2009年9月23日(水)掲載

◎大沼と秋田のヘラブナ愛好家が交流

 【七飯】秋田県湯沢市や横手市でヘラブナ釣りを楽しむ愛好家が集う「秋田やわらぎ会」の会員7人が20日から22日まで、大沼国定公園を訪れ、ヘラブナ釣りを楽しみ、地元の愛好会と交流を深めた。同会の石川力(つとむ)会長(67)は「本州にないスケールの大きな自然とヘラブナ。北海道の素晴らしさを堪能できた」と喜んでいた。

 同会は30年以上の歴史があり、現在の会員は9人。会員の一人と大沼の愛好会「大沼五十上(ごじゅうかみ)巨べら会」の藤原黄門会長と親交があることで、昨年から会としての交流を始めた。

 20、21の両日は大沼、小沼で釣りをした。石川会長は「秋田のヘラブナは30センチ後半のでさえなかなか釣れないが、大沼は40センチでようやく大物と言われる。釣り場も広大で美しい。釣果にこだわらず楽しめる」と話す。また、「藤原会長や会員、北海道の皆さんは日ごろから全国の人を迎えており、温かみのある接し方をしてくれるので、非常に気持ち良い」と話す。

 藤原会長は「大沼と秋田ではフナや釣り方も異なり、交流はお互いが勉強になる良い機会」と話す。22日は藤原会長が経営する釣り堀で大会を開き、和やかに釣りを楽しんだ後バーベキューを行い、釣り談議で盛り上がった。(山崎純一)



◎道教大佐々木教授が『北海道の宗教と信仰』出版

 道教育大函館校の佐々木馨教授(63)=日本中世宗教史=が、13冊目の単著となる『北海道の宗教と信仰』を山川出版社から出版した。アイヌ民族と和人の宗教や、乙部町の高齢者から聞き取りした民間信仰などを体系的に分類し、「北海道は宗教の博物館」(佐々木教授)であることを論考している。

 佐々木教授が2001年に同出版から出した、松前藩の宗教政策を論究した『アイヌと日本』の続編。先住のアイヌ民族と和人がともに暮らす北海道でどのような宗教が根付き、信仰されてきたかを研究し、非常に多くの宗教や信仰、思想が混在していることを明らかにした。

 アイヌ民族については、最上徳内の『蝦夷草子』、新井白石の『蝦夷考』など和人側が著した著作から、多様な生活信仰を紹介。熊をいけにえにした儀式「イヨマンテ」、家族との死別の悲しみを忘却させる法式「イムシトイ」、祈とうや葬送など、独自の世界観を持って行っていた。

 和人については、北東北の宗教史との関連から、10世紀には北海道に仏教が伝来していた可能性を指摘。有珠善光寺(伊達市)は9世紀の天台僧円仁(慈覚大師)が開基したという縁起があることなど、その論拠を挙げる。このほか神社神道やキリスト教にも焦点を当てている。

 佐々木教授は乙部町史の編集長を務めた経験から、同町内の老人クラブからの聞き取り調査も実施。伝統宗教や新宗教のほか、神社での祭礼や家々で多彩な信仰が息づいていた。屋敷神、共同祈願、巫女(みこ)や祈とう師、妖怪、霊異、憑(つ)きもの、占い、予兆、禁忌、呪術など多彩で、生活の知恵から伝わっている民間療法もあった。

 佐々木教授は「民族には独自の文化が根付いている。和人には和人の世界や宗教があり、アイヌ民族にも独自の生活や信仰の姿がある。共存する視点で相対的に生活や信仰を見て、相互理解につなげてもらえれば」と話している。

 261ページ、2300円。問い合わせは最寄りの書店へ。 (高柳 謙)



◎函館市の高齢者見守り事業、孤立23人に個別対応

 函館市福祉部は、2008年度にモデル事業として5町1地区で実施した「高齢者見守りネットワーク事業」の結果をまとめた。単身高齢者の孤立を防ぐ事業で、対象となった889人のうち孤立状態にあった23人を介護サービスや生活保護の相談などで社会とのつながりを持たせた。市は本年度から3年間で見守り事業の全市拡大を目指している。

 市内6地区に設置している市地域包括支援センターのエリアごとにモデル町・地区を選び、住吉町、日乃出町、上野町、鍛治2丁目、港町3丁目と椴法華地区で実施した。

 市介護高齢福祉課によると、65歳以上の単身高齢者889世帯のうち約8割は近所や家族など社会と何らかのつながりが確認され、1割弱の84人から「見守りは必要ない」「元気だから訪問は不要」などの断りがあった。

 この人たちを除いた76人が孤立の恐れがあったが、50人は家族や知人から定期的に電話や訪問があることが分かり、26人が孤立状態と判断された。うち23人は介護施設への入所や通所、生活保護の相談などで社会とのつながりを持たせ、最終的に「見守りが必要」と判定された市民が3人いた。市内に息子や姉が住んでいるが行き来がなかったり、住所が分からず連絡が取れない状態で、3人はいずれも民生委員などによる見守りを希望した。

 同課は「最初に『見守りは必要ない』と断った84人の中に孤立している人がいないか、課題として残る」と話す。こうした事情について、市町会連合会の幹部は「自分のことは心配しなくていいから、そっとしてほしいという人がおり、本人の希望やプライバシーの問題からそれ以上立ち入ることができない」と説明する。

 このほど開かれた市議会一般質問で小山直子氏(民主・市民ネット)がモデル事業の成果をただし、「孤独死などを招かないように、見守りを全市に拡大すべき」と求めた。岡田芳樹福祉部長も「3年間で全市に拡大できるよう努力したい」と答えた。

 本年度は25町と戸井地区に拡大して実施する予定。(高柳 謙)


◎フェリーターミナルで「津軽海峡秋祭り」

 函館フェリーターミナル(函館市港町3)のウッドデッキで22、23の両日、「津軽海峡秋祭り」(道南自動車フェリー主催)が開かれている。ラーメンやたこ焼き、アイスクリームなどの屋台が並ぶほか、レゴブロック遊びのコーナーや、北大水産学部生による研究発表ブースなど多彩に楽しめる内容となっている。

 シルバーウイーク期間に合わせ、フェリー利用者から一般市民まで幅広く楽しんでもらおうと、津軽海峡フェリーを運航する道南自動車フェリーが初めて企画した。

 函館市内のレゴブロック作家・片岡真悟さんによるブロック遊びコーナーは、子どもたちに大人気。北大水産学部生によるブースには、近海に生息する海鳥のパネルなどが並び、来場者は興味深そうに眺めていた。

 最終日の23日は、青森県大間町のまちおこし団体「あおぞら組」の観光ブースも登場。ゲリラ的なイベントも用意しているという。

 入場無料で、時間は午前9時から午後5時まで。駐車場に限りがあるため、公共交通機関の利用を呼びかけている。 (小川俊之)


◎函館メサイア、150年前の西洋の音楽響く

 函館メサイア教育コンサート実行委員会主催の開港150周年記念演奏会「函館メサイア2009」が22日、市芸術ホール(五稜郭町)で開かれた。幕末に日本に来たペリーの黒船艦隊が箱館などで響かせたユニークな西洋音楽を、合唱と器楽アンサンブルなどで演奏。来場者約300人は、薫り高い西洋音楽を満喫した。

 節目を機に、いち早く西洋音楽が入ってきた函館、道南を盛上げようと企画。同実行委音楽監督の声楽家、徳永ふさ子さんが指揮を、函館メサイア合唱団・管弦楽団などが演奏した。

 「黒船がもたらした音楽」との第一部では、1854年、箱館に停泊中の黒船でにぎやかに奏でられたという「艦内厨房生活」「お嬢さん結婚しませんか」などを再現。オルガニストの石崎理さんによるナレーションとスライドで、楽曲の背景なども分かりやすく伝えた。

 第二部はバッハの「ロ短調ミサ曲」から「キリエ」「グロリア」を披露。合唱団と管弦楽団の約60人が壮麗で厳かなこの大曲を厚みのあるハーモニーで響かせ、会場から惜しみない拍手が送られた。(長内 健)