2009年9月21日 (月) 掲載

◎江差追分全国大会 日和さん(小樽市)日本一 熟年は江差の小梅さん【江差】

 【江差】第47回江差追分全国大会(主催・江差追分会など)は20日、町文化会館で決選会が行われ、小樽市の会社員日和義貴さん(31)が=札幌南支部=が〝追分日本一〟の栄冠に輝いた。熟年大会は江差町の小梅洋子さん(67)=声友会=、少年大会は大阪府八尾市の植田玲奈さん(15)=大和菊華会=が優勝した。

 「忍路高島 およびもないが せめて歌棄 磯谷まで」。江差追分の数ある歌詞から、ふるさとの海が舞台の〝忍路〟を選んだ日和さん。「生まれも育ちも小樽です。だから忍路にこだわりました。江差に着いてからはずっと海を見ていました」。民謡歴は小学校入学前にさかのぼる。一時は歌の世界を離れたが「10年前に自分の気持ちで再出発しました。民謡の王様と言われる江差追分を本気で取り組みたかった」。10年間で頂点を極めた日和さんは「初心に戻り江差追分の魅力を多くの人に伝えたい。これからが本当の勉強です」と、熱っぽい言葉で抱負を語る。(松浦 純)

 1―10位入賞者は次の通り(かっこ内は所属支部、敬称略)。

 【第47回江差追分全国大会】①日和義貴(札幌南)②福士優子(千歳)③西川俊昭(乙部鴎翔会)④黒森このみ(札幌南)⑤杉本武志(菊水会)⑥大沢理絵(静内)⑦新保真智子(幌別)⑧間島正晴(札幌白石)⑨東真喜子(乙部鴎翔会)⑩佐竹春敏(滝川)

 【第13回江差追分熟年全国大会】①小梅洋子(声友会)②小野寺安喜(東京練馬)③榎本弥惣七(網走声友会)④畠山桂星(安平町清志会)⑤大柳宣之(大阪金剛)⑥木田弘(札幌東白石)⑦奈良たか子(帯広)⑧菅井妙子(札幌ライラック会)⑨細木利良(大平原)⑩本多充枝(静内)

 【第13回江差追分少年全国大会】①植田玲奈(大和菊華会)②田村つくし(かもめ会)③田村ひより(同)④須藤栞(菊水会)⑤大木風香(札幌白石)⑥中島弥生(かもめ会)⑦福田花梨(厚沢部美和)⑧田中菜々(菊声会)⑨須藤泰道(菊水会)⑩藤元美沙(旭川中央)



◎市民ミュージカル 感動の物語 浅草で上演 喜頓さん作「案山子物語」

 【東京】函館出身の喜劇俳優、故益田喜頓さん(享年84)生誕100年記念事業、函館市民ミュージカル「案山子(かかし)物語」の浅草公演(実行委主催)が20日、東京都台東区の浅草公会堂で開かれた。8月の函館公演に続くもので、函館出身で関東在往者など約1000人(2回公演)が来場。愛と平和を願う喜頓さんのメッセージが込められた物語を堪能した。

 函館市栄誉賞第1号受賞者でもある喜頓さんの功績をたたえた事業の一環で、喜頓さんが長年住んでいた浅草で開催された。

 物語は、大野平野の畑に立つ主人公のかかし「ペコ」が台風で舞い上がり、神様の力でパリやニューヨーク、地雷が多く残ったままの復興途上国を巡る。出会った人と友情を深める一方で、戦争への怒りや犯罪への悲しみ、愛を学ぶ。函館で演じたキャストのほか、台東区のダンス団体JMDの9人が、ペコが台風で飛ばされるシーンに出演し、華を添えた。

 展開の早さと心を打つ歌、多彩なダンスで来場者をステージに引きつけ、感動のフィナーレに大きな拍手が送られた。スタッフの友人という函館西高校出身で千葉県の村井邦子さん(65)は「現代社会の問題を分かりやすく表現した内容。はっきりしたせりふのキャストの演技のほか、照明や音響も良く市民舞台とは思えなかった」と話していた。(山崎純一)



◎大韓航空ソウル便 夏場の利用堅調 秋以降の安定運航に不安感も

 大韓航空函館支店(岸田茂支店長)まとめた夏場の函館―ソウル便の利用実績によると、搭乗率は7月が63・3%、8月が65・2%と善戦を見せた。長引く不況と新型インフルエンザの流行で業界全体が苦境に立たされる中、韓国内の景気回復でウォン安が一段落したことで、主力の韓国客の利用が堅調だった。

 ただ、採算ラインとされる70%台を割り込み、秋以降の予約も不振が続いているため、同支店は「利用客が落ち込む冬季をどう乗り切るか。この秋が正念場。当面は楽観できない状況」と週3往復の安定運航にも黄信号をちらつかせる。

 7、8月とも運航便数は13往復26便。中でもソウル発便の外国人利用客が5月以降、1600人台をキープし、搭乗率も7月が66・6%、7月が70・9%と健闘した。韓国の旅行会社が企画する格安ツアーが引き続き好調といい、全体の数字をけん引した。

 一方、函館発の日本人客の利用は低調で、5月以降、毎月150人前後にとどまっている。円高ウォン安の追い風も弱まり、新型インフルと安近短の旅行の節約志向が響いた。9月以降の予約も振るわず、岸田支店長は「このままでは週3往復の継続も難しくなる」と危機感をあらわにする。

 こうした現状打破に向け、同支店は最も利用が低調な火曜の発着便を使った新商品を企画中で、市や旅行会社と協力して利用促進につなげたい考え。岸田支店長は「定期路線存続には日本人の利用増が不可欠。今後は潜在的な需要やリピーターの掘り起こしに力を入れたい」と話している。(森健太郎)


◎味魅力に酔いしれる 大沼ビアフェスタにぎわう 国内外の40種並ぶ

 【七飯】40種類以上の地ビールが楽しめるイベント「大沼ビアフェスタ」が20日、七飯町大沼町のビール工房「ブロイハウス大沼」で開かれた。道南や道内から大勢の“ビール党”が集まり、普段はなかなか味わえない国内外の地ビールの魅力に酔いしれた。

 同フェスタはドイツ・ミュンヘンで毎年秋に開かれている世界最大のビールの祭典「オクトーバーフェスト」を参考に、函館市梁川町でバー「ポスト」を営む大沢寛之さん(37)が企画。大沼ビールを製造販売するブロイハウス大沼(鈴木清士社長)の協力で初めて開催した。

 この日は道内で生産される地ビールをはじめ、志賀高原ビール(長野)や霧島高原ビール(鹿児島)なども並んだ。本場ドイツ・シュパーテン社のオクトーバーフェスト公認ビール「ウル・メルツェン」など海外の珍しい銘柄も用意され、来場者は飲み比べを楽しんだ。

 函館から夫婦で訪れた会社員西本昭夫さん(60)は「これほど数多くの種類が一度に味わえる機会はめったにない。それぞれのビールに個性があり、味がこんなにも違うのかと驚いた」と次々とカップを重ねていた。主催した大沢さんは「大沼の大自然の中で優れた地ビールの魅力をもっと多くの人に広めたい」と話していた。(森健太郎)


◎なぜ低い投票率企画〈下〉生活に直結 意識して 「電話で呼び掛け」成果

 有権者に投票所へ足を運んでもらおうと、今回の衆院選でも各自治体はさまざまな啓発活動に取り組んだ。民間では、函館市内・近郊のハンバーガーチェーン「ラッキーピエログループ」(王一郎社長)が投開票日から3日間、投票所の入場券を店頭で提示すると、人気商品が半額になる“投票率アップ大作戦”を初めて実施。期間中、若年層を中心に約3000人が利用する好評ぶりだった。

 「投票に行くと特典がもらえてお得」。皮肉にもそんな心理が有権者を投票所へ向かわせる動機となったのかもしれない。函館市選挙管理委員会事務局の対馬長敏局長は「本来、投票は強制されて行くものではなく、国政に参加できる権利なのだが…」と困惑する。

 函館市の投票率は67・10%で、前回よりも2・74ポイント増えたが、国政選挙では道内35市で12回連続のワースト。市選管は今回、看板掲示や街頭放送、函館開港150周年記念事業のイベント会場を含む3カ所での街頭啓発などを実施。前回の約3倍となる2800社の事業主にも印刷物で投票を呼び掛けた。「長年いろんな啓発に取り組んだが、『これをやれば投票率が上がる』という特徴が表れない中で、工夫を重ね、内容を充実させていきたい」と対馬局長。

 一方、森町では07年参院選道選挙区の投票率が道内町村部で最低(56・13%)を記録したため、その汚名返上を目指し、投票率向上対策本部を設立。約7800世帯に5日間かけて電話で投票を呼び掛ける「ローラー作戦」を展開するなどした結果、今衆院選は71・27%を記録した。

 同副本部長の輪島忠徳総務課長は「“ローラー作戦”の効果はあったと思う」と成果を実感。「役場の中の電話回線の数にも限りがあるので、来年の参院選では電話をかける場所を増やし、2ローラー、3ローラーとしていくことも検討したい」とさらなる対策強化を図る考えだ。

 全道の市で最下位から2番目だったが、投票率が70%を越えたことへの手ごたえを感じているのは北斗市。市選管の工藤実書記長は期日前投票の増加が一因と分析。投票所となる施設の機能性、場所の利便性など「行きやすい投票所」を課題に掲げ、「投票環境の向上に努めたい」と話す。

 官民それぞれが力を入れた選挙啓発。印刷物、放送で目や耳に訴えるだけの啓発が「投票率アップ」に直結するかは微妙で、その効果が目に見える形で表れない自治体もあった。明るい選挙推進協議会の青山宏平会長(68)は「政治が自分の暮らしにつながるという認識を、投票に行かない人たちに、いかに持ってもらうかの手立てを考えなくては。若者に働き掛けるためにも若いリーダーの掘り起こしも課題」としている。