2009年9月22日 (火) 掲載

◎150周年記念ミサ 聖堂に讃美歌…カトリック元町教会

 函館が開港した1859(安政6)年に宣教が始まった函館カトリック元町教会(ジェル・ロー神父)は21日、函館市元町の同教会で創立150周年記念ミサを行った。同教会や市内のカトリック教会などの信者、国内外からの神父ら約400人が参列。響きの良い聖堂で賛美歌を歌いながら、厳粛な祈りをささげた。

 パリ外国宣教会のメルメ・カション神父が同教会の歴史の第一歩をしるし、これまでに28人の主任司祭の下、5000人以上の受洗者と聖職者が召命されてきた。記念ミサは共同ミサとして執り行われ、札幌教区長のペトロ地主敏夫司教が司式を務めた。

 パリ外国宣教会管区長のオリビエ・シェガレ神父ら17人の司祭団が歌に合わせ聖堂に入った。荘厳な雰囲気の中、救世主の預言「イザヤの預言」などが朗読されたり、賛美歌とオルガンの音色が溶け込んだ神秘的なハーモニーが会場を包み込んでいた。地主司教が「今後も函館市民のために開かれた教会として発展していければ」と述べたほか、聖体拝領では祭壇などに広がった司祭団が信者らにパンとワインを手渡した。

 ミサ終了後は関係者による祝賀会を五島軒本店(末広町)で開き、教会の節目を祝い、さらなる発展を誓った。(長内 健)



◎政権交代でも例年通り…新年度要望で桧山総合期成会

 【江差】桧山7町で組織する桧山総合開発期成会(会長・工藤昇上ノ国町長)は、10月1日に予定している管内重点懸案事項の中央要望を例年通り実施する方針を決めた。鳩山内閣発足に伴い、政党や省庁への要望や陳情の在り方を見直す自治体もあるが、同期成会は従来通りの対応とした。

 中央要望では、国土交通省などの関係省庁のほか、道8区選出の逢坂誠二衆院議員(民主党)、中川義雄参院議員(自民党)ら、道内選出国会議員との懇談も予定している。同期成会は政権交代以前から、中川氏や金田誠一前衆院議員(民主党)ら、与野党への要望活動を並行して行ってきた。期成会事務局は「これまでも与野党とは等距離の姿勢。政権交代後も桧山管内が抱える懸案事項について理解を深めてもらう必要がある」としている。

 今回の政権交代をめぐって、渋田正己厚沢部町長は「桧山管内と北海道新幹線が開業する北斗市を結ぶ国道227号の改良など、国や国会議員への要望は、新政権になっても期成会や道町村会を通じて行う。町の重要案件については単独でも要望を行う」と強調。民主党とのあらゆるパイプを使い陳情活動は今後も継続する。

 寺島光一郎乙部町長は「補正予算の執行停止について民主党は、市町村に関係するものは粛々と執行する方針を示している。町村の生活基盤にかかわる必要な公共投資をはじめ、新幹線開業や道縦貫道延伸に合わせた国道227号の改良などは、政権交代後も重点的に要望していきたい」との考えを示している。

 同期成会は、新年度の重点要望事項として(1)日本海ルートの交通網整備(2)北海道新幹線の建設促進―の2項目を掲げている。個別の要望事項では、函館江差自動車道の木古内―江差間の早期着手、桧山南部と函館市を結ぶ国道227号の狭小トンネル解消など、新幹線開業を見据えた交通アクセスの改善などを要望する方針だ。(松浦 純)



◎眼下の景色 満喫…敬老の日・五稜郭タワー無料で招待

 「敬老の日」の21日、函館市の五稜郭タワーは道南在住の65歳以上の高齢者を対象に無料でタワー展望台に招待した。旧タワー時代の1980年から続く恒例の行事で、892人が利用。秋の大型連休効果もあって展望台は終日混雑し、大勢の市民や観光客らが地上90メートルからの眺望を満喫した。

 この日の函館市内はあいにくの曇り空だったが、津軽海峡越しに下北半島が見え、函館山もくっきりとした姿で存在感を示した。五稜郭公園内には、覆いが外されたばかりの「箱館奉行所」を見下ろすこともでき、来場者は眼下に広がる函館の景色を楽しんでいた。

 夫婦で五稜郭公園を毎日ウオーキングするのが日課という市内の林紘治さん(67)と恵美子さん(66)は「五稜郭は日々四季の移り変わりが実感できるのが魅力。タワーからは函館の広さが実感できて何回来てもいいですね」と話していた。(今井正一)


◎パンやスイーツ好評 屋台村「港町銀座」にぎわう…ポールスターの特設スペース

 情報誌「jam」がプロデュースする屋台村「港町銀座」が20、21の両日、ポールスターショッピングセンター(函館市港町1)内の特設スペースに登場した。限定スイーツやオリジナルパンなど魅力的な函館グルメが集結し、来場者の味覚を楽しませた。

 同センターのオープン2周年記念イベントの一環。道内産小麦を使ったオリジナルパンの開発に取り組む函館パン研究会のメンバー5店舗による「パン研屋台」や、市内の人気菓子店5店舗による限定スイーツ販売などが人気を集めた。また、参加飲食店によるデミオムライスやチキン南蛮、カレー焼きそばなど味自慢のグルメ販売ブースも家族連れなどでにぎわった。

 特設ステージではジャズトリオやアフリカンバンドなどによるライブステージが披露されたほか、フリーマーケットやヨーヨーすくいなど多彩な催しが展開され、会場は華やかな祭り気分に包まれていた。

 jam編集長の吉田智士さんは「企画が決まったのが3週間前だったので準備は慌ただしかったが、参加者の協力によって実現にこぎつけることができてほっとしている。機会があれば、今後も定期的に開催していきたい」と話していた。(小川俊之)


◎熟年・小梅さん(江差)、少年・植田さん(大阪)が優勝…江差追分全国大会

 【江差】20日に閉幕した第47回記念江差追分全国大会。65歳以上の熟年全国大会は、江差町で高齢者の見守り活動に取り組む主婦、小梅洋子さん(67)=声友会=が優勝。ベテランらしい“いぶし銀”の追分節が光った。中学生以下の少年全国大会で優勝した、大阪府八尾市の植田玲奈さん(15)は、澄み切った歌声が観客にさわやかな感動を与えた。2人に優勝の喜びを聞いた。

 小梅さんは2005年、愛宕町商店街で夫と経営していた酒店の店先で「かあちゃん食堂たまりば」をオープンさせた。水曜日になると心尽くしの食事を楽しみにする高齢者の憩いの場になる。お年寄りの元気な姿を見守る小梅さんは「よそ行きに着替えて出掛けるだけで、毎日の生活に張り合いが出るよ」と目を細める。酒店は100年近い歴史に幕を下ろしたが「母ちゃん食堂」の活動は続く。誰にでも面倒見の良い小梅さんは、江差を代表する“肝っ玉母さん”として慕われている。

 江差追分を始めておよそ35年―。かつては商売や子育てに追われ、じっくり追分に向き合うことが難しかった。寸暇を惜しんで練習を重ね、一般大会で入賞を重ねた。一昨年からは熟年大会に舞台を移した。「昔の自分の声よりも今の声が好き。追分の雰囲気に近付いてきたと思うの。元気が続く限り歌いたいね」

 酸いも甘いもかみ分けた味わい深い追分は、審査員や観客をうならせた。「若い子だけじゃなく、熟年でもこんなに元気に歌えるんだぞというパワーを見てほしかった。優勝は目的じゃない。自分のために楽しんで歌うことでとっても元気になるの」と、飛びっ切りの笑顔を見せた。

                   =◇=

 少年全国大会の出場年齢は15歳まで。06年は4位、昨年は8位入賞を果たした植田さんは、少年大会最後の舞台を優勝で飾った。「少年大会は最後だから頑張りました。緊張して力が入りすぎて…」とほおを赤らめた。深紅の優勝旗を左手に抱え、右手を腹に当てる基本姿勢を守り、大人顔負けの張りのある歌声を披露した植田さんが、江差追分を始めたのは小学4年生。全国各地の民謡に親しみ、学校ではバドミントン部でも活躍している元気な女の子だ。

 来年からは、全国の地区予選を勝ち抜いた、若手からベテランがしのぎを削る一般大会が活躍の舞台だ。植田さんら若手のホープから、勢いがある30代、脂が乗り始める40代、追分らしい哀愁がにじみ出る50代―が横一線に並び“追分日本一”を目指す。「スポーツも民謡も頑張りたい。地区予選を勝ち抜いて来年から全国大会に出場できるよう頑張ります」。優勝旗を握り締め、真っすぐな瞳を輝かせながら誓った。(松浦 純)