2009年9月28日 (月) 掲載

◎食中毒2年間発生なし…函館保健所管内

 函館市内で2年以上、食中毒が発生していない。市立函館保健所によると、07年7月29日に市内飲食店で4人がカンピロバクター菌による食中毒を起こして以来、発生がない。同保健所生活衛生課は「業界団体の衛生指導のほか、感染症対策の啓発が進み、手洗いの励行が進んでいることなどが要因に考えられる」と話している。

 市内での食中毒発生状況は、03年が6件146人、04年が5件68人、05年が2件6人、06年が1件6人、07年が1件4人。多発した03、04年の多くはサルモネラ菌や腸炎ビブリオが原因だが、05年以降はカンピロバクター菌とノロウイルスが目立つ。

 カンピロバクター食中毒は全国的にも増加傾向にあるといい、焼き肉や生肉、肉のたたきなどから発症する。道内では昨年、37件の食中毒が発生したが、カンピロバクターが最も多い17件だった。

 ノロウイルスは食物から入った場合は食中毒だが、多くは食物以外で感染源が不明な感染症として集団発生する。

 業界団体も食中毒の未然防止に力を入れている。飲食店や製造業など約1800の事業所・個人が加入する函館食品衛生協会(藤原厚会長)は、毎年の街頭啓発に加え、すしや中華、菓子、温泉などの部会ごとに指導員が巡回して食品衛生管理の徹底を呼び掛けている。

 食中毒を防ぐポイントは、手も食材もこまめに洗う、加熱は十分し、作りたてを食べるなど、一般的なことだ。食中毒の2割は家庭で発生していることから、市民への啓発も求められている。

 今夏は比較的涼しく、市立函館保健所管内では食中毒警報を2回しか出していないが、同課は「これからはキノコなど自然毒の被害が心配される。知っているキノコだけ採る、分からないのは採って食べないで」と話している。(高柳 謙)



◎秋田谷さんが炭から開発した消臭剤、健康飲料で特許取得

 函館市豊原町で無農薬野菜の販売などを行うハイタンファームの秋田谷忠代表(59)はこのほど、製造・販売する消臭剤「ハイタン」、健康飲料「ハイタンスーパーチュチュ」で特許(実用新案特許)を取得した。高齢者などと暮らせる施設を作る夢に向かうために起こした、炭の製品開発から生まれた発見。秋田谷さんは「念願の取得が叶った。特許の使用権を販売でき、夢に近づければ」と話している。

 秋田谷さんは、建築業に従事していた30代のころ「人として生まれたことに恩返しするため、高齢者や障害のある人がともに暮らせる施設を作りたい」と夢を抱いた。そのために事業を起こそうと、高齢者たちでも作業が簡単にできるウコッケイの飼育をする鶏舎を作ったほか、消臭などさまざまな効果がある炭化物質を使った製品開発を考えた。

 自然の木を使わず、建築廃材を利用した炭作りを始めた秋田谷さん。約10年前のある日、窯出しの作業で火災を起こす寸前になり、近くにあった木酸液をかけて消火。そのときの木材を鶏舎に置いたところ、鶏ふんなどの悪臭が無くなったため、木を調べたところ、フラボバクチリュウムという微生物があることが分かり、木材の炭にこの微生物を住みつかせた消臭剤「ハイタン」を2000年から製造、販売した。微生物で悪臭を分解し、生ごみや冷蔵庫などで有効に利用できることから口コミで市内に広まった。300羽のウコッケイを飼育する鶏舎で使用し、臭いは感じさせない。「ハイタンスーパーチュチュ」は臓器の働きを助ける効果がある。

 これまでフラボバクチリュウムを使用した製品は無く、2002年に特許を出願。7年後の今年5月に「細菌培地及びその製造方式」として取得した。「今年がだめなら、あきらめるつもりだった」と話す。自身での製造量は限られるため、企業に製造、販売してもらえることを願っている。

 リサイクルの精神とバイオ技術は施設建設へ大きな一歩となった。秋田谷さんは「偶然の発見から生まれた特許。夢は急がず、あきらめず向かえば叶うものですね」と笑顔を見せていた。製品の問い合わせはハイタンファームTEL0138・58・1255。(山崎純一)



◎初秋の函館 1900人駆ける…ハーフマラソン

 道南最大規模のスポーツイベント「2009函館ハーフマラソン大会」(道南陸上競技協会、函館市、実行委など主催)が27日、函館市千代台町の千代台公園陸上競技場を発着点とするハーフコース(21・0975キロ)で開催された。道内を初め全国各地から約1900人が参加し、晴れ渡った初秋の函館を駆け抜けた。

 ことしは函館開港150周年、青函ツインシティ提携20周年記念として実施。レースは午前9時50分に西尾正範函館市長の合図で一斉にスタート。国道278号線の海岸沿い(漁火通り)などを走るルートで行われた。沿道には大勢の市民が詰めかけ、完走を目指して力走する選手に大きな声援を送っていた。

 優勝は男女とも招待選手で、男子はジョセフ・ムワニキ選手(20、コニカミノルタ)が3連覇、女子は中須啓子選手(23、ノーリツ)が初優勝を果たした。ムワニキ選手は「歴史のあるすばらしい街を走れてよかった」と笑顔で話していた。(山田孝人)


◎江差産業まつり盛況

 【江差】町内の産業団体が一堂に会して、新鮮な農水産物や地場産品をお手ごろ価格で提供する、第31回江差町産業まつり(実行委主催)が27日、江差町役場で開かれた。真夏のような青空の下で、秋サケのつかみ捕り体験などが行われた催しは、新鮮な秋の味覚を買い求める大勢の家族連れでにぎわった。

 会場の町役場駐車場では、ひやま漁協や町内の漁業者が、サケ、イカ、ホッケなど、新鮮な海の幸を格安の価格で販売。新函館農協は、収穫最盛期を迎えているメークインなどの農産物を提供したほか、町内の農業生産法人はイチゴジャムやイチゴミルクの販売も行い、多くの買い物客が列を作った。

 恒例イベントになっている、子供向けの秋サケつかみ捕りも大人気だった。スタートの合図とともに子供たちは、50匹ものサケが放された水槽に飛び込み、所狭しと泳ぎ回る秋サケを元気よく追いかけた。また、町役場では、江差消費者協会が主催する「第15回えさしくらしのフェスティバル」も開催。リサイクル品を使った手作り小物の販売、おもちゃの無料修理、食用廃油を利用したせっけんやロウソク作り体験などが行われ、大勢の人でにぎわった。(松浦 純)


◎「農業営む道民魅力的」…「空想の森」上映会

 十勝管内新得町で農業を営む人にスポットを当てたドキュメンタリー映画「空想の森」(2008年)の上映会が27日、函館市湯川町の市民会館で行われた。市民ら約200人が来場。来函した田代陽子監督は「魅力的な身近な人を撮りたかった」と作品への熱い思いを語った。

 映画は道外から新得町に移住し、共働学舎で子育てしながら野菜を作る二十代の女性と夫、1970年代に京都から入植し、子どもが独立後も農業を営む夫婦それぞれの生活を追った。自然と向き合って暮らす家族の有り様がスクリーンに映し出されると、来場者は興味深そうに見入っていた。全3回の上映後には、毎回田代監督によるトークも行われた。

 2回目のトークで田代監督は「北海道で彼らと出会い、おいしい野菜を食べて一緒に仕事し、農業について初めて深く考えた」と振り返り、「約10年掛けて撮影し、一度まとめたが『物語』を作ろうと再編集した。被写体の意見を聞きながら一緒に作ってきた」と作品作りの苦労を語った。

 函館市の主婦泉光子さん(69)は「登場する人皆が素手で土と対話して野菜を作っていて感心した」と話していた。

 29日午後1時からは森町のハル小屋(赤井川252)でも上映される。(新目七恵)