2009年9月2日 (水) 掲載

◎「自治体と連携し地域振興」…逢坂氏が記者会見

 衆院選道8区で初勝利、通算2選を果たした民主党の逢坂誠二氏が1日、函館市内で記者会見し、抱負を述べた。逢坂氏は「函館は医療・福祉の基盤や人材がしっかりしているため、この分野に力を入れたい。自治体や経済団体との連携を取りながら地域振興を図りたい」と述べた。

 重点項目として①医療・福祉、教育、年金の充実など国民の安全・安心を守る②一次産業をはじめとする地域経済の発展③地方財政の基盤強化をはじめとする地方分権④徹底的な情報公開―を挙げた。

 一次産業の振興では「従来は漁港やほ場整備、ダム建設などハード的な面で支援してきたが、これからは直接補償をして生活を下支えしたい」と述べた。ただ、戸別所得補償は全国同一や全作物での適用が難しく、まずは地域の実情に合わせた制度設計が必要であるとの考えを示した。

 地域経済の振興について、「利益誘導型を駄目とは言わないが、地域が自立的、自発的に元気を出していけるような公共投資が必要」とした。

 マニフェストに掲げた政策の実現については「優先度を考慮し3カ月以内、半年以内などの行程目標を示して実現させるべき」との考え。

 財源ねん出は、例えば自民党政権の景気対策事業は公益法人への委託、再委託で“搾取”されているとし、こうした無駄遣いの排除や予算の全面的な組み替えなどで対応するとした。

 当選から2日目で、与党代議士への期待から農業や漁業支援、年金充実に対する期待が寄せられていることを明かした。(高柳 謙)



◎日銀7月の道南・景気「非常に厳しい」

 日本銀行函館支店(市川信幸支店長)は1日、7月の道南地方の金融経済動向を発表した。雇用環境の悪化に歯止めが掛からず、天候不順が個人消費や観光面にも影響し、景気判断を「一部に下げ止まりの兆しも見られるが、非常に厳しい状況が続いている」として、2カ月連続で据え置いた。

 個人消費は前月に続き「全体として弱い状況が続いているが、一部に明るい兆しもみられる」と判断。基調として不振が続く一方、主要小売店10社の売上高は函館市内のプレミアム商品券の発行や、丸井今井函館店の閉店セールが好調だったこともあり、前年同月比2・0%減と下げ幅は縮小した。

 家電販売はエコポイント制度効果で、薄型テレビやDVD・ブルーレイレコーダーが堅調。新車登録台数は普通・小型車が同2・4%減と2カ月ぶりに前年割れとなった。8月は軽自動車も含めて約1年ぶりにプラスに転じる情勢で「エコカー減税など政策効果が続いている」としている。

 観光は「非常に厳しい状況にある」と判断を据え置き。主要ホテル宿泊客数(20社)は同6・6%減、函館空港の乗降客数は同17・6%減となり、ともに15カ月連続の前年割れとなった。ただ、新型インフルエンザの悪影響が一段落したほか、前年のサミット開催の反動増もあり、前月と比べて減少率は縮まった。

 生産は電子部品の在庫調整が一巡し「持ち直している」ものの、水産加工が消費低迷に伴う節約志向の高まりから、売上高ベースで同14・8%減と、下げ幅が前月(前年同月比4・0%減)より大幅に悪化。農漁業では天候不順が響き、野菜の出荷額が前月(同8・8%減)に続き、同5・0%減と例年になく不作の様相を呈している。(森健太郎)



◎喜頓さんの人柄伝える品々並ぶ…生誕100年で展示会

 今年生誕100年を迎えた函館出身の喜劇俳優、益田喜頓さん(1909―93)ゆかりの品々が並ぶ「喜頓メモリアル・アラカルト展示会」が1日、函館市民会館(湯川町1)3階の展示室で始まった。喜頓さんが長年使用したトランクや直筆のノート、喜頓さんが執筆した記事など、その個性や活動を伝える品々が展示されている。入場無料。8日まで。

 市や文化団体など9機関・団体でつくる実行委が、喜頓さんの功績をたたえ、活動記録をしのんでもらおうと開催。展示品は喜頓さんの遺族や市民らが提供した。

 直筆ノートには、新聞や雑誌から演劇やスポーツ、文化など関心のある項目が克明に書き留められており、喜頓さんの筆まめな一面がうかがえる。1990年に新聞に掲載された喜頓さんの連載記事はユーモラスでしゃれっ気がある文章。子どものころから作り話が大好きで、映画館に通った日常生活や野球に明け暮れた日々、さらにはロシア人女性に初恋した青春の思い出など、“キートンワールド”を楽しむことができる。

 同会館の木村拓美館長は「どれもこれも喜頓さんの人柄や活動を伝える貴重なもの。この機会にぜひ足を運んで」と来場を呼び掛ける。

 なお、5、6の両日は同会館小ホールで喜頓さんが出演した映画4作品の上映会が行われる。2日間とも1回目が午後1時―3時で作品は「小さな目撃者」「犯行7分前」。2回目が同4―6時20分で、「灰色の暴走」「浮気の季節」を上映。上映会は各回とも500円で問い合わせは同会館TEL0138・57・3111。(長内 健)


◎【激変8区】「逢坂誠二」敵失で力量以上の得票

 衆院選道8区で小選挙区の初陣を飾った民主党の逢坂誠二。追い風や保守分裂を受け、得票率62%、17万票という圧勝劇を演じた。鉢呂吉雄、金田誠一が守ってきた議席に、過去最多得票、政権交代、与党議員誕生という新たな戦績を刻んだ。

 「17万票すべてが逢坂誠二をいいと思って投じているわけではない。選択肢の無さや現状に対する否定から、このままじゃ駄目だから民主党に懸けてみようという有権者の思いもあったと思う」

 当選から2日後の1日。函館市内で記者会見した逢坂は、自身が“消去法”で選ばれた面を否定しなかった。松谷勇連合後援会長は「金田後援会の協力があっての勝利」と金田への感謝も忘れないが、保守分裂や相手候補の魅力不足、自民党の機能不全など「敵失」があっての大勝だ。つまり、17万票は逢坂の等身大の力量ではない。それは比例票を見ても分かる。

 今回の選挙で民主党の8区比例票は11万8000票。選挙協力を結んだ新党大地へ流れた票もあり多少乱暴だが、これを基礎票とし、「候補を立てない共産党の票の6割、1万票以上は流れた」(陣営関係者)としても13万票。新党大地のほか、公明票の一部の流入があっても、相当な浮動票や保守票がなだれ込まなければ17万票にはならない。

 陣営幹部も「民主の基礎票は12―13万票。これに逢坂個人の人気と、俗に言う“風”が吹いた。自民党支持者からの得票も大きいと思う」と語る。逢坂も言った。「自分が強いのか弱いのか、今の時点では分からない」

 戦いが終われば、議員として政策の実現が求められる。舞台は国政だが、道南地域の大懸案といえば、2015年度開業の北海道新幹線と、それに合わせた地域の高規格幹線道路網の整備がある。しかし「民主党が政権を取れば公共事業が削減され、社会資本の整備が遅れる」と懸念の声があるのも事実だ。

 これについて逢坂は「新幹線は道本部で推進する方向を確認している。党本部の方針と齟齬(そご)があっても、体を張って地域の実態を説明する」と反論する。道路整備も「要らない公共事業をやめると言っているのであって、必要な事業は無駄を省いて実施する」と説明する。

 「国政も大事だが、疲弊した道南経済を何とかしてほしい」という声も切実だ。自治体や経済団体などと連携しながら課題に対応していく考えだが、厳しい前途が予想される。そして有権者は何より、結果を早く求めたがる。「具体的な成果が見えなければ支持者はすぐに離れる。それを踏まえて仕事をしなければならない」と逢坂。

 攻撃する野党から、責任政党へ変わる民主党。17万票を背負った逢坂の真価は、これから問われる。(文中敬称略)(森健太郎、高柳 謙)


◎8月低温 今夏の降水量記録的

 函館海洋気象台は1日、管内の8月と夏期(6―8月)の気象状況をまとめた。8月は管内の観測地点すべてで平均気温が平年より低かった。夏期の降水量は、平年比2・5―3・5倍の降水量を記録した7月の長雨の影響で大幅に平年を上回り、函館の495ミリ(平年349・5ミリ)をはじめ、観測地点のすべてで降水量が1・3倍以上となった。

 8月の平均気温は、太平洋高気圧の張り出しが弱かったことなどが原因で、函館では平年より0・9度低い20・8度。他の観測地点も平年を0・8度から1・5度下回る寒い夏となった。函館の降水量は102・5ミリと平年(160・9ミリ)の64%で、日照時間も134・8ミリと平年(157・4ミリ)を下回った。

 夏期全体では、太平洋高気圧の張り出しが弱く、低気圧や気圧の谷が管内を直撃した影響から、福島町千軒で降水量が925・0ミリと平年の1・6倍を記録したほか、各地で1・2倍から1・6倍と大幅に増加した。函館の日照時間は348・2時間で平年より126・8時間少なかった。平均気温は6月が高温傾向だったため、函館が18・9度と平年並み。他地域でもマイナス0・1度から0・8度と小幅な下げにとどまった。

 市内のスーパーやレジャー施設、農家にも長雨や低温のの影響が見られた。イトーヨーカドー函館店(美原1)ではビールや炭酸飲料の売り上げが平年より減少。函館山ロープウェー(元町19)でも、濃霧が多く発生したことにより利用客が伸び悩んだ。石川町の農家(58)は「収穫が少ない分今年は高値になるのだろうが、ジャガイモやネギなど野菜が腐っていてひどかった」と嘆いていた。(長内 健)


◎災害備え迅速対処…函館で防災総合訓練

 「防災の日」の1日、函館市防災会議(西尾正範会長)主催の2009年度函館市防災総合訓練が函館市港町の港町ふ頭で行われた。地震などの災害時にに円滑な対応ができるようにと大勢の参加者が集まり33項目にも及ぶ訓練を実施した。

 住民らに対する防災意識の普及と向上を目的に、1974年から毎年この時期に開催。今回は、1日午前9時半ごろに青森県東方沖を震源とするマグニチュード8・0の地震により函館で震度6強を観測し、北海道太平洋沿岸西部に津波警報が発表されたという想定の下行われた。

 函館市消防本部など25の防災関係機関や53の自主防災組織、市内の4町会から計1120人が参加。非常食炊き出し訓練や通信連絡訓練、ライフラインの確保などの作業などが実施された。崩落事故救出・救護訓練では新築中のビル地階部分が崩れ、負傷者を救出し医療機関へ搬送するまでの訓練を実施。作業を見守っていた参加者からは「迅速だね」「すごい」などという声が上がっていた。タンカー火災の消火訓練や、ドラッシュテントと呼ばれる仮設避難所の設営時には大きな拍手が起きていた。

 参加した駒場団地町会の川端和雄会長(78)は「自主防災組織を作って初めての参加。安否確認の訓練を参考にして町会員に伝え、もしもの時に生かしたい」と話していた。(小杉貴洋)