2009年9月24日 (木) 掲載

◎函館小児科医会、小児救急ガイドブック作製

 函館小児科医会(児島宏典会長)や市立函館保健所などはこのほど、小児救急ガイドブック「目でみる救急箱」を初めて作製した。現在、市内で夜間や休日に子供が入院できる医療機関は4病院で、小児科勤務の医師不足などにより現体制は綱渡りに近い状態。同医会では「ガイドブックを活用して、どういう場合に救急医療を利用すべきか知識を深めてほしい」と話している。(鈴木 潤)

 市内で夜間などに子供の緊急入院を受け入れる医療機関は5年前まで6病院あったが、現在は市立函館病院と函館中央病院、函館五稜郭病院、共愛会病院の4病院による輪番制となっている。合わせて15人の小児科医が交代で宿泊勤務に当たっているが、医師によっては月に7、8回の勤務をこなすなど、過酷な状況が続いている。

 市内の夜間医療体制は、午後7時半から午前零時まで市夜間急病センター(市総合保健センター内)で基本的な処置を行う患者を受け入れているが、午後零時以降は毎日のように複数の患者が当番病院に駆け込んでくる。市では2008年4月から、南渡島医療圏の二次救急医療機関に指定されている9病院で、夜間のウオークイン(救急搬送によらない来院)患者の受け入れを制限して対処しているが、小児科の二次救急については勤務医の減少によって体制維持が厳しくなっているのが現状だ。

 同医会の山田豊副会長(函館中央病院臨床顧問)は「抜本的な改善を図るには小児科医の育成が急務だが、すぐにできることではない。このままの状況が続けば重症な子供が入院できなくなることも想定され、医療レベルの低下につながる」と危機感を募らせる。

 小児科勤務医の不足は全国的な傾向で、勤務負担に耐えられず病院を離れる医師が多くなっている。小児科の救急患者の中には、軽症でありながら親が過剰に心配し病院に連れてきたケースも少なくないため、同医会は家庭での判断材料として、今回のガイドブックを作製した。

 同ガイドブックでは、ひきつけや発熱、異物誤飲など子供によくある7つの症例の対処法を解説し、時間外でもすぐに受診した方が良いケースの見分け方などをアドバイスしている。このほか、函館市夜間急病センターの利用時間のほか、市内で夜間などに診療を実施している医療機関の一覧を掲載している。

 同医会では「小児科の救急医療体制を守るには市民の理解と協力が必要。特に子供を持つ親御さんにはガイドブックを読んで知識を深めてほしい」と活用を呼び掛けている。

 同ガイドブックはA5版15ページで、市立函館保健所で無料配布している。



◎京都の大西さんが函館のフォトエッセーの出版目指す

 京都在住のコピーライター大西剛さん(50)が、昨年9月から二眼レフを使って撮りためた、函館市内の風景写真を使ったフォトエッセー集の出版を目指している。現在、その写真の一部による個展を函館市内で開催中。来函中の大西さんは「既存のガイドブックでは紹介されることのない、知られざる函館の魅力をぜひ多くの人たちに味わってもらいたい」と話している。(小川俊之)

 大阪出身の大西さんは、大学時代に京都に移り住み、広告代理店勤務などを経て現在はフリーのコピーライターとして活躍している。15年前に情報誌の取材でアジア18カ国を旅した際に写真の面白さに目覚め、以後は仕事とプライベート双方で本格的な撮影に取り組んでいるという。

 今回、函館をテーマにしたフォトエッセー集「函館散歩 二眼レフ」(仮タイトル)に取り組むことになったのは、昨年9月に4年ぶりに来函したのがきっかけ。この時、偶然立ち寄った居酒屋で地元の人たちと意気投合した大西さんは、「とてもフレンドリーで外部の人間にも気さくに話しかけてくれることに感動した」とともに、これまで知らなかった函館の歴史上の裏話などに触れ「京都の歴史は千年以上だが、激動の幕末から明治、大正、昭和を駆け抜けた函館の百数十年の歴史の方が密度が濃いと感じた。近代日本の原点を示す記念碑のような二度と生まれない町」とその魅力にはまっていった。

 以後、大西さんは毎月のように函館を訪問し、あえて旧式の二眼レフカメラを使って撮影を開始。「函館のゆったりとした時間の流れを表現するには、大きなファインダーをのぞきながら一枚一枚慎重に撮影できる二眼レフが最適」とこだわりの理由を明かす。

 自らの足で見つけた独自のポイントから撮影された作品には「末広町2009年1月20日」「元町2009年7月3日」など、撮影場所と日付のみのタイトルが並ぶ。大西さんは「タイトルによってイメージを限定することなく、函館の風景そのものを感じてもらいたかった」と話す。

 27日まで函館市内のギャラリーシエナ(本町29)で開いている個展「函館二眼レフ散歩」では、エッセー集に収録予定の写真の中から27作品を展示している(入場無料。午前11時から午後7時まで)。大西さんは「地元の人たちでも見過ごしがちな魅力的な風景を数多く紹介しているので、ぜひ多くの人たちに楽しんでもらいたい。これをきっかけに出版に向けて前進できれば」と期待している。



◎乙部で縁桂森林フェス

 【乙部】縁結びの名木として地域住民に親しまれている「縁桂(えんかつら)」への散策を楽しむ、縁桂森林フェスティバル(林勲実行委員長)が23日、乙部町富岡の縁桂森林公園で開かれた。澄み切った青空の下で行われた。町内外から訪れた約300人の住民や観光客が森林浴を楽しんだ。

 縁桂は樹齢500年といわれるカツラの巨木。2本の木から伸びた枝が結び合うように成長した連理(れんり)の木。縁結びの神が宿るとして敬われている。2005年に同じく連理の木として知られている、中国湖南省・張家界市の「重歓木(じゅうかんぼく)」と友好姉妹木になった。

 開会式では、同市の趙小明・人民政府市長から「縁桂と重歓木を通じて両市町の友好交流は絶えず深まっている。両市町と人民の努力が中日間の新たな交流を開拓することを期待しています」とする公式メッセージも披露された。

 函館市からのバスツアーも交えた大勢の参加者は、縁桂まで1キロほどの散策路をウオーキング。秋の訪れを感じさせる森の中で、森林浴を満喫しながら、心地よい汗を流した。縁桂の根元にまつられた祠(ほこら)では「縁桂山元例大祭」も執り行われ、寺島光一郎町長をはじめ、縁桂を敬う住民が、森の恵みに感謝しながら玉串を捧げた。

 縁桂は“縁結び”の名木として知られ、参加者は幹の周囲を回りながら良縁に恵まれるよう願いを込めた。函館市から訪れた60代男性は「このような素晴らしい巨木が道南にもあることを初めて知りました。縁桂が持つオーラを感じますね」と笑顔で話した。

 続いて公園内では「森の昼食会」が開かれ、参加者がジンギスカン鍋を囲んみながら秋の1日を満喫。富岡特産のジャガイモやカボチャの塩煮が振る舞われたほか、新鮮な野菜の即売会やヤマメのつかみ取り体験なども行われ、子供たちを楽しませていた。(松浦 純)


◎札幌オータムフェスト、道南の味覚大人気

 18日開幕した「さっぽろオータムフェスト2009『札幌大通ふるさと市場』(西8丁目会場)」で6日間出店していた長万部、森、せたな町各ブースは23日、終了。かにめし、いかめしといった代表ブランドは、いずれも早い時間から完売。各町関係者とも「ほぼ目標どおりです」とまずまずの表情だった。

 「いかめし」が売り物の森町では、この日「4000尾を完売しました」(金丸義樹・町食の振興係長)と元気がよい。また「いかザンギ」「たこザンギ」に加え、札幌圏の消費者にとっては初体験の、貝柱をマイルドに仕上げた「ほたてザンギ」も反響を呼びリピーターも続々。最終日には白身魚の「おさかなザンギ」も登場、「やわらかく、クセのない味」と好感を得ていた。

 長万部のブースでは「かにめし本舗かなや」の金谷玲子社長が陣頭指揮。名物「かにめし」を主力に、ホタテと鮭を加えた「蝦夷めし」、食べやすい量にした「ミニかにめし」の3アイテムが並んだ。金谷社長によると「1300円の『蝦夷めし』が予想以上に出ました」という。また同町は「お菓子のまち」としても知名度上昇中で、名物「かに最中」「あめせん」といった伝統商品に、「ミルキーゴールド」「カマンベールチーズケーキ」「生クッキー」「萌えのプリン」など“全国区人気”の商品が勢ぞろいして注目された。

 せたな町ブースは、「うにごはん」の炊き上がりを待って長い列ができた。大通のどのイベントでは必ず行列のできるソフトクリーム(ワタミファーム)などの売れ筋乳製品に加え、新製品「こだわりアフロマージュ」(ストロベリー、ブルーベリー)を試験販売。「好評を確認できれば定番商品に」と、「ふるさと市場」をマーケティングのフィールドとしても活用していた。


◎ジュニアコンサート、児童・生徒50人が練習成果披露

 函館音楽協会(吉田淳子会長)主催の第50回ジュニアコンサートが23日、市芸術ホール(五稜郭町)で開かれた。幼稚園児から高校3年生までの児童・生徒約50人が、日ごろの練習成果を披露した。

 同コンサートは音楽実技を学ぶ地元の子どもたちの成長を確認する舞台として、1959年に市公民館を会場にスタートした。同協会会員にも同コンサートの出演経験者が多く、この日はその中から、ピアニストの伊藤亜希子さんとソプラノ歌手の佐藤朋子さんが記念演奏を繰り広げ、50回の節目に花を添えた。

 子どもたちはピアノや声楽のほか、バイオリン、クラリネットなど様々な楽器でステージに登場。多くの聴衆が見守る中、「小犬のワルツ」「エリーゼのために」「赤いやねの家」などおなじみの名曲を披露。緊張の様子ながらもひたむきに演奏する姿に、保護者や同協会会員らが集まった会場からは、子どもたちの成長を願う温かい拍手が送られていた。(長内 健)