散し、税金の無駄遣いをやめて低賃金で働く介護従事者や母子家庭の支援に充ててもらいたい。

 函館市、無職男性(43)

 昨年末に“派遣切り”に遭ってからアルバイトなどで生計を立てているが、この年齢でアルバイトは本当にきつく、定職に就きたい。経済が潤い、企業が今まで以上に柔軟に人員を確保できるような世の中になってほしい。新政権にはそれを願う。

 函館市、無職永澤和枝さん(57)

 女性が働きながら安心して子どもを預けられる環境を整備してほしい。函館でも保育園の統合・縮小化が進み、自宅から遠く離れた町まで子どもを預けに行くのに困っている人が多いと聞く。子ども手当てよりも保育園を増やしてほしい。そうすれば母親が助かるばかりでなく、雇用も増える。

 木古内町、漁業岩館隆喜さん(54)

 昨年の燃油高や漁獲高の減少など、浜で生活していく上で問題は尽きない。事務的な手続きが壁になり、問題が落ち着いたころに支援が回ってくるようでは本当に困る。漁業に限らず、何事においても迅速に体制を整えてもらいたい。

 乙部町、漁業阿部一さん(67)

 政権が変わっても、浜を良くしたいという漁業者の思いは変わらない。自民党の長い歴史の中で、さまざまなしがらみが原因となり解決できなかった課題も数多い。新政権は漁業者の目線に立ちながら、若い世代も自信を持って漁業に携わることができるような改革を望みたい。


◎函大生ら清掃活動、”クマの餌”予想以上に

 函館市高丘町から見晴町に抜ける市道で16日、クマによる事故防止と環境美化を目的とした清掃活動「スマイル・クリーン・ウオーク運動」が行われた。付近に野球場を持つ函館大学(溝田春夫学長)野球部員70人を中心に高丘町会(武下秀雄会長)や市関係者ら約80人が参加。地域一丸で集めたごみはごみ袋70袋以上となり、関係者は「これだけの量は予想以上。不法投棄はやめてほしい」と訴えている。

 市や同町会などによると、8月18日、高丘町住宅街に近い草むらでクマの出没情報があった。これを受け、現場付近に注意を呼び掛ける看板を設けたり、同町会でも車両でのパトロールを強化。野球場に通う同部員も日ごろの感謝を込めて参加した。

 参加者はグループを作り、道路上や現在舗装工事中の道路左右の茂みに放置されているごみを火ばさみを使って回収した。中でも、空き缶が1カ所に数百個も投棄されているところでは、同部員が「誰がこんなひどいことを」「許せない」と憤りの表情を見せていた。

 同部3年の永沼幸樹主将(20)は「普段はあまり気にならなかったが、意識して見るとごみだらけで驚かされた。この活動を通じ、日常でもごみが目に付いたら拾いたい」と話していた。(長内 健)


◎道警函本と函館地区ハイヤー協会が協定

 道警函館方面本部(木下外晴本部長)は16日、函館地区ハイヤー協会(鍵谷良一会長)と街頭での事件発生時などに迅速な通報、情報提供協力に関する協定を結んだ。加盟42社のタクシー1177台のうち、15社の計508台に「ドライブレコーダー」が搭載されており、「走る防犯カメラ」として地域の安全向上に期待がかかる。

 「ドライブ―」は本来、衝撃を受けて作動し、事故発生時の映像を前後計30秒間記録する装置で、ルームミラーにカメラが設置されている。ひったくりや路上強盗などの犯罪を目撃した場合、運転手が手動で作動させることもできるため、記録した映像を証拠として警察に提出する。

 締結式で木下本部長は「犯罪を起こさせない地域づくりにも重要な役割になる」とあいさつ。鍵谷会長は「厳しい経済情勢の中で、犯罪が増えている感じがする。管内の事故や事件が1件でも少なくなるよう協力していきたい」と述べた。

 同様の協定は8月に道警本部と札幌地区ハイヤー協会が締結しているほか、全国では警視庁や岩手県警が協力体制を築いている。(今井正一)