2009年9月26日 (土) 掲載

◎森と海のかかわり紹介…森林の再生と活用を考える会「活動展」

 函館の森林の再生と活用を考える会(木村マサ子代表)の日ごろの活動内容を紹介する「活動紹介展」が30日まで、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開かれている。植林から50年以上経過している学校林の現状や、道南杉などを使って作られた木造船や海に漂着したごみなどを紹介。森と海のかかわりや現状をさまざまな角度から紹介している。

 同会は、道南で手入れが行き届いていない森林の再生を考え、森からたくさんのことを学ぼうと活動を展開。毎年冬のクリスマスファンタジーでは、市教委の許可を得て、函館山の学校林の枯損木(こそんぼく)を使って製作したツリーなどを展示。観光客らが願い事やメッセージをを付けていくため「市民ツリー」として親しまれている。

 会場では、56年前に「函館市立西中学校学校林」として植えられた学校林の現状や、函館とスギとの歴史の関係をパネルで紹介。このほか、スギや森と暮らしの関係を知ってもらおうと、函館の船大工がスギを使って1950年代に作られた磯舟を解体したものを展示。船大工の技術も学ぶことができる。「森は清らかな水を作り海へ流すばかりでなく、木で船が作られて海産物を採るなど、海と縁深いことを知ってもらえれば」と木村さん。

 函館山からのきれいな水で育まれたガゴメコンブの標本や、海辺の景観を乱すごみの現物も展示。寒川地区では外国からの漂着物も多く、なぜ流れ着くのかを日本近海の海流と併せて紹介している。「この海流に乗ってイカが函館にやってくる。海の幸という宝物もあれば、そうでないものも来ることが分かると思う」と木村さん。このほか、昨年の市民ツリーに寄せられたメッセージなどの分析結果を発表している。

 木村さんは「スギ一つに注目しても人間と自然にのドラマがあることが分かる。山と海へ感心を高めるきっかけになってほしい」と来場を呼び掛けている。26日午後1時半からは「スギの害虫について」と題し、市緑化審議会委員で樹木医の館和夫さんによる講演会が同センターで行われる。入場無料。問い合わせは木村さんTEL0138・22・2356。(山崎純一)



◎一般会計 賛成多数で認定…市議会決算特別委

 函館市議会の決算特別委員会(金沢浩幸委員長)は25日、2008年度各会計決算の審査を終了。ケアホーム入所者の認定ミス問題などで一般会計決算を不認定とする意見があったが、西尾正範市長が議会への報告の遅れなどを謝罪し、公明党と共産党を除く賛成多数で認定した。このほか決算議案16件も認定。30日の本会議で採決する。

 25日は民生常任委員会所管分を審議。ケアホーム問題については、市の判断の経緯や、監査委員の結論が出されるまで理事者側から議会に報告がされなかったことについて、各委員から質問や批判が相次いだ。

 西尾市長への総括質疑で阿部善一氏(民主・市民ネット)は、関係者への処分内容や時期について質問。市長は「誠に申し訳なく思っている。減給を含めた処分などを、議会閉会後に速やかに行いたい」と述べ、陳謝した。議会への報告が遅れた事については「今後はどんな細かいことでも報告し、共通認識を持ちながら進めたい」と心構えを新たにした。

 志賀谷隆氏(公明党)は、認定取り消し後も介護給付費を支出したことについて「財務会計上で問題があると分かっていたのに、なぜ議会に黙っていたのか。監査とは別になぜ市は独自に判断しなかったのか」と追及。西尾市長は「庁内的に監査の判断を受けてからと考えていた」と当時の状況を説明し、「今回の事を教訓とし、同様のことを起こさないよう各部局に徹底する」と述べた。

 志賀谷氏はほかに、首都圏の企業誘致を専門業務に配置した企業誘致推進員の是非についても質問。2008年度は単独で企業訪問した回数が2件だったことについて、西尾市長は「数字を見ると確かに少ない。もう少し活発に活動してほしいと感じる」と述べ、「制度と人事の観点から考えたい」と廃止する方向を示した。

 また新生クラブと民主・市民ネット市民クラブは、一般会計の認定に当たり行政運営で適時・適切に説明を求める付帯決議を提出した。(小泉まや)



◎亀尾小児童がそば刈り

 函館亀尾小学校(中村吉秀校長、児童29人)の児童が25日、同校敷地内で栽培したそばを収穫した。今年は長雨の影響で生育不良となったが、児童たちは手作業でそばを刈り取り、食べ物の大切さを学んだ。

 総合学習の一環で、地元の農家、富樫光行さん(74)から指導を受けながら、6月の種まきから収穫、試食までを体験。食育と地域との連携、異学年交流を目的に9年前から毎年行われている。

 児童たちはそばの茎を1本ずつ引き抜き、丁寧に泥を落として収穫。児童会長で6年生の日向亮博君(12)は「作業を通じて食べ物の大切さを実感し、仲間とのつながりもできた」と収穫の喜びを味わっていた。

 収穫したそばは約3週間、ビニールハウスで乾燥させる。児童たちは10月下旬ごろに脱穀、12月中旬ごろにそば打ちにも挑戦する。富樫さんは「栽培から収穫までの基本を教え、子どもたちに食べ物を作る苦労を知ってもらえれば」と話していた。(宮木佳奈美)


◎エゾシカ猟 来月24日に解禁…期間を3週間延長

 道は、本年度の道南地域(渡島、桧山、後志管内)でのエゾシカ猟を10月24日から解禁することを発表した。道南ではここ数年、エゾシカによる列車衝突事故や農業被害が急増してることから、これまで以上に効果的な個体管理を目指し、可猟期間の終了期日を昨年度に比べ3週間延長することを決めた。

 道内のエゾシカは、1990年前後に道東地域(網走、十勝、釧路、根室管内)を中心に爆発的に増大し、1996年度には道内全体の農林業被害が50億円を超える深刻な社会問題に発展。このため道は2000年度に道東地域と道央・道北地域(空知、上川、宗谷、胆振、日高)を対象とした「エゾシカ保護管理計画」を策定。計画的な狩猟による頭数コントロールによって、被害は減少傾向にある。

 一方、エゾシカの絶対数が少なく、これまで管理計画の対象外だった道南地域だが、ここ数年、局所的に生息数が増加傾向となり、森林生態系への悪影響も懸念されるようになっている。このため、同地域でも05年度に狩猟を解禁。05年度は219頭、06年度は154頭、07年度は189頭、08年度は230頭が捕獲されている。

 道南地域のエゾシカによる農林業被害額は07年度の約1000万円から08年度は約2000万円に倍増。列車との衝突事故も06年度が17件、07年度が42件、08年度が58件と増加傾向にあることから、狩猟による保護管理には大きな期待が寄せられている。

 本年度の可猟期間は10月24日から11月23日、12月12日から1月17日、2月6日から3月28日までの計3回。中断期間を置くのは、警戒心の強いエゾシカの捕獲効率を高めるため。また、昨年に比べ狩猟期間の終了期日を3週間延長することによって、効果的な個体数管理を目指したいとしている。(小川俊之)


◎「函館に誇り持てた」…柏野小児童が「観察隊」の活動報告

 函館市の学習プログラム「こども町並み観察隊」を総合的な学習で実施していた函館柏野小学校(藤井良江校長)の5年生児童は25日、プログラムの総まとめとなる活動報告会を松陰町の同校で開き、児童たちはこれまでの学習成果を披露した。

 同観察隊は、子供たちに西部地区の由緒ある町並みの魅力を体感してもらおうと、市都市デザイン課が市内の小学校に呼び掛け毎年実施している。本年度は函館開港150周年の節目の年に当たることから「開国と国際交流」をテーマに6月から学習をスタート。約60人の児童が6月下旬と7月中旬に西部地区の歴史的な建造物を見学し、開港当時の歴史や函館と外国とのかかわりを学んだ。プログラムでは公立はこだて未来大の学生も児童の学習をサポートしてきた。

 前の授業で見学したことを模造紙にまとめていて、活動報告会ではグループごとに開国当時の外国と函館とのつながりやペリーと函館とのかかわりについて発表。三択クイズを出したり、質疑応答などし、興味を深めていた。

 児童たちは「函館に誇りを持てた」「もっと調べてみたい」などと感想を口にし、坂口陽勇君(10)は「ペリーより先に日本に来た米国人マクドナルドについて調べた。きょうの発表は勉強したことを伝えることができて良かった」と話していた。(鈴木 潤)